松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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「クソ。前もって化身使いがいるデータは入手してただろ。忘れてたぜ」

「失念していたわね。今一度相手の情報を整理しましょう」

「ライン際の作戦はどうする?通じなくなってきたけど。続ける?」

「向こうの戦術の攻略法は他にないわ。当然続行よ」

「了解」

 

作戦会議は終わった。

データも共有し直した。

あとは打ち勝つのみ。

 

「ファイアトルネード!」

 

 

ヴァルキリア 15 - 14 聖堂山

 

 

またしても失点した。

さらに、また。

 

 

「炎魔ガザード!」

「……っ」

 

殴り合いから若干のオフェンス、ディフェンスも織りまぜるようになったから必殺シュートを放つだけの試合ではなくなってきた。

ミクがシュートブロックの為にチェンナイの前に立ち、黒裂くんが本気のシュートを放つ。

 

「爆熱ストォォォーーーーム!!」

「魔狼アモン!」

 

化身を出して対抗するミク。

しかし。

 

「うわああ!」

「魔神アガレス!」

「何!?くっ……!」

 

ミクが破られたあと、アリアがスライディングでフェードインしてきてカットした。

何とか同点は防いだけど……まだまだ試合時間は残っている。

同じような展開は続くし、そう何度も止められない。

 

「爆熱ストォォォーーーーム!!」

 

 

ヴァルキリア 15 - 15 聖堂山

 

 

同点。

すぐに取り返す。

 

「アガレスロマンティクス!」

 

こっちも化身を使わなければならない状況になった。

アリアのシュートがゴールを割る。

 

 

ヴァルキリア 16 - 15 聖堂山

 

 

「絶ファイアトルネード……!」

「……っ!そりゃ、お前も撃てるよな……!」

 

次は黒裂くんがファイアトルネードを放った。

また迫られる。

 

 

ヴァルキリア 16 - 16 聖堂山

 

 

「ザ・セイレーンX……!!」

 

 

ヴァルキリア 17 - 16 聖堂山

 

 

こっちも、と言っても主にアリアだけれど取られたら取り返す!

それは向こうも同じ。

 

「バリスタショット!」

 

 

ヴァルキリア 17 - 17 聖堂山

 

 

「グランドファイア!G5」

 

 

ヴァルキリア 17 - 18 聖堂山

 

 

「ヴァルキリー・アタック!」

 

 

ヴァルキリア 18 - 18 聖堂山

 

 

「魅惑のダラマンローズ!」

「炎魔ガザード!」

「光速のマキシム!」

「……!」

 

化身が一気に三体!

黒裂くんが笑みを浮かべている。

ジリ貧だから仕掛けてきたわね。

なりふり構わなくなってきた。

向こうが三体の化身で中央突破を試みるならこっちも化身で対抗するしか……!

 

「あたしに任せろ!お前達の化身を消費させてたまるかよ!」

「サエ……!」

 

相手の化身の元にサエが駆け込む。

確かにミクはともかく私とアリアは化身を使いすぎるとガス欠が見えてくる。

ここで彼女達が化身を使えるメリットはデカイ!

 

「私もやる!いくよ、サエ!」

「おうよ!」

 

アスカも合流して2人で化身に向かっていく。

走りながらその背中には紫のオーラが。

彼女達の化身はまだ安定領域に入っていないから再現性が低い。

今、試合中に使える回数は精々1~2回。

それをここで切って、才能組3人を温存する!

 

「突撃のバルバトス!」

「狩猟魔神 レラージェ!」

「何!?4体目、5体目の化身だと……!」

「奴らの化身使いは3人だけじゃないのか!?」

 

情報のない化身の出現に動揺し、黒裂くんがベンチを見る。

すると、聖帝イシドシュウジも立ち上がり、瞠目していた。

つまり彼ですら知らないヴァルキリアの戦力。

そうよね。

貴方達は雑魚に興味ないもの。

白竜くん達は違った。

特訓の成果を見せなさい……!

 

「雑魚の意地見せてやる!」

「化身2体、足止めするぜ!」

「くっ……!」

「こいつら!」

 

アスカとサエが三体の化身のうち、2体を確保する。

これで残るは黒裂くんただ1人!

 

「魔狼アモン!」

「みっちゃん……!」

 

動揺した隙をついてミクがスライディングでボールをカット。

黒裂くんが瞠目する。

そして、悪夢。

ボールが行き着いた先は、アリア。

 

「ザ・セイレーン!!X……!!」

「シュートブレイク!うわあああ!?」

 

アリアが征木くんを破り、得点!

 

 

ヴァルキリア 19 - 18 聖堂山

 

 

「まだだ!」

「……!」

 

次のターン。

焦った黒裂くんが個人技でゴール前まで一人で突破した。

これは聖堂山のサッカーではない。

相当周りが見えなくなっている。

 

「炎魔ガザード!」

 

証拠に化身まで雑に使う。

そら使えば得点できるでしょうけれど。

 

「爆熱ストォォォーーーーム!!」

 

 

ヴァルキリア 19 - 19 聖堂山

 

 

再び並んだ。

けれど、そのコストは高い。

 

「……っ。……っ」

 

ゴールを決めた後、暫く膝に手を付き肩で息をする黒裂くん。

恐らく化身は使えてあと1回か、もしくはもうパワーが尽きたわね。

 

「一気に畳み掛けるわよ!」

『……!おう!』

「……っ!」

 

私達が一気に攻め上がる。

けど、黒裂くんは追いつけない。

膝をついて止まっている。

これには聖堂山も彼に構えず私達を追いかけながらも、愕然とする。

 

「黒裂……っ!」

「俺に構うな!!奴らを止めろ!勝つのは我々……聖堂山だ!!」

『……!!』

 

聖堂山イレブンの目の色が変わる。

ああもう厄介ね!

黙ってくたばってなさいよ!!

 

「アリア……!」

「インビテーション」

 

サイドラインでアスカが前にパスを出して、アリアはスターティングポジション。

ほぼコーナーからゴールを奪うつもりね!

角度的に無茶よ!

けど、やるしかない!!

それはアリアも理解して実行に移している……!

 

「ティターニア……っ!!」

 

アリアのシュートはポストに弾かれて、ゴール前に転がってきた。

 

「拾え!奴らの化身パワーも尽きかけている。拾って、カウンターをしかけるなら今だ!」

「……!」

 

聖堂山が全力でボールを取りに行く。

痛いところを突く。

確かにこっちのエネルギーは限界が近い。

こっちだってここは落とせない。

確実に拾いたい!

ゴール前。

集結する両チームプレイヤー。

数秒後に複数が交錯するこの時間で、誰にも干渉されずシュートを撃つ方法。

ボールを奪い合うシチュエーションを迎えず、この勢いを邪魔されず継続する。

リセットさせない為には、競い合ってからの対策では厳しい。

今、ここで攻撃から競り合いにシフトさせることも拒否しなければならない!

それができる手段はただ1つ!

ジ・エレメンタルが控える中で使いたくなかったけれど。

私も黒裂くんのようになりふり構わず消費するしかない!

 

「えっ」

 

雷が光ったと思ったら。

聖堂山ディフェンス陣が見上げ、固まる。

目の前で起きた現象を脳内で情報処理できずにいる。

瞬きの間。

彼らの景色は変わった。

クリアだった視界をコンマで埋め尽くす巨体。

化身の姿が彼らの瞳を占領する。

 

―――雷魔神 バアル。特性発動。

 

この化身は、緊急時のみ光の速さで出現させることができる。

 

 

「雷斬り」

 

 

絶望を与える一言が響く。

光速一閃。

群がったプレイヤー全てがその振り抜きを目に焼き付ける。

私は跳躍し、ボレー気味に放った。

全員の視界を横切る一太刀。

そのシュートは一直線にゴールをに突き刺さる。

 

 

ヴァルキリア 20 - 19 聖堂山

 

 

試合時間残り8分。

聖堂山には、重すぎる1点が入った。

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