「雷門中の試合、最高だったね!雷門最高ー!松風くんめっちゃかっこよかったよね!?」
「……何言ってんだ、お前」
試合後、皆と合流してすぐに興奮を伝える私。
しかし、アリアは冷めた目で私を見下ろした。
「さぁ、迷子のバカも帰ってきたし、帰るわよ」
「シズク!シズクもさっきの試合見て感動した?したよね?最高の試合だったね!」
「……は?最高どころか最悪よ」
「えっ」
シズクが冷たく言い放って、私は笑顔のまま固まる。
シズクだけじゃない。
皆、あの感動的な試合が何も心に響いていないみたいで、私を怪訝そうに見ていた。
「おいおい。ミク、お前どうしちまったんだよ。テンションおかしいぜ」
「悪いけど、さっきからそのノリあんま面白くないかも……」
「えっ」
はしゃぐ私にサエとアスカも顔を見合せて顰める。
皆、私とは正反対の反応だった。
シズクもため息をつく。
「貴女がなんの冷やかしのつもりか、もしくはチームゼロが負けてこの先起きることが嫌すぎて現実逃避し始めたのか知らないけれど。事態は最悪よ」
「事態……?」
シズクの言ってることがわからない。
私がキョトンとする。
また彼女はため息をついた。
まだ私がとぼけてると思われているから。
「チームゼロが負けたということは、ゴッドエデンの集大成が欠陥だったということよ。つまり、ゴッドエデンの研究成果は失敗。そんなゴッドエデンにこれ以上予算を割くと思う?……私は、即座に運用をやめて解体すると思うわ」
「えっ」
シズクが淡々と口にする。
でも、凄いことを言っている。
ゴッドエデンが……解体……?
それって、ゴッドエデンがなくなるって……こと?
「ま、待ってよ。シズク。ゴッドエデンがなくなったら私達は……」
「自由になれる、なんてことはまずないわね」
シズクは言う。
こんな非人道的な施設を彼らが管理してきたのは成果が実っていると思われていたから。
それが頓挫したのだから、もはやここを残しておくのはデメリットしかない。
リスクを犯すほどの価値がなくなったから。
そして、生きた証拠のゴッドエデンのシードは施設と一緒に海にでも沈められ、消されることだろう。
と。
「そ、そんなの……酷いよ」
「ようやく状況を理解したみたいね。そして、もうひとつ悲報よ」
「えっ」
まだあるの?
「チームゼロは負けた。その懲罰はきっと重い。どんな罰が与えれると思う?」
「……っ」
そんなの、ひとつしかない。
これまでそれしか見た事ない。
彼らはこれまで、強いから逃れられてきた。
でも、その牙城も崩れ、もはや無価値となった。
もう有象無象の雑魚と変わらない。
捨てれる時は、一瞬だ。
「チームゼロが……白竜くん達が処刑されるって言うの……?そんなの……あんまりだよ……」
「甘いわね。ゴッドエデンの戦力の全てを失った牙山の手元に残った最後のカードが何か、まだわからないの?彼はもはや私達しか有していない。―――命じられるわよ、彼らの処刑を」
「……………………ッッッッ!!!!」
私は、やっと理解した。
全てが繋がった。
皆が暗い理由も。
そうだ。
私達はヴァルキリア。
処刑人。
例えこのゴッドエデンが崩れ落ちるその日でも。
最後まで。
仲間の命を人質に取られて、彼らの言う通り、死神にならなければいけない。