松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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テンマーズを勝たせました

 突如現れた空飛ぶキャラバン。そして、運転席の窓から乗り出し松風君に挨拶する元気な青い熊。もう訳が分からないね! 

 松風君も唖然としてるよ。当然だわ、私もポカーンだわ。タイムワープだのなんだの含めてこれ事が大きすぎない? 

 

 なんか私の脳内許容範囲超えてんだけど、キャパオーバーだよキャパオーバー。松風君は夢見てるのかもみたいなこと思ってそう。

 私も今そんな感じ。でも冷静になれ私、動揺しちゃダメ。それも松風君のためなんだから。

 

 はい。冷静になりました。強制的にとか言わない。

 で、熊の名はクラーク・ワンダバット……略してワンダバと言うらしい。ロボットなのかな? よく分からないけど喋る熊とかそうそういる訳がないのでその線は濃い。てか喋る熊とかいてたまるか。

 突如現れたワンダバだけどフェイ君のサポーター的存在っぽいね。人柄はいいし、実は私的にフェイ君より味方っぽく感じる。だから、まぁ大丈夫かな、ワンダバについては。

 

 松風君頼る人今少ないし信頼してもいいと思う。

 え? 私? いやー面識はないしなぁ。この場に現れると不審感あるし信用できるかと言われると微妙だよね、辛っ。

 まぁそんなことより前半終了と共に来たワンダバだけど何しに来たかと言うとフェイ君の頼みを何か聞いてたっぽい。

 

 で、それが『ミキシマックス』。

 

 もう訳分からんね。なんだよ、ミキシマックスって。なんか生物のオーラと本人を融合させるとかなんたららしい。ごめん、ミキシマックスはさすがに理解できない。

 でも大体でいいなら分かるかな。言ったら誰かの潜在能力をコピーできるってことだよね。で、それは恐竜とか規格外でも生物ならいいわけだ。いや? 生物じゃなくてもいいかも。

 

 オーラがあればなんでもオーケー? 基準曖昧そうだからもうミキシマックスの詳細については触れないでおこう、そうしよう。

 ミキシマックスについて最後に一つ。フェイ君はワンダバに頼んで恐竜、それもティラノサウルスのオーラを貰ってきてもらったらしい。で、ミキシマックス! レッツまぜまぜ! ってわけだ。

 ティラノサウルスのオーラを貰いミキシマックスしたフェイ君は頭髪が赤くなり、なんだか野性的でワイルドな外見に変化。

 

 なるほど、雰囲気も変わったし何より気迫が違う。ティラノサウルスにサッカーができるわけがないけどそれ擬きなら再現できるわけね。今のフェイ君はフェイ+ティラノサウルス一心同体でサッカーしてるようなもんだ。

 そのプレーはいかほどに。後半に入って確認するね。

 

 後半がスタートしてからはフェイ君がパワーアップしたことが大きいね。ティラノサウルスの力を使ってこそ放てる必殺技『古代の牙』で点を取った。

 この1点はでかいね。でもやっぱりデュプリがしんどいっぽい。

 あとなんといっても松風君。ここに来てやっと敵の動きに慣れた。というかフェイ君の助言のお陰かな。

 

 新必殺技の『ワンダートラップ』と『アグレッシブビート』で対応できたっぽい。やっぱ凄いよ松風君。才能あるよ、君には。

 てか今更だけどクマのぬいぐるみ……じゃなくてワンダバって監督なのね。まぁあんま試合に影響してなさそうだからマジでどうでもいい。

 でもやっぱテンマーズいいなぁ。

 

 私も参加したい。するか。

 そろそろ見てるのも限界だし、フェイ君が明らかに酷使されてて疲れてる。ここで最適な選択は私が出てフェイ君のデュプリを1人でも減らすことだ。

 

「よし、行くか」

 

 フェイ君がゴール入れたお陰で今は一瞬だけど試合が止まってる。出るならここしかないかな。

 というのも私の存在をフェイ君、いやこの場合はワンダバかな。ワンダバに認識してもらわないと私元の時代に帰れない気がするんだよね。

 だから……ってわけじゃないけどここで助っ人として出ようじゃないの。

 その前に屈伸などの準備運動だー! はい、終わりました。行きます! 

 

 さて、どんな登場の仕方をするかな。

 とか凝ってたら時間食うので普通に声掛けよう。

 

「やぁ。お困りのようだね!」

「……!」

 

 颯爽と試合中にグランドに侵入してきた私。ここだけ切り抜くとただの迷惑者だけど仕方ない。

 そう、仕方ないのだ。私は悪くない。

 

「君は……?」

 

 はい、よくぞ聞いてくれましたフェイ君。

 コホン。お答えしましょう。

 

「私は長門 未来(ながと みく)。一応サッカープレイヤーだよ。突然だけどこの試合、私も参加していいかな?」

「僕らの助っ人? 天馬知ってる人?」

「え……ううん、俺は知らない人……」

 

 oh.そんな露骨に知らない人扱いされると傷付く。仕方ないけどさぁ。知らない人だけどさぁ。

 今は素直に助っ人として受け入れてよー。ここは私の気持ちを正直に伝えて信じてもらうしかない。

 

「突然現れて怪しいのは分かるけど今は協力させてくれないかな。……私もサッカー守りたいから!」

 

 はい、私の本心50%です。私もサッカー消されたくないのは本当。

 幼い頃からサッカーばっかやらされてきた私からサッカー奪うのは結構辛い。なくて生きていけないってわけじゃないけどやっぱ生き辛いよね。

 ちなみに残り半分はただ単に松風君を助けたいってだけ。まぁ私は完全味方だから信じて、フェイ君特に松風君! 

 

「分かった。信じるよ、君のこと。サッカーが消えて欲しくないって気持ちはすっごく分かるから!」

「ほんと!? ありがとう! 松風君!」

「え、どうして俺の名前……」

 

 あ、やべマズった。まぁひとまず仲間に入れてもらえそうだからこれでいいでしょ。

 フェイ君がちょっとまだ怪しんでるの丸わかりでワンダバに私の正体探らせようとしてもらってるのも気付いてる。

 

 けどまぁ私もまだ完全にフェイ君信頼してないし五分五分ってことでいいよ。私の正体知っても大して影響ないと思うしね。

 何故私がここにいるかは疑問だろうけど、私自身素性に問題があるとは思ってないから。ま、調べるなりなんなりして私を知ってくれ。

 

「天馬が言うなら僕も賛成するよ。今は1人でも助っ人が多い方がいいしね」

「うん! よろしくね! えーと……長門さん?」

「未来でいいよ。さぁ、やろうか!」

 

 フェイ君も今は試合優先してくれたっぽいね。味方が多い方がいいのは分かってるってさ。

 フェイ君のデュプリ、スマイルっていう子と私が交代する。ハイタッチした瞬間スマイルちゃん消えちゃったけどほんとにデュプリってフェイ君の能力の一部なのね。なんか再度驚き。まぁ驚いてる暇ないんだけど。

 羨ましかったテンマーズのユニフォームも着れて私的には大大大満足。気分も上がるってもんよ! 

 

「アルファ。選手交代、いいよね?」

「構わない」

 

 一応アルファ君に確認する律儀なフェイ君。アルファ君的にも私の加入は問題ないっぽい。アルファ君的にというか向こう側のプロトコルオメガならびにその背後に立つ存在にとって、かな。

 でもアルファ君も一応上の人に私が何者なのか調べを頼んでるらしい。面倒だし言っとくか。

 

「言っとくけど私のインタラプト修正とか無駄だからね。私はシードになる前からボール蹴ってたしきっとそのままサッカープレイヤーにはなってただろうからさ」

「…………」

「え、君シードなの!?」

 

 おっ、松風君驚いてる。けどそれは後で話すね。

 あ。でもやばいな。シードってことで信用失ったり……してないよね? い、一応確認しておこう。

 別に不安とかじゃないからね? ないったらない。

 

「うん。私のことは後で話すね。シードだけど……今は信用して。お願い、松風君」

 

 松風君に頼んでみる。

 恐る恐る顔を見るとその表情は笑顔だった。

 

「うん。サッカーを守りたいって言ってくれた人は信用する! 一緒にプロトコルオメガを倒そう、未来!」

「うん……!」

 

 はわあああああああ! 破壊力あり過ぎ優しすぎ大好き松風君! 

 地味に名前呼びほんとにしてくれたのが大変嬉しい。よし、私頑張るよ!! 

 

『さぁ! テンマーズは新しいメンバー、長門を入れて試合再開だぁ!』

 

 実況の人のお声で試合再開。

 まずはプロトコルオメガのキックオフだね。

 

「天空の支配者・鳳凰! アームド!」

 

 っていきなり化身アームドかい! 

 はい、アルファ君化身アームド序盤からしてきました。なので私もしまーす。

 

「魔狼・アモン! アームド!」

「え、アームド!?」

「馬鹿な……!」

 

 うんうん。松風君もフェイ君も驚いてて気持ちいいね。そう、なんで化身アームド知ってたかというと私使えるんだよね、化身アームド。

 ゴッドエデン閉鎖までめっちゃ鍛えられてさ。私だけ出来たの。これ私が唯一自慢できる出来事よ。

 さ、私の化身、魔狼・アモンでの化身アームド。アルファ君とどっちが強いか比べてやろうじゃんよ。

 

「貴様、何者だ?」

「さぁね。どうせ今頃調べてるんでしょ」

 

 アルファ君が顔を顰める。

 おうおう、爽快だねぇ。さぁ、前半も動いてた奴と今来た奴じゃ勝負は見えてるでしょ! 

 

「どりゃあ!」

「……ッ!」

 

 はい、アルファ君からボール奪いました。そのままゴールまで駆けたいと思います。って簡単にはそりゃいかないんだけどね。

 プロトコルオメガにもアルファ君以外の選手が当然いるわけで。MFの子がボール奪いにくるのよね。

 ま、華麗に避けるけど! 

 

「なっ……!?」

 

 なんか可愛こちゃんが驚いてる驚いてる。このままDF陣も軽く抜く。

 さぁ、もうゴール前ですよ。どうします私? もちろんシュートですよ私。やっぱシュートだよね! 

 見ててね、松風君。

 

「ウルフボルケイノ!」

 

 ウルフボルケイノ。私の必殺です。

 まぁ私の化身は狼だしね。ウルフなわけですよ。そして、火属性なわけですよ。

 てことで炎の鋭いシュートの完成です! いぇい! 

 

「キーパーコマンド03!」

 

『ドーンシャウト』

 

 プロトコルオメガのキーパー、ザノウの必殺技だね。

 そんなもん簡単に破ってやるけど! 

 

「ぬうううう……! ぐああああ!?」

 

『ゴール! テンマーズの助っ人、長門が2点目を入れて逆転したー!』

 

 はい、ナイス実況! 

 逆転したよ。松風君。

 

「凄い……」

 

 フェイ君は素直に驚いてるね。アルファ君も驚愕してる。

 あと何か通信受け取ってる。松風君はというと……。

 

「凄い……凄いよ、未来! ほんとに何者!?」

「ふふふ、そうでしょうそうでしょう? でもそう焦らないで、ちゃーんと後で教えてあげるから!」

 

 気持ちいい。好きな人に喜ばれるってこんなに嬉しいことなんだ……。やだ、私なんか感動してきちゃったよ。

 でもまだ油断しちゃダメ。私のこと知りたがってる松風君にそれは後回しと伝えたようにまだ試合中なんだから。

 気を抜けない。今はプロトコルオメガに完全勝利しなきゃ。逆転したけどまだ試合時間はあるし、終わるまで何が起こるか分からないのがサッカーだもんね。

 

「よーし、この調子で勝とう!」

「いや、この試合は中止だ」

 

 は? 中止……って何言ってんのアルファ君。しかし、彼の目は本気だ。

 あー、大体分かった。

 上から指示だね。さっきワンダバが松風君のインタラプトを再修正したって言ってたからあちらのお偉いさんがそれに気付いたのかも。

 予期せぬ異常事態に一旦下がらざる負えない、と。

 

 うーん、なんかスッキリしないよね。せっかく逆転したのに逃げられる感じ。でもあっちに戦意がないんじゃ仕方ない。

 もう帰っちゃったしね。そう、洗脳した審判の人の制止も聞かずに帰った非常識な人達だ。プロトコルオメガってのは。せめて審判に感謝くらい伝えたらどうなのよ。

 ってまぁ今更言っても仕方ないか。

 

 で、試合は放棄したプロトコルオメガが負けだというのことにフェイ君の発言でなったわけだが試合が終わったと思ったら松風君の怒号の質問ラッシュよ。

 まずフェイ君やワンダバに対してだね。これは私も聞きたい。

 けど松風君、私にも多少興味を持ってるんだよね……。仕方ないけどさ。ま、フェイ君達のことが分かったら私も教えてあげるよ。

 

 グランドだとさっきの戦いの余韻が残るので場所は砂浜に移してフェイ君の説明が始まる。

 まず彼らの素性についてだけどこれにはびっくり。なんとサッカーの歴史を守るために200年後の未来世界から来たらしい。この時点でタイムワープだの未来技術に私は納得した。

 で、次にパラレルワールドについての説明。これは松風君のためだね。

 

 フェイ君が今回巻き込まれた件についての根源を話してる。フェイ君によるとどうやら私と松風君は雷門サッカー部が存在しないパラレルワールドに位置している。

 フェイ君の敵は最終的にサッカーの消滅を目的としていてその前段階で雷門サッカー部を消したわけだ。まぁ確かに雷門サッカー部は今も昔もサッカー界に大きな影響を与えてる。そう考えるとサッカー消去を目的としてるなら真っ先に目に付くものかもしれない。

 

 でもなんでサッカー消去したいの……。サッカー何もしてないじゃん。訳分からんね。

 フェイ君曰く彼のいう敵組織『エルドラド』はサッカーの存在が都合の悪いものらしい。サッカーがどうやったら都合悪くなるんだ、ほんとに不思議。

 その不思議は数分後に解消されました。何故かって? フェイ君がエルドラドの本当の目的を話してくれたからだよ。

 

 エルドラドが最も恐れるものはサッカーの高度な能力を持つ種である『セカンドステージチルドレン』という子供達。彼らは旧人類を下等なものと判断し、全力で消そうとしてるらしい。

 そんな彼らの遺伝子にサッカーが関係してるからエルドラドはサッカーを消したがっている。

 

 サッカーが消えればセカンドステージチルドレンもいなくなる。実に合理的だ。

 きっと未来の人類はセカンドステージチルドレンに対抗する手段を持ってないんだろう。まあエルドラドの気持ちも分からんではない。

 けどなぁ……私達からすれば傍迷惑な話だよね。

 

「そんな……どんな理由があってもサッカーを消す権利なんて誰もないのに……!」

 

 松風君も憤ってる。それには私も同意かな。

 対応できないからって過去でサッカーを奪っていいとはならない。

 

「そうだね。それは私も思うかな。確かにあちら側の事情も可哀想だとは思うけどだからってそれがサッカーを奪っていいとは思わない」

「うん。こんなのサッカーも悲しんでるよ!」

 

 サッカーも悲しんでる……か。うん、人々が玉蹴りを楽しむのがサッカーなんだから。そんな都合の悪い良いでどうこうできるようなものじゃない。

 それこそ誰もそんな権利なんてないんだから。

 

「でもなんでプロトコルオメガはサッカーをしてたんだ……?」

 

 松風君がポツリと疑問を呟く。

 ……それはアレじゃないかな。私は察してるけどきっとフェイ君がそのまま説明してくれる。

 

「それはサッカープレイヤーの意思に訴えるに当たり、サッカーという自信のある競技で打ちのめされるのが1番効率的なんだ」

「サッカーは痛い、辛いって思わせて絶望させる……。プレイヤーの心を変えていわばサッカーを嫌いにする、それが奴らのやり方ってわけだね」

「そう……それが奴らのやり方さ」

「そんな……」

 

 松風君、わなわなと震えてる。

 憤りを感じるっぽい。

 

「サッカーは楽しいものなのに……」

「そうだね。だから僕らは来たのさ! 天馬!」

「え?」

「未来にもサッカーを愛する者がいるってことだよ!」

「フェイ……」

 

 うんうん。フェイ君はサッカーを守りに来たサッカー大好き好少年だったわけだ。いやー、疑って悪かったねー。

 話を聞いてる限りだとフェイ君とワンダバは真っ白だね! 

 ん? 2人が私を見てる。何故? 

 

 ……

 ……

 ……

 

 あ。そうか、私まだ素性を明かしてなかったのか。これは失敬。忘れてた。

 めっちゃ仲良し面してたよ。今1番怪しいの私だよ、やべぇ。

 てことできちんとした自己紹介をしよう。

 

「えーと……初めまして。私、長門 未来です。松風君は分かると思うけどフィクスセクターにシードとして育てられたサッカープレイヤーです」

「フィクスセクターやシードについてなら僕らは知ってるよ。調べたからね。それより僕が知りたいのは何故君がここにいるのかってことかな」

「うっ……それは……」

 

 やっば。遂に来てしまった。やっぱりフェイ君鋭い。

 どうしよう……松風君を尾行してきたなんて言えない。軽く……いや、普通にストーカーである。私犯罪者だよ。やったね。

 ってそんなことにはなりたくない。必死に弁解しようと思います。

 

「え、えっと……実は私松風君のファンで稲妻町で松風君を見つけたから声を掛けようとしたらタイムワープに巻き込まれて……成り行きでここに居ます」

「え、俺のファン……?」

「ふーん……」

 

 あ、あはは……。上手く……いった? 

 松風君は私が彼のファンだということにちょっと驚いてるのかな。私をじっと見てる……やば、そんな見られると照れる。

 と、それよりフェイ君よ。

 やばいよ。完全に疑ってる目だよ。

 

 めっちゃ不審そうな目つきしてる。うーん……どうやったら安心してもらえるの? 本気で分からないよ……。

 とりあえず話そう。

 会話が一番だと思う。

 

「そ、その……ゴッドエデン島で雷門とゼロの試合を見て。それがキッカケで松風君のファンになったんだ……えへへ?」

「へぇ。俺のファン……って本当に?」

「う、うん!」

「ありがとう! めっちゃ嬉しいよ!」

「ほんと!? 良かった……」

 

 うーん、幸せ。って違う。話すのはフェイ君で松風君は後だ。

 いや、マトモに会話できたしファンってだけで喜んでもらえたし凄い嬉しいけどさ……。

 待って、めっちゃ嬉しい。やばい! だー! 今はそれを置いておいて! フェイ君に怪しいものじゃない証明をしなきゃ! 

 チラリとフェイ君を見る。

 

「……」

「あ、あはは……」

 

 うわーん、まだ怪しんでるー。悲しいよ、私は。どうすればいいの……。

 私が困った表情をしてると次はフェイ君から口を開いてくれた。

 

「君、サッカー好き?」

 

 この一つの質問。それだけを。サッカーが好きか、たったそれだけを彼は聞いてきた。

 その質問に私は落ち着きを取り戻して考える。

 サッカーが好きか……。ま、愚問でしょ。

 私はいくつかわからない時からボールを蹴ってた。寧ろボールが友達レベルでそれしか覚えてない。

 なら答えは一つ……。

 

「うん。私にとってもサッカーは大好きで大切なものだよ」

「……!」

 

 松風君の言葉を敢えて借りて私の本当の思いをフェイ君に伝えた。私がどんな者か、とりあえずとしての判断基準。

 きっとサッカーをこよなく愛するフェイ君からすればさっきの質問がそれなんだと思う。ちゃんと答えられたかな……。

 

「うん。それなら安心かな。今は1人でも助っ人が多い方がいい。協力してくれる?」

 

 差し出される手。やった……私はやったよ……。フェイ君の赦しを得た今の気持ちはまるで姑から認められた時の感覚だ。

 え? 私の相手は誰かって? やーだー、そんなの聞かないでよー! 

 ……今のは忘れて。私は忘れた。良し。

 

「勿論。よろしくね。松風君も!」

「あぁ!」

 

 フェイ君とも松風君とも握手する。純粋で可愛いフェイ君と私の大好きな松風君。2人と同時に握手とかちょっと倒れそう。今までの訓練よりも心臓が跳ね上がってる……! 

 さて、話は着いた。私もこれで正式に味方として認められたわけだ。

 そんな時、ジャストタイミングでいつの間にか居なかったワンダバがキャラバンで私達の元に飛んでくる。

 

「さぁ、行こうか!」

「行くってどこに?」

「雷門サッカー部が消えたのはその原点である十一年前の雷門中……円堂守の時代にエルドラドが介入したからだ」

「円堂監督の時代……?」

「なるほどね。きっと円堂守の邪魔をしにルートエージェントが現れる。私達はそれを阻止すればいいってわけ」

「そ! そうと決まればさっそく現代に戻ろう!」

「ダメだ、ついていけない……」

 

 松風君は混乱してるね。コホン、ここは歳上として後で説明してあげよう。とりあえず今はキャラバンに乗り込むね。

 あ、ちなみに私は松風君より歳上、実は3年生なのである。まぁどうでもいいね。

 うーん、松風君もフェイ君も可愛くてお姉さん最高だわ。勿論サッカーを守る志は忘れないけどね! サッカーを守ることは私の為でもあるんだから。

 

「いざ現代へ! タイムワープ!」

 

 ワンダバの叫びと共に時空を超えるキャラバン。これから私達がどうなるのかは分からない。

 きっと時空を超えた壮絶な旅が待ってるのだと私は独りでに思ってた。

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