松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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ヴァルキリア結成

 

「……"プロジェクト・ヴァルキリア"?」

「そうとも。陸奥滴、貴様をキャプテンとしたゴッドエデン直属のチームを作成することとなった。それが、"ヴァルキリア"だ」

 

てっきり処分を下されると思っていた私たちの手元に渡された、資料。

そこには"ヴァルキリア"の文字が。

どうやらこれがチーム名のようね。

私と未来は教官の前で顔を見合わせる。

 

「これって……処分免れたってこと?」

「しっ。余計なこと言うんじゃないわ」

 

小声で告げる未来に私は睨みを効かせる。

その様子は見られていたわね。

教官、牙山道山は私たちを前に咳払いしたあと、私たちが姿勢を正したのを見て見下ろす。

 

「我々の意思は、フィフスセクターの意思。あの場のシードの処分はフィフスセクターの決定だ。それに抗った貴様たちは、反逆者となる!……が、事情が変わった。理由は貴様たちが倒したシードだ」

「……っ!……アリア」

 

私が口にした名前に彼は頷く。

なるほど。

シークレットポジションのSランク。

現状ゴッドエデン最強のシードを、それも計画とやらに重要な特別なシードのアリアを倒したことが重要だったのね。

それが私たちの生き残った理由。

アリアを倒せるほどのシードを処分にはできなかったと。

そういうことね。

 

「アリア・オイゲンを倒したシード、陸奥滴!長門未来!貴様たちにはチームを与える!Sランクシードを目指し、"究極"のサッカープレイヤーとなるのだ……!!」

『……っ!』

 

私たちは圧倒され、そのまま解放された。

どうやらヴァルキリアというチーム、メンバー集めは私がやるようね。

概要だけ伝えられて私達は開放された。

 

「こういうの、向こうが勝手に人選するんじゃないの?」

「私の能力から適切な選手を選別できると判断したんじゃないかしら。それにしても、コンセプトも自分で見抜けというのは投げやりすぎるけれど。……それかこのチームの扱いがそこまで高くないんでしょう」

「えっ、なんかそれムカつくね」

 

まあ、そんな話はどうでもいいわ。

 

「とにかくメンバーを集めなくてはいけないわね。……私はできれば、低ランクのシードを積極的にメンバーにしたいわ」

「ん?普通逆じゃない?強いチーム作んないとまた立場危うくなるだろうし、強い人集めるべきなんじゃないの?」

「それはどうかしら。強い人を集めたからといって強いチームになるとは限らないわ。適材適所を集めて、上手く編成し、それを賢く指揮する者が必要なのよ。つまり、有能な指揮者がいればメンバーはある程度揃っていなくても強いわ」

「……その有能な指揮者ってシズクのことでしょ」

「あら。察しが良くなってきたわね。脳筋に効く薬でもあったかしら?」

「前も思ったけど口悪くない?」

「……そんなことよりも」

「流さないでよ」

 

うるさいわね。

とにかく話を聞きなさい。

 

「低ランクシードを集めたい理由を話したいのだけれど、いいかしら?」

「はいはい。どーぞ」

 

態度悪いわね。

まあいいわ。

 

「ゴッドエデンじゃチームに所属すれば立場は安泰でしょう。だから、弱いシードもチームに所属してしまえば……」

「あ、守りたいってこと?」

「そういうことよ」

「シズクって弱い子ほっとけないんだね~」

「……悪い?」

「そんなこと言ってないでしょ。シズクの良いとこだと思うよ」

「……」

「あ、照れてる。うぃ~!」

「黙りなさい」

「怖っ。キレすぎでしょ」

 

そんなキレてないわよ。

つついてきたからちょっと睨んだだけで大袈裟ね。

 

「とにかく弱いシードをチームに引き入れて守るわ」

「うーん……了解!って言いたいとこなんだけど」

「何よ。何か文句あるの?」

「あー。いや、文句ってより指摘?メンバー集めって最低でもあと9人でしょ?仮にそれを全員低ランクシードで固めるとして……さすがにキツくない?いくらシズクが有能でも本当に強いチームにできんの?」

「……」

 

私は顎に手をあてて考えた。

一理あるわね。

 

「では、指摘をするからには代替案を貰おうかしら」

「……やっぱそうなる?」

「当然でしょう。あら。ノープラン?」

「うわ。この前のこと根に持ってるじゃん」

 

当然よ。

状況も考えず、よく言ってくれたわね。

 

「あー……あのさ。ぶっちゃけさっき言ったことも特定の人思い浮かべながら言ったんだけど」

「……貴女、まさか」

「あ、あはは。多分そのまさかかも」

 

もう察した。

この子、正気?

私も未来も知ってて、思い浮かべる特定の人物。

それも強いシード。

もう1人しかいないでしょう。

 

「3人目のメンバー、あの子……アリアだっけ?アリアじゃダメ?」

 

私は、こめかみを抑えて頭痛に耐えた。

 

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