松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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未完成系ブレイカー

 

チームを作るにあたって、端末をもらった。

私はその端末でアリアの居場所を探る。

 

「アリアがどこにいるか分かったわ」

「マジ?アリアってなんか特別なシードだったよね。なのにその端末そんなことまで調べられるくらいアクセス権あるんだ?」

「ないわよ」

「えっ。じゃあなんで調べられたの?」

「ハッキングしたに決まってるでしょう」

「えぇ……知らん間にめっちゃ危ない橋渡るじゃん……。てかそんなことできるんだ。滴って無駄にスペック高いね」

「一言余計よ。普通に褒められないの?」

「いや、褒めるべきことじゃないでしょ」

 

そんなやり取りをした後に私たちはゴッドエデン中層、Cランクシード棟にきた。

そこで見た光景は。

 

「てめぇ!絶対ぇ許さねえ!ぶっ殺してやる……!」

「ハッ。やれるもんならやってみろ。だが、お前程度じゃ無理だ。このアリア様には勝てない」

 

「oh......。めっちゃデストピア」

「そりゃそうでしょう」

 

まあ案の定アリアは健在。

私たちにやられてもピンピンしてる上にブレイカーとしての活動も継続。

今はCランクシードを処分しているようね。

もっと下位のシードだけを標的にしているのかと思っていた、未来はそう言ったけれど私は全てのランクを対象に彼女が活動しているのは予測してた。

だって、彼女は言ったもの。

 

『……ふん。Fランクってのは掃き溜めだな。こんなところに落ちるヤツの気が知れないぜ』

 

あれは、Fランク帯を初めて見たからこそ出る感想。

つまり彼女はこれまで他のランク帯は見てきていた証拠でもある。

そして、今はCランク帯の足切りラインに対して、彼女は処刑を行っている。

おそらく降格するようなシードは昇格する見込みもないとみて処分することになったのでしょう。

 

「喚くな。私は機嫌が悪いんだ。クソ……まだ痛む。まさに腹の虫が悪いってやつだな」

 

アリアが声を荒らげた女のシードに言い放ち、見下ろす。

なるほど、要するに仕事のついでに八つ当たりをしているわけね。

道理で酷い光景が広がっているわけだわ。

もうこの有様を見て彼女の人間性は十分わかったわ。

 

「帰るわよ」

「え?なんで?まだ勧誘してなくない?」

「する必要ないでしょう。彼女はクズよ。いくらサッカーが上手くても私の思想に反する人を私のチームには入れられないわ」

 

それだけ言い残して私は去る。

その後を追いかけてきた未来は相変わらず。

 

「うーん。私はアリア、悪い子に見えないんだけど」

「何を根拠にそんなこと言ってるのよ」

「だって前見た時も皆あれ全治3年くらいでしょ?」

「……は?」

「中学サッカーは無理かもしれないけど、ゴッドエデン離脱して3年後に復帰の方が幸せだと思うなぁ」

「……………………は?」

 

私は目を見開いて足を止め、未来を見た。

肝心の本人は私に見られてキョトンとしている。

いや、嘘でしょう?

貴女にとってそれって"普通"なの?

 

「貴女、アリアにやられた子達の状態を一目見ただけでわかるの?」

「うん」

 

未来は平然と頷いた。

私もどこを負傷したかどんな状態かは診ることはできても、触診もなしに回復期間まで当てられない。

というか回復する状態だったのも知らなかったわ。

てっきりアリアにやられた子は再起不能になるのかと思っていた。

だって、教官もアリアはサッカープレイヤーの活動を停止させると言っていたから。

でも、確かにそれを真に受けるのもよくない。

未来は嘘をついてる様子はないし、自信も根拠もありそう。

……1度こっちを信じてみましょうか。

 

「そ、そう。3年で回復する故障だったの?皆」

「あー。厳密には早期の治療とかリハビリによるだろうけどねー。そこまではなんとも。私、医者じゃないし。ただ一生サッカーできない絶望的って感じじゃなかったのはホントだよ」

「……っ!」

 

未来の言うことが本当なら、アリアは教官の指示に従ってないことになる。

教官から受けている司令は再起不能のはず。

だけどアリアはそれを遂行していない。

そして、それをもし教官が見破れないとしたら?

いや、早計すぎるわね。

アリアが技術的に完全な再起不能に追い込む事は出来ない可能性も捨てきれない。

そうならフィフスセクターに従っている。

つまり、完全な再起不能に追い込めていないのはただのアリアの実力不足。

……実力不足?アリアが?

直接対決したからわかる。

彼女ほどのサッカープレイヤーはおそらく世界中探してもそうはいない。

と、なるとやはり考えすぎかしら。

 

「……もう少し観察する必要がありそうね」

「お?マジ?やった!」

 

私の言葉に未来は期待し、笑顔で私の顔を覗く。

まだ仲間に引き入れると決めたわけじゃない。

期待しすぎよ。

 

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