松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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アンリミテッド・シャイニング篇⑮ 白竜VSアリア!究極大決戦!神々の戦い

 

「ホワイトブレス!」

「魔神アガレス!」

 

またしても同じ対決。

同じ結果。

白竜くんのシュートはアリアのシュートチェインで外されて、得点にならない。

白竜くんは顔を顰める。

 

「くっ……!」

「もう決まらねえぜ」

 

アリアがゴールを守れるようになってから急に試合が締まった。

点差も動かないまま。

そうこうしているうちに。

 

「きた!ラスト10分!」

「いや、まだ15分だっての。よく見ろ!」

「あれ!?」

 

アスカが勘違いして、サエが指摘する。

見上げると確かにあと15分ある。

でも。

 

「いや……いけるぞ」

「……!」

 

アリアが目を凝らして一点を見つめながら呟いた。

彼女の視線の先にいるのは、白竜くん。

彼は肩で息をしている。

明らかに消耗している。

恐らく化身も出せてあと1回が限度。

ミクとキーパーのアリアを相手にしてさすがの彼でも体力を削られたのだわ。

これなら……!

 

「やるよ、5分延長コース。あとは私に任せろ」

「……頼むわね」

「あぁ」

 

ここで複雑なことをいう必要はない。

ただ頷く。

彼女が言うならそれは信頼できるから。

それに、きっと制止したら邪魔だと言われる。

今、この場面に彼女の責任感が発揮されている。

それら全てを踏まえ、理解した上での二つ返事の肯定。

私の返答を受けて、アリアは一瞬満足そうに微笑み、すぐに真剣な顔でゆっくりと白竜くんの元へと向かう。

彼もそれに気付いて彼女を見る。

 

「よぉ、お待ちかねの時間だぜ。遊んでやるよ。15分間だけな」

「……!面白い。ようやくその気になったか」

 

白竜くんは不敵に笑い、アリアは鋭い視線。

今―――世紀の大決戦が始まる。

 

「俺に寄越せ!」

「……!」

 

ホイッスルが鳴ると同時にアピールする白竜くん。

アリアがゴールから外したからアンリミテッド・シャイニングのコーナーキックから。

彼がキャプテンだからチームメイトは頷いて従う。

白竜くんの元へ放られたボール。

それをトラップで受け取り、そして。

 

「……」

「……」

 

そこにカバーに入ったのは、待ちに待ったフィールドプレーヤー。

2人は睨み合い、誰もがそこに介入できず息を呑む。

誰かが瞬きしたその次の瞬間。

 

『―――――――――――ッッッッ!!!!!!』

 

2人の姿が消えた。

他の全員が驚く……暇もない!!

 

「うわっ!?」

「きゃっ!」

 

凄まじい衝突がフィールドのあらゆる場所でまるで瞬間移動のように突如勃発する。

誰もその動きを視認できない。

速い、速すぎる。

私も目で追い切れないわ……!

 

「どこ行った!?」

「中央よ!」

 

あまりに領域の違うバトルに、敵も味方も翻弄され、もはや帆田くんの疑問に私が答えている。

グランドのド真ん中、センターサークル内では。

 

『―――――――――ッッッ!!!』

 

地鳴りがするほどの交錯が複数、同時に起きている。

2人の姿形は捉えられない。

確認できるのは何かがぶつかり合っているという認識だけ。

ボールの行方も不明。

二つの影がX字を描いてセンターマーク上で衝突し続ける。

―――それも、途端に止んだ!!

 

「……っ!!」

「……っ!!」

 

センターサークル内に2人の姿が視認できるようになったかと思えば、互いが互いのフィールドに立ち、ボールを巡って足元で争っている。

利き足同士で押し込み合う足元。

ボールを奪い合う攻防。

それだけで迫力が凄まじい。

余波が周囲を寄せ付けない。

私達は吹き飛ばされないように両腕で顔を覆い、足腰に力を入れて踏ん張ることしかできない。

 

これが、ゴッドエデン最強のプレイヤー同士。

まさに……"神々の戦い"!!

 

「ぐっ……クソ!」

「くっ……!」

 

2人が同時に弾かれる。

力が拮抗し過ぎてどちらも負けた。

ボールも飛んでいき、右サイドへと流れていく。

その放物線の着地点には、アスカが。

 

「えっ、ちょ……!」

 

自分の元へ向かってくるボールに動揺するアスカ。

とりあえずトラップしようと足を伸ばすも。

 

「触るな!邪魔だ!どけ!!」

「うえっ……!?」

 

ボールを見上げていたら横殴りするようないきなり強い言葉。

アスカは慌てて足を引っこめて、前を見た。

すると、鬼の形相で迫ってくるアリアと白竜くん。

 

「ひっ……!ヤバ!」

「判断を誤ったな。貰っていくぞ」

「クソ……!」

 

進行ルートにアスカがいてトップスピードを出せなかったアリア。

そんな彼女を抜き去って白竜くんが先にボールをトラップする。

さらにそこから一瞬でその場から消える。

白竜くんはボールを回収するとすぐに180度切り返して逆サイドへと快足を飛ばした。

アリアもアスカにギリギリ衝突しない目前で片足ブレーキをかけて切り返す。

そんな迫力満点で余波も浴びる攻防がアスカの前で繰り広げられた。

 

「……っ……ぁ……!」

 

刺激が強すぎて声にならず固まるアスカ。

そうこうしているうちに2人の背中は小さくなる。

唖然とするだけの彼女を一瞥するのは白竜くん。

 

「弱い仲間を待つから雑魚に足を引っ張られるんだ!」

「関係ない。ここから巻き返せるのが私の魅力だぜ!」

 

白竜くんを追随するアリア。

一瞬で逆サイドまで走り抜けた2人。

アリアは白竜くんに追いついて、2人は急ブレーキをかけた。

白竜くんがボールを保持し、アリアが対峙する。

 

「突破する!」

「甘い!」

「なに!?」

 

白竜くんがドリブルをしかけるもアリアがその予備動作の隙間を突いた。

ドリブルの1歩目の時点で彼の足元にボールはない。

空振りとなり、アリアの伸ばした足がカットしていた。

ボールは白竜くんの後ろに転々と転がり、白竜くんが驚愕して振り返るのも隙。

彼が1秒固まってる間にアリアは彼を抜いて、ボールを拾いに駆ける。

白竜くんもハッとしてアリアの背中を追いかける。

だが、その先には―――青銅くん。

 

「こいつ……!」

「ハッ。ごきげんよう。判断を間違えるなよ?」

「貴様、俺の仲間を巻き込むつもりか!」

「ご名答!よくできました」

「……っ」

 

青銅くんに突っ込む、と見せかけて目の前で見せつけるように急ブレーキトラップ。

視界いっぱいに、浮かされたボールが映り、反射的に反応した青銅くん。

前のめりにボールを取りに行ってしまった彼の顔はすぐに歪む。

その光景をアリアはじっくり特等席で見学して、彼の伸ばした足が届かないのも一瞥する。

全てはアリアの足先による繊細なボールコントロール。

しかも速い。

青銅くんの頭上への到達点からヒールトラップで右サイドに落とす。

あらかじめ左にボールを浮かせて青銅くんの身体をそちらに流したから彼は反応できない。

その後は深いドリブルに一瞬でダイブ。

彼の脇から抜ける。

後ろから追いかける白竜くんは。

 

「くっ……!」

「わ、悪い……!」

 

青銅くんを置き去りにしたことで彼が障害になって少し手間取る。

その時間でアリアは彼を一気に突き放す。

彼女の勢いはあっという間にディフェンス前まで。

 

「くるぞ……!」

「……」

 

アリアを前にして力むディフェンス。

無言でアリアも少し気合を入れて突破する姿勢を作る。

アンリミテッド・シャイニングのディフェンスは超一流。

それでもアリアの方が上。

彼女なら簡単ではないけど突破できる。

それをまさしく実行しようとした時。

 

「よっしゃいけ、アリア!」

「……っ!いや……!」

 

イケイケムードで敵陣に切り込み、さらに最終ラインも攻略しようとしていたアリアに興奮して後押しのエールを送るサエ。

でも、当の本人は表情を歪めた。

既に自身の足元に介入する足が伸びていたから。

 

「行かせん!」

「クソ……!」

 

アリアがドリブルでディフェンスに切り込もうとしたタイミングで、追いついた白竜くんからの横槍。

ドリブルの1歩目でカットされてボールはフィールド外へ出た。

息をつく2人は肩を上下させた後、睨み合う。

 

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