松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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アンリミテッド・シャイニング篇⑯ 妖精女王《インビテーション・ティターニア》

 

白竜くんが最後に触ったからヴァルキリアボールで再開される。

 

「アリア……!」

「……」

 

私がアリアにパスを出すと、彼女は無言で頷いて受け取った。

既に彼女の前には白竜くんが立ち塞がっている。

 

「さぁ、第2ラウンドといくか」

「面白い!」

 

もはやこの試合は2人の独壇場。

レベルが高すぎて他は介入できない。

アリアがドリブルを始めると白竜くんはプレスをかける。

 

「……っ!」

「どうした?随分苦しそうじゃないか」

「なんだと……!」

 

アリアから中々ボールを奪えない白竜くん。

2人の攻防は周囲アリアの優勢で、アリアはボールキープしている。

彼女の指摘通り、アリアの動きについていく白竜くんの表情はどこか苦悶。

おそらく彼は……。

 

「お前は散々私の仲間を馬鹿にしていたが、そんな奴に体力を奪われた気分はどうだ?」

「……っ!黙れ!」

「ハッ。感情に流されてプレイが荒いぜ」

 

忍耐がなく突っ込んだ白竜くんの隙を利用してアリアが抜いた!

アリアは一気に加速して白竜くんも高速移動で追いかける。

けれど、彼の瞬発力は明らかに前半の威力に比べてその陰りが見える。

現にアリアに追いつけない!

 

「くっ……!ありえん、この俺が!」

「残念だったな。体力を使い切ったお前じゃ自慢のスピードもご破算だぜ。今は私の方が速い!」

 

アリアが一気にディフェンスラインへ!

DFがカバーの為に駆けて、白竜くんが後を追う。

アリアはシュート体勢。

ただ、化身シュートもフェアリーショットも技を放ってる間に白竜くんが回り込める。

彼のシュートブロックを受けることになる。

いくら体力差があっても白竜くんのブロックとDFのブロック、蛇野くんの技を前にしたらアリアのシュートでも……!

 

「アリア!」

「心配はいらない。王者のタクトもいらない。私が持ってる技は何もパワーシュートだけじゃない」

「えっ……?」

「……!仲間も知らんシュートだとっ!」

 

私と白竜くんの驚愕を受けても、それを流し、アリアは見たことのないシュート体勢に入った。

それは陸上のスターティングポジション。

その構えを取る彼女に"何か"が降ってきて、憑依する。

私には妖精に見えた。

ただの妖精じゃない。

まるで戦神のような完全武装した沢山の剣を纏し、クイーン。

彼女は地を蹴りスタートを切ると同時に、自身の進行方向へ低空飛行でボールを山なりに蹴り飛ばす。

 

「なに!?」

「あれは……!」

「これが私のスピードシュート!強い奴ってのは、例え仲間相手でも手の内は晒さないもんだ……!」

 

ボールがゴール前に落ちようとしている。

ディフェンスラインより内側。

ディフェンスの反応すらも間に合わない。

そこに一直線に、閃光のように誰も彼も置き去りにして斬り込む妖精。

 

―――招来。

 

―――"妖精女王"。

 

「インビテーション・ティターニア……!」

 

速い。

いえ、速すぎる……!

白竜くんに追い付けさせない高速弾丸。

鋭くスピンのかかったボールはまさに女王剣士の特攻。

剣の先を敵へ向け、突撃する戦士。

アンリミテッド・シャイニングの誰もがブロックに間に合わず、目の前を目に止まらぬ速さで横切った彼女にDFが瞠目した。

インビテーション・ティターニアはゴールへと向かう……どころか、気づいたらネットに"突き刺さっていた"。

 

「なっ……ぁ……」

「馬鹿な!」

 

蛇野くんは動けなかった。

アリアのシュートが速すぎて反応できなかったのね。

ゴールは決まり、私達ヴァルキリアサイドも私含め驚きで動揺を隠せない。

私達はまだ歓喜にまで到れてない。

感情が追いつかない。

彼女は私達仲間ですら置き去りにしてしまった。

フィールド全体が驚愕で言葉に詰まる中、1人だけがゴールに背を向けて、歩き出す。

 

「まずは1点、取り返したぜ」

 

不敵に口角を上げるアリア。

彼女がスコアを指さすとその数値が変動した。

 

 

ヴァルキリア 2 - 2 アンリミテッド・シャイニング

 

 

 

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