アンリミテッド・シャイニングとの試合から2日。
たったの2日。
その猶予だけで私の端末に通知が届き、次の指令が下された。
「次の試合よ」
「もうかよ!?この前やったばっかじゃねえか……」
「奴らとの試合はイレギュラーだからな。予定には組み込まれてない」
「それもあるけど。今回もイレギュラーみたいね」
「お、どういうこと?」
アスカが疑問に思う。
私は端末に書いてある情報に視線を落とす。
「次の相手は―――"白恋中"。接待試合よ」
「何?接待試合?」
「えぇ」
アリアが訝しむ。
私は頷いた。
皆も困惑して首を傾げて天井を見上げている。
ちゃんと説明するわよ。
「白恋中の課題は攻撃力。でも近年、その課題を解決するストライカーが1人出てきたのよ」
「へぇ」
「名前は雪村豹牙。化身使いの兆しを見せている期待の星よ」
「待て。兆し……?」
さすがにアリアは察しがいいわね。
そう。
雪村豹牙はまだ化身が使えない。
その予兆を見せているだけ。
つまり。
「雪村くんの覚醒。これがフィフスセクターからの依頼。彼をシードとして招き入れてまで化身使いを生み出したいようね」
「で、接待試合ってのは?」
「その名前の通り、私達が負けなければならない試合よ。ただし、白恋中にではなく、雪村くんに。全ては彼に自信をつけて化身の出現を促すため」
「おいおい。八百長ってことかよ……」
「てかなんでその試合をウチがすんの?」
「担当するはずだったチームが豪雪で迎えなくなって、他も用意できず、ウチに回ってきたとのことよ」
「ヴァルキリアって一応秘匿性の高いシークレットポジションだよな。どんだけ人手不足なんだよ、フィフスセクター……」
概要を聞いたアリアが失笑する。
彼女の言う通り、私達はあまり対外交流はしない方がいい。
少年サッカープレイヤーを処刑しているチームなんてフィフスセクターも公にはできないでしょうし。
だから、今回は本当に背に腹は変えられないくらい必要に迫られたみたいね。
そう書いてあるわ。
「白恋かー。そこって強いの?」
「知るかよ……学校のチームなんて」
「そんなことだろうと思ったわ。ここ数年で北部では敵無しの強豪に成り上がったチームよ」
「えー。強いのー?」
皆が嫌そうな顔をする。
気持ちは理解できるわね。
海王学園。
帝国学園。
アンリミテッド・シャイニング。
と来て、次が白恋中。
正直レベルがずっと高すぎる。
でも、仕方ない。
私達はそういうチームを相手にするしかない目的で運用されているから。
「白恋中はディフェンスに特化して、攻撃力はヴァルキリアとさほど変わらないわ」
「ウチと差がねえって……マジかよ」
「アリアがゴールキーパーしてる時はシズクとミクしか攻めないウチより?ヤバ。アタッカー2人しかいないよりも低い攻撃力って……」
「正直、貧弱……?」
「でもディフェンスは1級品よ。守りだけで全国最強を名乗れるレベル。特に必殺タクティクス……"絶対障壁"は凄まじいわ」
絶対障壁。
このワードが今回、一番の課題となるポイントよ。
「待って。雪村くんには負けていいけど、白恋中には勝たなきゃいけない。つまり、白恋中の危機を雪村くんが救うシチュエーションを生み出したいってことでしょ。ムズいね。絶対障壁っていうタクティクスで守りは強固なんでしょ?どうやってピンチにするの?」
「いい質問ね。そう、そこが問題よ」
ここまで聞き専だったミクが珍しく的を射た発言を不意に出す。
まさしく彼女の認識が正しい。
「ちゃんと対策はあるわ。それが私達のタクティクス―――"ランス・オブ・ブリュンヒルデ"よ。私とアリアで行うタクティクスになるわ」
私がアリアを見ると、彼女は頷きを返す。
さっそく今日から取り組むわよ。
「今回の試合は2週間後よ。今すぐにという訳ではないわ。試合までに対策を練って、挑むわよ」
「その言い草、もしかして今回は私達も働く感じ?」
「察しがいいわね」
そう、今回は皆にも役割がある。
というより無理やり与えた。
そろそろ皆にも成長の機会を与えたいもの。
今日から2週間、特訓よ。