松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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アスカ×サエ×チェンナイ

 

「私、タクティクスに参加することになったわ」

「マジかよ。大抜擢じゃねえか!」

「困惑。それではシュート練習はいかに。現状やる気を出してるのはこの3人。アスカが欠けるとキツイ」

「あっ。シュート練習もやるよ」

「おいおい、大丈夫かよ?減量されてるとはいえ通常メニューもあるんだぜ?」

「うーん、まあそうなんだけど……」

 

アスカはストレッチをしながら少し間を空ける。

けれど、そこに迷いはない。

 

「なんか今モチベ高いんだよね。どんな努力もできる気がするっていうかさ」

「……ふーん」

 

背を向けて伸びをするアスカに、サエとチェンナイは顔を見合わせる。

二人の中で意思が固まった。

 

「よっしゃ。じゃあタクティクスとシュート練習は皆とやって、練習終わったあとの自主練で通常メニュー一緒にフルでこなそうぜ」

「マジ?いいの?めちゃくちゃキツイスケジュールだと思うんだけど」

「無問題。3人いれば乗り越えられる」

「2人とも……」

 

アスカが呟いたあと、3人は頷き合う。

そこでふと思いついた。

 

「そうだ。3人で一緒に居残り練するならさ。必殺技の練習もしない?」

「あ?必殺技?」

「そそ。そろそろ使えた方が良くない?」

「微妙。言いたいことはわかるけど、あれこれ手を出しすぎでは」

「あたしも同じ意見だ。んな余裕なくねーか?」

 

タクティクス、シュート練習、通常メニュー。

今でも3並行なのにその上必殺技まで覚えると豪語するアスカ。

さすがの物量にサエとチェンナイは制止するが。

本人は前向きだ。

 

「通常メニューある程度こなしたら必殺技の練習に移行しようよ。そしたら時間はできるでしょ?」

「何でそんなかたくなに必殺技に拘るんだよ……」

「えっ。だって、ヴァルキリーアタックだけじゃ本当に戦力になれるか不安じゃない?」

「まあ……気持ちはわかるけどよ。つーかお前はライトニングスピアがあるじゃねえか」

「あー。そっか。えっと、じゃあさ。サエと私で2人技作ろうよ」

 

チェンナイが顔を顰める。

 

「むむ。なぜにチェンナイはハブられる」

「あ、ごめん。シュート技想定してたから。チェンナイはチェンナイでディフェンス技覚えるのはどう?」

「チェンナイにそこまでの技術は……」

「技作るって言ってもそんな簡単じゃねーだろ。作りたいって言えば作れれば苦労ないぜ」

 

サエの言うことは一理ある。

一朝一夕で習得できる代物ではない。

だが、思い立ったが吉日も事実。

すぐに身につけられないならせめて今から基礎を始めたい。

 

「確かに。必殺技を身につけるためにまずは足りない能力鍛えた方がいいかもね。私とサエは特技以外何もないし」

「チェンナイもディフェンス全般平凡にできるってだけだしな」

「肯定。故に1on1で能力が足りず、困ってる」

「じゃあさ。どうしたら自分の能力がいかせるとおもう?」

 

アスカの問題提起。

2人は脳を悩ませる。

 

「熟考。そして、閃き。相手が正面突破を選べば選択肢が少なくやりやすい」

「よっしゃ。そこに持ち込める技作ろ。あとサエは単体技も欲しいね」

「勝手に決めんなよ……。まあ欲しいけどよ」

 

アスカのやる気に振り回されるサエ。

でも、否定するほどではない。

彼女だって出来るならそれに越したことはないと思っている。

成長自体はしたいのだ。

 

「なんか理想の技とか今思いつく構想とかある?」

「無茶言うなよ。あー……そうだな。帝国のMFが使ってたイリュージョンボールって技はレベル高いが、あたしの得意分野の延長線上な気はするぜ」

「いいじゃん。それ身につけようよ」

「簡単に言うぜ……」

 

本当に楽観的だ。

けど、いつかは習得しよう。

それを目指そう。

サエの中でそういう意識は芽生えた。

この変化はバカにはならないと、彼女たちは後ほど知ることになる。

 

「てかそれよりまずはヴァルキリーアタックだろ。今の習得スピードじゃ間に合わないぜ。なんか課題点見つけねーと」

「あー。そうだね。タイミングが合わないよね」

「共感。威力が分散するからコントロールも悪い」

「あたしは結構合わせられてると思うけどな。あたし、ミートはできるし」

 

サエが何となく口にした言葉に2人の注目が集まる。

その視線に気づいた本人はたじろぐ。

 

「な、なんだよ……」

「それじゃん!」

「あ?」

 

急にアスカに指をさされたサエはなんのこっちゃ。

アスカとチェンナイの中でだけでサエの発言から構想を得て、閃いている。

サエは困惑中。

そんな彼女に教えてあげる。

 

「同様。指摘。ミートが得意ならそれを活かした単体シュート技、習得可能」

「そういうこと!シュートの必殺技なんか覚えうよ!」

「お、おう」

 

圧されるがままに勢いに乗せられて頷くサエ。

認識したのはそこから数秒後。

少し考えて気づきを得た。

 

「……あたしミートが得意なのか。知らなかったぜ」

「無意識に口にしてたんだね。てか体は意識できてる?ん?ややこしいな」

 

無意識に得意分野を見つけていたサエ。

そこからさらにアスカが着想を得る。

 

「てかさ!サエ、ミートが得意なら私達にヴァルキリーアタックのタイミングの合わせ方教えてよ!」

「おっ。いいぜ、別に」

「私、いいこと閃いたわ!各々の課題点がさ。互いの得意分野だったら教え合うってのはどう!?」

「いいけど……課題点が得意分野だったらな」

 

まずそこがわからない。

でも、アスカは既に解答を得ての発言だった。

 

「いや、てかそうなんだよね!実際。私はスピードと体力があってパスルートを構築できるけど、トラップできないから意味ないってのが現状。でも、チェンナイはトラップ得意じゃん!だから、私に教えてよ」

「仰天。まさかの指名。回答は無論、喜んでと返答」

 

チェンナイのサムズアップ。

続けてアスカはサエを見る。

サエはギョッとする。

 

「んでサエは体力が課題でしょ?せっかくのパス技術も中盤以降は使えないし」

「ま、まあな」

「だから、私が小さい頃からやってたスタミナトレーニング教えてあげる!」

 

なんだか勝手に決められて話が進んでいくが、得はあるのでそのままにしておく。

続いてチェンナイの弱点補強。

 

「チェンナイの課題はパスでしょ。せっかくブロックできても次に繋げられないし。だったらサエに教わればいい!」

「驚愕。完全的中。これにて確かに相関完成」

「そそ!でしょ?互いが互いを補えあえるんだよね」

 

いつの間にか教え合う関係ができていた。

この3人だからこその発見。

アスカを筆頭に3人は燃える。

 

「なんかマジでやる気満ち満ちてるわ!次の試合、絶対役に立ってシズク達をビックリさせちゃお!」

 

アスカのガッツポーズ。

かくして3人の特訓が始まった。

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