松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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シズク×白咲

 

試合当日。

集まったヴァルキリアイレブンに1つの疑問が浮かぶ。

 

「白恋との試合はどこでやるんだ?」

「グランドね。白恋中の」

「……!てことは私たち、外に出れるの!?」

「マジかよ。でも、どうやって出るんだ?」

「あー。確かに」

 

皆が集まったのはいいものの、特に大人が来ないことや指示がないことに不安を感じ始める。

キョロキョロと辺りを見渡す彼女たち。

アスカの視界にウトウトしているミクが映った。

 

「どうしたの?ミク」

「いや……眠くて……」

「えっ?あれ、なんか私も……」

 

アスカもふらつき始める。

彼女たちは膝から崩れ落ちて倒れた。

その現状は2人だけに起きてる事じゃない。

もちろん私も。

 

「あぁ……やはり、そういうことね」

 

意識が遠のくのを感じる。

なんとなくは予想してたけど、身体に良くないからあまりやって欲しくなかったわね。

別に口外なんてしないのに、信頼が薄くて仕方ないわ。

まあ、私が逆の立場でも同じことを……するけれ、ど……―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気づいた頃には私たちの視界いっぱいに白の世界が広がっていた。

見渡す限り雪景色。

足元だけは土色。

つまり私たちはグランドにいる。

雪が降っている。

おそらくここは白恋中のグランドね。

 

「眠らされて意識がない中、連れてこられたってことか」

「ゴッドエデンの所在地はシードにも秘匿だものね」

「だからってこんな強引なやり方ある……?」

「そんなものよ」

 

皆戸惑ってるけどフォローしてる余裕はないわね。

子供たちも起こして状況を解説したあとは試合の打ち合わせをする。

多分試合まで時間はそんなにない。

だから、フォーメーションの確認など早く済ませる必要がある。

まずは混乱から皆の意識を切り替えて、試合に集中させないといけない。

 

「ここは白恋中のグランド。私達は眠らされて連れてこられた。そして、すぐに試合が始まる。そういう状況だ。そうと言ったらそうなんだ。受け入れろ、皆」

「……!」

 

アリアが先手を打つ。

皆は彼女に圧されると無理やり納得させられた。

さて、とアリアが切り替えて私に近寄ってくる。

 

「来るぜ、白恋中」

「……!」

 

彼女が告げると。

確かに霧の中からこちらへ向かってくる影が11人補足できた。

つまり、彼らが……!

 

「待っていたぞ、ヴァルキリア」

「……貴方は白恋中のシード、白咲くんね。なぜ私たちを知ってるのかしら」

「いや、知らん。フィフスセクターから通達があった。情報皆無。極秘の秘匿性、危険レベルS級。我々シードも知らないチーム。それがお前達だ」

 

なるほど。

チーム名だけ伝えられてるというわけね。

 

「試合の内容……目的は把握してるかしら?」

「あぁ。全ては雪村の力を引き出し、フィフスセクターに引き込むため」

「そう。わかってるならいいわ」

 

向こうのシードが事情を理解してるならやりやすくていいわね。

事前に打ち合わせもしておきましょうか。

共有事項は生んでおきたいわ。

 

「こっちは雪村くんの覚醒を促すために1度白恋中を追い込むつもりよ。だから、最初は全力でいくわ」

「……!そうか。なるほど。理解した。こっちもそれに合わせよう」

「助かるわ。こっちの作戦も共有しておくわね」

「了解。君は話が早くて優秀だな。素晴らしい。好感を抱くよ」

「……どうも」

 

急に何言ってるのよと思ったけど無視ね、無視。

とりあえずあらかじめ話し合っておいた。

ヴァルキリアは白恋中自体は倒すつもりでいること、絶対障壁を破ることを目標にしていること。

タクティクスの内容までは話さなかったけど大まかなシナリオは告げた。

脚本通りに進めたいのは双方の利害が一致するでしょうし、あっちも受け入れると踏んで伝えた。

結果は予想通りだったわね。

こっちの作戦の意図も理解してくれたわ。

あとは実行するだけ。

白恋中を追い込み、その過程で絶対障壁を破り、白恋のピンチを雪村くんが救うように仕向ける。

これできっと彼は化身を発現できるようになるし、成長を促してくれたフィフスセクターを信頼してくれるはず。

その構築が上手くいくためのシナリオよ。

 

「本番は打ち合わせ通りに。ただし気をつけろ。白恋はフィフスセクターの管理下に加わって日が浅い」

「そうね。シードの貴方たち以外はコントロールしにくいでしょうね。予定が狂うことも計算に入れてリカバリーも考えておくわ」

 

忠告ありがとうとだけ告げて私は別れを告げた。

あとはもう試合内でのアイコンタクトくらいしかコミュニケーションは取れない。

でも、思ってたよりも協力関係は築けたし十分ね。

 

「向こうのシードと利害が一致したわ。今回はやりやすいと思うわよ」

「面倒な役目を押し付けられたんだ。ヴァルキリアの用途とも違う。それくらいはあって当然だな」

「……その割に私の個人努力によって得たものだけれど」

 

ボヤくけど言ったって仕方ないわね。

私は指示を出して皆を配置につかせ、悪天候で暗い空の下、不穏な空気を彼女たちに演出させる。

ヴァルキリアはシークレットチーム。

一応名目上はフィフスセクターの秘密兵器なのだから。

相手を少しは威圧するべきなのよね。

 

「……!あれが……」

「奴らが……!」

 

現れた白恋の真狩くんと雪村くんが私達を視認して警戒する。

自己紹介でもしておきましょうか。

 

「……私達はヴァルキリア。さぁ、魅せてもらおうかしら。雪村豹牙くん」

 

白恋 VS ヴァルキリア。

キックオフ。

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