松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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VS白恋中① アリアVS『絶対障壁』、石岩次郎

 

天候は雪。

フィールドは滑りやすい。

かなり条件は悪い。

ゴッドエデンのスケジュールに合わせないといけないから、日程の調整ができないから仕方ないけど、今回シナリオがある中であまり良くない状況ではある。

けど、やるしかない。

とにかくこの状況では子供たちは期待できない。

アスカとサエ、チェンナイがヴァルキリーアタックを決めてくれることと。

あとはいつもの3人でなんとかするいつもの流れね。

 

「いくわよ。ミク、アスカ」

「うん」

「了解!」

 

2人の名を呼んだけど、初手は違う。

白咲くんに伝えた。

最初は彼女。

今回はフォワードスタート。

アリアよ!

 

「アリア!」

「……!」

 

王者のタクトも不要。

先に試しておきたいこと。

通用しないなら最初に潰しておきたい選択肢。

それは。

 

「―――いくぜ」

『……!』

 

突然の加速!!

キックオフと同時にアリアにボールが渡り、飛び出す。

その速さは異常。

 

『なっ……!?』

 

白恋のフォワードとミッドフィールダーは一瞬で置き去り。

まるで白竜くんの制圧力。

一気にディフェンスまで。

 

「なんだ!?このスピードは……!化け物か!」

「これが、フィフスセクター……!」

 

迫り来るアリアに驚愕する真狩くん。

これから自分が所属するかもしれない組織のプレイヤーに関心を寄せる雪村くん。

結構な反応で良好だけれど。

勘違いしてもらっては困るわね。

フィフスセクターの選手がみんなあんな化け物な訳ではないわ。

あれは特別よ。

 

「さぁ、見せてみろよ。お前らの最強タクティクス!」

「……っ!こいつ……!」

 

アリアが口角を上げたのと同時に真狩くんが顔を顰める。

その挑発に当然乗る。

 

「愚かめ。俺達を舐めるな!いくぞ―――必殺タクティクス『絶対障壁』!!」

『絶対障壁!!』

 

きた!!

ディフェンダーが6人集まり、氷山を形成する。

現れる断崖絶壁。

凄まじい冷気。

映像ではなく生で間近に見るタクティクス。

話には聞いていたけれど……!

 

「くっ……!これは……!」

 

アリアが正面突破を試みて突撃する。

けれど。

彼女の身体は弾かれ、ボールはフリーに。

それを白恋のプレイヤーが拾って相手に渡った。

私たちのラインまで後ずさったアリアが膝を着いてちゃんと受身を取り、半身を起こす。

 

「やっぱりダメだ。ありゃ硬すぎるぜ」

「やはりそうね。出来ればそれに越したことはないと思っていたけれど」

「あぁ。そう甘くはないな」

 

アリアが立ち上がって私に同意する。

心做しか動き少し鈍いわね。

あと始まってばかりで彼女から疲労を感じる。

あくまで当人比だから、多分私とミクしか見抜けてないけど。

 

「この前の白竜くんとの対決のダメージがまだ残ってるの?」

「……!よく気付いたな」

「なんとなくだけど、合ってたのね」

「そうだな。さすがに奴はNo.1の究極なだけある。マトモにやりやったら負荷がそこそこあるぜ」

「そう。この試合、大丈夫?やれそうかしら」

「奴ら相手なら問題ない。ちなみに万全でもあのタクティクスは破れないぞ」

「えぇ。わかってるわ」

 

別に負け惜しみで聞いたわけではないわよ。

今勘づいたから聞いただけよ。

それよりも、やはり絶対障壁は正攻法じゃ攻略できない。

私たちもタクティクスに頼らなきゃいけない。

使わなくて済むなら……と思ったけど。

仕方ないわね。

不安な2人だけど、彼女たちにやってもらいましょうか。

 

「ミク、アスカ。次、ボール奪ったら仕掛けるわよ」

「……!」

「了解」

 

アスカが緊張したのか息を飲んで、そんな彼女の背中を軽く叩きながらミクが冷静に頷く。

アスカの驚きと熱っぽい視線に気付かず、ミクは配置につく。

さて、まずはディフェンスね。

 

「ぬおおおお!どけどけどけぇ!女共ぉ!」

「……!」

 

ボールを運んできたのは巨体の男。

彼もシード、石岩次郎くんね。

なるほど。

問題児ね。

とはいえ、予測済みよ。

対策も取ってある。

彼が暴走した際の相手は彼女よ。

 

「空気の読めない奴だ。ホントにシードか?さすがラフプレーだけの無能だな」

「なんだと!?この……女が!!俺様を侮るな!」

 

彼の行く手を阻むのはアリア。

トップスピードで割り込んでディフェンス。

呆れたような冷たい表情で、下から睨みつけている。

 

「フィフスセクターの権力に弱いくせに、私達が女だけだから舐めてるってわけか」

「そうだ!ゴッドエデンのシードを倒せば、俺ももっと評価されて上のシードになれるぜ。来たのが女でラッキーだったなぁ!」

「そうかい。そんなあんたに悲報だ。私はゴッドエデンNo.2プレイヤーだぜ」

「えっ」

 

直後、簡単にボールをカットされる石くん。

しかもタックルしようとしても、足で仕掛けようとしてもどんなラフプレーも通用しない。

全て回避してしかも突破される。

サッカーのプレイの一環として昇華される。

格が違いすぎる。

 

「ラフプレーっていうのはこういうのを言うんだ!」

「ぐえええっ!?」

 

アリアが抜いた後、背中にブレイクを仕掛けた。

バックパスが当たったミスということでファウルにはならない。

石くんは倒れて、背中を抑え悶絶。

悶絶するとさらに痛むから縮こまり動けなくなる。

そのまま搬送されて退場。

これでうるさいのが消えたわね。

まあ白恋中はホーリーロードを控えてるらしいから彼も全治1週間以内には済む程度でアリアは留めたでしょう。

問題ないわ。

石くんの代わりのメンバーが補充されて再開。

白恋のスローイングから始まって、アリアがボールを奪った。

 

「しまった!」

「やれ!ミク、アスカ!」

 

アリアがパスを高く上げる。

その軌道が2人に届く前に。

 

「無駄だ。いくぞ―――『絶対障壁』!!」

 

白恋中の必殺タクティクスが展開される。

ミクがボールを受け取り、アスカとその氷山に対峙する。

アリアがサイドへ駆けて、ゴール前を目指す。

私は失敗した時の万が一のためにカウンターに備えて下がる。

さぁ、こちらもタクティクスといきましょうか。

 

「いくわよ、"ランス・オブ・ブリュンヒルデ"!」

「ランスオブ……何?」

 

白恋ディフェンスが困惑する中、ミクとアスカがタクティクスを開始する。

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