松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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ドラゴンリンク篇③ ゴッドエデンのシードの生き様

 

「白竜くん!……っ!!」

 

振り返ると、そこは酷い光景だった。

白竜くんはボロボロ。

ただそれよりも気になるのは……青銅くんや帆田くんを中心に他のメンバーが凄まじい有様なこと。

それを目にしただけで嫌な察しがついた。

 

「まさか……!」

「そうだ。貴様の考えている通りの展開が先程まで繰り広げられていたぞ。死地に飛び込んでくるバカの割には、中々洞察力があるな貴様は」

「……っ!」

 

再び前を睨むと、彼らは悪趣味な笑いを浮かべていた。

こいつら……!

間違いない。

アンリミテッド・シャイニングの処分よりも、白竜くんが優先なんだ。

だから、青銅くんや帆田くんを最初に狙って彼に守らせた。

あとは白竜くんから当たりに来てくれる。

標的が自ら身を差し出してくれる。

効率的ってわけだ……!

 

「性格悪すぎでしょ!」

「それを言うならここのシードの質が悪すぎる。フィフスセクターが用意した最高の環境で、貴様らは何をしていた?」

「はぁ!?」

「……頭の悪い女だ。所詮女か。俺の言いたことがわからないか?」

「……!」

 

なるほどね。

そういうタイプか。

いちいち鼻につく奴ってか……!

彼は口角を上げる。

 

「あそこまで追い込むカリキュラムを用いて、この程度の粗悪品しか生み出せぬとは、貴様達の怠慢を置いて他になんと表現する……!」

「命をかけたことの無い坊ちゃんが。この島に来たこと、後悔させてやる……!」

 

私の返しに彼は鼻で笑う。

魔狼アモンと、帝王の如く威圧感を有する彼の化身が鋭い視線を交錯する。

そんな一触即発の雰囲気に。

 

「よせ……長門」

「……!白竜くん!大丈夫!?」

 

青銅くんに支えられてフラフラと立ち上がる白竜くんに、私は化身を引っ込めて駆け寄った。

近付いて私はビックリする。

彼が私にこれほど弱々しい表情を向けたことが無いから。

 

「奴らはお前が敵うような相手ではない!何をしに来た!」

「何って白竜くん達を助けに……!」

「奴らに目をつけられたら最後、狙われ続ける。逃げるしかない。お前は逃げるんだ……!」

「……!」

 

目を見開く。

ありえない。

白竜くんがこんな後ろ向きなことを言うなんて。

こんな弱気な彼は、見たことない……!

 

「そこまで……追い詰められたんだ。そうなんだ、あの君が。沢山傷つけられたんだ」

「……っ!……悪いことは言わん。お前程度1人加わったところで変わらん。消えろ」

「そうだ。お前など必要ない!俺達はお前とは格が違う!」

「俺達でさえこのザマだ。お前なんていたところで……!」

 

みんな、みんな弱気になってる。

プライドを口にしてるのは、多分口癖になってるから。

それだって、植え付けられたものだ。

許せない。

みんな、言葉とは裏腹の表情を浮かべてる。

こんなに苦しそうなのに、「助けて」も言えなくなっちゃったんだ。

大人が、都合のいい時だけ彼らを持ち上げたから。

彼らに自尊心を強制したから……!

 

「もういいよ。君達の意思なんて関係ない。私は、私がやりたいことをする」

「お前がなぜそこまで……!」

「助けたいから」

 

呟く。

1拍置いて、顔だけ振り返り、また重ねる。

 

「助けたいから。助ける」

「……!」

 

白竜くんは声を出そうとして、詰まった。

私は返答がないことをいいことに身体の向きを戻して、一方的に意思だけ残して前に進む。

立ちはだかるは11人の化身使い。

その全員が冷たい目で、冷徹な笑みを見せている。

怖くない。

こんな困難、こんな無謀、こんな冷酷、こんな難"題"。

いくらでも"乗り越えてきた"。

 

「そうだ。乗越えてきたんだ……!」

 

下ろした腕の先で、握り拳を作る。

思い出せ。

そうだ。

前は1人だった。

1人でやれてた。

元々は1人だったんだ。

それが流れでチームに入って、仲間を得て。

ただそれだけ。

前は1人でできたんだから、また1人でできるはず。

あの時と、同じ気持ちでやればいい!

 

「……!そうか。貴様、あの時奴らと戦っていた女共の1人か」

「あの時……?」

 

何の話かわからないけど、私のこと知ってる……?

奴らって……あ、アンリミテッド・シャイニングのこと?

……!

ってことはあの試合を観てたんだ。

それで私を……もう面は割れてるんだね。

だったらどの道逃げても無駄か。

 

「馬鹿め。自ら首を突っ込み、やられにきたか!」

「まだやられると決まってない!」

「決まっているさ。我らはフィフスセクター最強のチーム。お前1人で勝てる道理はない」

「そんなの関係ない……!」

 

私は依然として対峙する。

すると、彼はふんと鼻を鳴らす。

 

「そこまでして敵だった奴らを守るとは、どこまでも愚かな女だ……!」

「別に守りに来た訳じゃない。戦いに来たんだ!」

「戦いに来ただと?」

「そうだ!ここにいる皆、生きる為に毎日戦ってきたんだ!」

 

そう。

やることはあの頃と変わらない。

理不尽に奪われるなら、戦うしかないんだ。

生きる為に。

 

「お前達が私達の命を狙うなら、私達の生存本能でお前達を食ってやる……!」

「……!」

 

後ろで皆が反応したのを感じる。

ここにいる全員、理不尽に立ち向かってきた。

命をかけてきた。

生きるために戦った、生存本能の塊だ。

それがゴッドエデンのシードなんだ。

……暫く忘れてた気がする。

でも、今は想起した。

私達は、処分なんてされない!!

 

「面白い。モルモットにも意地があるとでも?」

「ある!」

「ほう。ならばやってみろ。このドラゴンリンクに勝てるというのならな!」

 

11人全員が臨戦態勢に入った。

敵は化身使い、11人。

それでも!

 

「いくぞ!全員纏めてかかってこい!」

 

私は挑む。

 

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