―――10分後に戻る。
片腕を抑え、片足を引きずりながらアンリミテッド・シャイニングより前に出る。
でも、そんな私の腕を掴む人がいた。
「お前、それ以上やったらホントに死んじゃうよ」
「青銅くん……」
振り返ると、制止したのは青銅くんだった。
私と彼は面識がある。
Aランク棟で一緒だったから、そこそこ話したことあるんだよね。
そんな彼が心配してくれたのか、私を行かせてくれない。
「離してよ。あいつらを倒しに行けない」
「このままじゃやられるのはお前だ。だから、俺も協力する」
「えっ……?」
完全に私の足が止まった。
彼の顔を見ると、真剣だ。
なんで……。
「元々これはアンリミテッド・シャイニングの戦いだ。諦めて無抵抗だったが、気が変わった。最後まで足掻いてやる」
「青銅くん……ダメだよ、殺されちゃうよ」
「それ。お前が言う?」
「た、確かに。あははっ」
苦笑い、いや疲れからかにへらと力ない笑みを浮かべると青銅くんが珍しい表情を見せてくれた。
呆れてるというか、哀れんでるというか、難しいな。
可哀想なものを見るような目?
全部混じってるのかな。
でも、1番を占めてるのは多分……慈しみのような気がする。
「お前。頑張りすぎ。弱いくせに」
「一言余計じゃない?」
相変わらず見た目の愛らしさに反して結構言うんだよねぇ。
まあ、懐かしいけどさ。
私の隣に青銅くんが肩を並べた。
そこに。
「まったく。仕方ないな」
「……!帆田」
彼も隣に並んだ。
すると、続々とアンリミテッド・シャイニングが再起する。
最後に残ったのは……。
「お前たち……!」
「別に前向きになった訳じゃない。ただの自殺願望さ。最後に華々しく散ろうってね。だから、無理強いはしない」
青銅くんの言葉に白竜くんの瞠目する。
ん?
いや、別に私散るつもりはないんですけど?青銅くん?
この子、ナチュラルに私を見下してるというか、私に相乗りするならそれは泥舟!って決めつけてるなぁ……。
まあ一部正しいし、いいけどさ。
「……」
白竜くんが思い悩み、俯く。
もう私達から言えることは何もない。
彼が答えを出すまで見つめるだけ。
青銅くんが告げたように、これは自分の意思で決めるべきだから。
やがて。
「……いいだろう」
白竜くんは決心し、膝に手をついて立ち上がる。
身を起こした時、彼の表情に曇りはない。
「言っておくが、俺は最初から負けるつもりなど毛頭ない。玉砕覚悟などくだらん」
「いいじゃん。実は私も同じなんだよね」
「チッ」
「え?今舌打ちした?私と一緒にされるのそんな嫌だった?」
私が追求すると、白竜くんはフッと笑った。
まあ冗談なのはわかってたけどね。
「まじ性格悪すぎ」
「貴様ほどではない」
「なんだとぉ~?」
白竜くんの肩をグリグリする。
けど、彼は思い当たる節があるみたい。
「貴様は俺が足を狙われ剣城に助けられている間、俺を見棄ててあろうことか仲間の顔面を撃ち抜いていたからな」
「いや、ごめんじゃん。白竜くんを助けようとしたんだよ。まあシュート撃ったら明後日の方向に飛んで違う被害生んだんだけど」
「哀れな……」
いや、こめかみ抑えて天を仰いだあと、黙祷しないで?
殺ってないから。
……顔面骨折くらいはしてたか。
今更だけどあの時の彼に謝っておこう。
ごめんねごめんねー。
「さてと、最後?のお巫山戯はここまでにしといて……」
「そのつもりはないと言ってる。砕けるなら長門、貴様1人だ」
「はいはい。なんて。私もだけどね。砕けるより、砕く方が得意だし……?」
「お、恐ろしいことを言うな」
あれ。
白竜くんがそっぽを向いて震えてる。
えっ、まだ私の流弾で地獄のトレーニングしたのトラウマなの?
可哀想に。
「……」
お巫山戯は本当にここまで。
息を整えて臨戦態勢に入る。
「じゃあ、やりますか。最後の大暴れ」
「そのつもりはない!!」
私と白竜くんはセンターラインの前に並んだ。