松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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「精鋭兵 ポーン……!」

「なに!?」

 

化身!

しかもあのポーンって……!

 

「はぁぁー!……っ!うぐっ……!うわああ!?」

「青銅くん!!」

 

青銅くんが弾道に介入して胸トラップで止めようとしたけど、押し負けて私の隣まで転がってきた。

……なんか、私より乙女チックな倒れ伏せ方してるの気に食わないけど。

 

「青銅くん、大丈夫!?なんで、私を……!」

「……別に守った訳じゃない。戦ってるのはお前ら2人だけじゃない。俺も、戦ってる!」

「青銅くん……」

 

そうだ。

皆、ゴッドエデンのシードなんだ。

私たちは、理不尽に立ち向かう戦士……!

 

「ハッ。そうまでして命拾いするとは、必死だな」

「……!」

 

舌打ちしたあと、見下して嘲笑する千宮司くん。

私はキッ……!と睨みつける。

 

「ごめん、青銅くん。ちょっと肩貸して」

「……!あぁ」

 

青銅くんの力を借りて立ち上がる。

確かに、傍から見れば満身創痍かもしれない。

でも。

 

「最後まで諦めない。理不尽を跳ね飛ばすんだ。それが、ゴッドエデンのシードだ……!」

「くだらん。乗り越えられるものならやってみろ。捻り潰す……!」

 

千宮司くんの宣言とともにドラゴンリンク全員が化身を出した。

なんだっけ。

私に言ってたよね。

ほんと、どっちがって話だよね。

 

「ワンパターンな奴ら。結局、そっちには全員化身使えるってこと以外特徴がないんでしょ?」

「これ以上の個性が必要か?否。化身こそが絶対。我々はこの世で最も完成されたチームなのだ!」

 

それに、と千宮司くんは続ける。

 

「俺達はただの化身使いじゃない。化身を扱い方の全てを学び、化身を完全に理解している。同じ化身使いでも、お前達とは格が違う」

「どうだか。正直君以外群れなきゃピンとこないけどね」

「……!」

 

はい、温度変わったー。

千宮司くん以外静かにピキりまくりですよ。

狙ってやったけどね。

結局、彼らは集団でくるからキツイ。

だから、煽った。

これで頭に来て多少は分散して来てくれたらいいんだけど……。

 

「ふん。何を考えてるかわかりきってるが……乗ってやるとするか。ほらよ!お前達、女に言われてるぞ!!」

『……っ!!』

 

千宮司くんが高いパスを出す!

ドラゴンリンク全員の目がギラついているのがわかった。

フォワードの聖城くんの殺意が勝り、怒りをぶつける権利を得る。

 

「我らドラゴンリンクは一人一人が最強……!低俗な三流シードが、知ったような口を聞くな……!!」

「……!」

 

きた!!

精鋭兵ポーンによる化身シュート。

大丈夫、見える……!

 

「青銅くん、どいて……!」

「……っ!」

 

青銅君を押しのけて私は正面から受ける。

 

「ぐっ……!ぐあっ……!?」

「ふん。口ほどにもない」

 

私が転がり、聖城くんは勝ちを確信。

でも。

 

「白竜くん!」

「なに!?」

 

私はすぐに立ち上がって、前線へ走り出している白竜くんにパスを出した。

ちょうどボールを取り戻したかったんだよね。

なんて。

これが最初から狙いだった。

白竜くんはすぐに私の考えを読んで先に行動してた。

さすがだね。

やっぱり一人一人なら大したことない。

私の頑丈さは彼らが束にならないと屁でもない!

さっきまでは複数の化身使いに攻撃されたから耐えられなかっただけだ!

 

「上出来だ」

「くっ、こいつ……!魔宰相ビショップ!」

「一人一人は取るに足らん!」

 

白竜くんが跳ぶ。

てことは、つまり。

 

「化身じゃない!?馬鹿な!!」

「身の程を知れ!ホワイトッッッ!!ハリケェーーーーーーン!!」

 

大嵐から放たれた光の弾丸が黄金に輝く風を纏いながらうねり、ゴールへと向かっていく。

その過程で、シュートブロックに入るビショップを。

 

「ぐああっ!?」

「ふん」

 

粉砕した!

しかもゴールはがら空き。

一人化身を打ちのめしてダメージを与え、尚且つ得点で精神的にも追撃する。

完璧だ!やった!

 

……あれ?私の傍にいた千宮司くん、どこいった!?まさか!?

 

「学習能力のない奴らだ。俺の機動力をもう忘れたのか?」

「……っ!?」

 

私が慌ててゴールを見るとそこに千宮司くんの姿があった。

白竜くんも私も驚愕する。

そして、隙だらけだったはずのゴールから出現する……絶対の帝王!!

 

「賢王 キングバーン!キング・ファイア!」

「……っ!」

 

白竜くんのホワイト・ハリケーンの威力が見る見るうちに削がれていく。

そんな……!

ありえない!

 

「この程度か。やはり大したことはないな!」

「ば、馬鹿な……!?」

「強い……!」

 

千宮司くんが思った以上に強敵すぎる……!

白竜くんのシュートを止められるほどのキーパー能力。

フィールドプレーヤーもできるくらいの身体能力。

ちょっと強すぎる。

彼を攻略するにはどうすれば……!

 

「さぁ、今度はどう料理してやろうか」

「……!」

「……っ!」

 

千宮司くんがニヤついている。

そうだ!

せっかくボールを奪ったのにまた向こうに渡った。

これじゃまた痛めつけられる……!

 

「決めたぞ。次は全員だ!」

「……!?」

「えっ!?」

 

私は驚愕する。

だって、千宮司くんはゴールからシュートを放った!

ロングシュートなんてものじゃない。

ここからゴールまでどれだけあると……いや、違う!

このシュートの目的は……!

 

「なに!?」

「白竜くん、シュートチェインだ!後ろ!!」

「気づいたところでもう遅い……!」

 

白竜くんの背後で護巻くんが化身を出して千宮司くんのシュートを蹴り返す。

そして、その弾丸は白竜くんが振り返った時には目前に……!

 

「ぐあっ!?」

 

腹に直撃した!

しかも白竜くんが1回当てただけじゃやられないことも向こうはわかってる。

追撃の第2波がくる!

白竜くんの身体に弾かれたボールをそのままダイレクトでぶち込むミッドフィールダー!

 

「鉄騎兵ナイト!」

「させない!」

 

無防備な白竜くんに迫る化身シュート。

その弾道に私が割って入る。

蹴り返すのは間に合わない。

もう身体で庇うしかない……!

 

「うああっ!?」

「長門……!」

 

飛び込んで防いだから受け身なんて取れない。

当たり所も選べない。

化身シュートは私の横っ腹を抉って、私の身体は白竜くんの後方に吹き飛ばされた。

転がり、地面に倒れ伏せる。

 

「うぅ……うぐっ……!」

「くっ……!よくも!」

 

私が即座に動けないと判断して白竜くんが身を起こす。

 

―――振り返ったその時に映った光景は、自身へ向けてシュートモーションに入る化身使い。

 

「なんだとっ!?」

「精鋭兵ポーン……!」

 

しかもフォワード!!

凄まじい威力の化身シュートが白竜くんを襲う!

 

「がはっ……!?」

「は、白竜……っ……くん……!」

 

白竜くんも私の近くまで飛ばされて、私は力なく彼に手を伸ばす。

結局、私達2人の夢のコンビは一瞬で崩れた。

そして、ドラゴンリンクの狙いはアンリテッド・シャイニング全員。

私達2人を倒したら、次は……皆だ。

 

「番人の塔ルーク!」

「ぐあっ!?」

 

ディフェンダーの化身シュートに帆田くんが。

 

「真宰相ビショップ!」

「鉄騎兵ナイト!」

「うわああああああ!?」

 

ミッドフィールダーの化身に青銅くんが……!

 

『精鋭兵ポーン……!!』

「うわっ!?」

「かはっ……!」

「ぐあっ!?」

 

フォワード4人の化身に皆が……!

 

「……っ!」

「奴ら、化身のシュートをパスに応用しているのか……!」

 

白竜くんがハッとする。

その隣で私は、ダメージと疲労で震える体を起こそうと腕に力を込める。

なんとか、しなきゃ……!

皆を守るんだ。

私が……!!

 

「お前にできることは何も無い。何も、だ」

「……っ!?」

 

まるで私の心を読んだかのように告げる千宮司くんが。

私の前でシュート体勢に入っていた。

顔を上げると、もう皆倒れ伏せている。

今、化身シュートを重ねられて威力がここまでで1番になったボールが千宮司くんの足元にくる。

それがきたら、あとは千宮司くんが私に放って……それしたら、そんな威力を受けたら私はどうなるかわからない。

でも、私の瞳が揺れている理由は、恐怖じゃない。

千宮司くんの後ろに映る、皆の傷付いた姿。

その光景を見て、戦慄してる。

 

「あ、あぁ……!みんな……!」

「彼らがああなったのは―――」

「みんな……!」

「お前のせいだ!」

 

化身のエネルギーが何重にも束ねられた超威力の弾丸が、私の脳天をぶち抜いた。

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