松風天馬君に恋する私   作:伊つき

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追いつかれた。

得点した時はあんなに苦労したのに、失点はこんなあっさり……!

皆で集まる。

 

「やっぱり長門の1点を皆で守っとけばよかった……」

「結果は同じだよ。化身の総攻撃を受けて1点取られてた。それより次どう攻めるか考えよう」

「長門……」

 

白竜くんが私を見つめる。

だって、その方が建設的でしょ。

 

「私、まだ化身出せるから攻撃に参加するよ。1人くらいなら足止め出来ると思う」

「……とにかく俺がフリーで撃たなければ話にならん」

「そうだね。基本的には白竜くんと青銅くんでボールを運んで、ゴール前で私が白竜くんがフリーになるようにサポートするよ」

「そんな体力残ってるの?」

「多分」

 

ふぅ、と息をついて腰に手を当て、真下の芝に視線を落とす。

皆がどんな表情なのか見なくてもわかる。

不安だけど、贅沢は言ってられない。

私の根拠のない言葉も鵜呑みにするしかない、そういう状況だ。

 

「本当に大丈夫なのか?」

「じゃなくてもやるしかないよ。大丈夫、平気平気」

「とてもそうは見えんが……」

「しつこい」

 

私がシッシッと手を仰ぐと、白竜くんは渋々引き下がった。

心配してくれるのは嬉しいけど有難くはない。

甘えたことは言ってられない。

この試合に負けたら皆死ぬんだ。

皆、もう忘れてんのかな?

私なんかに配慮してる場合じゃないってこと。

 

「……よし、行こうか」

「どうなっても知らんぞ」

 

センターラインの前に立つと、まだ言う。

私は顔を上げる元気がなくて視線だけ彼に向ける。

正直ずっともうしんどい。

身体も動かないし、硬いし、倦怠感もすごい。

それでもやらなきゃいけない。

やるしかない。

そんな思いを息と一緒に飲み込み、試合再開と共に身を起こす。

 

「白竜くん!」

「シャイニングドラゴン!」

 

ファーストタッチで白竜くんに渡して、化身で突っ込む。

つまりさっきと同じくパターンだ。

青銅くんも化身を出して続く。

さっきと違うのは、帆田くんに私が併走してるってところ。

 

「何度やろうと無意味だ!」

「もうお前達に打つ手はない」

「追加点を入れて終わらせてやる!」

「ドラゴンリンクの前に散るがいい!」

「……!」

 

立ち塞がるは4体のポーン。

白竜くんはバックパスする。

 

「もう一度俺に寄越すんだ!」

「白竜!」

 

青銅くんにボールが渡って、身軽になった白竜くんがトップスピードでフォワードを振り抜く。

そして、フォワードを後にした白竜くんに青銅くんがボールを戻して、私達は相手の中枢へ突入する。

 

「鉄騎兵ナイト!」

「魔宰相ビショップ!」

「アルティメット・ランチャー……!」

 

白竜くんがそのままミッドフィールダーに突っ込むかと思わせて、彼の前を横切った私によるロングシュート。

無気力な今だから撃ちやすい。

弾道は伸びて、ミッドフィールダーの化身の間をすり抜けて大きく上に外れる。

真上に上がったそのボールの最高到達点に、竜は昇っていた。

 

「くらうがいい!ホワイトブレス!!せぇぇぇや!!」

「魔女クィーンレディア!」

「番人の塔ルーク!」

 

シャイニング・ドラゴンが放ったミドルブレス。

その前に立ちはだかるディフェンダーの化身。

そこに私と青銅くんが駆け込む。

 

「魔狼アモン!」

「精鋭兵ポーン!」

「なに!?」

 

私と青銅くんが化身でそれぞれ一体ずつ抑えた。

道が拓けてホワイトブレスが通過する。

よし……!

これであとは千宮司だけのはず!

 

「鉄騎兵ナイト!」

「魔宰相ビショップ!」

「……っ!そうか、もう2人のMF!」

「だぁ~!もう!ほんとにしつこい。化身多すぎ!」

「くだらん。力で押し通す!!」

 

私が歯がゆくイラついてると、白竜くんはやはり意識が違い打ち破ることしか考えてなかった。

そんな彼の日頃の研鑽が実を結んだのか。

ポーンとビショップがシュートブロックするが……。

 

「ぐあっ!?」

「うああ!?」

「よし……!」

 

2人を破った!

けど……!

 

「キング・ファイアッッッ!!」

「さっきまでとは枚数が違う!いける!」

「ぐっ……!」

 

白竜くんが叫んだ通り、確かに千宮司くんを押してる。

これなら……!

 

「ぐああっ!?」

「やった!」

 

キング・ファイアを遂に打ち破った!

シュートはネットに突き刺さる―――前に足が伸びて阻む!?

 

「シュートブレイク!!」

「なんだと!?」

「なっ……!は!?」

 

化身ごと崩された千宮司くんが手をつきそれを支えに反転。

足を伸ばして必殺技を使用。

突破された後の不安定な体制から必殺技を繰り出すなんて……!

しかもキング・ファイアでホワイトブレスはかなり威力が落ちてる。

シュートは千宮司くんのキックを重ねられ見る見るうちに勢いを失っていき……最後にはポトリと重力に引かれて音を立てた。

 

「フッ。惜しかったな」

「馬鹿な……!?」

「硬すぎでしょ!!」

 

動揺する白竜くんと私。

千宮司くんはボールを拾い、ニヤリと口角を上げてゴールを阻み絶対的守護神としての威厳を発揮する。

 

「今のは良かったぞ。フィフスセクターのシードとして、及第点といったところか」

「……っ!」

「だが、俺達には遠く及ばん。やはりお前たちは破棄処分だ……!」

 

シュートを止められたらまた同じことが起きる。

千宮司くんの化身シュートからドラゴンリンクの化身が次々とシュートでパスを繋ぎ、私達はそのスピードとパワーに反応できず、翻弄される。

今度は誰も巻き込まれなかった。

というか私達を攻撃することが目的じゃない!

ゴールを決めることを狙った、高速パス回し!

あっという間にゴール前まで運ばれた!

 

「精鋭兵ポーン!」

「ドラゴンリンクが同点で終わるなど、負けるも同じ」

「そんな屈辱は断じて許さない……!」

「もう1点、貰うぞ!」

「……!」

 

蛇野くんに迫り来る4人の化身シュート!

 

「サーペント―――ぐああ!?」

「……っ!」

 

また入った!

これで。

 

 

アンリミテッド・シャイニング 1 - 2 ドラゴンリンク

 

 

「……っ!私達を傷つけることだけが目的かと思ってたけど!」

「点を決めたことで奴らに火をつけたな。その分、こちらは負傷せずに済むが……」

 

白竜くんが汗を塗って視線を落とす。

何弱気なこと言ってんだ。

確かに皆が傷つけられずには済むけど。

私はまだ勝つことを諦めてない。

白竜くんも、皆だって本当は同じ気持ちのはず。

負けない、勝つ!

絶対にこのまま終わらない……!

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