現在、星桃玉は格闘王編で止まっていますが、時系列的には格闘王編が終わってすぐのお話です。特に格闘王編で大きな進展はシュテンが究極の魔法を記した本(Grimoire of Alice)を手に入れた事くらいですし問題ないかと
忘れ去られたものが流れ着き、存在する事の出来る忘れ去られたものの理想郷。幻想郷
現在はカービィの偶発的か意図的か分からない幻想郷への転移とそれを追って無理やりやって来たシャテン・シュテン*1のせいで幻想郷には忘れ去られたものでは無く、こことは違ういわゆる平行世界や全くの別次元からもあらゆる物事がディメンションホールという星型の異空間の裂け目から流れ着くようになってしまったのだ。
それだけならまだ良いのだが、残念ながら平行世界や別次元から流れ着くものはそのほとんどが幻想郷に悪影響なのである。その為、ディメンションホールを開けた罰なのか、それとも飼い慣らしたいというだけなのかディメンションホールをこじ開けたシャテン・シュテンは別世界や別次元からやって来た存在を報告、または抹殺を幻想郷から命じられる事となっている。
そして一方、その幻想郷のそれなりに存在する土地の中で危険視されている毒を常に撒き散らし続け、膨大に魔法に関する植物等が眠っている魔法の森では意図せずに幻想郷にディメンションホールで流れ着いた1人の男が用事があって魔法の森を尋ねていた。
男の名前はタランザ。男と言っても人間の男などでは無い。その容姿は人間とはかけ離れすぎている。身長は1mも無いくらいで足というものが存在せずに常に浮遊し続ける身体。腕は無いのに関わらず、彼の周りの浮遊し続ける丸っこい6つの手。
少しファンシーな見た目をした異形種だ。
こことは全く別の次元に、世界に、銀河に存在するポップスターという惑星から訳あってやって来た住民である。現在、彼はこの魔法の森に住む人形師アリス・マーガトロイドを訪ねに来ていた。根本的な能力こそ違えど、糸や魔法で操る事は似ているのでそこから交流が生まれたのだ。
そんなタランザだが、いつも通ってる毒だらけの道をいつも通り毒など受け付けずに平然と歩いているとふと視界の端に異常なものを目にしてしまった。
その異常なものは見慣れたものではあるが、この場には置いては見た事も無い。ここにある事が本当に異常であった。
「....ディメンションホール......?」
先程説明した。ディメンションホール......それが合ったのだ。
ディメンションホールは近づいた者を吸い込んでしまう事もある為、タランザは咄嗟に大きく離れて近くにあった木の影に隠れた。
流石に隠れるのは大袈裟すぎるかもしれないが、過去にあのディメンションホールから惑星を十数という単位で破壊してしまう最強の戦士が現れた事もある為、タランザのこの反応は間違いとは言えない。
それに、ディメンションホールが一際大きくなり始めたのだ。
「........何か...来るのね......」
大きくなったディメンションホールを見てタランザはボソッと呟く。するとタランザの言う通り、ディメンションホールから何かが飛び出して来たのだ。
「よっと!」
「ァァァァァアアアアア!!!!!」
飛び出して来たのは......人間だった、それも人間の少年と少女の2人
いや、あくまで人間と同じ姿をしてるだけで人間と決めつけるのはまだ早いかもしれない。だが、特にそこまで目立った角や尻尾がある訳でも無いし魔力も感じない......という事は人間で間違い無いだろう。しかし服装がややおかしい。
「ん〜?あれは人間?こんな所に?......あぁ、また異世界人か。出来ればこの森で荒波を立てて欲しくなかったけど来てしまったものは仕方ないのね」
ディメンションホールから来て、尚且つ見た事も無い奴らならほぼ確定で異世界人だ。そして幻想郷にはその異世界人に対する対応が出来ている。
「申し訳ないけど彼らに伝えさせて貰うのね、幻想郷のために.....」
程なくしてすぐに少年と少女は帰って行った。一先ず彼らが暴れなかった事に安心したタランザはアリスの家の方角から別の方向に歩む。タランザが言った彼らとは別世界からやって来た者を対応する友であるシャテン・シュテンとその仲間達である。
タランザが見たところ少年はともかく少女は優しい印象を受けた。シュテンに報告すれば確実にまとめな目には合わないだろうが、報告しないと自分がシュテンや幻想郷の賢者である八雲紫に問い詰められるのだから。
一方、別世界の者の対応を幻想郷から認められている(押し付けられている)仮面の悪魔、シャテン・シュテンは間欠泉地下センターに来ていた。普段は特に面白い物が無いためシュテンは寄り付かないが、今回は理由がある為に寄ったのだが......
(.......クソが.....ディメンションホールが消えちまってるか....)
そう、実はここにディメンションホールが合ったのだ。しかし現在はもう無くなっているが........
シュテンがディメンションホールに気づいたのは十数分前、何やら謎の不快感を何処かに感じたシュテンが直感のままに妖怪の山に訪れたらそこにしたっぱの天狗と幻想郷では見かけない服装と武器を持った人間が複数人殺しあって居たのだ。
とりあえずシュテンは5人ほど居た人間の3人をしたっぱ天狗に撤退するように説得しながら殺し、残り2人を手足を欠損させる事で動けなくさせた。
ちなみに殺した3人だが、不思議な事に殺したら出血せずに光の粒子となって消えて、死体が残らなかった。
残った死体から記憶を読み取ろうとしたシュテンだがその手は潰えてしまった。仕方がなく、仲間を目の前で悪魔に殺されてパニックになる人間2人から自信の固有能力の狂気を応用して記憶を読み取り、間欠泉地下センターにあるディメンションホールを通ってここに来た事を知ったシュテンは人間2人を引きずりながら間欠泉地下センターまでやって来たのだ。
だが、肝心のディメンションホールは消えてしまった様だ。
「おいおい、お前らの帰り道無くなってるな」
シュテンは両手の手足が欠損している人間2人に話しかける。しかし帰ってくるのは質問に対する回答ではなく、パニックによるうわ言や命乞いだ。
「な、なぁ!あんた何なんだよ!NPCなのか!?プレイヤーなのか!?助けてくれよ!殺し合う場合じゃないだろ!」
「帰りたい、死にたくない、死にたくない、やだ、やだやだやだ」
NPC?プレイヤー?何言ってんだろうか。そういえばそこの部分を記憶を読み取れば良いのかとシュテンは判断すると掴んでる両手からそのまま狂気を滲み出すと再び人間2人の記憶を読み取る。
「.......あ?なんだこれ?」
元よりこの人間達が異世界から来ていて、自分が理解出来る世界からは来ていないだろうと思っていたシュテンだが、思っていたよりもよく分からない世界から来ていた。
平和な世界、最新のゲーム、電脳世界、突如始まるデスゲーム、襲いかかる罠とデータのモンスター、電脳世界での死が現実の死。そしてこれらが1人の人間の手によって始まった。
「......ああ〜、なるほどこの電脳世界にディメンションホールが出てきたのか。しかし空想の世界にもディメンションホールが開いちまうとはなぁ......」
シュテンはつくづく余計な事をしてしまったと後悔する。
だが結果的に幻想郷に出逢えたのだから構わないと割り切るとシュテンは用済みとばかりに両手に持つ人間を持ち上げるとソニックブームが発生するスピードで打ち下ろす。
無論、そんなスピードから出る衝撃に耐えられるはずも無く、人間2人は呆気なく光の粒子となって消滅してしまった。
ディメンションホールは見失ったが、不快感は治まらない。恐らくディメンションホールは移動しただけだ。
このディメンションホールを終わらせないとこの不快感は治まらないだろう。それだけでなく.....
(よく分かんねぇ人間がこの幻想郷に足を踏み入れてるのが気に食わねぇな、どうせデスゲームで人間やデータに殺されるなら俺の憂さ晴らしや技の練習台となって死んでもらうか)
とりあえずは再び直感のままに移動しよう。また異世界の人間に運良く会えるし、ディメンションホールの手がかりが掴めるかも知れない。
仮面の悪魔は不快感を覚えながらも楽しみを胸にディメンションホールと異世界人を探すのだった。
こちらは星の桃玉さんのコラボ回のお話です!あちら側のキャラクターの視点が描かれていますよ!
https://syosetu.org/novel/156582/
久しぶり過ぎて「シュテンってこんなんだっけ?」って思ってしまった。やっぱりシュテンの残虐性と不愉快なクズ行動や発言は書いてて楽しい。