誰のためにベースは鳴る   作:ほおずきん

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どうも、ほおずきんです。

普段はこんなに更新早くないのであまり期待せずにこれからもお待ちください。

それではどうぞ。


チョコレートと幼馴染

 ――第3話チョコレートと幼馴染

 

 俺にはこの世の中で愛してやまないものが二つある。

 一つはチョコレート、チョコレートを知らない人はいないと言ってもいいほど多くの人に人気の食べ物だ。

 

 俺がチョコレートを愛してやまない理由はポキッと音を立てチョコレートが割れる瞬間がなんとも言えないくらいに好きだからだ。

 理由はもちろんそれだけではなく子供にも大人にも親しまれている甘いミルクチョコレート、子供には味わえない気品高くふくよかで奥深く、大人っぽいビターチョコレート。などいろいろなチョコレートがあることだ。その数あるチョコの中でも俺が一番好きなのがホワイトチョコレート。

 大人になったら上質のカカオで作られたチョコレートを専門店で買い、お酒やコーヒーや紅茶に合わせて少しずつ味わう。という夢をひそかに持っている。

 

 

 そしてもう一つ大好きなもの――――

 

 

 もちろんご存知の通り幼馴染のひまりだ。

 

 ”もの”という括りにしてしまうと失礼な気もするがまぁ許してほしい。

 

 ひまりに関して言えばこちらが勝手に好きになっているだけなので、ひまりは俺の事どう思っているのだろうか毎日頭を悩ます日々が最近続いている。

 

 ついこの間一緒に下校したときも全然うまくしゃべれなかったし……

 

 まぁそれはさておきだな、実はひまりも俺と同様にチョコレートが大好きで昔はよく一緒にコンビニに出た新作のチョコレートを食べ比べしたものだ。

 

 チョコレートに関してはひまりとよくケンカをすることが多い。なぜかというと俺はホワイトチョコレートが好きなのだが、ひまりはミルクチョコレートが好きだからだ。

 有名どころのチョコレートはもちろん、これはミルクチョコのほうがおいしいホワイトチョコのほうがおいしいだの不毛な議論を幼少期から続けている。

 

 逆にミルクチョコレートしか出ていない商品であったりホワイトチョコレートしか出ていない商品であればお互い意見が一致してそれはもう兄妹のように仲良くなる。

 残念ながらホワイトチョコのみのチョコはないのだが……

 

 

 ――そして今現在ひまりと俺は絶賛喧嘩中なのだ。

 

 理由はもちろんミルクチョコのほうがおいしいかホワイトチョコがおいしいか、ということだ。

 

 しかし今回ばかりはいつもと違って俺がミルクチョコ派ひまりがホワイトチョコ派に分かれてしまっている。

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 ――遡ること1時間前。

 

 俺がパソコンで某動画サイトでラグビーの動画を見ているときの事だった。

 いつものようにひまりが俺の部屋の窓をドンドン叩くところから始まった。

 またか……と思いつつもいつも通りカーテンを開くと手にチョコレートをもって満面の笑みでこちらを見てくるひまりがいた。

 これにはさすがの俺も反応してしまい、窓をすぐさま開けてひまりを招き入れた。

 

「じゃーん! コンビニで新作売ってたからしゅうと食べようと思って買ってきたよ!」

 

 ひまりが買ってきたのはチョコをしみこませた焼き菓子にさらにチョコレートをコーティングした新作お菓子だった。

 

 そのお菓子がミルクチョコのコーティングとホワイトチョコのコーティングされたものだったのがケンカのすべての元凶だ。

 

 もちろんひまりは「しゅうはホワイトチョコのほうが好きだし一応二つ買ってきたよ! 食べ比べしようよ!」なんて俺を思って買ってきてくれているのだが……。

 食べ比べをすればもちろんこっちのチョコのほうがおいしい、なんていう感想にもなるわけで……。

 

 俺もひまりが食べ比べって言った時点で断ればいいのだが、可愛い幼馴染の提案とあらば聞かないわけにもいかないし、せっかく持ってきてくれたのに俺はどうせケンカするからいやだなんてもちろん言えるはずもなく結局そのまま興味本位で食べてしまうのだ。

 

 二つの種類のチョコをお互い吟味して同じタイミングである言葉を口にする。

 

「今回のはミルクチョコのほうがおいしいな!」

 

「ホワイトチョコのほうがおいしいね!」

 

 おや、おかしいな……意見が一致しなかった気がするのだが。気のせいだとは思うが一応ひまりに確認を取ってみる。

 

「ん? ひまり今なんて言った?」

「しゅうのほうこそ、もちろんホワイトチョコのほうがおいしいって言ったよね?」

 

 気のせいではなかったようだ。ひまりはなんとミルクチョコではなくホワイトチョコのほうを取ったらしい。

 

「いやホワイトチョコの訳ないだろ、このシリーズのチョコレートはミルクチョコのほうがおいしいぞ!」

「しゅういつもホワイトチョコのほうがおいしいっていうじゃん! なんで今回に限ってミルクチョコのほうがおいしいっていうの!」

 

 実は今回俺がミルクチョコのほうがおいしいって言ったのには理由があって、ひまりに合わせてミルクチョコのほうがおいしいといったのだ。

 しかしまさかひまりがホワイトチョコのほうがおいしいというとは思わなかった……計算外だ。

 

「いや俺はいつもおいしいと思っているほうを言ってるだけだぞ? というかそれを言ったらひまりだって一緒だろうが!」

 

「うぅ……そ、それはホワイトチョコのほうがおいしかったからだよ! 私はちゃんと両方味わったうえで言ってるからね!」

「俺だってそうだわ! 結論でミルクチョコにたどり着くだけだからな!」

「なにをー!!!!」

「むー!!!!!!」

 

 このままお互い一歩も引くことなく意見を譲らないまま時間だけが過ぎていった。

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 今冷静になって考えたら子のケンカは不毛で何ともばかばかしいのだろうといつも思う。

 

 気づいたころにはひまりは頬を膨らませぷいっとそっぽを向いているし、いつも収拾がつかない状態になってしまっている。

 しかし頬を膨らませ拗ねているひまりも可愛いな……これからもこんなくだらない喧嘩をするのもいいかもしれないな。

 

 ってそういうことじゃなくて何とかひまりの機嫌を直さないと。

 

「まったく……しゅうはなにもわかってないんだから」

 

 なんてひまりがぶつぶつ言っていたがなんのこっちゃわからないので無視しておいた。

 

「あれ、もうなくなったのか」

 

 お互い終始無言のまま広げられたチョコレートを食べていたが先になくなったのはホワイトチョコレートのほうだった。

 

 先ほどミルクチョコのほうがおいしいと言った俺だったが本心はもちろんホワイトのほうなので無意識のうちにホワイトチョコのほうばかり食べてしまっていたらしい。

 

「あれ~? しゅうミルクチョコこんなに余ってるのにホワイトチョコなくなるの早くない? さっきミルクチョコのほうがおいしいって言ってたよね? しゅうのお口は正直みたいだね♪」

 

 ひまりがニヤニヤしながらこちらを見て言ってくる。なんとも憎たらしい。タックルでもしてやろうか。

 

「お、俺は好きなものは最後まで取っておく主義なんだよ!」

 

「うっそだー! 私しゅうはいつも好きなものからバクバク食べて嫌いなものはいつまでも残してるの知ってるんだからね!!」

 

 すべてひまりの言ったとおり、好きなものを最後まで残しておくなんて嘘。どうやら幼馴染に嘘は通用しないらしい。何年も一緒にいるんだし、当たり前か。

 そんなこといったら俺がホワイトチョコよりミルクチョコのほうがおいしいって言った時も見抜けるだろって思うだろうがそういうとこはちゃっかりぬけてるんだよな、ひまりは。

 まぁ、そんなところも可愛いところなんだけど……。

 

「ぐっ、なんで知ってるんだ。そうだよ、ホワイとチョコのほうがおいしいと思ったよ!」

「それはもちろん幼馴染だからねっ! もー何年一緒にいると思ってるのさー素直じゃないんだからー」

 

 俺の質問にひまりは腰に手をあててエッヘンとでも言いたそうに自慢げな態度をとる。

 いやその格好されるとふくよかな……胸が……強調されてだな……俺の理性が持たないのだ。つい胸をツンとしてみたくなる衝動に駆られた指を構えたところでなんとか抑え込んだ。

 というか今思ったんだが実際ひまりって高1のバストサイズじゃないよな? 誰だこんなにふくよかに育てやがって! ありがとうございます!

 

「? しゅうどうしたの? いきなり両手人差し指出したりしたと思ったら今度はひっこめたり」

「ああ、いやなんでもないんだ。ナンデモ」

 

 俺がそういうとひまりは怪訝そうな顔をしてこちらを見てくる、いや、近い近い。

 

「ほんとになんにもないのー? ほらー幼馴染なんだし何でも言ってみなよー!」

 

 ひまり胸のサイズいくつなんだ? なんて言っていいものなんだろうか……。まぁひまりもなんでも言っていいって言ったし、俺に責任はないよな。

 

「なぁ、ひまり」

「ん? なーに? しゅう」

「あーその、非常に言いにくいんだけど」

 

 俺が言うのをためらうとひまりはまだか、まだかとバタバタし始める。

 

「もー! 早く言ってよしゅう! 気になるじゃん!」

「あー! もう! わかった、いうぞ?」

「うんうんっ! はやくはやく!」

 

 ひまりはまさに餌を待てと言われている犬のように今か今かと待っている。

 そんな顔をされると今からくだらないことを言うのになんだか申し訳ない気持ちになるからさらに言いにくいんだが……。

 

 まぁいい俺も男だ、腹を括って言うか。

 

「ひまりの胸って大きいよな? 何カップあるんだ?」

 

「……………………………」

 

 辺りを流れる静寂俺が言葉を放った瞬間にお互い沈黙が生まれた。死ぬほど気まずい。というか聞いてしまった事実を今すぐにでも消し去りたい。

 あぁなんでこんなこと聞いてしまったんだ……別にひまりの胸について考えていたってほかのことを質問すればこの場は何とか収められたはずなのに……。

 

「ア、アハハー。あ! 私宿題思い出したから帰るね! バイバイしゅう!」

 

 そういって立ち上がって帰ろうとするひまり。もうすでに窓に手をかけて開けようとしていた。この場でひまりを帰らせたら今後一切口をきけなくなる気がしてならない、俺の本能がそういっているのだ。逃がさないぞひまり。

 

「ちょっと待てよひまり! ひまりが何でも聞けって言ったんだぞ! 俺は何にも悪くない!」

 

 俺はひまりが逃げ出さないようにがっしりとしがみつき言った。ひまりはもう窓を開け外に出ようとしていたところだったが間一髪で捕まえた。

 

「うぅー私はかえって宿題するのー! しゅう離してよー!」

「離すわけないだろ! ほら! チョコもまだ残ってるし食べきらないと!」

「それ全部あげるから! 私もうお腹いっぱいだから!」

 

 そんな問答を数回繰り返したところでひまりが急に「そうだ! 押してダメなら引いてみろだよ!」と言い出し力を抜いた。

 

 もちろん俺が引っ張っている状態ひまりが前に進んでいる状態でとれていた力のバランスは後ろだけにかかることになるので、俺たちはそのまま後ろへと倒れた。

 

 ドシーーーーーーーン

 

「グエッ」

 

 大きな音を立てて地面へ俺の身体は打ち付けられた。2人とも仰向けに倒れたのが幸いしたのか俺が下敷きとなり、ひまりが地面へ身体を打ち付けることはなかった。

 

「イタタ……ってしゅう! しゅう! 大丈夫!?」

 

 ひまりのお尻がおなかに、背中が顔面を直撃し頭はもちろん地面に強く打ち付けた。俺はそのまま静かに意識を手放した。最後に聞けた声が幼馴染の声でよかった……。

 

「って気なんて失ってないでしょ!」

 

 ピシッとおでこをひまりにたたかれて再び俺は現実へと帰ってきた。

 

「いてぇな、何すんだよ」

「元はと言えばしゅうがホワイトチョコのほうがおいしいのにミルクチョコがおいしいって言ったり私の胸の大きさ聴いてきたリ……」

 

 恥じらいからか後半はあまり聞こえるような声で言わなかったが大体想像はついた。

 

「とりあえず今回は全部聞かなかったことにしてあげるから次回から気を付けてよねっ!」

 

 どうやら今回の件いろいろと許してくれるらしい、ケンカもしたが仲直りができてよかった。

 そういえば聞いてなかったことがあったな……

 

「おう、気を付けるわ。で、ひまりの胸の大きさは……」

 

 バッッッッッッッシーーーン!!!!!!!

 

「しゅうのバカ! もう知らない!」

 

 俺が事を言いきる前に頬に雷が落ちたかのようなビンタを喰らった。このあと3日間頬のもみじ跡が消えることはなく俺はもうひまりの前で胸の話はよそうと決心した日だった……。




みなさんはミルクチョコ、ホワイトチョコ、ビターチョコどれが好きですか?
私はひまりちゃんが好きです。

それでは次話でお会いしましょう。

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