縁側で茶をすするオーバーロード   作:鮫林

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前回のあらすじ

エンリさんエ・ランテルへ
金髪の子かわいそう



ようやくお外です! 長かった……。



沙羅双樹を摘んだ日・壱

 さて、どうしたものか。

 

 胸の内で呟いても、答えるものは誰もいない。まして周りを囲むのが、寡黙な執事と物言わぬ墓石ならば尚更だ。

 彼に担がせた召喚獣からは時々呻り声が聞こえるが、そちらはノーカウント。封印状態では自力で歩行できないのは正直誤算だった。しかも重いし。

 

 だというのに、危なげも無く規則正しい足取りで後ろから付いてくるところは流石セバスといったところか。真っ白な頭髪と同じ色の髭、執事かくあれかしと賞賛すべき装いからは少しかけ離れて、その能力構成は打撃に特化しているのだという。目撃者曰く、製作者の現実(リアル)の姿に似ているらしい。なんとなく、想像できるところが少し可笑しかった。

 

 霊廟から外へと繋がる道、2足分の上質な革靴と分厚い石床が奏でる音を聞きながら、やはり思う。どうしたものかな。

 

 

 当初の予定では、モモンガさんはもう少し引き篭もってくれるはずだったのだ。自由度を売りにするだけあって、ユグドラシルにて使用可能な魔法やスキル、そしてアイテム数は膨大なもので、たかだか数時間実験しただけでやれることが尽きる事態に陥ることなどない。

 ちょっと安心させすぎたか。まさかモモンガさんが外に付いてくるとは思わなかった。

 

 別段、悪いことばかりではない。

 

 これから行く場所にセバスを連れて行くなら、こちらが上手く誘導すればリザードマンを助ける流れに持っていけるだろう。

 理由はさっぱりわからないが、巨大な魔樹に襲われた哀れなリザードマン達。見たところ死人や怪我人の対応に追われているようだが、イビルツリーが周囲の栄養と共に水を吸い上げてしまっていて、付近の湿地がすっかり枯れきっている。昨晩見た限り、軒先に魚を吊るしてある家が多かったので、魚を頻繁に食するのだろう。逆に穀類等を育てている形跡はなし。生活用水に困る有様で、食糧難まで付いてくるとは、まったく災難なことだ。

 

 そこでモモンガさんにイビルツリーを倒してもらう、と。何も復興まで手を貸す必要は無い。あれさえいなくなれば土地の自浄作用で徐々に環境は回復していくはずだ。自然の力というのは中々侮れないもの。水だけならぼくの力でどうにでもなる。

 モモンガさんはストレスの発散ができて、身近にあった脅威も失せ、自然と共に生きるリザードマン達と交流を深めることでそこそこ人間性の確保に役立ってくれるはず。

 そう考えれば、実は良い方向に進んでいるんじゃないだろうか。強引に理由をつけてナザリックに押し留めておくよりは。出来る限りポジティブに考えないとやってられないよね。

 

 モモンガさんに不自然に思われないように、障害を乗り越えながら、彼の人間性を確保する、か。

 完璧で幸福なトラブルシューターでさえ、ここまでの要求はされないだろうに。次のぼくは上手くやってくれるでしょう。任せられるものなら任せたいけど、次のぼくもぼくには違いない。よってことに当たるのは結局ぼく。見事に詰んでいる。助けてUV様。

 

 

 偉大なりしコンピュータ様でもいないものには頼れないので、これからどうするかをもう少し考えよう。想定していたよりもずっと手探りだけれど。

 

 精神抑制スキルも、役に立ってるんだけど諸手を挙げて歓迎できるものじゃない。

 外から見た感じ、モモンガさんの精神抑制は「昂ぶった感情を抑えるもの」のようだが、ぼくのスキル、<明鏡止水>はそもそも「感情が昂ぶらないようにする」性質があるようだ。内心は凪いだ湖面のように穏やかで、喜びも怒りも悲しみも湧き上がってくることはない。

 経験則で、ここは笑うところ、とか、ここは憤るところ、とか、そこそこ上手いこと面に出せていると思うんだけど、あのギルド長、敏いときと鈍いときのムラが激しいから、いつ発覚するかわからないのだ。時限爆弾みたいなものだね。

 しかしこのままじゃモモンガさんが死の支配者(オーバーロード)になる前にぼくが古代の水精霊(エルダーウォーターエレメンタル)になる方が先になってしまいそうなので、早いところ準備を終わらせて、スキルを切って市でも巡りに行きたい。ぼく、やれることが終わったら、地酒と名産品買って部屋で飲むんだ……。

 

 露骨なフラグを立ててる場合じゃない。今後のことだ。

 

 今のところギルド長は手当たり次第そこらのモブをぶち殺したいとは思っていない様子。現地のものにあまり干渉したくない、というぼくの考えにも了承の意を示してくれた。

 感情論が通じる相手は楽でいい。でも、そう思っているといつか足をすくわれることは必至なので、ほどほどにしておかなければいけないね。要注意だ。

 

 ギルドメンバーを探したいと言い出したのも、まあ想定通り。

 しかし、ここら辺を虱潰しに探したって、諦めてくれないだろうな。どこまで探さなきゃいけなくなるかなあ。<探知接続(コネクト・センス)>の効果範囲もあるけれど、出来る限り広い範囲で、街や平野は勿論のこと、森とか坑道とか海底とか? 

 ……正直非常に面倒くさい。散策自体は決して嫌いじゃないけれど、何事にも限度がある。

 

 ぼくとモモンガさんの間で、ユグドラシルの重要度がはっきりと違うということもあるけれど、人間関係なんて足を運んだ各々の土地で構築できるものと思っているので、ああもひとつのコミュニティに執着する気持ちを、ぼくは共感することができない。

 理解はしよう。そのための努力も。ご両親が既にお亡くなりになっているという話は小耳に挟んだことがあるし、もはやナザリックは彼の故郷のようなものなのだと。

 でも、1日に召喚できる数には限りがあるし、何よりNPCにも神経をさかなければならないので、どうにか省エネルギーにならないものかとも思っている。説得の方向で、要検討。

 

 

 隠蔽工作も急がせなくていいよ、って、何度言いそうになったことか。どう言ったところで不自然になるから結局言えなかったけど、もう少しNPCにはナザリックに籠っていてもらいたいんだってば。近所の村のことは気の毒だけどさ。

 

 NPCと言えば。どうするんだろうねデミウルゴスは。自分の仕事を終わらせたら、ぼくの宿題にとりかかるんだろう。

 さっき製図用アイテムをティトゥスに返した後、司書に確認した。

 図書館の中に、「GMコール」及び「ニューロンナノインターフェイス」の文字が書かれた書籍は一冊も無い。

 

 著作権の切れてない学術書のデータはゲーム内に持ち込めなかったし、ユグドラシルで配布されていた創作物の中にも、ナザリックの中にあるものでその文字が書かれているものは、5年前まで無かったことは確認済みだ。そこから足されていなかったのは幸運だった。TRPGのシナリオにもなかったのはちょっと意外だったかな。まあ、既にゲームの中にいて、そこからわざわざ現実を思い起こさせるようなシナリオを選ぶ必要もない、か。

 

 存在しない物を探すことはできないし、他のNPCに聞き取りでもするのかな。ナザリックで一、二を争う知恵者であるデミウルゴスが知らないことを、他のNPCが知ってるとは思えないけれど。

 最終的にはモモンガさんにでも聞くのかね。ぼくが何をさせてるのかモモンガさんに怪しまれると思うけど、まあ言い訳はいくつか考えてあるし、大丈夫、かな。

 

 マーレに対しての魔力譲渡もこちらが想定していたよりも衝撃的だったようで、少しは作業の遅れの一助になってくれることだろう。いや、どうかな。霧のこともあるし、とんとんってところかな。

 ともあれデミウルゴスはもう少しの間、ナザリックに留めておける。アルベドは……、守護者統括の仕事を放り出すような真似はしないと思ってるんだけど。なんだか嫌な予感もする。やっぱりモモンガさんに釘をさしておくべきだったか。

 

 右肩に乗った八咫烏をちらりと見る。攻性防壁が作動している様子はなし。てっきりアルベドあたりに監視されてるかと思ったけど、流石に杞憂だったか。

 

 色々と酷いことをしている自覚はある。けれどもスキルのおかげで罪悪感を覚えることはないし、その暇も無い。

 時間を稼がなければならない。一分一秒でも多く。せめてぼくが、感知できる範囲の索敵を終えるまでは。

 

 

 根本的な問題として。ぼくはいつまで時間を稼げば良いのだろう。どうなったら勝利と言えるのか。

 

 NPCに、現地の人間とて無闇に殺したり傷つけたりしてはいけない、と理解させるのが一番良いし、平行して教えていく予定ではあるけれど、現状、「至高の御方のご命令だから」以上の理由を彼らが見出すのは難しいものと予想している。

 

 なので、彼らのことを命令で縛るのが最も現実的な手段だ。そしてそれは、ぼくからのものではなく、モモンガさんからの命令でなくてはならない。

 それも、モモンガさんが考えた、モモンガさんの言葉でなければ。「至高の御方のまとめ役」であり、「絶対なる支配者」が納得していないものを、ぼくが勝手に方針にするわけにはいかないのだ。ぼくと彼の立場が逆転することは望むところじゃない。

 

 偉大なる支配者であらせられるモモンガさんの言葉がNPCに誤解なく届けば、そこで第1段階は終了として良いだろう。そうなれば、NPCの動向に今ほどの気を配らなくてよくなるし、結果的にモモンガさんのメンタルにだけ注意を向けられるようになる。

 

 そして。

 そのためには、モモンガさんに納得してもらわなければならない。

 

 ギルドメンバーの探索は、この世界を犠牲にしてまでやるようなことじゃないということを。

 

 周辺の捜索が済んだらモモンガさんは、アインズ・ウール・ゴウンの名前を広める方向に舵を切る可能性が高い。迷子センター方式だね。なりふり構わないんだったら効率が良いことは確かだ。

 だけどそうなってしまえば、大義名分を得たNPCによって、この世界におけるSKクラス支配シフトシナリオが成されることは明白なわけで。この近辺しか見てないから、人類がこの世界の支配種とは限らないけど。

 だからそうなる前に、ぼくが彼を納得させなければならない。ぼくが持ってる切り札を使ってでも。

 

 具体的に、いつ、どう納得させるかは、まだ未定。自分が持ってる説得のステータスが高いことは十分認識してるけど、考えなしにダイスを振れるほど頼るつもりにはなれない。懐柔させる材料も、ナザリック内外の情報も、全然足りていない。

 

 しかしさじ加減が難しいな。天を仰ぎたい気持ちをぐっとこらえて、何食わぬ顔で歩を進める。

 周囲に敵がいないと安心させすぎたらNPCを大幅に展開してギルドメンバーを捜索する方向に向かうし、脅威になるものがたくさんいるとなったら軍拡を行うべく周囲の資源、すなわち死体未満の原住生物に手を出すことになるだろう。

 モモンガさんがNPCを信用しすぎるとそっちに捜索を任せるようになってしまうだろうし、まったく信用できないとなればモモンガさんの神経が磨り減るわけで。なるべくNPCに外の仕事をさせないよう立ち回りたいけど、あんまりNPCを追い詰めて独自に行動するようになっても困る。

 

 もっと非人道的でてっとり早い手段なんていくらでもあるけれど、モモンガさんとの友人関係を絶ってまでやりたいとは思わないし、ぼくにだって気に入る勝ち方と気に入らない勝ち方くらいあるのだ。

 

 一体何と戦ってるんだ、と自分でも呆れるけれど、いっつもいっつもなくなってから気付くんだから、今回ばかりは、失くしたくないんだよ。

 

 それでもないものねだりくらいはさせて欲しい。孤軍奮闘は正直きつい。

 

 抑止力になる程度に強くて、かつ理性的な存在が都合よくいないかな、この世界に。過去にいたであろうプレイヤーを適度に敵視していれば言うことはないんだけど。そこまで望めはしないか。

 

 

 先の展望は靄に包まれて、進むのも戻るのも一苦労。

 こんなとき、()()()ならどうするんだろう。

 

 あいつならきっと、胸襟を開くのが先だと言うんだろう。不安も、思惑も、すべて吐き出してしまわないで何が信頼関係だと。

 ……馬鹿馬鹿しい。情報は秘匿すべきものだ。ユグドラシルでは常識ですよ、とモモンガさんもきっと言ってくれる。

 

 それにしたって。参った。本当に参った。現状もそうだけど、実際に司書長に会って、ちょっとじゃなく驚いた。

 なんでああも姿がダブるかな。設定を書き込んだときは、似せようなんて思ってなかったんだけど。

 実際、似ているかと言われたら微妙と言わざるを得ない。生前のあいつはあんなに理知的じゃなかったし、品性のある振る舞いなんて知らないですって顔をして、するりと人の懐に入り込むような奴だった。

 

 なのに。

 声のトーンといい、間の取り方といい、こっちの常識をはなから疑ってかかっているところといい。あのまま関西弁を喋りだしたらどうしようかと思ったぐらいの。

 ……まずいなあ、製作室(あそこ)、入り浸りそうだ。

 

 でもぼくの考えてることを、ティトゥスに知られるわけにはいかないんだよね。絶対邪魔される。ぼくにはわかる。

 大体いつもいつも、こっちの腹を全部打ち明ければそれで解決すると思ってて、情報なんか秘匿して価値があるものだってぼくがどれだけ言っても――。

 

――言ってないな。違う。ティトゥスはあいつじゃない。それは、双方に失礼だ。思うことすら許されない。

 それに、あいつはもう死んだんだ。ティトゥスとは……、アンデッドだからなあ、どっちも死んでるっていうかなんていうか。

 

 

 とにかく、ぼくのつまらない感傷はどうでもいい。

 

 あくまで臨機応変に。そうしてきただろう。これからもそうするだけだ。

 何よりも、ぼくが状況を楽しむことが第一だ。誰の言葉だったか、この世には遊びに来ているのだから。

 

 不確定要素は腐るほどあって、想定外のことも山ほど起きるだろうけど。

 ひとつひとつ丁寧に対応していくしかないな、と、決心したところ、眼に入ったのは外の景色。

 

 

 

 それを見て。

 固めたばかりの心が早速折れる音がしたのは、気のせいではなかっただろう。

 

 

 

 まず、豪奢なフードを被った凶悪な面の骸骨。

 我らがアインズ・ウール・ゴウンが誇る、タブラくん曰く「絶滅寸前、天然もののギャップ萌え」こと、ギルド長モモンガさん。

 勿論これは問題ない。先に行っといて、と送り出して、しばらく待たせてしまっていた、リザードマンの集落崩壊についての調査及びイビルツリー討伐という名目のお散歩に同行することになった友人である。

 

 そこから少し離れたところ。

 長身のモモンガさんから視線を大幅に下へと移すと、色違いの瞳をきりっと見開いて、霧の中にあってもなお陽光の如く輝く金髪を跳ねさせた、健康的な少女が姿勢正しく直立している。

 第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ。彼女もまた問題ない。こちらに来てからというもの、心配性のNPCたちがやたらとぼくらに供をつけたがっていて、レベル85のイビルツリーがいるところに連れて行くのならば、相手のレベルを出来る限り上回っていることが求められる。その点、100レベルNPCであり、物理的監視に対応できるアウラであれば申し分ない。

 

 その隣、ややモモンガさんの近く。

 アウラよりも少し年上で、背も高い。金色の髪と小麦色の肌を持つ彼女とは対照的に、冴え凍る月のような銀髪と白磁の(かんばせ)、血を固めたルビーのような紅い瞳の少女。

 第一、第二、第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン。ここまでは予想の範囲内と言えるだろう。セバスを連れて行くとは言ったが、モモンガさんが思う安全を確保するなら、確かに少々心許ない人数ではあった。

 真紅の全身鎧(フルプレート)神器級(ゴッズ)武器はちょっと武装過多じゃないかと思わなくもないけれど、それは、まだ、良い。

 

 

 予想外なのは最後のひとり。

 

 モモンガさんの隣にぴったりと寄り添うように立っている、暗黒騎士じみた漆黒の鎧。手に持つバルディッシュは既に何人か殺してきたんじゃないかと思うような凄みを放ちながら、よく手入れされて濡れ輝いている。

 思わず、こいつ誰? と言いそうになったけど、そいつの立ち位置が、鎧の中から発せられた声が、自分が考え得る最悪を突きつけてきた。

 

「お待ちしておりました、死獣天朱雀様」

 

 鈴の鳴るような声。人を魅了するために生まれたのだと疑いもしない種族が持つ、生温くも甘美な響き。凛としながらも優しげで、だというのに異様なほど蠱惑的なそれに、くら、と意識が遠のきそうになったのはしかし、彼女の声に魅了されてのことでは決してない。

 

「……、うん、待たせてごめんね、アルベド。……モモンガさんも」

 

 よりによって今この場に一番いて欲しくない人物がいるのは日頃の行いが悪いせいだろうか。

 守護者統括アルベド。ナザリックの管理という面においては全NPCの中で最も優れているという設定を与えられ、それに相応しい頭脳が転移によってついてきた、カルマ値マイナス500の、極悪NPC。

 現状、最も情報を秘匿しておきたい人物だというのに、何故こんなところにいるのか。なんのために奥まった製作室で地図を書いたと思ってるんだ。

 

 こぽ、と一呼吸ついて、幾分か冷静になった頭で考えてみれば、まあ仕方なし、と言えなくもない予想が立つ。

 階層守護者を引っこ抜いていく許可を求めるために<伝言(メッセージ)>を繋げたら、自分も行くと言い出したんだろう。

 

 守護者統括の仕事はどうした、とか、色々と言いたいことはあるけれど。

 

「なんで、全身鎧(フルプレート)……?」

「ああ、私が命じたのだ。完全武装で来るようにと」

 

 威風堂々、これこそ支配者という風情の声色をもって答えたのはモモンガさんだった。

 

 お前か。このチキンめ。骨しかないくせに。

 アルベドのことにしたって「お前にしか任せられないからナザリックを守ってくれ」ぐらいのことを言えないのか、この童貞骸骨は。

 

 些か理不尽にも思える罵倒が、ない筈の喉から出かかったとき、脳内に聞こえてきたのは、同じ人物とは思えないような、萎縮した態度の声で。

 

『すみません、朱雀さん。大所帯で……』

『うん? んー、ちょっと驚いたけど、まあ、このくらいなら』

『近衛を用意するって言い出したのは、なんとか阻止したんですけど』

『……おつかれ、モモンガさん』

 

 前言撤回。彼なりに頑張ってくれた後だったようだ。ここから更に近衛まで連れていくことになるとかたまったもんじゃない。なんかもう、既にアルベドの手の上で転がされてる気さえする。 

 

「まあ、なんだ、とりあえず。おはよう、みんな」

「おはようございます、死獣天朱雀様」

 

 三者三様の可憐な声で異口同音に紡がれるご挨拶。うん、挨拶は大事だ。古事記にも日本書紀にも書いてないけど。

 

 ふと気配がして入り口の方を見れば、製作室を出るときにモモンガさんに連れ添っていたソリュシャン・イプシロンの姿。寸秒、彼女も連れていくのかと思ったが、モモンガさんが例のイビルツリーとのレベル差を考慮しないはずがないので、別の目的でここにいるのだろうと思い立つ。

 ああ、そっか。指輪持ってうろうろできないよね。後で預かってもらわないと。

 

 再び正面に向き直り、駄目元でアルベドに問うてみる。

 

「アルベドは……、お仕事はいいのかな」

「問題ありません。必要なことはすべて整えております」

 

 端的にして明解な返答。自らの立場と与えられた任務を余すことなく熟知した者の、自信に満ち溢れた声。

 彼女がすべて、というからには本当にすべてなんだろう。まったく嫌になるね、優秀で。

 

「それに、私はモモンガ様の完璧にして強固なる盾でございますので」

 

 左手をそっと胸に当てて宣言した彼女の顔はヘルムに隠されて見えなかったが、殊更甘やかな響きがその表情をありありと伝えてくる。漏れでる肉食獣の気配に反応してか、モモンガさんが彼女から1歩離れた。すぐにまた詰められたけど。

 

 モモンガ様の、と来たか。

 好きなんだねえ、どうにも。そう書き込んだのはぼくだけど、一途で羨ましいことだ。

 ……そんなに良いものかな、恋って。わからないな。だからバツイチなんだけどさ。

 

 しかしもっとわからないのはタブラくんだ。こっから寝とられる展開が大好きだってよく言ってたな、彼。なんだっけ。寝とられバッドエンド派のタブラくんと寝とりハッピーエンド派のペロロンチーノさんが言い争ってる現場を見たことがあるけどあれは酷かった……。

 

 ああ、やなことも一緒に思い出した。忘れよう。問題はここからどうするか、だ。

 

 もうここまで来てしまったからには仕方がない。モモンガさんが許してるのにぼくが今更追い返すわけにもいかないし。

 むしろモモンガさんに生け贄になってもらうことでそっちに食いついてくれるならその方が良いような気がしてきた。ごめんねモモンガさん。アルベドはサキュバスだし、痛くはされないんじゃないかな、多分。

 

 そう、あくまで臨機応変に。まだ序の口だろう。隠蔽工作も当初の予定よりずっと早く進んでるのに、ここで挫けてどうするんだ。

 

「ところで死獣天朱雀様、その……、セバスが担いでるのは、死獣天朱雀様の召喚獣でしょうか?」

「ん? ああ、忘れてた。ありがとうアウラ」

 

 湿気た木乃伊のような異形をしげしげと覗きこみながら尋ねるアウラに礼を言って、降ろしていいよ、とセバスに許可を出す。その重量を感じさせない滑らかな動きで丁寧に地面に置かれた橋下の贄(クライング・フェザント)は、こちらが完全に失念していたことに対して抗議するかのように、ささやかな呻り声を上げた。

 

 興味深そうにその様子を観察するアウラの横で、こてん、とシャルティアが小首を傾げる。

 

「随分と厳めしい様相でありんすが、一体いかな力を持っているのでありんしょう……?」

「攻性防壁対策。杭が抜けないことを祈っといて」

「! 承知いたしんす!」

 

 神官(クレリック)の祈りならさぞ効くことだろう。尤も、こいつが本領を発揮するのは杭が抜けてからなのだけれど。

 

 さて、あんまり悠長にしてるとリザードマンが全滅してしまいかねない。ちらりとモモンガさんに視線を向けて、<伝言(メッセージ)>を送る。

 

『モモンガさん、彼女らに事前説明は?』

『とりあえず、イビルツリーを確認しに行くと言っただけです。それに同行するように、と』

『おーけい、ぼくから遠足の注意事項を少し伝えさせてもらってもいいかな』

『遠足』

『違った?』

『ちがわないですね。どうぞ遠慮なく』

 

 

「はい、注目!」

 

 お墨付きももらったので、パンパン! と、視線を集めるために両手を叩けば、中身もないくせに割合良い音が響いた。思わず自分の手を見下ろす。そういえば、ハンドクラップなんてスキルもあったな。味方の狂騒状態の沈静効果だっけ? 使ったことないや。

 

「えー、モモンガさんから聞いてるかも知れませんが、今回の調査についてぼくからいくつか注意事項があります。心して聞いてください」

 

 年少組はぴしっ、と、アルベドはたおやかに姿勢を正す。

 まあ素直に言うことを聞いてくれるぶん、学生の引率よりは楽かな、と、やけくそ気味なポジティブシンキング。

 

「今から行くところは、ここナザリックから北北西にある湖の畔。レベルにして85相当のイビルツリー系モンスターがいるけれど、まだ討伐するとは決まったわけじゃないので、勝手に攻撃しないように」

 

 はい! とお手本のような返事。

 よしよし。待て、くらいは覚えている良い子達のようだ。でも問題は多分、もうひとつのほうなんだよね。

 

「で、この周りにはぼくらが観察しようと目星をつけていたリザードマンの集落もあります。今はちょっと滅びかけてるけど」

 

 滅びかけている、と聞いて、少女たちはきゅっ、と顔をしかめる。意外と同情的なのかな、と思ったのも束の間。

 

「至高の御方が見に来られるっていうのに、勝手に滅びるなんて!」

「まったくでありんす!」

 

 ……理不尽という言葉を辞書で引いたらきっとこの会話が載ってるんだろう。モモンガさんがちょっと引いてるじゃないか。良い傾向だけどさ。

 

「まあそれは自然の摂理だから仕方がない。それより大事なことを言うからよく聞いて。そもそも敵対しないように立ち回るつもりでいるけれど、リザードマンがこちらに攻撃、あるいは罵倒などをしてきたとしても襲い掛からないように」

 

 目を見開いてぽかんと口を開けるシャルティアの隣で、ぱちぱちぱち、と、音がしそうな瞬きを繰り返すアウラが、上目遣いにこちらを見て、恐る恐る尋ねてくる。

 

「それは、その、モモンガ様と、死獣天朱雀様へのものに対しては、例外ですよね?」

「たとえぼくらに対しての暴言であっても、攻撃は認められない」

 

 えぇええっ!? と、思わず驚愕の声を上げる二人を余所に、アルベドは静かに佇んでいた。甲冑のせいで、表情はわからない。一体何を考えながら大人しくしてるんだろう。モモンガさんへの侮辱を黙っていられるとは到底思えないんだけど。

 当のモモンガさんも、何故? という顔をしているように見えた。彼は彼でカルマ値低いからな。面倒なことだ。

 理由を知りたそうにしているギルド長と、反対意見を唱えたいが「至高の御方」に反論しても良いものか迷っている風情の子供たちに対して、説明を続ける。

 

「まず、ぼくらは今、極力目立たないように行動しているのはわかってもらえるかな」

 

 守護者たちはこくこくと頷いた。

 こらそこ骸骨。一緒になって首を振るんじゃない。

 

「この世界に来てからまだ数時間、どこにどんな敵が潜んでいるかわからない。今のところイビルツリー以上の脅威は見つかっていないけど、ぼくらより先に転移してきた勢力がいる可能性は高いと見ている。こちらが思いもしないところと、ユグドラシルのプレイヤーが繋がっているかもしれない。それを無闇に刺激するような真似は極力避けたいということが、まずひとつ」

 

 ここまでで何か質問は? そう言って見渡せば、はい! と小さな手が元気良く挙がる。

 

「はい、アウラ」

「それなら、イビルツリーも、倒さない方が良いということでしょうか」

「んー、飼いイビルツリーにしては素行が悪いから、多分野良だと思うけど。知性と、魔法的なつながりの有無を確認してから考えるかな」

 

 そうは言ったものの、こっちとしては完全に死んでもらう予定でいる。誰かの飼いイビルツリーだとしても知ったことか。あんなもの持ち込む方が悪い。

 

「他には……、ないようだから、ふたつめ。見たところリザードマン達は独自の生活様式を築いている。つまり知性があるということ。交渉すれば、こちらの世界にしかないものの情報を聞くことができるかも知れない。情報は何より大事だ。恐怖で少々錯乱したリザードマンがこっちを攻撃してきた程度で手放してしまうには余りにも惜しい」

 

 ここで先ほどと同じく、質問が無いか問う。今度はシャルティアが手を挙げた。

 

「拷問するのでは、いけないのでありんしょうか。1匹や2匹、見せしめに殺してやっても」

「ひねり潰すのに片手もいらないような存在が攻撃してきてそれは、ちょっと反撃過剰かな。こっちの反撃を見て逃げ出す連中を確保するよりは、行動を起こす前に説得したほうが、ぼくとしては手間がない」

「死獣天朱雀様のお手をわずらわせなくても、あたしがスキルでなんとかします!」

「ありがとアウラ。……んー、そうだな」

 

 まだ釈然としない様子のふたりを見て、どうしたものかと少しの間だけ考える。

 ……この例えは使いたくなかったんだけどな、仕方ない。

 

「自然のものは、自然のままで。要するに、ぼくらが観察する蟻の巣に、わざわざ熱湯を注ぐような真似をしないでねってこと。噛み付いてきたらそれはそれで良い観察対象だ」

 

 ようやく呑みこめた、とばかりに明るくなるふたりの顔を見て、こちらの気分は少々暗くなる。あんまり現地住民の位を下げたくなかったんだけど、何かしら奇跡でも起きるまで彼らの認識が変わる気がしなくなってきた。

 

 ともあれ、言いたいことは言い終えたので、モモンガさんに視線を送る。

 

『これでいいかな、モモンガさん。なにか問題あったら訂正するけど』

『大丈夫です。準備してもらえますか』

『了解』

 

 どうやらモモンガさんも納得してくれたらしい。最後の例で納得してたらやだなあ。どうか一つ目の理由で理解してくれていますように。

 言ってしまった言葉は戻らない。覆水盆に帰らず。自分自身にそう言い聞かせて、頼まれた準備を施すべく、適当に声をかけて、場所を少し空けてもらった。

 <水球(ウォーターボール)>を発動し、あらわれた水の塊を、そっと地面に下ろす。とぷん、とかすかな音を立てて、できあがる水溜り。霧に遮られて何も映らないが、晴れていたなら綺麗な青空がうつっていたことだろう。

 

 <水鏡(ミラー・オブ・ウォーター)>と<視界接続(コネクト・ヴィジョン)>を続けて行使。イビルツリーを視認している八咫烏と視界が繋がったことを確認し、ソリュシャンにリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを預けた。

 

「……よし、いけそうだな。朱雀さん、セバス。こっちに寄ってくれ。<完全不可知化(パーフェクトアンノウンアブル)>をかける」

 

 本当に周到だなあ、と、半ば呆れたような感想は胸の内に仕舞っておいて、大人しく魔法をかけてもらった。次いで、シャルティアによって<転移門(ゲート)>が開かれる。ここに至っても異常が見られないので、橋下の贄(クライング・フェザント)は置いていくことにした。どうせもうすぐ消えてしまうし、必要なら出しなおせば良い。

 

 行くぞ、と、モモンガさんの号令。はっ! と答えるシモベたちの声。

 果たしてどうなるか、と、いくつか算段をつけて、ぽっかりと開いた禍々しい穴へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぱき、と足下で乾いた音が鳴る。枯れた枝を踏みつけたようだ。朱雀さんの話では昨晩この辺りまで霧が届いていたという話だったが、風で流されたのか、雲を浮かべた青い空がはっきりと見えている。

 本来ならば木々に覆い隠されて見えなかったのだろうが、眼前に(そび)えるイビルツリーの影響で周囲の草木は枯れきっており、遠目には湖があるというのに、土にはまるで水気がなかった。

 

 イビルツリーは相変わらず動く気配が無い。不可知化を看破するほどの力はない、というよりはまるで眠っているようだった。

 

「アウラ」

「はいっ!」

 

 こちらが命令を下す前に、アウラは親指と人差し指で作った輪を覗きこむ。

 理解が早くて助かるけれど、なんだか心を読まれているようで落ち着かない。

 

「……出ました! 死獣天朱雀様が仰っていた通り、レベルは80から85、突出してるのは……、体力が測定不能です!」

「測定不能? レイドボスじゃあるまいし」

「あとは……」

「うん?」

 

 じろ、と、アウラが後ろを睨みつけたので、つられてそちらに視線を向けた。

 

 俺達がいるところから更に後ろ、まだ木々が緑を残しているところに、リザードマン達が集まってきている。こちらをじっと見ている、というよりも、イビルツリーを見物している、といった感じか。

 

「こちらに気付いているわけではないようだな。見学するにしても近すぎないか?」

 

 アウラに頼んだところ、リザードマン達のレベルは高くても20に満たない。300メートルほどの触腕を持つイビルツリーを見に来たというのなら少々無謀な距離なのではないか。

 何をしに来たんだ、と、思わず呟いた言葉に答えてくれたのは朱雀さんだった。

 

「そりゃ戦いに来たんだと思うけど」

「……戦いに? 何と?」

「イビルツリーと」

 

 戦化粧がしてある。

 そう言われてよくよく観察してみれば、リザードマン達の表皮には色とりどりの染料で何やら紋様のようなものが描かれていた。リザードマンに共通する一般的なお洒落ではないことは、彼らの鬼気迫る表情が十二分に示している。

 

 しかし、それにしても。

 

「力量差がわかっていないのか……?」

「まあ、戦っても戦わなくてもどのみち死ぬからね」

 

 不穏な台詞を洩らしながら、朱雀さんはゆっくりと周囲を見渡す。

 夜中見たときは、このあたり一帯湿地だったんだけどさ、と。

 

「ここまで干上がってしまったら、水も当然だけど食料が採れない。農耕をしてる形跡は見られなかったし、逃げたとしても増えた人数分の腹を満たす方法がない。リザードマン同士で争いになるよりは、って、考えたんじゃないかな」

「口減らし、というわけか」

 

 なんとも世知辛いことだ。が、俄かには信じがたい。もう少し小さければともかく、20階建てのビルより大きな生物に立ち向かっていこうなどと。昔たっちさんに見せてもらった怪獣映画でも、人間達は化学兵器を用いて戦っていたというのに。

 

 あるいは、こういった強大な敵に対して、リザードマン特有の対抗手段があるのだろうか。もしくは、死んでも蘇生できる方法とか。

 

 少し興味が湧いたので、戦いが始まるまで待っていようか、と、伝えようとしたとき。ふいにセバスの顔が眼に入る。

 普段、相手を射殺さんばかりに鋭く輝く鷹のような瞳が、微かに和らいでいる。そこには、自らの全てを懸けて戦うものへの、死に逝く戦士への敬意が込められていた。

 

 その様子に、思わず、ふ、と微笑う。

 そうだ。そうだった。彼は、たっちさんの。

 

「朱雀さん」

「ん?」

「我々は便宜を図ると、そう言ったな?」

「言ったね。確かに」

 

 そう言った朱雀さんが悪戯っぽく笑ったような気がしたので、それを了解の合図と見なし、セバスに向き直った。

 

「セバス。助けたいか?」

 

 俺の言葉に、守護者たちの視線が一斉にこちらを向く。

 当のセバスは一瞬その目を見開いた後、恭しく頭を下げて言った。

 

「はい。……ですが私は、モモンガ様のご意思に従うまででございます」

「ふむ、ならば言い方を変えよう。ここに来てから碌に魔法の練習をできていないことが気がかりでな。大きな的が欲しかったところなのだが、手伝ってくれるか?」

「畏まりました。……ありがとうございます、モモンガ様」

 

 その表情が、どこかほっとした様子だったのは俺の気のせいではないだろう。

 困ったひとを助けるのは当たり前。弱者のために手を差し伸べるのは、当然のことなのだ。

 今この場にいない彼の人への憧憬が、脳裏に浮かんで、消えた。

 

 さて、レイドボス相手の采配なんて久しぶりだ。うまくやれるといいけど。

 

「アルベド、シャルティア」

「はっ!

「前衛を任せようと思う。そうレベルは高くないが……、ふたりだけでやれるか?」

 

 ほんの僅かな間、虚を突かれたような表情をした後、両者揃って、にっこりと――恐らくアルベドも――微笑んだ。

 

「恐れながら申し上げます、モモンガ様」

「我らは至高の御方の盾にして矛。故に」

 

 獰猛にして可憐。そんな表現が似合うぞっとするほど美しい顔で、彼女らははっきりと牙を剥いて笑う。

 

「そうせよ、とご命令くださいまし」

「かくあれかし、とご覧にいれます」

 

 その自信に満ち溢れた瞳に満足し、うむ、とひとつ頷いてやる。

 今までAIで制御されていたNPCが、自我を持ったこの世界でどこまで戦えるのか気になってはいたところだ。見ておいて損はない。

 

「ならばお前達はこちらに来る攻撃をできる限り防げ。本体にはあまりダメージを与えてくれるなよ。早々に死なれても困るのでな」

「はっ!」

「はい!」

 

「セバスは、後ろのリザードマン達に流れ弾が当たらないよう守ってやれ。破片ひとつ当たったらそれだけで死にかねん」

「承知致しました」

 

「アウラは、リザードマンの他に監視してくるものがないか十分に注意せよ。朱雀さんは、万一森が炎上した際、消火を頼む」

「はいっ!」

「了解」

 

 魔法的な監視に対しては、朱雀さんが普段から自分にかけている魔法で十分だろう。

 朱雀さんとアウラ以外の不可知化を解除し、イビルツリーをたたき起こすべく、無詠唱化で呪文を用意する。

 

「さあて」

 

 

 

 <獄炎(ヘルフレイム)>――!

 

 

 

「キャンプファイヤーと行こうじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 災厄が、雄叫びを上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




このモモンガさん、ノリノリである。

ちょっと諸事情ありまして、次回の更新は11月7日以降になります。申し訳ない。

季節の変わり目なので皆様も風邪などひかれぬよう十分お気をつけください。


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