僕のヒーローアカデミアwithスーパー戦隊&仮面ライダー 作:ガイコッツ
ミルコの小脇に抱えられて数分、ビルの上を跳んで移動していたミルコはようやく着地した。
ミ「よーし! 着いたぞ! ココがアタシの関西事務所だ!!」
善「へ?」
抱えられたままの善彦が顔を上げると見えたのはボロボロのプロレスジムだった。
ミ「ミルコ様のご帰還だ!」
ミルコがジムのドアを蹴り開けると、中では屈強な男達がリングの上で取っ組み合っていた。
「!! ミルコ様のお帰りだ!」
「全員整列!」
ミルコがジムの中に入った瞬間、ジムの中の男達はリングから降り、横一列に並んだ。
「お疲れ様でぇぁす!!!」
全身ゴツゴツの筋肉で覆われた男達が一斉にミルコに頭を下げる。その光景に善彦は全く着いていけなかった。
善「あだっ!」
ここでようやくミルコは善彦を離す。抱えられた状態から突然離された善彦は床に叩きつけられた。
ミ「今日から三日間! ココでアタシが専属コーチとしてお前を育てる! 問題ないよなお前ら!」
ミルコがレスラー達の方を向くと、レスラー達は頭を下げた。
「問題ありません!」
善「何がなんやら……わっ!」
善彦が起き上がろうとした瞬間、善彦はミルコに蹴飛ばされ、リングの上に乗せられた。
善「イテテテテ……」
ミ「よっし! さぁやるぞぉ!」
続けてミルコもリングに上がると、善彦を手招いた。
善「え? 何を? へ?」
善彦が全く事態を理解せずにいるとミルコはリングを蹴り、善彦との距離を詰めた。
ミ「いいからコイっ!」
善「わああ!」
距離を詰めるとミルコは蹴りを放つ。善彦はそれを後ろに飛んで避けた。
善「実践稽古しかないのかよやっぱぁ!」
ミ「おしゃべり厳禁!!!!」
ミルコは容赦なく連続で蹴りを放つ。善彦はリングをゴロゴロと転がりながら蹴りを全て避けた。
善「ぞうりゃ!」
善彦は両手を床につけ、水面蹴りを放つ。しかしミルコは軽々と上に跳び、蹴りを避けた。
善「狙い通り!」
ミ「おっ!」
空中に跳んだミルコに善彦は渾身のハイキックを放つ。善彦の蹴りがミルコに当たった瞬間。
ミ「ハハッ! アイデアは悪くねぇな!」
ミルコは善彦の蹴り足を踏み台に使い、更に宙を跳ねた。
善「ウソぉ!!?」
ミ「ホントだ!!」
ミルコは空中で右足を大きく上にあげ、踵落としの構えを取る。善彦は両腕を交差させ、防御を試みるが、防御は意味を成さずにミルコの踵は善彦の脳天に叩きつけられた。
善「ヌガッ……!」
善彦は白眼を剥き、膝から崩れ落ちてリングに倒れた。
善「う、うう……」
数分後、善彦が目を覚ますと見知らぬ天井が見えた。
善「あっ……そういえば」
ここで善彦はリングの上でミルコに倒された事を思い出した。善彦はジムの端のベンチに寝させられている。
善「とにかく起きなきゃ……」
善彦が自分の体を起こそうとした時、違和感に気づいた。
善「あれ?」
右手を動かすと左手も動く。そして手元でチャラチャラと音がする。
恐る恐る視線を下に向けると善彦の手首には手錠が着けられていた。
善「なんじゃコレェェ!!」
善彦が絶叫しているとミルコが後ろから善彦の頭をコツンと足で小突く。
ミ「おう起きたか! 今日からお前はその手錠を着けて過ごしてもらうぞ!」
善「えぇ!? 意味あるんですか?!」
善彦が問いかけるとミルコは腰に手を当てビシッと指を差した。
ミ「ある! アタシの戦いは拳は使わないからな、蹴りを伝授するって言っただろ?」
ミルコは脚を上げると「ニヒヒ」と笑う。その笑顔で善彦は反論を諦めた。
善「わかりました……」
ミ「風呂と便所の時は外してやる! 始めるぞ!」
こうして善彦とミルコのマンツーマンのトレーニングが始まった。
ミ「
善「だぁぁ!!」
手錠を着けてのミルコとの手合わせ、ミルコは初っ端から大技を善彦に見舞う。善彦はミルコの攻撃を避けることしかできなかった。
善「くそっ! 手錠を着けての戦闘なんて前例がないからなぁ〜」
善彦は手を動かせない戦いに悪戦苦闘している。しかしミルコは容赦なく向かってきた。
ミ「オラオラどうしたぁ!」
ミルコのハイキックを善彦は身をかわして避ける。自分の体の隣にミルコの蹴り脚が来た瞬間、善彦は即座にミルコの蹴り脚である右足を脇で挟んで捕らえた。
ミ「おっ!」
善「よしゃ!」
蹴り脚を捕らえた善彦は軸となっている左脚を刈りにローキックを向かわせる。しかし次の瞬間、ミルコはニヤリと笑った。
ミ「よっと」
ミルコはピョンと跳ね、善彦のローキックを避けると同時に左足で延髄斬りを食らわせた。
善「おわぁっ!?」
蹴りの衝撃で善彦は掴んだミルコの脚を離す。右足が離れた瞬間、ミルコの両足が善彦の頭を挟んだ。
ミ「覚悟しろよテメェ!」
善(確かこの技は"
善彦はこの後に喰らわさせる強烈なフランケン・シュタイナーを想像する。受け身の取り方を考えているとミルコが動いた。
ミ「よぉぉいしょっ!」
ミルコはグイッと善彦の頭を引っ張るとリングに倒す。そしてそのまま脚を善彦の首に絡ませ太腿の三角絞めを決めた。
善「ウゲェェ!! 絞め技!?」
手錠を着けられた状態でミルコの太腿三角絞めを食らう善彦の様を見ていたリングの外のレスラー達の表情はどこか羨ましそうだった。
善「うくぅぅぁ……意識が……」
だが完全に絞め技が決まっている善彦に邪な感情は全くなかった。
ミ「よし今日はここまで!!」
満足したミルコは三角絞めを離す。善彦はリングの中央でボーッと倒れていた。
「大丈夫か坊主? ホレ水だ」
倒れている善彦の顔にレスラーが水をかける。ビシャビシャの顔になった善彦はムクリと起きると窓の外を見た。
善「もう……こんなに暗いんですね」
外は日が沈み、真っ暗になっていた。ボンヤリと外を眺める善彦の肩に手が置かれる。
「あと二日だ、頑張れよ坊主」
レスラーが言葉をかけると善彦は静かに頷いた。
ミ「今日の訓練はこれで終わりだ! 飯喰って風呂入って寝ろ!」
ミルコはリングの外から善彦に呼びかけると生のニンジンにかじりついた。
「飯はこっちで用意したぞ、食おうぜ」
善彦はレスラーに連れられ、ジムの奥の食事スペースに連れられた。レスラーとの食事中、善彦は気になっていたことを聞いた。
善「あの……なんでミルコさんはここに居座ってるんですか?」
「あぁそれはねぇ……」
質問をした瞬間、レスラーはバツの悪そうな表情を見せる。そして深呼吸をして語り始めた。
「おれ、昔は暴走族でな、その時駆け出しヒーローだったミルコさんにボコられてさぁ……その日からミルコさんには逆らえないんだ…ここには来ないと思ったのにいきなり来るなんて……」
レスラーはその時の事を思い出すと頭を抱え、食事の手を止めてしまった。
善「……お先に失礼します」
「おう……ミルコさんには気ぃつけろよ」
善彦は席を立ち、その場から去ろうとする。後ろからレスラーが手を振って見送った。
善「さて……これから風呂だけどもミルコさん外してくれっかなぁ?」
善彦が風呂場に向かっていると突然頭をガシッと掴まれた。
善「え!? なに!?」
善彦が狼狽えていると手錠がカチャリと外れ、床に落ちた。
善「おっ!! 手錠が外れ」
ミ「風呂入って便所済ませたらココに来い、逃げたらわかってるな?」
解放を喜んだのも束の間、善彦は無言で首を縦にブンブンと振ると、早足で風呂場に入った。
善「耐えるしかない……今は耐えるしかないんだ……」
善彦は自分に言い聞かせながらシャワーを浴びた。
善「とりあえずスッキリサッパリ」
ミ「そりゃよかったな」
善彦が風呂を終え、用を終えると目の前にミルコが立つ。そして瞬く間に善彦の手首に手錠をつけた。
善「サヨナラ手の自由……」
善彦が肩を落とすとミルコは善彦の服の襟を掴み、隣の部屋に引きずり入れた。
ミ「もう寝るぞ、明日も速いからな!」
善彦が引き摺り込まれた部屋の床には布団が敷いてある。そしてその隣にはベッドが置いてあった。
善「あのベッドは?」
ミ「アタシのだ! お前は床な!」
ミルコは言い放つとベッドの上にゴロンと寝転がる。善彦はベッドと布団を交互に見ると手錠の繋がった手を挙げた。
善「え!? 一緒の部屋なんですか?」
ミ「あー、部屋がねぇからな、相部屋だ! いーから寝るぞー」
ミルコは何も気にする様子もなく部屋の電気を消し、布団にくるまった。
善「休める気がしない……」
善彦も床につくが、手錠の違和感と相部屋の緊張とで眠気が全く来ていない。
こうしてミルコとのトレーニング1日目が終了した。
次もオリジナル回です