僕のヒーローアカデミアwithスーパー戦隊&仮面ライダー   作:ガイコッツ

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お久しぶりになりました(-.-)


立ち上がり、前に立ち

 

 自分は今まで責任から逃げてきた。めんどくさかったからじゃない、背負えないからだった。背負おうとすると、その重圧で頭が回らなくなる。死ぬほど気分が悪くなる。

 

 そしてその時、決まって自分は腹からこみ上げてきたものを吐き出していた。

 最初は周りの人達は心配していた。しかしそれが二度三度と続けば、人は呆れ、失望し、見捨てていった。

 

 自業自得なのは重々承知している。だけどもなにかを成し遂げたかった。心の中では役に立ちたかった。

 けれど、いつしか体が動かなくなった……。いつも空回りしていた。

 今はそんなトラウマなんて忘れていると思っていたのに。

 

善「はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!」

 

 群訝山荘付近の森の中、善彦は木にもたれかかり、息を荒げていた。

 

上「どうしちゃったんだよ佐竹!? 落ち着いてくれ!」

 

 このような事態になったのは数分前に遡る。善彦達は解放戦士の牽制を終え、森の中で待機していた。

 

〜数分前〜

 

上「このまま大人達に任せろって言われたけどよぉ……」

 

 上鳴は館の方に目を向ける。解放戦士の力は増しており、ヒーロー側の状況は芳しくなかった。

 

耳「でもさっ! 先生や他のヒーローには佐竹が厳選した変身アイテムがあるから大丈夫でしょ!」

 

善「なぁにぃ? 突然なぁにぃ? 自分いまお水飲んでたんだけどぉ」

 

 耳郎は不安を和らげるように善彦の肩を掴み、上鳴の前に差し出す。突然前に出され、オロオロする善彦の表情を見た上鳴は顔が綻ぶ。

 

上「それもそうだな、先生達の戦闘力も考えたら大丈夫だろ」

 

 上鳴は安堵すると、ゆっくりと息を吐いた。

 

上「そういえばお前、先生達にどんなもの渡したの?」

 

善「あー、それはですねぇ」

 

 上鳴が問いかけると、善彦はメモを取り出した。

 

善「ミッドナイト先生には聖剣の煙叡剣狼煙、エッジショットさんには風双剣翠風ですね」

 

上「確かどっちも仮面ライダーのアイテムだけど、戦隊のアイテムは使ってないのか?」

 

 上鳴が首を傾げると、善彦はしたり顔を浮かべた。

 

善「それは当然あるよぉ、なんせこのアイテムを使ってもらうために編成を変えてもらったんだから」

 

 そう言うと、善彦は一丁の銃を取り出した。

 

善「コレ! ギアトリンガーって言うんだけど……」

 

耳「おぉー! 有名なヤツじゃーん!」

 

 耳郎が登場したギアトリンガーに拍手を送ると、突然善彦の表情が青ざめた。

 

上「ん? 佐竹どうし……」

 

善「あぁーーー!! 一個渡すの忘れたァァァァ!!!!」

 

 上鳴の言葉を遮り、善彦の絶叫が響き渡る。咄嗟の絶叫に耳郎は耳を塞いだ。

 

耳「どうした! 渡し忘れ!? それってやばいんじゃない!!」

 

 善彦はギアトリンガーを抱えながらアワアワと焦っている。

 

善「やっばいよコレぇ! 他の四丁は先生やプロヒーロー達に渡したんだけど肝心のリーダーのゼンカイザーになるはずだったミリオ先輩がいない!! 詰んだんだけどコレェェ!!」

 

 焦り散らし、辺りをグルグルと歩き回る善彦を上鳴が止める。

 

上「落ち着けって佐竹! 居ないもんはしゃーねーだろ! そうだ! じゃあ佐竹が変身すりゃあいーじゃん!」

 

 上鳴の提案に耳郎も思わず手を叩く。

 

耳「そうじゃんか! ゼンカイジャーは全部の戦隊の力を使えるんだし! 知識豊富の佐竹にピッタリじゃん!」

 

上「それもそうだな! リーダー決めちまえよ!」

 

 耳郎が提案すると、善彦の動きがようやく止まった。

 

善「あ……その手があったか! そうと決まれば戦線復帰で……」

 

「お前もう邪魔だよ」

 

善「え……?」

 

 突然、善彦の耳元で声が聞こえた。

 振り向いて辺りを見回すが、自分の近くには誰もいない。

 

上「佐竹?」

 

 様子のおかしい善彦に気づいた上鳴が声をかける。

 

善「あっ! ごめんごめん! なんでもない」

 

 善彦が気を取り直し、前を向いた瞬間。

 

「お前にはどうせなにもできない……」

 

善「あっ………………え?」

 

 突然、善彦の目の前に学生服の少年が現れた。

 

 しかしその姿は上鳴と耳郎には見えていない。見えない何かに対して後退りする善彦に、耳郎は気づいた。

 

耳「佐竹? どうかしたの?」

 

 耳郎が善彦に歩み寄った瞬間。善彦は膝から崩れ落ちた。

 

耳「ちょっ! さた」

 

善「ウゲェェェア!!」

 

 倒れた善彦に駆け寄ろうとした瞬間、善彦は胃から這い上がってきた物を吐き出した。

 

上「はぁ!? どうした佐竹!」

 

耳「え!? なんで! どうしたの!?」

 

善「ごめん……ごめん本当に……」

 

 善彦は手を膝に当て、立ちあがろうとするが、体が細かく震えている。

 

 善彦が顔を上げると、目の前には学生服の少年が立っていた。少年が不気味に口角を上げると、善彦の視界に、この世界に来る前の記憶が映し出された。両手で頭を抱え、その場にうずくまる。

 

善「ごめん……ごめんって!! 悪かったってぇ!!」

 

上「なんだなんだ!? なにが起きてんだよ!!」

 

耳「まさか解放信者の個性!」

 

 上鳴は善彦に駆け寄り、耳郎はイヤホンジャックを地面に差し、周りの音を探る。しかし周りには善彦と上鳴しか居なかった。

 

 そして時間は今に戻る。

 

善「無理ぃ……自分には無理ぃ……」

 

 善彦はその場に蹲り、細かく震えていた。

 

上「じろぉ、佐竹一体どうしちまったんだぁ?」

 

 上鳴は何かに怯えている善彦に手が出せずにいる。上鳴が耳郎に助けを求めると、耳郎は何も言わずに善彦に近づいた。

 

耳「やっぱり……誰かと話してる……」

 

 耳郎はその発達した聴覚で、善彦がなにをひとりごちていたかを聞いていた。

 

善「もう出しゃばらないから……もう一人でいるから……」

 

 善彦は頭を抱え、腕で耳を塞ぎ、周りを見ようとしない。しかし耳郎は言葉をかけた。

 

耳「佐竹、そこには誰もいないよ、大丈夫、佐竹にもリーダーは出来るって」

 

 耳郎はわかっていた。善彦が恐れる理由はリーダーや先頭に立つ事への重圧に耐えきれない部分から来ていることを。

 

上「そっか……ゼンカイザーはリーダーポジションだから、そのプレッシャーに……」

 

 上鳴はようやく原因を理解できた。

 

善「無理……そんなの無理だってぇ……」

 

「お前はいつもそうだったろう? 自分を変えようだなんだとほざいては失敗ばかりで! 迷惑しかかけてないだろうが!」

 

 善彦の前に見えている幻はうずくまる善彦の頭を踏みつける。思い出したくもない生前の記憶に善彦の心が折れそうになった瞬間。

 

耳「いいかげんにしなさい!!!!」

 

ドクンッ!!

 

 耳郎のイヤホンジャックが善彦の体に刺さり、爆音の心音が善彦の体内に響いた。

 

善「グバァッ! ハァ!!」

 

 突然体に強い衝撃を受けた善彦は胃の中に残っていたものを全て吐き出した。

 

上「わー! 佐竹ー!」

 

耳「あーあ、さっき全部出しとけって言ったのにぃ、こんなに残ってんじゃん」

 

 耳郎は嘔吐する善彦の後ろに周ると、背中をゆっくりとさする。その表情は穏やかだった。

 

上「おいおい耳郎! 容赦なさすぎだってーの!」

 

 上鳴は状況に慌てふためくが、耳郎は依然として落ち着いている。

 

耳「全部出た? じゃあコレ、水飲みな」

 

 耳郎は善彦が吐き終えたことを確認すると、善彦に水を差し出した。

 

善「あ……ありがとう」

 

 この時、初めて善彦は耳郎の声が聞こえた。

 

耳「ようやく聞こえたね」

 

上「おお! よかった! 帰ってきた!」

 

 上鳴は正気に戻った善彦に駆け寄る。上鳴の眼には涙が浮かんでいた。

 

耳「どう? 耳障りな声は消えた?」

 

 耳郎が微笑むと、善彦は頬をかきながら頷く。

 

善「おかげさまで……心音って案外、気持ちが落ち着くんですね」

 

上「よかったぁ、いつもの佐竹だぁ……」

 

 上鳴は善彦の肩に手を置くと、その場にへたりこんだ。

 

耳「佐竹、アンタが昔なにがあったか知らないけどウチらは知ってるよ、アンタが成長してること、できるヤツだってこと」

 

上「そして、お前はもう前に立てるってことをなっ!」

 

 上鳴は明るい笑顔を見せると、善彦にギアトリンガーを差し出す。そして、耳郎は1枚のギアを善彦に差し出した。

 

善「二人とも……ありがとう!!」

 

 善彦は顔を上げると、二人の手からそれを受け取り、そこから走り出した。

 

善「ごめんね……そしてありがとう! 自分はもう逃げないし折れない! ここに生まれ直したのはそういう事だったんだ! ようやく! 自分を変えることができたんだ!!」

 

 善彦は森の中を駆けつづけ、森の外へ出る。そこはヒーローと解放信者が戦う戦場だった。

 

セ「む!? 何故佐竹くんが!!」

 

 まず先に佐竹に気づいたのはセメントスだった。 セメントスが善彦に駆け寄ると、善彦はギアトリンガーを見せる。

 

セ「なるほど、君が真ん中みたいだね」

 

 セメントスは事を理解すると、地面のセメントに手をつけ、柱を作り出した。

 

セ「そして、コレを作ればっと」

 

 セメントスは柱の先端にマークを作る。それができた瞬間。三つの人影が善彦の元へ集まった。

 

ブ「お? 来たのは佐竹くんかい?」

 

ハ「ガルルルルルルル!! 一年がナゼここにいるルルルルルルルル!!」

 

リ「まぁまぁ、この子さっきアイツらを牽制してたんだし、弱くはないでしょ?」

 

 集まったのは1年B組の担任ブラドキング、同じく雄英教師のハウンドドッグ、そしてプロヒーローのリューキュウだった。

 

善「皆さん! 誠に勝手ながら、今回のセンターを務めさせて頂きます! 1年A組! 出席番号10番! 佐竹善彦です! 準備はいいですね!」

 

 プロヒーロー達は頷くと、善彦を真ん中に横一列で並んだ。

 

ブ「よしっ! 初変身だ!」

 

ハ「ヴルルルルルル!! 荒ぶるぅルルルルルル!!」

 

リ「これを構えればいいのね!」

 

セ「やっちゃいますよぉぉ!! 張り切ってきたぁ!」

 

 四人はギアトリンガーを構えると、カバーを開き、ギアをセットした。

 そして全員で構えて一言。

 

「「「「「チェンジ全開!!」」」」」

 

 ギアトリンガーのハンドルを回すと、中のギアも回転した。

 

《45バーン!!》

《16バーン!!》

《25バーン!!》

《29バーン!!》

《30バーン!!》

 

 格センタイギアの番号が読み上げられると、再びギアトリンガーを構える。

 

《バンバン♪》

 

 まず先にブラドキングのハウンドドッグがその場でターンする。

 

《バンバン♪》

 

 次にセメントスとリューキュウがターンする。

 

《バンバン♪》

 

 最後に善彦がターンすると、全員でギアトリンガーを突き出し、引き金を引いた。

 

善「はっ!」

 

《ババン!ババン!ババン!ババン!ババババーン! 》

 

 引き金を引くと、銃口からギアを模したエネルギーが発射される。そしてギアが体を通り、鎧が装着された。

 

《ゼンカイザー!》

《ゼンカイジュラン!》

《ゼンカイガオーン!》

《ゼンカイマジーヌ》

《ゼンカイブルーン!》

 

 五人は変身を完了させると、まず善彦が前に出た。

 

善「秘密のパワー! ゼンカイザー!」


ブ「恐竜パワー! ゼンカイジュラン!」


ハ「百獣パワー! ゼンカイガオーン!」


リ「魔法パワー! ゼンカイマジーヌ!」


セ「轟轟パワー! ゼンカイブルーン!」

 

善「五人揃って!」

 

「機界戦隊ゼンカイジャー!」

 

 その時、善彦は初めてセンターに立った。五人の後ろにそびえ立つ柱には、ゼンカイジャーのマークと雄英の校章が刻まれていた。

 




全部を一話でまとめようとしたんですけどメチャクチャ長なってしまいそうなので分けます
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