新訳女神転生(仮)   作:混沌の魔法使い

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チャプター15

 

 

チャプター15 神堂と新藤

 

「……お義兄様?お義兄様……お話しませんか?」

 

俺をじっと見つめてお義兄様と連呼する少女に俺は正直困惑していた。俺には妹も従兄妹も居ないはずだ、だって父さんがそう言っていたから……俺の親兄弟は皆死んだ、祖父母も俺と血縁関係にある物はもうこの世に存在しない。だからもし親戚だと名乗る物が来ても信用するな、お前は頭がいい。当たり障りの無い対応をして逃げるんだ……俺が出雲を出る時に何度も言われた言葉だ。少しおかしいなとは思った、だけど出雲の実家は大きいので資産もある、それを狙ってくる相手が居るかもしれないと言う事を父さんは言っているんだろうと思い頷いた

 

「楓君。妹さんが居たんですね、再会できて良かったじゃないですか」

 

「市街に居るなら言えよ。合流出来るように動いたのに」

 

美雪先輩と雄一郎はこの少女……魅啝を俺の妹か従兄妹だと思っているのか良かったじゃないかと笑う。だけど桃は俺の家の事情を知っているので明らかに警戒の表情をしている

 

「勘違いをしているんじゃないかな?楓君のご両親から聞いているが、楓君のご両親は共にすでに血縁者と死に別れており、もしも親戚を名乗る者が現れたら警察に通報してくれと学校に連絡が入っている」

 

久遠教授の言葉に美雪先輩と雄一郎の笑顔が消えて、警戒の色が顔に浮かぶ。居る筈の無い妹……それが目の前に居る。それは恐怖にも近い感情を俺達に与えている

 

「……貴方達は私はお義兄様を取るの?なら……死ぬ?」

 

少女の気配が変わろうとした瞬間。御剣と名乗った男性がその手を掴み

 

「無礼を承知で申し上げます。魅啝様、この場は私にお預けください」

 

2回りは年下であろう少女に深く頭を下げる男性。この少女と男性の関係性が見えないと思っていたら今度はその男性は俺に向かって頭を下げながら

 

「無礼を承知でお尋ねします」

 

「無礼だなんて……俺は唯の高校生で」

 

こんな対応をされるべき人間じゃない。だからそんな対応をされても困ると言うと、御剣さんは何も知らずに育ったのですねと呟き

 

「貴方の父君の名前は新藤総司様ではございませんか?」

 

知らないはずの男性に父さんの名前を言われて思わず息を呑む、男性はそれを俺の返事としたのか満足そうに頷きながら、今度は着物の中から丸い何かを取り出した

 

「これに見覚えはありませんか?」

 

それは半分に欠けた何かの模様が刻まれた石の円盤……

 

「あっ……それって」

 

制服の内ポケットに手を伸ばし、お守りを取り出す。出雲を出る前に父さんに渡されたお守り。その封を開けると

 

「やはり」

 

男性が持っている円盤の左半分がそこにあった。それを確認すると片膝を付いて

 

「お探ししました。楓様、どうか我らと共に来て下さい。貴方のご友人そして恩師の身の安全は保証しますので」

 

丁寧な口調だが、それに命令の色を感じた俺はその円盤を握り締め後ずさりながら

 

「言うことを聞かないって言うなら、桃達に危害を加えるって事か」

 

「違います。そんな事は決して致しません」

 

「そう言ってる様にしか聞こえねえんだよッ!!!何なんだ!何なんだよ!あんた達はッ!!」

 

どうして見ず知らずの2人が俺の父さんの名前を知っている。そして桃達を人質に俺に何かをさせようとしている……俺は目の前の2人が悪魔よりも恐ろしく見えた。同じ人の姿をしているが、全く別の存在に見えたのだ。思わず後ずさり震えてしゃがみ込んでしまう

 

「あんた達が何物かは知らない、だけど楓は俺達の仲間なんだよ。楓はあんた達を怖がって怯えてる、どっか行ってくれよ」

 

「ああ。そうだな、貴方達が楓君を知っていても楓君は貴方達を知らない。どんな関係があったとしてもだ、貴方達は信用に値しない」

 

雄一郎と久遠教授が俺の前に立ってきっぱりと言う。しゃがんで震えている俺の頭を桃と美雪先輩が撫でてくれるが、身体の震えは収まらない、あの2人が怖くて仕方ないのだ

 

「楓さ……「……邪魔」がふっ!?」

 

男性が近寄ろうとした瞬間少女が拳を振るう、するとあの細腕で殴ったとは思えない音が響き、男性が血反吐を吐きながら瓦礫の山に頭から突っ込んでいく

 

「……話を聞いて欲しい、お義兄様がこの人達と居たいなら無理に連れて行かない。私もお母様にどうするか、聞かないといけない。少しでいい、私の話を聞いて欲しい。見た所……貴方達はとても疲れている。一緒に来てくれるならお風呂とベッドを用意する、話は明日にする。どうかお願いです、私の話を聞いてください、お義兄様」

 

懇願するようなその声を聞いて、顔を上げると魅啝と言う少女は涙を流しながら話を聞いてくれと繰り返し言っていた。その目には桃も久遠教授の姿も映っていない、俺だけを見つめているし漆黒の瞳。怖いと思った、だけどそれ以上にこれだけ泣かせているのは自分なのだと判った途端激しい罪悪感を覚えた

 

「……判った。話は聞く」

 

久遠教授と雄一郎が俺の名前を呼ぶ。怖いと思うのは事実だ。だけど、この少女は俺の知らない事を知っている。もしかしたらもう話す事の出来ない父さんの事を知っている、そう思うと恐怖心だけで彼女を拒絶する訳には行かないと思ったのだ

 

「だけど俺は久遠教授達と一緒に居る。君達とは一緒には行かない、それに絶対に久遠教授達に危害を加えないと約束してくれ」

 

「……お義兄様が話を聞いてくれるなら、その条件を全て飲みます。御剣が勝手な事をしてすいませんでした」

 

向こうが誠意を見せた以上。こっちも誠意を見せる必要がある

 

「すいません、久遠教授。それに皆……俺はあの子の話を聞いてみるよ」

 

勝手に決めてすいませんと頭を下げると久遠教授は仕方ないと呟き

 

「それで移動するのか?それなら車を出すが?」

 

「私と御剣は悪魔で移動します、ゆっくりめに移動するので着いて来て下さい」

 

自身の影から狼のような悪魔を呼び出し、その背に座る少女。俺達が車に乗り込むとゆっくりと歩き始める。男性の方は悪魔に咥えられ運ばれているのを見て大丈夫なのか?と少しだけ心配になったが……その姿を見ていると桃が

 

「大丈夫なの?楓のお父さんが言ってたじゃない。気をつけろって」

 

「判ってる。それは判ってるけど、俺の知らない父さんの事をあの人達は知っている。それを知りたいんだ」

 

「仕方ないですね。ただあの少女が随分と偉い人のようなので約束を反故にされる事は無さそうなのが幸いですが」

 

「とりあえず、早くコロポックルが回復してくれないとな」

 

雄一郎の言葉にそうだなと返事を返すと、久遠教授がそろそろ止まるみたいだと呟く、顔を上げるとそこは神社だった。御堂の中に入っていく少女の後を付いていくと、お堂の中に階段がありそれを降りていく

 

「これは」

 

「すごいな……」

 

神社の地下。そこには鉄で出来た通路が広がっており、遠めで見ても沢山の人の姿があった

 

「日本の悪魔使いの総本山「ヤタガラス」へようこそ」

 

驚いている俺達に魅啝は穏やかに微笑みながら、こちらですと言って歩き出した。俺達ははぐれないように慌てて、その背中を追って歩き出すのだった……

 

 

 

 

日本の悪魔使いの総本山……ヤタガラスと言う地下組織に案内された俺達は源泉掛け流しの温泉で疲れを癒し、暖かい日の香りのする布団で眠った。疲れが溜まっていたせいか、俺が目を覚ましたのは昼過ぎの事だった……外で背筋を伸ばしている男性に案内された部屋では、楓達の姿があり、俺が1番遅かったのだと判った

 

「……ご昼食を用意しますが、和食が良いでしょうか?」

 

「米あるのか!?」

 

「ありますよ。ヤタガラスは日本の影から守護する組織。このような状況にあっても、日本政府より支援を受けております」

 

米が食えるなら米が良いと楓が返事をすると魅啝はではその様にと頷き、暫くお待ちくださいと言って部屋を出て行った

 

「おはよう。雄一郎」

 

「ああ、おはよう、寝過ごしたみたいですまない」

 

俺が謝ると楓達は笑いながら、俺達も起きたのはついさっきだと教えてくれた。皆疲れが溜まっているから、起きれないのは当然だろ?と言われてそれもそうかと頷き椅子に座ると、俺におはようと声こそ掛けてくれた桃子と久遠先輩だったが、視線は俺ではなく、手元のお茶請けと湯のみに向けられていた

 

「ほふう……久しぶりの大福が美味しい」

 

「ですね……熱いお茶もとても美味しいです」

 

久しぶりの甘味か……そういや甘い物と言えば飴とチョコくらいだったなと思っていると楓が湯のみとお茶請け皿を置きながら

 

「ほら。雄一郎も食えよ、良い餡子使ってるぞ?これ」

 

差し出された大福を齧ると確かにいい餡子を使っているのが判る。上品な甘さと言う奴だ

 

「外があんな有様でもこんなに良い物を食べているか……正直軽蔑するレベルだな」

 

久遠教授がそう呟く、確かにこれだけの食料を持っているのなら配給でも何でもすれば良いのにと思っていると魅啝が戻ってきて

 

「……1時間ほどでご用意をするそうです。その間に話をしてもよろしいでしょうか?お義兄様?」

 

俺達には目もくれず楓だけを見つめ続けるその姿は黒い巫女装束と合わせてかなり不気味に映る。それになんと言うかどことなく人間味が薄いようにも思える。まるで人形のようだ

 

「あ、ああ。そうだな、そう言う約束だもんな。いいぜ、話を聞かせてくれ」

 

楓が良いと言うと、その無表情を僅かに変化させて嬉しそうに笑いながら魅啝は神堂と新藤について話し始めるのだった……それは空想と言って笑いたくなるような話だったが、今起きている現象を知れば現実なのだと判る。それほどまでに信じがたい話だった……

 

「神堂と新藤は本家と分家と言う存在で、私の母「神堂朧(しんどうおぼろ)」が現在の当主です。そして新藤の家は「新藤総司(しんどうそうじ)」つまりお義兄様の父上が当主となるはずでしたが、18年前に失踪し新藤の家は今は存在していません」

 

分家と本家?……漫画とかアニメでは良く聞くが実際に言われると良く判らない。俺が首を傾げていると久遠先輩が小声で

 

(雄一郎君。分家と本家とは簡単に言えば従兄妹のようなものです、分家は本家で生まれた次男が継いで、その血を絶やさないという風に、戦国時代や、有名な武将の血を引く家が行う血を絶やさないための処置ですね)

 

なるほど……じゃあもしかすると楓は凄い血筋だったのか……いや、そんなのは別に気にしないんだが、楓は俺の親友。それで良い、楓が何であれそれは変わらない。楓が何かを深く考え込む素振りを見せているので小声で

 

(どうかしたのか?)

 

(いや、大したことじゃないんだけどな)

 

気になることがあるんだ。と呟く楓……その顔は真剣そのもので、よっぽど何か引っかかる事があるのか?俺で力になれるなら話を聞いてやりたいが、正直俺は馬鹿だ。分家と本家とか、もう完全に俺の理解を超えている。だから力になれないのが悔しいと思っていると久遠教授も楓と同じく真剣な表情をし

 

「神堂と新藤は何故そこまでして血を残そうとしている?」

 

久遠教授の質問に魅啝は一瞬不機嫌そうな顔をしたが、楓の視線が向けられるとまた笑みを浮かべ

 

「神堂と新藤は悪魔使いとして日本を古来より護っておりました。神堂には長い間受け継がれて来た鬼。前鬼、後鬼。新藤はその血脈自身が強力な触媒となり、強力な悪魔を使役し、平安の時より日本を護り続けておりました」

 

信じられない話だが、俺は心のどこかで納得していた。コボルトと戦っている時に楓がケルベロスを呼び出したのも、もしかするとその血のおかげだったのかもしれない

 

「じゃあ、魅啝教えてくれ、ヤタガラスとは何だ?」

 

楓の問いかけに魅啝は判りました。お義兄様と嬉しそうに返事を返してから口を開いた

 

「ヤタガラスは天皇の傘下の元日本を護る為の悪魔使いの組織です。本来はヤタガラスに神堂は参加しないのですが、実践レベルに耐えれる悪魔使いが居ないと言う事で神堂から何人かの悪魔使いを派遣しております。私もその1人ですね」

 

天皇に認められた悪魔使い……俺達が知らないだけで悪魔使いや悪魔の存在は日常の中にあったのか……

 

「……お義兄様は悪魔使いとしての才能があると思いますので、ヤタガラスが「必要ない。俺達は皆悪魔と契約してる。ずっと一緒に居て信用してる」……っそ、そうでしたか。それは失礼しました」

 

ぺこりと頭を下げる魅啝だが、その顔は若干悔しそうだった。ヤタガラスが保有している悪魔と契約すれば、どこに居ても俺達の場所を知られるという事だ。楓はそれを避けたかったのだろう

 

(まだ信用はしていないって事だな)

 

まぁそれは当然の話だ、俺達を人質にするような口ぶりをし、突然自分の事を兄と呼ぶ少女……誰がどう考えたって信用出来る訳が無い。俺から見てもぴりぴりしている楓、桃子や久遠先輩が話に割り込まないのも当然だろう。こんな楓は今まで見た事が無かった

 

「それで悪魔の大量発生の原因は判ってるのか?他の街の状態とかは?」

 

「調査中ですが、聖書に記される悪魔や天使が動いているそうです。この件の解決まではまだ時間が掛かるかと、街の方も同じく今は調査段階です」

 

その言葉に更に楓の纏う気配が代わっていく、不信感が強くなっているんだろうな……それにまだどうしても聞かなければならないことが残っている

 

「どうして君は俺を知っている?そして何故お兄様と呼ぶ?」

 

彼女の言葉には楓に対する強い信頼と愛情が言葉の節節に感じられた。だが楓は目の前の少女を知らないし、それなのに目の前の少女は自分を知っている。その事に対して恐怖心を抱くのは当然の事だ

 

「私は……幼い時より何度も話に聞いておりました。我が母の兄であり、お義兄様の父上様新藤総司そして、その息子であるお義兄様の事を」

 

その言葉に楓の顔が引き攣る。子供のときから自分は神堂の家に監視されていた、その可能性を感じているのだろう。だが

魅啝は楓の表情の変化に気付かず、笑みを深めながら

 

「お母様に言われました。悪魔使いとしてではなく、女としても己を磨けと、そしていつか会わせて頂けるとだから私は色んなことを学びました。華道に、料理、家事に、裁縫。お義兄様に褒めて貰えるように私はとてもとても頑張りました。だからこうしてあえてとても嬉しいです」

 

邪気の無いその外見に相応しい笑みだが、その目に光は無く、どこまでの暗い漆黒の瞳で楓を見つめ続けていた。きっとその目には楓の姿しか映されていない、常軌を脱した光を宿していた。係わり合いになるべきではない、俺も久遠先輩もきっと同じ様に考えて居る筈だ。だが楓の返答は俺の予想と違っていた

 

「そっか、ありがとう、こうしてあえて嬉しいよ。いないと思っていた親戚だ、こうしてあえて嬉しいのは本当だ」

 

まさかのあえて嬉しいの言葉に絶句するが、楓はだけどとはっきりとした口調で言うと

 

「俺の知らない事を色々教えてくれてありがとう、でも俺達は俺達の友達や家族を探す為に動く、昼食もいらない。縁があったら会おう」

 

その言葉に顔を上げる魅啝の顔は悲しみに溢れていて、楓はその顔を見て悲しそうな表情をしたが楓はきっぱりとした口調で

 

「俺は俺の道を進む。だから魅啝とは一緒には行かない。行こう」

 

米を食いたいとは思ったが、こんな組織で出される物だ。どんな混ぜ物が入っているか判らない……まーさっき喰っちまった大福が少し心配だけど

 

「……大丈夫ですよね?後で死んだりしませんよね?」

 

「大丈夫だと……思います」

 

「大丈夫に決まっている。楓君をこいつらは殺すつもりは無い、だから楓君にと渡された6個の大福には確実に毒は入っていない」

 

そっか、それなら安心だなと笑いながらその部屋を出ようとすると、思考停止から復活した魅啝が楓に縋りつく

 

「ま、待って!い、いかないで!ヤタガラスが嫌なら、私もヤタガラスを抜けるから……嫌いにならないで……」

 

違う違うの私はそんな事を考えてないのと涙ながらに訴える魅啝。その姿は見た目よりも遥かに幼いように見えた。

 

「違う、嫌いとかそうじゃない。だけどここはちゃんとした組織だろ?民間人の俺達がいたらおかしい」

 

「そんな事を言う人は「組織は組織としてちゃんと規律を持って動くべきだ。じゃないと示しがつかないだろう?」

 

楓は理路整然とした口調で魅啝を窘めている。俺達だけを特別扱いをしたら家族や子供、恋人を連れて来たいと思っているほかの悪魔使いの反発を生む。こんな状況で仲間割れは駄目だと何度も説明する楓

 

「だからまた生きてたら会おう、従兄妹なんだろ?やっと会えた血縁者だ。仲良くはしたいと思う、したいとは思うけど俺も時間が欲しい。どうしても困ったら連絡する、スマホ持ってるだろう?電話番号とアドレスを交換しておこう」

 

「は、はい……」

 

神堂と新藤とか言われても、俺はそんな事を今まで知らなかった。お前が従兄妹だとしても、俺はそれを知らなかった気持ちを整理する時間が欲しい。ここまで言われたら魅啝はこれ以上我侭を言う事が出来ないと思ったのか、涙を拭いながら、判りましたと頷き、やっと楓の服から手を放すのだった……

 

「結局の所。どうするんだ?楓?あの魅啝って子」

 

車に揺られ、繁華街へ向かう道路を走っている中。楓にそう尋ねる、魅啝はかなり楓の事を心配していたのか

 

「判りました。食料や武器などをお分けします。どうかご無事で」

 

何時の間にか、車の屋根に取り付けるルーフボックスが取り付けられ、そこに缶詰や開封しない限りは日持ちする水。それに無洗米が詰め込まれ、車の前にはちゃんとしたナイフや、剣。それに拳銃の山があり、いくつかを貰って来たなんか怖かった

 

「いや、正直怖い。なんかあの子絶対俺から目を逸らさないし、ずっと見てるし、なんか人形みたいで怖かった」

 

楓の言葉うんうんと全員で頷く、楓が動いたらその分だけ動くし、目を逸らす事もない。見ていても思った、この子怖いって、そして漫画とかアニメとかで見るヤンデレって奴じゃないか?って思った物だ。と言うか、確実にそれっぽい、ずっと前に母親に貰ったと言う写真で見た楓がお前の兄と言われ、会った事もない楓に褒めてもらえるように色んな事を覚えたと無表情なのに頬を赤く染めると言う器用な事をしながら言った魅啝はかなり怖かった

 

「あの子、絶対危ない子だよ。気をつけたほうが良いよ」

 

「うん、それは判ってる」

 

「ですね、凄く危ない子にしか思えませんでしたし」

 

俺達が魅啝について話していると久遠教授は苦笑しながら

 

「まぁあの娘が危険だとしても、食料と武器をくれた事には感謝しよう。それよりもだ、そろそろだぞ」

 

久遠教授の言葉に視線を前に向けると、今もなお燃えているビルや車が見えてくる

 

「ヤタガラス達の話では、この繁華街に生存者が集まっていて、悪魔も多いという。だがこの街を出るにはここを通るしかない。気を緩めるなよ、ここから先は今まで見たいに甘い場所じゃない」

 

久遠教授の言葉に背筋に冷たい汗が流れるのを感じつつ、久遠教授の運転する4WDはボロボロで瓦礫の山となっている繁華街へ続く道路を進むのだった……

 

 

第3章 市街編その2 悪魔憑きと悪魔使い

 

 

 

 




チャプター16 繁華街へ続く

ここで市街編その1は終了です。次回は生存者や悪魔をメインにした、ホラー系に重点を置いて書いて行こうと思います。
それと判っていると思いますが、神堂家は女神転生で言うロウルートです。ロウルート頭おかしいを合言葉に書いて行こうと思っているので今後ちょっとやばい系の話が増えるかもしれないですが、メガテンらしさの1つなのでそれを演出できるように頑張っていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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