GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。 作:桐生 勇太
さて、全員のレベル上げを開始してから2日目、晴れて全員レベル99になった。そこで、全員に昨日見た夢の話をした。
「………本当ですか?」
アリアは驚いているが私を信じてくれたようだ。
「本当だ。確かに覚えている。あの女は自分のことをゲムムと呼んでいた」
「だけど、探そうにもどこにいるのかわからないんだろう? どうするのさ?」
そこなんだよな。このままじゃどうしようもない。差し当たって、適当に探すにもこの世界は広すぎる。
「とりあえず、また彼女から接続が来るかもしれない。今日1日はこの地点から動かないようにしよう」
その日の夢
こんどは丘のようなところだった。ベンチに彼女が座っている。何となく隣に腰かけた。
「こんばんは。 昨日言いきれなかったことを言っていきましょう。今日もそこまで時間がありません」
………なんでもいいが、なぜ景色が変わっている?
「この前に「殺風景なのをどうにかしろ」といわれましたので……お嫌いでした?
うん、あれを真に受けるとか、まじめかお前は。
「あら、冗談だったのですか?」
………まあな。
「さて、このまま2人きりでのんびりおしゃべりというのも魅力的ですが、本題に入りましょう。まず、勇者は目が覚めた時にあなたが1番最初に視界に入った木の方角にある街にいます。名前は杉原 要 (すぎはら かなめ)で、歳は17歳です。どうかよろしくお願いします」
よろしくというところから察するに、いま勇者はピンチなのか?
「ピンチというほどではありませんが、奴隷商人に騙されて、奴隷になってしまいました。現在売り出し中です」
…何かと思えば大ピンチじゃないか。すぐに行かねば。
「まあゆっくり行ってもいいんですけどね」
なぜだ?
「奴隷商人は勇者の力を見込んで奴隷にしましたが、彼女の髪は黒髪…もうわかりますね?
…なるほど、誰も気味悪がって買わないと。
「そういうことです。なので、ほとんど心配はないかと…」
だが、17歳の少女にそんなところにいさせるのはかわいそうだろう。すぐにでも行こう。
………そういえば、元いた世界では自分のことを神といったやつには天罰が落ちていたらしいが、この世界ではどうなんだ?
「当然、天罰が落ちます。ですが、あなたは特別枠ですね」
そうなのか。まあ正真正銘神だからな。とりあえず、すぐに行こうと思う。
「分かりました。それではまた…」
ああ、じゃあな。
「………特別枠といいましたが、私の予想が正しければ、あなたはいずれきっと………」
で、目が覚めた。最後に何か言おうとしていた気がするが、まあいいだろう
「えーと、最初に目に入った木………あれか。みんな、どうやらあっちに勇者がいるらしい」
「ふあ………あっちですか? あっちは「龍の谷」ですね」
「ふむ、「龍の谷」とな。どういう場所だ?」
「ええと、谷間の間に集落があって、魔鉱石の鉱山があるんです。気象の相性がいい場所で、火、水、風、土すべての魔鉱石がザクザクとれるんです。ですが、ここのところはあまり採れていないようです」
ああ、不作というやつか。っていうか、魔鉱石ってなんだ?
「魔鉱石とは?」
「魔鉱石は、魔物の体内にある魔石と同じものです。魔力の流れの中で、その魔力が結晶化したものです。物を入れたりすることができるものもありますが、大抵は持ち主の魔法の補助ですね」
「へえ、便利だな」
「あとは、危険がありますが魔石を食べればその魔力を体内に吸収できるそうです。魔法の適性がない人にとっての裏技だったようですが、死んでしまう人が出たので禁止されました」
適正っていうとあれか、火を使うには火の適性、水には水の適性といった感じだろう。
「最後に、なぜ「龍の谷」と呼ばれているんだ?」
「ええと、いろいろ諸説ありまして、「恐ろしく強い龍が眠っている」とも、「過去に龍の巣だった」ともいわれています」
へえ、結構面白そうなところなんだな。早速行ってみよう。
お読みいただきありがとうございました。