GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。   作:桐生 勇太

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第26GAME:黎斗神と「龍の谷」領主

 要をなだめてから、外に出てアリア達と合流すると、近くに馬車が止まっていた。聞けば、騙されて奴隷にされていたやつらをイーグル国で保護する為に連絡した際、クライシィの名前を使ったために領主があいさつに来たようだ。

 

「面倒になったな……まあいい、要、君は宿で待っていろ。クリス、彼女についてやってくれ。私たちは領主に対応する」

 

「あの男…どこかで」

 

「あったことがあるのか? 要」

 

 しばらくうんうんうなっていたが、思い出しそうにもない。要を置いて、領主の屋敷へと向かった。

 

 

 

 

領主の屋敷

 

「こんにちは。私はここの集落の領主をやっているザタンと申します」

 

「イーグル国の第二王女、クライシィ=イーグルです」

 

「イーグル国王宮聖騎士団隊長ミリカ=ローデンだよ」

 

「勇者ではないが勇者パーティのリーダー、檀 黎斗神だ」

 

 ザタンて……いかにも悪魔みたいな名前だな。顔もなんだかオークみたいで、笑顔も下卑た笑いに見える…いやいや、人を見た目で判断するのはよくないな、うん。

 

「特に用があったわけではないのですが、一国の王女様が来たとあっては、あいさつしないわけにもいきますまい。どうぞごゆるりと…」

 

 ん?

 

「お父様と5年ほど前に来たことがありますけど、領主様は変わられたのですね。前の領主は、もう引退を?」

 

「いえ、前の方は、はやり病で………」

 

 ん?

 

「最近は、魔鉱石の採掘量が減っているのだとか……」

 

「はあ、最近は従来の炭鉱夫を募集するやり方ではなく、近くにあった奴隷商館から買った奴隷でやっているのですが、いかんせん仕事が雑でして…あまり振るわないのです」

 

 ん?

 

「おい、ちょっと待て」

 

 たまりかねて声を上げた。

 

「お前、ザタンだったか? さっきから何故嘘ばかりつく?」

 

 そう、こいつ、さっきから嘘まみれなのだ。自己紹介から今まで全て。

 

「おやおや、どういうことでしょう?」

 

「自慢じゃないが、私も元は本当の自分を隠して医者などをだまくらかしたことがあるからな。なまじ嘘をついていないさ。相手の話していることが嘘か本当かは、一発でわかる」

 

「はっはっは、御冗談を」

 

「とぼけるな。最初は「一国の~」の部分で1つ、「はやり病~」で2つ、「あまり振るわない~」で3つだ、説明してもらおうか」

 

「嘘をつかずに本当のことを言っていますのに、それを説明しろと申されましても…ねえ?」

 

 問い詰めるが、右に左にかわされる。ぐっ、確かにこいつの嘘を崩す証拠も何もないが…おのれ。

 

結局吐かせることのできないまま、話し合いは終わってしまった。

 

 

 

 

宿

 

 こうなったら、要に頼るしかない。何か知っている風だったし…

 

「思い出した。あれは、奴隷商館にいたときに、あいつが来たんだ」

 

 話を聞いてみると、どうやらあいつは採掘した魔鉱石を隠匿しているらしい………待てよ、となると……いったん情報を整理して考えてみよう。

 

1:ここは龍の谷、伝説によると龍が眠っているとか

 

2:最近魔鉱石の採掘量が減っているらしい

 

3:領主の挨拶はクライシィに会うためではない

 

4:あの場にいたのは私、クライシィ、ミリカの3人

 

5:前の領主ははやり病以外が死因

 

6:本当は魔鉱石の採掘量は減っていない

 

7:今領主は魔鉱石をおそらく大量に隠匿している

 

8:昔は人間に魔石、魔鉱石を食べさせるとパワーアップした

 

(8):もしかすると動物が魔石や魔鉱石を食べてもパワーアップする?

 

「………わかった………が、やばい、これはまずいぞ…!」

 

「どうしたんだい?」

 

「みんな、よく聞いてくれ、もしかすると、この前言っていた邪龍が出てくるかもしれん」

 

 この言葉に、全員が驚きの表情を浮かべた。

 

「邪龍って言ったら、あの魔王よりも強いとかいう…?」

 

「まず順を追って説明するぞ。最初に領主があいさつに来た理由は、クライシィに会うためではなく、ミリカに会うためだ」

 

「え? アタシ?」

 

「そうだ。例えばあの領主が悪人で、なにか隠し事があったとしたら、王宮御用達の聖騎士が来たら、誰だって焦るだろう。「バレたんじゃないか」ってな」

 

「ふむ………」

 

「次だ。前の領主はおそらく今の領主に殺されている」

 

「「「「「「ええ!?」」」」」」

 

「あの時、「はやり病で死んだ」と言うのは嘘だった。だが、事故なら事故死と言えばいい。それができないのは、よっぽど間抜けな死に方をしたか、殺されたからのどちらかだ」

 

「ならそれでアタシに警戒を…」

 

「それ「も」あるな」

 

「え?」

 

「次行くぞ。これも私の勘だが、確信がある。魔鉱石の採掘量が減っているというのは嘘だ。本来なら雇われた炭鉱夫たちがいるかぎり、採掘量の嘘などすぐにばれるが、買われた奴隷ならそうもいかん。誰にも言うことができんはずだ。特に、主人の命令は絶対…いうなと言われたら、言えるやつはいないだろう」

 

「何故そんなことを? 魔鉱石は、売ることでしかほとんど使えません。魔法の補助にしても、使い終えたのなら空になった魔鉱石が残るはずです」

 

「聞き逃していたが、魔石、または魔鉱石を魔獣や龍が食べたらどうなる?」

 

「………聞いたことはありませんが、恐ろしい進化を遂げると言われています」

 

「最後の質問だ。ここはなんて谷だ?」

 

「「「「「「龍の谷………あ…!」」」」」」

 

 そう、あいつは眠っている邪龍にためた魔鉱石全てを食べさせて超強化するつもりだ。おそらく、邪龍の体に細工でもして「目ざめた時にザタンの命令に服従する」とでもしているんだろう。




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