GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。   作:桐生 勇太

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第3GAME:黎斗神の圧倒的なパワー

「さあ、こい! 神の力を見せてやる!」

 

「…っいいだろう! 暗黒騎士団隊長クリスが相手だ!」

 

 さぁて、一気に終わらせるか…

 

 お互いの武器が交錯し火花が飛び散る。剣の自信はあるようだし、事実強いが、私の敵ではないな…あっさりクリスとかいうやつの剣を跳ね飛ばした。

 

「ふっ他愛もないな」

 

「ぐっ…なんという強さだ…なぜ、これほどの力を…?」

 

「当たり前だ。私は「ギリギリチャンバラ」を作る為に剣術の動きを不眠不休でマスターしたのだぞ!! バグスターの設定では、もっと大変だったしなぁ! おかげで、「ゲーム ギリギリチャンバラは敵の動きがリアルでいい」ということで大ヒットしたわ!!」

 

「…?」

 

 あ、こいつ理解してないな。まぁ当たり前か、この世界にはゲームなさそうだし。

 

「おのれ、こうなれば、いでよ! ヘイロン!」

 

 クリスが地面に黒い水晶のようなものを投げつけると、また地面から黒い炎が上がった。しかし、さっきと比べるとはるかに炎がでかい。その中から、15Mはありそうな黒いドラゴンが出てきた。

 

「ッ!? こいつは!?」

 

「A級モンスターヘイロンだ! 龍の業火に焼かれるがいい!」

 

 ドラゴンが雄たけびとともに、火の玉を噴き出した。いかん、結構熱い。ライフゲージが1つ削られた。

 

「…ちっ、おのれっ! ふん!!」

 

 1気に距離を詰め、ドラゴンにアッパーカットを叩き込む。結構効いたようだ。前歯が少し砕けた。

 

「もう1発!」

 

 ガシャコンブレイカーを振ったが、上空に飛び、避けられてしまった。

 

「ヘイロン! そのまま空中から攻撃し続けろ! 奴はおそらく魔法は使えん!」

 

 まずいな…ドラゴンが降りてこない。上空からドカドカ火の玉を吐いてくる。このままではジリ便だ。

 

「【ジャンプ強化】のエナジーアイテムを使っても、届きそうにないな…あ、そうか…よしっ!」

 

 あのアイテムを使えるな。使うのは、2つだ!

 

 素早く近くのブロックを壊し、【ジャンプ強化】と【伸縮】のエナジーアイテムを取った。

 

「よし…とぉうっ!」

 

 ジャンプ強化の力により、通常よりも高く飛ぶ。だがそれでもドラゴンに届かない。

 

「まだだっ!」

 

 【伸縮】の効果により、私の左腕が伸びる。その手はがっしりとドラゴンの足をつかみ、ドラゴンの動きを止めた。

 

「いよし! 今だ…くらえ!」

 

 今度は右腕に持っているガシャコンブレイカーをハンマーの状態にし、腕を伸ばして思い切りドラゴンの頭を殴った。気絶したドラゴンは、真っ逆さまに広場に落っこちた。

 

「見たかぁ! 私の力を!!」

 

 ドラゴンは完全に気絶したようだ。これぞ「完全勝利」というやつだな。ふっふっふ…さすがは、私だな。

 

「バ、バカな…召喚されてまだ間もない、脆弱な存在のはずなのに…A級モンスターを、たった一人で…」

 

「当たり前だろう! なんせ、私は神だからなぁ!」

 

 言ってるそばに、クリスのやつが逃げ出していた。捕まえようと走り出すと、クリスの目の前に巨大なホログラフのようなものが浮かび上がった…………って、あのホログラフに移っている奴、どう見ても「タドルファンタジー」に出てくる主人公の魔王だが…やつがクライシィの言っていたこの世界の魔王ということか?

 

「暗黒騎士クリスよ、その様子では、どうやら勇者の排除は失敗したようだな」

 

「も、申し訳ありません…しかし! 次こそは…」

 

「次などはない…使えぬものはこの魔王軍には要らん。死ね」

 

「ま、魔王さ…

 

 空中の何もない場所から巨大な鎌が降ってくる。クリスの体が真っ二つに切られ……ることはなかった。

 

「フン、ずいぶんなブラック企業だな。ラヴリカがいた時のゲンムコーポレーションといい勝負だ」

 

 すんでのところで割り込み、ガシャコンブレイカーの剣モードで鎌を受け止めた。

 

「む? おかしな奴よの。敵を助けるとは…」

 

「当たり前だろう。敵と言えども、こいつもまたこの世界に生まれた美しい命の1つだからな」

 

「フフフ…まあよかろう、勇者よ…いや、神だったか? 我が魔王城へ来るといい。貴様の力なら、すぐにたどり着けよう…」

 

 言葉を残し、魔王は消えた。それにしても、ものすごいプレッシャーだったな…マジ切れしたポッピーくらいあったぞ。思わず正座しそうになってしまった。

 

「けがはないか? クリスとか言ったな…」

 

「て、敵に助けられるとは…なんという屈辱…」

 

 何を言っとるんだこいつ、人が助けてやったのに、しょっぱいやつだな…

 

「あほかお前は」

 

「な、何だと!?」

 

「今更敵もくそもないだろう。自分の上司に捨てられたくせに」

 

「うぐっ」

 

 まったく…まあいいだろう、こいつの剣技はそこそこ使えるしな…

 

「よし、今日からお前は私の部下だ」

 

「はぁ!? そんな急に…

 

「行く当てはあるのか?」

 

「……………………」

 

「そらみろ」

 

 しかし、広場にいた人はみんないなくなったな。逃げ足の速いことだ。そうこう考えていると、クライシィがやってきた。

 

「見ていましたよ! 黎斗神様~!」

 

 あの女、さらっと逃げていたな。まあ別にいてもいなくても変わらんだろうし、かまわないが。変身を解除し、そばへと駆け寄る。

 

「無事か?」

 

「はい。黎斗神様のおかげで、私も国民の皆さんもけがはありません」

 

 うむ。よしよし、さすが私だな。

 

「それにしても、すごいですね! その不思議な鎧で、暗黒騎士を倒し、黒龍を圧倒し、その上魔王の一撃を止めるなんて! おまけに手が伸びるなんて…すごすぎますよ!」

 

「いや…本来ならば、さっき鎌を受け止めた時に、私は切られていた」

 

 クライシィにガシャコンブレイカーを見せる。鎌を受け止めた場所が綺麗に切られていた。日本刀で木を切ったように、剣身がかけることなく完璧に切れている。

 

「どうやら魔王はすんでのところで鎌を止めたようだ…しかし、なぜ?」

 

 問題はそこだな。しかし、いかにレベル差があろうとも、折れず、曲がらずのはずの私の作ったガシャコンウェポンをあっさり切るとは…恐ろしい奴だ。やはり何か目的が…?

 

「ふむ、わからんな。あのお方は、いつも何を考えいるかわからん。」

 

「そうですね…って! あ、暗黒騎士!? まだここに…

 

 む、そうだ、言い忘れるところだったな。

 

「クライシィ、こいつは今日から私の部下だ。覚えておけよ」

 

「えええぇぇぇ!!?」

 

 さて、とりあえず、ゲームの場合、こういう時の勇者はまず国王に会うんだったな…よし、会いに行くとするか。




お読みいただきありがとうございました。
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