GM(ゲームマスター)は異世界に行ってもGMのようです。 作:桐生 勇太
その後の話は早かった。とりあえず今日1日は城に泊まり、出発は明日ということだ。
今はクライシィに私とクリスの部屋を案内してもらっているところだ。
「行くなら早めのほうがよかったのだが…まあいいだろう」
「申し訳ありません。黎斗神様…お父様がどうしても、明日の朝にしてほしいと…」
なぜだろうな、今日は戦い続きだったから、よく休めということか?
「おそらく、国民に今日のうちに説明をし、明日盛大に送り出すつもりなのだろう」
クライシィと2人で首をひねっていると、突然クリスが話に入ってきた。なるほどそういうことか。
「なるほど…えっと、着きました。ここがお2人のお部屋です」
なるほど…2人で1部屋を使うのか。なんだか学生時代の修学旅行みたいでテンション上がるな。
「な、聞いてないぞ! なぜ私がこんな奴と!」
うおい、失礼な奴だな。せっかく神であるこの私と一緒の部屋だというのに…
「私は嫌だ! 何されるかわからん!!」
「何かするわけないだろうが。誰が好き好んで野郎を襲う? バカめ」
「な、何だと!?」
男好きの訳ないだろうが。私はいたって健全だぞ。むしろ女性と同じ部屋とか緊張するタイプだしな。
「あーもううるさい奴だな。いいから入れ。ほれ。じゃあまた明日来てくれ」
手早くクリスを部屋に押し込み、手短にクライシィと別れた。
「うう、ほんとに襲わないか?」
おい、なんだこいつ、女みたいに体をくねらせて自分の体を抱きしめだしたぞ。まさかこいつ…俗に言うオカマとかいうやつか?
「やはり1緒の部屋は嫌だな…気持ち悪い」
「なぜそこまで嫌われねばならん!? うぐぅ、なぜ私はこんな奴を…」
いや、考えすぎだな。そんなことはないさ、うん。きっと昔にオカマとの間で苦い思い出があるんだろう。そっとしておいてやろう。
「あーなんだ、クリス、その…強く生きろよ」
「…?」
「ふむ、この部屋にはどうやら風呂がついているようだな。早速入るとするか」
「いや、いい。先に入ってくれ私はその間に鎧を脱いでおく…見るなよ?」
誰が見るか。まったく、私を何だと思っているんだ。神だぞ、コラ。
数10分後
「なかなかいい湯だったな…おい、空いたぞ…む? クリス? どこに行った?」
いつの間にかクリスが部屋からいなくなっていた。代わりに、部屋にはブロンド長髪の女性が一人だけだ。この城の使用人か何かだろうか?
「すまない。ちょっといいかな? さっきまでもう1人いたはずなんだが、あったりしてないかい?」
「…? 何を言ってるのだ? 私はここにいるぞ?」
雷に打たれたような衝撃が走った。まさ、まさか…
「クリス、お前はもしかすると…女なのか?」
「! まさか、気づいていなかったのか?」
ま、マジかいな…………………………
次の日
結局眠ったのは布団に入ってから3時間した後だった。眠い…
手早く出された朝食を食べた後、「こいつは誰だ?」という顔をするクライシィにクリスの性別を説明すると、とても驚いていた。クリスが「私の鑑定された情報を見れば一目瞭然だろう」と言っていたが、クライシィはその時は思考停止状態で見ていなかったという。…おかしいな。私はちゃんと見たはずだが、性別が分かるようなもの、あったか?
何やかんだで、もう出発の時間だ。荷物をまとめて、あとは国が用意したパレードまがいの道を通れば冒険開始というわけだ。というときに、ミリカが会いに来た。
「アタシも連れて行ってくれ。必ず役に立ってみせる」
だそうだ。断る理由も特にないので、好きにしろという方向にした。
さあ、いよいよ私の神話が始まるぞぅ。フフフ………
お読みいただきありがとうございました。