今回の戦闘でドロップした物は。
FAD レア
SIG556 ノーマル
MP5 ノーマル
P226 ノーマル
グレネード数個。
装備品数点。
あんま金にはならないだろうなぁ、FADはまぁ少しは高いだろうけど。
そして行きつけのガンショップで提示された額は5万c。
「あのさぁ、ここ最近父さんからの仕送り少なくてさぁ生活するのでもカツカツなんだよ。今月まだ1万円しか稼げてなくてさ、こんなんじゃ生活出来たもんじゃないんだよ、あと1つ位上げてよ?俺との仲じゃん?」
「早くしてくれねぇかな?これからクランの会合あんだけど?」
ガンショップの店員、まぁ同じ学校の友達なんだが。
タクは俺の泣き落としに屈することなく値段をつける。なんと非情な男なのだ。
「だいたいお前実家暮らしだろ、むしろもっと下げてもいいんだぞアホ」
「いいから一桁あげろよ、OK押さなきゃ時間は只々浪費しちゃうぜ? 俺が根を上げるかお前が根を上げるか……」
「こっちにはキャンセルする権利があるのを忘れるな?」
「クソが」
最後に悪態を吐きつつ了承をする。
こいつは俺からの交渉を受けたことが一切ない、大体は分かっていたがワンチャンないかと毎回交渉をする、他のとこも知らないからぼったくられるのは目に見えてるから俺に選択肢はない。悲しいなあ。
「お前これから何すんだ?」
タクは少し吊り上がった口角を隠すことなく俺に話を振る、やっぱこいつはクソだ。
「ちょっとソロで戦場荒らそうかな、テキトーに知らん奴の頭でも抜きたくなってきた」
俺のライフワーク、荒らし。
戦場でテキトーに歩き回って倒せそうな小隊を狩ってチャリンさせてもらおう。
よくある雑魚狩りですね、あまり褒められた話じゃないけどそうやって強くなるんだよ。
新兵よ戦場は修羅の地獄ぞ。
「お前晒されてたぞ、古くせえ装備の荒らしがいるって」
「狩られる方が悪い。言っとくけど晒す奴はある程度の経験者だからな、本当の新兵は倒しても剥ぎ取らないし」
これはあるあるだがネットで晒しをしている奴だが基本的にアホ。
匿名を晒しても痛痒などあるわけない。
しかも実力で負けて晒すとか笑えるわ、そらネットマナーが悪い奴なら仕方ないけど俺がやってるのはちゃんと戦場で相手を倒して装備を剥ぎ取ってるだけだし。
屈伸とか死体撃ちとかしたことねぇし。
「そうだけどな、いつかしっぺ返しくるぞ?」
「そん時はこのゲームやめるか新しいアバター作るからどうでもいいよ」
「…………」
タクはなんだか納得のいかない表情だ。
「まぁ、お前の言ってることもわかるし程々にしておくよ」
最後にそう言い残し店を出る。時間はまだ夜の8時。
雑魚狩りの時間だ……イカンイカン。
クランルームに戻ると既に皆はおらずフレンドリストを見ると落ちている人やガチクランの方に顔を出していた。
メールボックスにはリッツとスカーからメールが入っている。
リッツ
「ACEの回収感謝です!」
スカー
「L115サンキューな」
「かまわんよ」
とだけ返信しておいた、死んだ時はお互い様だしね。
まぁ今回のドロップはやばかったけど。
ウィンドウを閉じ準備を始める。
もちろんメインはM39、ヘビバレアングルACOG。
サプでもいいけど弾速と弾道が変わるから付けないでおく、ブレも激しくなるし。
この銃はランカーの銃士Xさんの銃と似ているが残念ながらあれはレジェンダリーのM14EBRだ、ヘッド一撃胴体二発、反動軽減を付けずとも反動が軽く、重量も半分程のの2.5kになっている。
M39はヘッドは一撃でなくどうやっても二発必要、胴に至っては三発必要、反動が強く重量も4kと重くあまり使えたものではない、正直言うとタクの店で買ったものだ。
DMRカテゴリーの優秀なところは最低威力の高さでカス当たりでも相手の体力を2割持っていく。
他の物はカス当たりの場合ダメージなしということもあるので本当ありがたい。
サブはもちろんUNICA。
今更ながらこの銃の解説をすると10m以内だったら体は2発それ以降は4発かかる。しかし頭を抜けばどこからでも一撃のため重宝している、まぁ形とかが好きなだけで世間の評価はハズレジェンダリー武器だ。
あとはSMAWにSLAM
これもみんな使ってる。特にいい所は無いけど悪いとこも無い。
ということで出てきました。
ステージは市街地。
さっきのタクとの話のこともありこのステージのレベル制限は15、初心者は入ってこれないしこのステージの怖さを知る奴も入ってこない。
このステージは廃ビルがそこらかしこに立っており道を横断するとなればまぁ狙撃の的、上手い奴は走っててもクリティカルしてくるからもうめんどくさい。
まぁこれから俺がやることも同じようなことだけど。
俺はビルの陰や室内を通り狙撃スポットを探す。
下手な場所、つまりはあからさまな場所ではカウンタースナイプされるので気をつけなければならない。
例えばこの街最大のビル。
俺たちは都庁って呼んでいるあそこはこの街で一番激しい室内戦闘が起こる、別にあそこ以外でも無いことはないがあそこが一番やべー奴らが集まることで有名だから行かない。
俺みたいに長物を持って都庁に入ると小回りのきくサブマシンガンやショットガンの餌食になってあんなことやこんなことされるのが目に見えてる。
そんなことは良しとして俺がこの街でよく使うのはこの都庁周りにあるビル。
都庁に入る奴を狙うも良し、中で戦って消耗した奴を狙うも良し。
なんとも素晴らしい場所かな。
その中にあるビルの中に入る。
室内でDMRを使うとなるとまぁ取り回しが悪い、右を向けるにも左を向けるにも壁に当たる。
そのため室内ではUNICAを手に持ちクリアリングを行う。
VRはダイレクトに敵の気配を感じるため個人的には昔のゲームと違ってわかりやすいと思う、あまり同意をされる事は無いが。
結局は最上階付近にある一つの部屋に決め階段と出入り口に地雷を仕掛ける。
この世界のSLAMは対人をやってくれるのを知り非常に可愛らしく思えた。
部屋の隅にある椅子と机を窓の近くに設置すれば狙撃の準備は完了。
街ではポツポツと発砲音が聞こえており気が抜けない。
特に目の前の都庁では何度も発砲音が聞こえ、たまにマズルフラッシュも見える。
ちなみにここから都庁は狙わない、出てきてこのビルの側を通った奴を狙う。
そうしなければ俺が射線に出てとっても残念な事になる。
そう思っていると三人、都庁から出てくる者がいた。
様子を伺い一目散にこちらのビルの陰へと入り込んでくる。
はい、小隊様ご案内。
流石にここからは狙えないためビルを降りる。
その間しっかりとクリアリングをするが誰かいる様子はない。
ビルから小隊が通った道を見れば警戒しつつビルの陰を伝って撤退を試みている。
まずは1人、そっとM39を構え頭を狙う。
こちらに気付く事はなく進んで行く。
俺は最後尾の比較的軽装な敵兵の心臓をめがけ引き金を素早く二度引く。
敵兵はノックバックが発生しすぐに動く事はできない、すかさずもう一発胴に弾丸を撃ち込むとぐしゃりと崩れ落ちる。
この距離で軽装の相手なら胴に二発当たれば十分殺すことができる。
まずは1人。
残りの2人は俺をすぐに見つける。
残りの2人は重装なためおそらくこいつでも二発で殺す事はできないだろう。
とりあえず大まかな狙いをつけ弾倉に残った19発の弾丸を2人に撃ち込む。
当たったのはカス当たり含めて8発、よく当たった方だ。
しかし重装なだけあって体力は4割か3割程度しか削れていない。
相手もただ突っ立っているだけではなく、こちらは撃ち返してくる、おかげで1発いいのを貰い体力が3割減らされる。
体の大半をを隠していたためこの程度で済んだと思っておこう。
最後にフラグを投げつけ撤退。
ビルの吹き抜けから先程自分がいた位置を見る。
少しして敵さんに動きがある。
流石に顔真っ赤にはならないようで入り口にスモークを焚き視界が奪われる。
追いかけてくるんかい、って思うかもだけどあんだけ当てられて死なない相手にビビるわけもない。
視界が悪くなった吹き抜けから一旦下がる、チラと見えた敵の装備はM870とMac10、多分だがそうだろう。
室内戦装備に変え完璧狩りにきている。
良し良し、逃げられる方が面倒だから助かる。