前日、朝田さんと話したことで気持ちを切り替えることができた。
まぁやっちゃったもんは仕方ないよね。
今日も今日とてホームのソファーでTwitterを眺める。
朝田さんとかやってないのかな?
ゼクシードは今回不参加を表明、まぁ乗り物関係で強いアイテムねぇしな、もしくはチーム作れなかったか。
おそらくは後者か。
なに?アーマードコアの新作が出る?
嘘かよふざけんなや。
今日のステイサムは、、、同じやつか、まぁネタもあまりねぇよな。
月曜日はまだか?もしくはSEのあれは・・・。
身体は闘争を求める。
そうやってTwitterを見ているといつの間にかフチの色と同化した髪の毛の奴が枕元に立っていた。
なんと、チューしただけで亡霊となったか、南無阿弥陀色即是空。
もういいや。
「お疲れ」
ピッ、と右手を上げ挨拶をする、イメージは艇王。
「今日はどうするの?練習とか、バトルとか」
お、普通のシノンだ、よかったよかった今日もアレじゃ俺も対処のしょうがない。
「なんかするなら俺もやるけど、でもこのイベント別に何か練習するってなるとなにを練習しようかわからねえんだよな」
「そ・・・」
シノンは少し考える、そしてやってきたこととは。
「ね、ちょっとそっち行って」
「は?、え、どっち? こっち?こっち?こっち?」
「最後」
いつもの通りベシベシと俺を叩くが今日は方向が違う、いつもなら足を叩くが今日は肩を叩かれる、最後とはつまり奥側にズレろ。
あぁここ座んのね。
「ん、もうちょっとそっち」
シノンはあろうことかソファーに寝そべってきた。
「おイぃ!?ソファー使いたいなら退くけど!?」
「あぁもう、いいから寝ときなさいって」
どうした、別に密着することは良くあるがそれは不可抗力でやってきた、倒木の下なり狭い場所なりと。
ただ今日のこれは違う。
「別にいいじゃない、今更なんだから」
とうとうシノンは俺の前に収まる。
身体が小さいこともありすっぽりと収まるのが意外と心地いい、ただ持って10分だな、それ以上は耐えきれんくなるだろう。
「なぁシノン、どういった気の吹き回しだこれ?」
「・・・さぁ私もわかんない、リアルで人と話してちょっと吹っ切れたかもね」
「誰だその相手は」
「なぁに?嫉妬?」
くるりとこちらに寝返りをうつ、その瞳は挑戦的でこちらを試しているように見える。
「どんなアドバイスをしたのか説明を求めたい、40分くらい」
ほんと誰だ、そのバカは。
「別にアドバイスとかされてないわよ、ただ少し話して・・・、それだけよ」
「尚更だよ、お前はいいのかよ?」
「なにが?」
なにが!? 正気ですか?
「別にこっちくらい自分の思いに正直になってもいいかなって、そうは思わない?」
「そうして監獄に入れられたら残念だがな」
「押さない、って言ったら?」
「お前さぁ・・・」
ちょっと、ちょっと!
「たかがゲームよ・・・ちょっと待って」
そこでシノンは一度考えを巡らせ、立ち上がる。
「まぁ確かにナニかするのはどうかとも思うわね、アンタ意外と賢明ね」
はぁ、マジでやばい、やべえ、危ねぇ、語呂が少ないが必死なときは誰だってこんなもんだ、マジでやべえ。
「でもこれは別」
嵐は去った、そう思っていた時にシノンの顔が近づき口に柔らかい感触があった。
嵐の後に家を見たら瓦が飛んでた。
例えは微妙だが兎にも角にも衝撃だった。
「尻軽とか思わないでね、そういう気持ちでやってるわけじゃないから」
シノンは振り向きルームから出て行く。
「じゃ明日の12半にはログインしてね、最近やっと楽しめるようになってきたから、じゃあお疲れ様」
それだけを言い残して、今日GGOに入ってやったこと、Twitterを見て女の子と添い寝してキスして。
あれ?このゲーム何ゲー? アマガミ? キミキス? SchoolDays?
できれば最後だけはよして欲しい。
俺はログアウトして今日そのまま布団に入った、そしていつの間にか寝ていた。
そして夢を見た。
そこでは、シノンが俺を学校の屋上へと呼び出していた。
「シノンなんだ、用事って」
「ジン、あのね、私・・・私・・・」
「シノン」
さぁクライマックス、どうなる!?
シノンは俺の頭にエイムを合わせ瞬時に頭を撃ち抜いた。
そして一言。
「中に何も(脳味噌)ありませんよ」
なぜ、夢の中でもバカにされなければならない。
そして婆さんは成仏してくれ。
「やっちゃったなぁ」
1人ベッドの上でアミュスフィアも外さずに呟く。
色気のないTシャツと短パン、私が家じゃズボラだって知ったら先輩は幻滅するかな。
いや、あの人もどうせテキトーで良いんだよとか言って本当にテキトーな格好するんだろうな。
アミュスフィアを机の上に置き冷水機から水を飲む、喉が枯れているのはエアコンのせいだけじゃないだろう。
私は先輩が好きだ、始まりは助けてくれたから、それからただ話してあの雰囲気に包まれていたら自然と好きになっていた。
シノンはジンが好きだ、始まりは最悪で悪態も吐いたがそれに対し怒ることなくふざけたことを、言い返してきてそれがシノンに欠かせないものとなった。
多分こんなヤツのことちょろいっていうんだろうな。
再びベットへ寝転びアミュスフィアを見る。
元々は新川くんの勧めで、リハビリとして始めたのが始まりだった、それから強さを追い求めて、毎日きつくて、でもこの先に何かがあると思って、でもどこまで行けばいいかわからなくて。
最近GGOが楽しくなってきた、あの人減らず口ばかりで、文句ばかりで、でもやるときはやってくれて、全力でゲームを楽しんで、自分じゃ敵わないような憧れすら自分の手じゃ届かないような人のおかげで何か掴めたような気がした。
自分がこんなこと考えてるとか言ったら。
「知らんがな」
とか、はぐらかして来るけど照れた顔して満更でもないみたいにするんだろうな。
よし、勉強して寝よ、なんか良い夢見れそうな気がする。
もう恋愛パートは終わりです。
勉強をして寝るシノンと布団にくるまって悪夢を見るジン。