スキャンで近くにいた奴らはこれで殺しきった。
改めて敵の場所を思い直せばここから北の方角にある街に一人、そして西にある平原には三人いた、そのほかは東から南に散らばってるあそこが一番の激戦区だろう。
恐らくだが山の上にいる奴はシノンだろう、もしくは他のスナイパーか。
山の頂上はここからも見えているが流石にあいつでも2km離れたここは無理だろ、無理だよね?
この街で芋りたいなぁ、でも次のスキャンも同じ場所とか完璧狩られるしなぁ。
やっぱ動こうかな。
遠くからはぽつぽつと銃声が聞こえてくる、方角とかから西の平原の奴らだろう、あっちはAGI特化組だろうなぁ。
家変えて芋るか。
対角方向にある家のバスルームで寝転がって数分、またアラームがなる。
寝転がった姿勢から上半身を起こせば光点の数は既に残り十人。
だいぶ減らされたなぁ。
しかも川向こうの街に五人、こっちに四人。
残りの一人は恐らく最初に軽機関銃持ちがいた丘の上にいる。
残りは真ん中に一人、対角に一人。
窓から上半身だけを傾け街の中心を見ると丁度遮蔽物に隠れられたが一人、武装などは見えなかったが見つけた。
もう一人は分からない。
光点の位置にある家の中をACOGで覗いて探るが誰かがいるような気配もない。
とりあえずはその家から射線を切り先ほどの隠れた敵を見る。
隠れた場所はこちらに移動するにも道路を横断しなければならないため殺すチャンスはいくらでもある。
しかし俺も位置バレした身、あまり時間は取れない、そのためまだ弾の入った弾倉をポーチから抜き取り敵の場所へ投げつける。
緊張した時に意外なことが起こると人間思ったより驚く。
今回も驚いたその敵は弾倉が落ちた方向に体を向け、俺に無防備に身体を晒す。
そこに三点射。
ごっつぁんです。
と一礼する。
優勝できるかもな、と思っていた時だった。
そんな調子乗りの隠れていた家の小さな窓が唐突に割れ、そして俺の肩に銃弾が突き刺さる。
なんで? 隠れてたよね? 窓、割れてる。 抜かれた。 狙撃? 誰?
俺はノックバックの掛かった身体でパニックを起こした。
第二射は来ない、射線切れた?
ノックバックの硬直がとけ、急いで回復剤を打ち窓の下へ身を隠す。
マップを開き方角を確かめると、少しズレているがさっき反応があった家の方向からの射撃とわかった。
マジか、誰だ? てか弾が飛んできたのは斜め上からだった、でもこれ以上高い家とかねぇし、丘は少し高いけどそれにしても角度がありすぎる。
まさか家の上?
いやそれしかない、弾道とか跳弾とかアホなことを無しにするならそれが一番現実的だ。
HPを見れば残り三割まで減らされていたが既に八割がた回復している。
よし動くか。
スナイパーの相手は慣れてる。
とりあえずは一撃部位に命中させられるのを回避。
さっきの弾は肩に当たったため肩判定で致命傷にはならなかった、もし少しズレて胴に当たってたらもう俺は死んでた。
家から出て塀伝いに狙撃の射線を切る。
既に撃たれているため予測線は出る、それでどうにかかわせないこともない。
しかしながら欠損ペナルティで肩の動きが悪い。
回復剤で回復はさせたがペナルティはまだ消えない。
そこで予測線が目の前を通る。
まずこれでシノンじゃないことは確定した。
トリガーに指かけてたら予測線出て位置バレるから撃つ時以外は離して置くようにと口酸っぱく教えておいた。
まぁこの時点でこれはどういうことか?
初心者じゃあるまいし。
予測線から当たりをつけ狙撃地点へ向かう。
しかしその間には道路があるため渡るには困難。
さぁどうするか。
そう思って塀に背中を預け座り込むとカラン、と腰から音がなる。
・・・自分でも忘れていた、スモークがあった。
なんかラッキーな気持ちになりつつ道路に全て投げ込み十分煙幕が貼られたところで狙撃手のいる家に入ることができた。