「参ったよ〜詩乃ちゃん、いきなりこんなことするなんて酷いじゃないか」
ザブザブと川の中を歩きながら詩乃に『笑顔』で話しかける、平和は笑顔から始まる争いなんてくだらない、争いは悲しみしか生まない、何て言葉があるんだ。
「ねぇどう?涼しい?」
ニヤニヤとした表情を隠さない詩乃に川からザブザブと歩み寄る。
「あぁ気持ちいいもんだな、こりゃ詩乃に感謝しないとな」
「フフフッ、ならよかった」
俺が川べりに手をついた時詩乃から手を差し出される。
「詩乃それ濡れてもいい格好?」
「え?スマホとかはテントに置きっぱだから落ちても・・・ねぇやめてね?」
詩乃の手を握ったまま問いかける、どうやら色々な心配は無いようだ、詩乃は自分がこれからどういう事になるのか理解が出来たようで握られた手をグイグイと引っ張る。
「詩乃、因果応報とか自業自得って言葉知ってるか?」
「ちょっとやめてって短パン濡れると透けるからダメ!」
俺から握られた手を開こうとしたりと必死の抵抗を続けるが非力な詩乃の抵抗が通用するわけなく、駄々っ子のように見える。
眼鏡に手をかけ顔から外しそっと川べりに置き。
「さぁ詩乃覚悟しろよ、色々とな!」
「ア"〜〜〜〜!!!」
俺は詩乃の腕を引きついでに足を持って一回転させつつ川へと放り投げる、小柄で体重が軽い詩乃は空中で一回転して背中から川へと落ちて行った。
悲鳴が心地いい、いい高さでいい音量、本人に言ったら怒られるだろうが。
しかし軽かったな、ちゃんと飯食ってるんだろうか?
そうしていると顔半分だけ水面から出した詩乃がこちらを睨みつけていた。
「どうした詩乃ちゃん、カナヅチだったかな?」
「泳げないことはないけど、よくもやってくれたわね・・・」
「俺のモットーは専守防衛、ただしやられたらやり返すウヴェ」
俺の話が終わる前に詩乃が水を顔にかけてくる、それを受け詩乃に向かい思いっきり水面に腕を叩きつける。
やばい話してる途中だったから鼻に入った、めっちゃツーンってする、初めて会った時の詩乃並みにツーンってしてる。
「ちょっと!もう少し可愛げあってもいいでしょ!?」
またバシャリと顔にかけられる。
「バカ!鼻に入ってスゲェ痛ぇんだよ!」
俺が何かする前に連打でかけられる。
「自業自得でしょ!」
そしてその手は止まることを知らない。
「ちょ、やめ、マジ、おい」
顔に水を掛けられ息すら困難になってきた、大丈夫?俺の顔溶けてない?
「ほらほら!どう?謝る気になった」
元気なことはいいこと、しかし俺に被害が被らない場合に限る。
耐えかねた俺は水の中に潜りそのまますっと詩乃の足を取り転ばす。
「ハァ、ハァ、なにするのよ!」
「私が言いたいですう!」
詩乃は立ち上がりつつまたも水をかけてくるが疲労のためか力はない、今も膝に手を当て息を整えている。
「ほら詩乃、泳ごうや。争いは悲しみしか生まんぞ?」
「誰が言ってんのよ・・・いや、始めたのは私か」
理解がよろしいようで何より。
「でも私そんなに泳げないわよ?」
「じゃあ地引網方式で行くか?」
「地引網?」
詩乃の眉間のシワがキリリと深まる、良からぬことを企んでいると思われているのだろう。
「別に手え持って引っ張るだけだよ、疑い深いやっちゃなぁ」
「前科ある癖になに言ってんのよ」
「前科?何かしたっけ?」
「あぁ・・・さっきのよ」
詩乃は少し考えた後、先ほどの投げ飛ばしのことを言った、その程度だろ?
「ほら!いいからやってよ!したいんでしょ!?」
「いや別にやらなくともいいけど・・・」
「やりなさいよ!」
「畏まりましたお嬢様」
人使いが荒うて困るわい。
詩乃からの喝を受けつつも両手を持つ。
「じゃあテキトーに浮かんでてくれんね」
「今更だけど何で訛るのよ」
「じゃあ行くよ?」
詩乃を引きずりながら川を歩き回る。
ちなみに詩乃の予感は正しく、この体勢だと胸元が見えたり尻や足を観察できる、胸はあんまりだけどいいケツしてるね。
「見えた?」
「ん?何が?」
「すっとぼけ」
「ん?何が?」
詩乃が俺の顔を見ることなく呟く、過剰に反応してしまったのはご愛嬌、俺だって下半身に正直なティーンエイジャーだこれ位・・・それ以上やらせてもらおっかな・・・。
「詩乃、ちょっとわがまましていい?」
「・・・常識の範疇なら、何するの?」
俺だって少しは好きにさせてくれ。
「うぇ?」
「ちょっとごめんなさいね〜」
俺も水に体を浮かべて詩乃を抱きかかえる、個人的にこれをラッコスタイルと呼んでいる。
以前須川と一緒に海に行ってこれをやったこともある、須川にはホモ扱いされたが俺はホモではない。
「・・・ねぇ、お腹掴まないでくれない?」
以外と詩乃は落ち着いていらっしゃる、まぁ俺の布団の中に堂々と入ってくるくらいだからこんなことでは動じることもないか、背中を向けて抱えたため顔色も見えない。
以外と下っ腹に肉がついるな、不摂生は生活習慣病の元だぞ。
「これはこの前のお好み焼き?」
「うるさいわね、いろんなものが混ざったのよ・・・ちょっと、上にやらないでよ、」
「胸にいかねぇのかな?」
「ちょっと黙ってくれるかしら?」
「うん」
「手も離してくれないかしら」
「安定しなくなるからダメ」
「いいから離してよ?」
「じゃあ胸掴むよ?」
「いいわよ」
意外な返事にバシャリと頭を上げる、マジで?触っていいの?
いやいやイカンイカン、親いるし。
「安定しないんじゃない?」
「そんなこと言って触らないんでしょ?」
「いやぁ、興味がございませんので」
「さっき見てたのに?」
「・・・」
「服が透けてるのだってわかってるんだからね」
「・・・勘弁してください」
「よろしい」
どうやら俺はこの子に敵うことはないのだろう、これで将来結婚とかしたら家計簿と言う名のデスノートをつけられ毎月お小遣い制で時たま遊びに行くだけとか車買っていいって言われただけで満足するような人間になっちまうんだ(父)
俺はあんなはぐれメタルは嫌だ、小学校の卒業文集に書いた将来の夢は、ばくだんいわのメガンテのように何かを成し遂げたい、だったはずだ。
いや別にそういう生活も悪くはないが。
朝起きて詩乃に小言を言われ、飯を食って小言を言われ、会社に出てLINEで小言を言われ、帰ってきて小言を言われ、寝る前に褒められる。
鞭で風を切って俺を捌き、上品な甘さの飴を使いこなす完璧なカカァ天下の出来上がり、いや、別に現状で小言が嫌いなわけではなくむしろ俺が変におちょくらなかったら詩乃も小言のように何かを言うこともないから満足してる。詩乃は悪くない。
そんな思考をしていた時、思考と言うか妄想をしてた時。
「で、触らないの?」
「えっ?」
詩乃の飴が空気を切り裂いた。
慎ましいが柔らかかった。
性行為(SEX)というものは解釈によりけりで該当する行為は多岐に渡ります、つまりこれはSEX。
こういう前後書きネタが嫌いな方は感想にどうぞ、2度としません。