AR M416 SCAR
PDW UMP(両方) MPX
LMG ペチェネグ MG4
カービン AK5C SIG553
SG 870 SAIGA
ピストル G18
共感していただければ幸いです。失礼しました。
既に俺たちが来ている事はバレている、それを承知で進まなければいけないと言うのは恐怖ですらある。
既にスカーがMAVを何度か飛ばし周囲を警戒するが未だに反応はない。
「なぁ、ここもうおらへんとちゃうか?もう遺跡は目の前やで」
その気持ちも分かる。
「いる、考えたら分かるでしょうけどまだこの狩場を捨てるはずがないもの」
リッツは厳しい口調でフェイスに返事をする。
フェイスはあまり緊張してゲームをしたくない人間のためこの雰囲気が苦手なのだろう。
ニックも同様にあくびをしている。
「ちょっと休憩する?スカーがT-ugs設置してれば警戒にはなるし」
それを見かねてかリッツも休憩を提案する。
二人はすぐに座り込んだり寝転んでネットを開いたりと自由にし始める。
リッツは警戒を続け、スカーは何も言わずセンサーを設置しMAVを飛ばし始める。
俺は?
とりあえずマガジンを外して弾数を見たりコッキングレバーを引いてチャンバーの弾を覗いてみるが流石に暇は潰せない。
「ねぇジン?」
「うぇ?」
するっとそばに来ていたリッツが俺に話しかけて来た。
「ジンってさ、このゲームでガチで稼いだりしてみないの?」
クランのお誘いかな?
「う〜ん別になぁ〜」
「君さ、自分のこと下卑してるけどその割には立ち回りもしっかりしてるしエイムも悪くない、システム外スキルも使いこなすし本気でやれば簡単に稼げるようになれると思うけど?」
「あぁ……まぁ……はい」
「アジリティ特化の対策も私のクランでは結構話し合ってたんだよ?ショットガンを使えばいいとか爆発物とか、でもあなたは昔やってたゲームの応用で簡単に対策を作るし、そういう人は私のクランにいなかった」
俺はこの人との付き合いでこんな真面目なことを言われたのは初めてかもしれない、そして褒められてるのも初めてかもしれない、このゲームをやって来て、という意味で。
「私のクランは既にGGO最大手クランの仲間入りをしているの、現状は既に大手同士が強いプレイヤーの取り合いに発展しているの」
あぁなんかそんな話聞くわ。
「私が例のスナイパーを倒しに行くってのも結局はシノンさんをクランに入れたいから、フェイスとニックはエンジョイ勢だから期待はできないけどこのゲームはこれから一つの経済になってもおかしくない、私は金を稼ぎたくてこのゲームをやってるの、もちろんあなた達とバカやるのは楽しいけどもう時間がなくなって来てるの」
おお、なんかインターネットビジネスみたいだな、いやそうか。
「私はあなたと仕事をしたい、あなたの力が必要、あなたの力を私に貸してくれないかしら」
リッツさんはまっすぐ目を見て俺に語りかけてくる、いつものおちゃらけた様子ではなくいたって真面目に。
恐らくこちらが掛け持ちしているクランの顔なんだろう。
真面目にこのゲームで金を稼ぐね、まぁなんとも理想的な話ではある、好きなことをやって収入を得るというのは、昔はそんなことありえないって事までは無かったが難しいとされていた。
しかし最近では現実として十分あり得る。
代表的なものはyoutuber然りインターネットビジネスでさえやり方次第で簡単に億万長者になれる。
素直に言えばこのゲームは好きだ、だが仕事として考えたらどうだろう…………。
「……悩んでくれるだけでも嬉しいの。本気でやりたいときは私に言って、他のとこに行っちゃダメだからね」
……少しドキッとした、が顔を見て。
あ、こいつリッツだ、そう思って萎えた。
「じゃ、皆動こう〜、さっさと調子乗りぶっ潰してヤキいれてやんないとね〜」
俺との話が終わり向き直ると既にbattlefieldのリッツに戻っていた。
心の中でこいつのことは峰不二子と呼んであげよう。
それからまた暫く歩く。
遺跡まであと100m、そこでやっと敵の反応があった。
「あ、撃ち落とされた……」
あ、スカーが喋った、世界が滅びる。
そんなことはいいとして、MAVが落とされたようでこれから索敵は目視と音、あとは直感に任される。
「さ、始めよ〜か」
リッツがそう言うと俺たちは各々が周囲を警戒しつつ前進を続ける。
スカーも今回はSRではなくカービンのSIG553を持って来ているため下がらず陣形に加わる。
ポイントマンはもちろんリッツ。
「止まって!ここかぁ」
見れば岩や石材が途切れており20mほど何もない更地が広がっている。
そして対面の岩場にはフル装備の部隊。
「敵は7人。フェイスとニックは右端、適当に当たらなくてもいいから乱射してて、合図はグレネードを投げるから。私達は左端から身体が出て来たやつを三人で確実に仕留めるわよ」
またもやクラマスの顔になったリッツは素早く指示を飛ばす。
フェイスは「乱射」という指示が気に入ったのかニコニコと右端へ歩いて行く、ニックも同じくランチャーを構えながら歩いて行った。
「行くわよ」
リッツはフラグを敵陣へと投げ込む。
爆発音がしたと同時に右翼から銃声が響き渡る。
すごい、一発も当たってない。
しかしそれで体がだんだんと遮蔽物からはみ出して来ている。
「まず右から3番目のやつね、GO」
合図とともに三人の銃弾が一人の重装兵へ襲いかかる。
三人から狙われたことで重装と言えどもすぐに溶ける。
それで三人減らしたところで流石に気付かれ弾幕もあまり効果がなくなってくる。
「じゃあ私行くね」
出たな荒らし屋。
リッツは強い、スナとは相性が悪いがそれ以外には無類の強さを誇る。
そして止める間も無く、銃弾が交差する中一人走って行った。
「クラマスは流石っすね」
「お、滅亡」
「やめてくださいよ」
俺たちはもう仕事は終わったとばかりに無駄口を叩き始める、対面からは銃声と悲鳴が聞こえているが俺たちには関係ない。
「いや、我慢って大事やな、めっちゃ気持ちよかったわ」
フェイス達も満足した顔でいそいそと戻って来た。
さて、あとはあの人が終わらせてシノンを5対1で虐めるだけ。
と、楽観しているときだった。
ヘラヘラと笑っていたフェイスとニックが同時に倒れる。
「え? 二枚抜き?」
俺とスカーは急いで岩へ張り付く。
対面の銃撃は収まったが急に事情が変わった。
そこでもう一度銃声が響く。
ドサリと対面から微かに聞こえる。
まぁあいつだろ、スナに狙われちゃあいつもただの一兵士、しかも射線を切っていたはずだから本当に意外な一撃だっただろう。
「滅亡、どうする?」
「やめてもらえませんかねその呼び方」
とりあえずはマップを開くが撃たれた方向には高台など見当たらない、同じ高さなのは分かるがどっから撃たれたかは見当もつかない。
「とりあえずスカー、お前道に出てくれよ。それで弾躱してスナイパー倒してくれよ」
「そこは先輩が行くってわけじゃないんですね、他の作戦はないんすか?」
他、他。
「まぁ警戒しつつテキトーに見つけるか」
「了解っす」
そう言えばスカーはリッツのクランにいたよな、こんなテキトーで大丈夫なの?
テキトーな二人のヌルい戦いが今始まる。
やっと書きたいことが見つかりました。