何か変わりたいと思ってこのゲームを始めてみた。
今でも銃を見ると吐き気がするし手も震える、あの事件のことを思い出してしまう。
ゲームの中では銃を見ても平気、でもそれは私、朝田詩乃ではなくアバターのシノンだから。
シノンになれば何も怖くはない、戦うことができる。
だからシノン、力を貸して、あの人達を倒せるだけの力を。
「あのクソ女、どんだけ正確な射撃をしてんだよ!!絶対性格悪いわ、絶対メガネかけて陰険なこと言ってくるわあいつ!!」
想像でひどい悪態を吐くは地面にUMP45を取り落としたジン、落ちているUMP45を拾おうとすればbrokenという表示が出る。
このゲームには武器破壊というシステムが導入されている。
銃に銃弾や爆発などで強い衝撃がかかった場合、銃に破壊判定が発生する、そうなると帰って修理してもらうまで一生そのまま、そのため殺されるより面倒なシステムである。
おかげでジンの装備はGSRと背中に担いでいるSMAW。
まさに帯に短したすきに長し。
「あらら、これで囮になるのは先輩に決定しましたね〜」
「ニヤついてんじゃねえよ、UNICAもなくしてUMP45も壊す、まじなんなんこれ?」
しかも同じ相手に、である。
しかし射撃が正確になってきたのは近づいているということだろう、そうでなければ岩から少し飛び出たUMP45を狙うなど出来るはずもない。
「そろそろ二手に分かれるか、もうこっからはダッシュで近づいてどうにかして殺す、絶対に殺す。いいな」
「いいえっつったらこっちが殺されそうっすね」
わかってるじゃないか。
「よし……行くぞ!!」
これは作戦ですか?
いいえヤケクソです。
俺たちは二手に分かれて走り出す。
数発発砲音が聞こえるが俺は死んでないから大丈夫、むしろ敵の位置がわかった。
俺は背中のSMAWやSLAMを投げ捨て岩を足がかりにして発砲音の元へ飛び込む。
そこにいたのはいつぞや見た水色の細身の女性。
「死にさらせクソ猫ぉぉぉぉお!!!」
仇を目の前にし俺のこれまで溜めて来た怒りも爆発した。
スカーは同じタイミングで飛び出した様でそちらは頭を抜かれて仰向けに倒れていた。
猫はすぐに振り向き俺にエイムを合わせる、ただ、狙うところがわかってりゃ当たるはずもない。
弾道予測線が通る前に頭を振るとそれと同時にマズルフラッシュが目の前で迸る。
勝者は一人、男か女か。
「やっぱ頭狙うよね、近距離は胴体でも一撃だよクソnoob」
結果、俺は死ぬことなくクソ猫の上に馬乗りになる、既にライフルは手放されており視界の端っこにチラと見える。
GSRを顎の下に押し付け動きを抑えれば俺の勝ち。
あんまりこういうことは趣味ではないが十分勝ち誇らせていただこう。
なんかすいません。