木の実好きの吸血鬼   作:アータ零式 (๑•﹏•)
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5話:お母様との談笑

 月読様が屋敷に訪れてから、もう一年半ほど経った。

 今の季節は冬。雪がしんしんと降っていて、0時ごろには辺り一面銀世界となるだろう。

 でも残念だな。雪も雨が結晶になったものだから雪合戦とかできない。やったら本当に大惨事になることが目に見えている。

 これほど吸血鬼の弱点を恨んだことは無い。

 まあ、木の実で弱点をなくすことはできるけど、もう少し先になるだろう。

 

「はぁー。暇ですねー」

 

 僕が自分の部屋についている窓から外を見ていると、誰かが部屋の前に来たらしく、気配を感じた。

 

『システィ、いますか?』

 

 どうやらお母様のようだ。お母様が部屋に訪れるなんて珍しい。いったい何の用事だろう。

 僕は返事をしてドアを開ける。

 

「お母様が部屋に来るなんて珍しいですね。なにかようですか?」

「いいえ、少しおしゃべりがしたくなったのよ。ダメだったかしら?」

「いえ、そんなことはありません。外を見ていただけですから」

 

 僕はお母様と話しながらテーブルとイスを移動させる。

 どうせなら外の雪の降る景色を見ながらおしゃべりがしたかったのだ。

 

「お母様、僕たち吸血鬼は雪に触れてもダメなんですよね?」

「ええ。雪も水でできているもの」

「吸血鬼は苦手なものが多くて少し退屈です。人間の子供がやる雪合戦とかやってみたいです」

「...人間にとっては遊びでも、私たちにとっては命がけね」

「ですね」

 

 僕はお母様が淹れた紅茶を飲む。流石お母様。とてもおいしい。

 

「弱点を無くせればいいんですけどね...」

「確かにね...でもそれなら可能なのでしょう? システィの能力でどうにかなりそうな気がするわ」

「...流石お母様。僕の能力についてあまり詳しく話していないのによくわかりますね」

「それはもちろん、母親ですから」

 

 お母様はそう言って胸を張る。

 時々お母様は可愛らしい態度をするから面白いんだよなー。

 

「それにゼロだってきっと気づいているわよ?」

「父親だからですか?」

「ええ」

 

 僕は笑顔で即答したお母様を見て笑ってしまう。本当にお父様のことが好きなんだなー、と。それと共に僕たちのことも愛してくれているんだな、とも。

 前世が男だった僕としては、こんな美人な人に愛されて羨ましいなと思ってしまう。

 お母様もお父様も高校生ぐらいの容姿であるが、実際は大人何て生温いぐらいの年齢だ。

 お母様の話によると、スカーレット家は産まれてから十年間は人間と同じような成長を遂げ、十歳からは、成長が急激に遅くなり、二百年で人間の一歳ぶんせいちょうするらしい。

 ということはお母様とお父様は三千年ほど生きているということでしょう。それほどの時を愛しあってきたのだから、これぐらいは当たり前だ。

 僕たち三姉妹もそれぐらい生きれるように頑張りましょう。というかこれだと幻想郷ができる時には完璧おばさんの容姿になっているんじゃないかな、私たち......。

 

 僕は生み出す木の実リストに不老の木の実を追加した。

 いくら前世が男だったとしても今の僕は女の子。老けたくないのは当たり前だよね!

 っと、そんなことよりもお母様に訊いてみたいことがあったんだ。

 

「お母様」

「...! 何かしら?」

 

 僕が真剣な顔つきでお母様を見ると、お母様はびっくりした顔をしたがすぐに顔を真剣な顔にした。

 

「僕は妖力が増えて、木の実が生み出せるようになったら、レミリアお姉さまとフランに能力の実をあげようと思っています」

「...」

 

 お母様は黙って僕の話を聞いてくれている。本当にありがたい。

 

「でも、レミリアお姉さまとフランは喜んでくれるでしょうか? 自分の能力ではなく他人に貰った能力を宿すなんて...嬉しいでしょうか? 僕は少し嫌です。だってそれは自分自身が頑張って手に入れた能力でも、先天で得た能力でもないんですから......」

「...そうね。でもきっと大丈夫よ」

 

 僕の頭を撫でながらお母様は言う。大丈夫だと。

 

「どうしてですか?」

 

 僕はお母様にそう尋ねた。

 するとお母様はさっきよりも美しい笑顔で言った。

 

「だってあなたから貰った能力なんですもの」

「......ぇ?」

「確かに他人から貰うのは嫌かもしれない。だけど、レミィにとっては妹、フランにとっては姉であるシスティから貰った能力なら、あの二人は喜んで受け取ってくれるはずよ。レミィもフランもあなたのことが大好きだからね」

「そう...ですか」

「ええ」

 

 あの二人は僕からなら喜んで貰ってくれる。確かにシスコンであるあの二人だ、きっと貰ってくれるだろう。

 なんだろう。とても嬉しい。

 どうやら僕もレミリアお姉さまとフランが大好きらしい。僕もシスコンだったってことか。

 ふふ。

 

「ありがとうございます、お母様。おかげですっきりしました」

「いいえ、いいのよ。私たちは親子なのよ? 助け合っていかないとね」

「そうですね。では来月はお母様の誕生日がありますので、私たち三姉妹でとてもおいしいケーキを作ってあげましょう!」

「あらあら。楽しみにしてるわ」

「はい!」

 

 お母様は嬉しそうに微笑む。

 僕はガラじゃないのに大声を出してしまったことに照れながら笑うのだった。

 

「じゃあ私はそろそろ失礼するわ。一時間後にピアノの練習があるから、忘れずに私の部屋に来なさい」

「はい、お母様」

 

 お母様はそう言って僕の部屋を出て行った。

 僕はイスに座り、もう一度外を見る。

 

「わあぁ......!」

 

 雪はいつの間にか止んでおり、庭一面は銀世界となっていた。そしてそらには、その銀にも負けない満月があった。

 きっと今日はいい日になるだろう。きっと幸せなことが待っているはずだ。

 

 

 

 

 

 

 その日はレミリアお姉さまとフランと一緒に寝ることにした。

 これが僕にとっての最大の幸せだと思いながら、僕は眠るのだった。




お読みいただきありがとうございます。






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