碧陽学園生徒会の生徒会庶務男子と広報女子(凍結中) 作:ラインズベルト
「おっくれましたぁー」
「す、すみません」
対照的な態度で入ってくる二人。どちらも生徒会に所属する女子生徒だ。
前を歩く元気な少女は椎名深夏(しいな みなつ)。鍵と同じ副会長で、更には鍵のクラスメイトで、長い髪をツインテールに分ける快活な少女。特定の部活には所属していないが、運動神経抜群で、よく助っ人に呼ばれている。口調は男勝りで、基本的に男嫌い。若干百合気味ではあるが、悪態をついたりしないのでかなり人気がある。
そしてその背後からペコペコ頭を下げつつ、恥ずかしそうにしている少女が、椎名真冬(しいな まふゆ)。深夏の妹で一年生。色素の薄いストレートヘアーに白い肌、ピンク色のリボンをつけている。深夏に元気を吸われて生まれたかのように儚げで、その上男性が苦手。どうやら鍵によると深夏の毒牙にかけられ、そのような百合のような子になってしまったのだとか。
「いいよ、少し遅れたくらい」
「まだあんまり活動してないしな」
そう言って二人を迎える。とりあえずお茶を出し、椅子へ催促しておく。今日の生徒会も始まったばかりだ。ただ、鍵だけは平常運転だけど。
「こら鍵!あたしの前で妹口説こうとすんな!」
いつの間にか鍵は真冬ちゃんを口説いているらしい。流石は女たらし、いや、美少女たらしだな。鍵は嘆息し、隣の席の深夏の肩に手を置く。
「まあまあ、嫉妬すんな深夏よ。……お前もちゃんと魅力的さ!」
「いやいや、嫉妬じゃねーから」
「深夏にも、結婚すれば真冬ちゃんが義妹になるという大きな魅力が――」
「しかもあたしの魅力じゃねぇ!」
深夏は怒った。当たり前だ。深夏自身には魅力が無いと言ったようなものだから。鍵は時々酷いやつじゃないかと思う。まあ、冗談だろうけど。
「ヤキモチじゃねぇって!」
どうやら鍵は深夏がヤキモチを焼いたと思ったらしい。深夏はそれに気付いたようだ。もう夫婦漫才みたいになってきたな。
「おお!ついに以心伝心まで!ゴールインは近い!」
「怖いよもう!思い込みが激しすぎて怖すぎるよ!!」
「思い込み……?ふふふ、仕方ない。そういうことにしておいてあげるよ。照れ屋さん♪」
「こ、殺したい……」
一方で鍵は誇らしげに生徒会メンバー(俺を除く)を見渡し、悦に入っていた。葵が完全にPCで顔を隠してしまっている。鍵、ちょっと引くぞ……。
「ううん、ハーレム万歳。いつ見てもいいねぇ、この光景。頑張って生徒会入って、本当に良かったなぁ」
なんだよこいつ。ハーレム、ハーレム言ってるから、皆距離を置くんだぞ。ある意味、本人は気にしてないから言わないが。鍵は嬉しそうだ。どちらにせよ、こいつは不純だな。
まだまだ会議(?)は続く。