ドラグーンの修理の最中、ゼロたち三人は、勇儀が地底界に帰るという事もあって地底の旧都まで同行することになった。
本来は、地上と繋がる道も地底の妖怪たちの住処の間近であるため、人間なら襲われる可能性があるのだが勇儀が一緒に居ることもあって、何も出てくる様子はなかった。
「結構冷たいもんなんですね。」
アイリスは、洞窟と言ってもおかしくない道を移動しながら言う。
「オイラのいた世界だったら、インセクトロンの一匹や二匹・・・・・いや、数百匹住んでいてもおかしくない広さだな。」
「なんだ?そのインセクトロンというのは?」
「オイラたちサイバトロンを脅かすデストロンの一員なんだけどなんでも食べちゃう大食いのロボット昆虫で食べたものはエネルギーに変えちゃうんだ。それどころか自分たちの仲間も勝手に作っちゃうから何百匹にも・・・・・・」
「・・・・・・」
ゼロは思わず、シグマの大群のことを思い出して身震いした。
「そう言えば、この辺で最近変な妖怪を見たって話があったね・・・・・・」
勇儀は、歩きながら思い出したのかのように言う。
「妖怪?ドラグーンのことじゃないのか?」
「確かにアイツの話もあったけどソイツだけは別もんさ。噂なんだが数は五匹でかなりの暴れん坊だって・・・・・」
「・・・・・・・なんかダイノボットたちを思い出すな。」
バンブルは、思わず言う。
「何?ダイノボットって。」
「ホイルジャックとラチェットの共同で製作した恐竜にトランスフォームするサイバトロン戦士だよ。まあ、頭はアレだからいつも基地を壊すやら仲間を吹き飛ばすやらで困っているけど・・・・・」
アイリスの質問にバンブルは思い出すように答える。
「・・・・・確かにあのホイルジャックなら作れてもおかしくないな。それで勇儀、その妖怪というのはどこに住み着いているんだ?」
「う~ん、あまり勧めないけど旧都の中央に建っている悟り妖怪の館にペットとして最近飼われたとか飼われてないとかって聞いているねぇ・・・・・・まっ、風の噂だがらあてにはならないんだけど。」
「どうして、勧められないんですか?」
「悟り妖怪って言うのは周りから嫌われている存在なのさ。相手の心を読んじまう上にうっかりと話しちまう、だから、世間に目もくれず屋敷の中でペットと一緒にひっそりと静かに暮らしているのさ。」
「・・・・・心を読むか。」
ゼロは、どうも実感がわかなかった。
地底界 旧都
「ここが旧都か。」
ゼロは、旧都の商店街を見ながら言う。地下という事もあって人里に比べたら少し暗い感じがするが独特の雰囲気を漂わせていた。
「ここをまっすぐ行けば地霊殿に辿り着けるさ。」
勇儀はそう言うと別の道を行こうとする。
「あれ?勇儀さんは一緒には来てくれないんですか?」
「私はこれから飲み仲間と飲む予定があるんでね。それに悟り妖怪と鬼は相性が悪いのさ。あんたたちもせいぜい怒らないように気を付けな。」
「は、はあぁ・・・・・」
勇儀は、笑いながら去って行く。
「・・・・・・どうしようか?」
バンブルは二人の方を見て言う。
「気をつけろと言われても行かなくてはならないんだ。このまま地霊殿へ行く。」
三人は地霊殿まで歩いて行くことにした。バンブルが車にトランスフォームして移動するという手段もあったが排気ガスが溜まって環境に悪影響を与えるといけないというわけでやめることにした。
しばらく歩いて行くと大きな洋風の館が見えて来た。
「ここか。」
ゼロは館の前で止まる。
「・・・・・・・地下ってこともあるけど周りが静か過ぎてオイラ、なんか怖くなっちゃったよ。」
「二人は、ここで待っていてくれ。俺が直接聞いてくる。」
「「えっ!?」」
ゼロの言葉に二人は思わず驚く。
「相手は、心を読む妖怪だ。レミリアや勇儀とはわけが違う。何を言われるのかわからんからな。それにバンブルは大きすぎて屋敷に入れない。」
「ひどいな・・・・・オイラ、これでもサイバトロン戦士の中では小柄なんだよ?」
ショックを受けたように言うバンブルに対してアイリスは何か納得いかない様子だった。
「どうして私は一緒に行っちゃダメなの!?」
「アイリス、悟り妖怪は俺たちの心を読む上に何を言ってくるのか分からないんだ。君にまた辛い思いをさせるわけには・・・・・」
「大丈夫!」
ゼロの言葉を遮るようにアイリスは言う。
「アイリス、だが・・・」
「ゼロだって辛いことたくさん体験してきたんだもの。そんなゼロ一人だけで行かせて、私だけ外で待っているなんて・・・・・私は絶対に嫌。」
「・・・・・」
「それに私、貴方を支えるって決めたもん。だから、一緒に行かせて。お願い。」
アイリスは、ゼロの手を握りながら言う。その顔は真剣そのものだった。
「・・・・・そこまで言うなら無理に止めたりはしない。俺から離れるんじゃないぞ。」
「うん。」
「あの・・・・・オイラ、その辺見回りして来るよ。なんかのけ者にされている気がするし。」
バンブルはそう言いながら、二人から離れていく。
二人は、門を開けて地霊殿の中へと入って行く。
(紅魔館と違って門番がいないのか・・・・・・ここに入ってきている段階で既にこちらの考えを呼んでいるというのか?)
ゼロは、玄関を開けて中を覗いてみる。
中は、紅魔館よりも落ち着いた色どりをしているがやはりどこか不気味さを感じさせる。
「あの・・・・・・ごめんください。」
アイリスは、声をかけてみるが返事が返ってくることはない。
「・・・・・・誰もいないのかしら?」
「いや、留守なら戸締りぐらいはしておくはずだ。それにしてもこの静けさ・・・・かえって不気味だな。」
ゼロは、屋敷の中へと踏み入れようとする。
「・・・・・・・?ゼロ!伏せて!」
「何?・・・・・!?」
アイリスに言われてゼロは伏せる。伏せた瞬間自分の頭上を黄色い謎の物体が通り過ぎる。
「何だアレは・・・・・・また来るぞ!?」
頭を上げようとした束の間、黄色い物体は次々と二人の元へと向かってくる。ゼロはふと以前この物体によく似た動きをした敵のことを思い出す。
「コイツまさか・・・・・」
ゼロは、アイリスを引っ張って玄関の方でしゃがみ込む。黄色い物体は二人の目の前で次々と合体し、巨大な体を形成し、胴体部から巨大な一つ目を出す。
「ブモ―――――――ッ!!」
黄色い奇妙なモンスターは二人の方を見てのしのしと歩いてくる。
「やっぱりな、あの時戦った奴にそっくりだ。」
ゼロは、幻想郷へ来る前に奇妙な空間で戦った黒いモンスターのことを思い出す。色を覗けば合体するパターンはほぼ同じだ。
「ブモ ブモモモモ ブモ!!」
「・・・・・何言っているのかしら?」
「俺にもわからん。ただ、俺たちのことを敵だと言ってるのは確かだ。」
ゼロは、セイバーを引き抜く。アイリスも続いてバスターを展開して構える。
「気をつけろ、奴は一定以上のダメージを受けると身体をさっきみたいに分裂させて攻撃して来る。」
「うん・・・。」
「ブモモ? ブモ ブモモモモモ――――――ッ!」
黄色いモンスターはゼロたちに向かって歩いてくる。
「奴の急所は、あの目だ!他は狙っても効き目がないから注意しろ!」
「はい!」
ゼロは、セイバーを構えてモンスターに向かって駆ける。対するモンスターはゼロに向かって腕を伸ばす。
「はあぁぁぁぁ!!」
「ブモ―――――――――――――――ッ!!!」
「屋敷の中での争いごとはやめてもらえませんか?」
「「!?」」
「ブモッ!?」
突然の第三者の声に、始まりかけていた戦闘は中断する。ゼロたち2人が屋敷の中央の階段を見ると薄紫の髪をした少女がゆっくりと降りて来ていた。
「あれは・・・・・」
黄色いモンスターは少女の方へのしのしと歩いて行く。
「ブモモ ブモ!ブモモモモモモ 」
「・・・・屋敷に勝手に上がり込んできたから追い出そうとした・・・・ですか。でも、あなたが暴れたら後片づけをするお燐が怒りますよ?」
「ブモ ブモモモモ・・・・・・ 」
モンスターはしょんぼりした様子で正座する。少女はゼロたちの方を見る
「家のペットがご迷惑をかけて申し訳ございません。この子、最近来たばかりで外から来た方には警戒が強いんです。」
「そ、そうなんですか・・・・・・」
「えぇ、この子はあなた方が言う『メカニロイド』が妖怪化したようなものですから。」
「ん?ちょっと待て。何故『メカニロイド』という単語を知っている?ここではそんなことは知らないはずだぞ。」
「私にとっては手に取るようにわかりますよ。イレギュラーハンター ゼロさん。」
「お、俺の名前も!?」
ゼロは驚く。
「・・・・・もしかしてあなたが悟り妖怪?」
「えぇ、私があなたたちが言う悟り妖怪です。」
アイリスの質問に少女は笑みを浮かべながら答える。
「私の名は古明地さとり。この地霊殿の主です。以後、お見知りおきを。」
少女、古明地さとりは二人を前にして自己紹介をする。
ここでの名称なしのキャラ
黄色いモンスター
ロックマンで有名なアレ。リメイクの「ロックマンロックマン」では喋るようになった(但し翻訳不明)。こちらではロックマンの破壊された後、幻想郷に流れ着いて妖怪化したらしい。実は、本話の序盤で交戦させる予定にしていたのですが勇儀さん相手では分が悪すぎるので変更しました。地霊殿でペットとして飼われている。最初は他のお仲間も出す予定でした。
イレギュラーハンターX・・・・・どこの中古のもなかった(´・ω・`)。
本作の連載再開について
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再開してほしい
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できれば再開してほしい
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どっちでもいい
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してくてもいい
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