ニセコイ 〜転生者の軌跡〜   作:猫の休日

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明けましておめでとうございます!
今年もよろしくおねがいします!

そして、更新遅れてごめんなさい!
(……新年あけて初めての皆さんへの言葉が謝罪という………ね)

まぁそれはさておいて、遅れたいいわけです。
活動報告にも少し書いていたのですが、公務員の就活を12月中旬までやってまして、それと同時に卒論もやってて、執筆時間が取れませんでした。
また、それらが終わった後は、やっと解放されて自由になったからか、ゲームばっかりやってました。

要するに、サボってましたごめんなさい。
でもですよ、よく考えてください。面白いゲームが悪いんです。
お前だよGE3。だから私は悪くない(白目)。

言い訳はここまでで、今回の話について少し。
今回の話し、一応構成はもともとできていたんですが、どうまとめようかに四苦八苦しました。話の展開も、正直人によっては嫌いかもしれないということを先に注意しておきます。
まぁでも、自己満足で書いてるから仕方ないね! と開き直ったところで、本編、どぞ。



第14話 目は口ほどに

 ――パシュッというサプレッサー特有の銃声が、耳に入るのとほぼ同時、お嬢の前に飛び出して庇った左手に、激しい痛みが襲う。

 パッと散った血が体操服に着くが、それを無視し、一気に踏み込んでナイフを銃を持っている男ののど元に突き刺す。それと同時に、ナイフは刺したまま放置して飛び出し相手の背後に回り、首を絞める。そこまでして背後からナイフを刺した男が倒れる音を聞き、それを聞き届けると同時に、絞めている首を、何一つ躊躇することなく折った。

 ゴキッという骨の折れる生々しい音が鳴り、首があらぬ方向に曲がった死体は、やけにゆっくりとその場に崩れ落ちた。

 

 ――二人、殺した。

 

 しかし、もうこの心は、波風一つ立ててはくれない。

 

「お、お前……」

 

 楽がうつ伏せに倒れたまま、俺を見上げてくる。視線を楽の方に向けると、楽の体がびくりと跳ねた。その目に映るのは…確かな恐怖。それも、今横で転がっている死体に対してではなく、明らかに俺に向けられた恐怖と――嫌悪感だった。

 

(まぁ、目の前で知り合いが人を殺したら、こんな目にもなるか)

 

 そんな、どこか楽観的な思考をする中で、ふと、自分は今、どんな表情を、どんな目をしているんだろうと、気になった。たぶん、何にも映さない、暗く死んだ目、という目をしているんだろう。

 

 何はともあれ、まだ警戒を続けなくてはならない。クロード様の話では敵は2人だけの筈だが、捕えたやつが嘘をついていないとも限らない。すぐに周囲の気配を探る。

 

 気配から見て、突然なった小さな音が聞こえた者たちは少しばかり周囲をキョロキョロと確認した後、何事もなく肝試しを再開した。それ以外のお化け役も、何の音だろうと首を傾げつつもその場を離れることなく過ごしている。そして――こちらに向かって走ってきている人物が2人。気配からして鶫と宮本さんだ。

 鶫にもさっきの銃声は聞こえたらしく、それがサプレッサーの音だと分かったのだろう。宮本さんを守れるように周囲を警戒しつつ、こちらに走って向かってきている。

 それ以外に学生以外の気配は――ない。どうやら本当に2人だけだったようだ。

 

 俺は軽く息を吐き出し、戦闘態勢を軽く解く。完全に解かないのは、俺以上の手練れがいて、まだ気配を立って隠れているかもしれないからだ。

 

 クルッと振り返り、お嬢の姿を確認する。目立った外傷はないようだ。良かった。

 怖かったのだろう。未だ呆然と体を硬直させている。

 

 俺は動けないお嬢に手を貸そうと近づき、目の前にしゃがみ込んで顔色を窺う。この顔色を、土気色…と表現すればいいのだろうか。

 

「お嬢、大丈夫でしたか?」

 

 そう言って、手を差し出し――

 

 パシンッ!

 

 と、差し出した手が、強く叩かれた。

 

 そして、

 

「ヒッ! …こ、来ないでよ! この人殺し!!!」

 

 恐怖に震わした身体を何とか動かし、少しでも俺から距離を取ろうともがく。そしてその目は――化け物を見る目だった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

side鶫

 

 優がいきなり走り出したと思ったら、次の時には銃声が聞こえた。隣にいる宮本様はこの音が何の音か分からず、「何の音?」と首を傾げているが、この音は間違いない。サプレッサー特有の銃声だ。

 それを理解した瞬間私はすぐさま走り出した。後ろから宮本様の「ちょっと!」という声が聞こえたが、それを無視して――いや待て。もしかしたら、まで敵がいるかもしれない。もしいたとしたら、お嬢と友人である宮本様を一人にするのは危険か――。仕方ない。

 

「宮本様! 急いでください!」

 

 私はすぐさま宮本様の手を取って走りだす。もちろん周囲の警戒は怠らない。

 

「ちょ、ちょっと待って鶫さん! 突然どうしたのよ!」

「説明している時間はありません! とにかく、私と一緒に来てください!」

 

 今すぐにでもお嬢の元に駆けだしたい気持ちを胸の奥に押し込んで、銃声が聞こえた方向へ走る。

 少しして、このあたりだと考えられるところまでたどり着いたとき、視界の端に、お嬢を捉えた。

 良かった、無事だ。そう安堵して、お嬢の側に行こうと一歩踏み込んだその時。

 

 

「……――ないでよ! この人殺し!!!」

 

 

 お嬢のその声に、足が止まった。

 お嬢の視線は、目の前の男に向けられている。片膝をついて、手をお嬢に差し出したまま硬直しているその男――御柳優。

 さっと周囲を見渡すと、一人は咽喉からナイフを生やし、ビクンビクンと時折身体が動いている死体があり、もう一つ、一条楽の側に横たわる、首があらぬ方向に曲がった死体があった。

 別に死体を見たのは、これが初めてではない。私が直接殺したことはないが、私が怒りで我を忘れたあの時、人を殺しそうになった時さっそうと現れては、私が制圧しかけていた組織をほぼ皆殺しにした。

 その時の光景を思い出していると、お嬢が私に気づいたのか私の名を叫んで這うように私の足元まで来て、足に抱き着いた。

 

「鶫! 良かった! 助けて!」

 

 そう言って私の足にすがって涙を流すお嬢を、私はただ眺めることしかできなかった。私の後ろで宮本様が口元を抑えて蹲っていることにも気づかずに、私はゆっくりと立ち上がる男から目が離せない。

 そして、その目を見る。

 

 ――あの時の目だ。

 

 あの時の、お嬢にちょっかいを出した組織を、私が怒りに任せて攻撃した時、何処からともなく現れては、まるでお前が手を下す必要はないとばかりに皆殺しにしていった、あの時の目だ。

 何の感情も映さない、真っ黒な目。殺意も、後悔も、嘆きも、同情も、何の感情も、読み取ることができない。

 

 その目は、まるでお前など必要ないと語っているようで。

 その目は、まるで隣に立つのを一切拒むようで。

 その目は、まるでお前はこんなふうにならなくてもいいんだよって、目の奥に僅かな優しさがあるようで。

 

 ――ああ、やはり、私はこの男が嫌いだ。

 

 そう、思った。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 お嬢に人殺しと言われた。その言葉に俺は――特に傷つくこともなく、そうですがそれが? という感想を持った。

 

 ……俺はもう色んな意味で末期かもしれない。

 

 正直、もう人を殺しすげて、自分が人殺しであることは理解してるし、恐らく死んだら地獄に落ちるか、次の生は人ではない何か何だろうという風に考えている。

 だからたとえお嬢に人殺し! と言われても……うん、そうですよ? 今あなたの目の前で殺してるんですから、当然ですよね? って感じ。

 そこにお嬢を守るためにしかたがなかったんだ! とか、どうして分かってくれないんだ! とかそう言う怒りは全くない。ただ感じるのは、お嬢が無事でよかったというこの一点のみ。無力感も、後悔も、懺悔も、怒りも、本当に、何も感じない。

 …あれ? これ俺洗脳されてね?

 

 まぁされてようがされてまい別にどうでもいいんだけど…。この状況どうしたものか。

 お嬢は鶫の足にすがってるし、鶫は固まってるし、宮本さんは嘔吐しかけてるし(ごめんね)、楽も動かない。

 …どうしろと?

 

 取り敢えず、死体をこのまま放置しておくわけにもいかないし、死体をもってクロード様と合流するか。

 

 そう決めると、まずのどに突き刺したままだったナイフを抜き、血をふき取る。ナイフの抜くとき、肉を裂く音がして楽が顔を青くさせ口元を抑え、宮本さんはついに決壊した。

 それを右肩に担ぐ湯に乗せた後、首を折って殺した男を足で蹴って浮かせ、その瞬間を逃さずに首元の服を掴んで引きずって森の奥に行く。

 

 優の足音と死体を引きずる音しか聞こえない中で、俺は鶫にお嬢のことを頼む。

 

「鶫、後は任せた」

 

 それだけ言って、優はクロード様と合流するために、死体を運んだ。

 左手は、自身の血でそのほとんどが真っ赤だった。

 

 




も り こ み す ぎ た。

はい。前書きでどうまとめるか四苦八苦したと言ったな。あれは嘘ではなくて、その通り、四苦八苦して、そして―――まとめきれなかったんです。
特に鶫side。何あれ? 自分でも途中からどうしたいのか分からなくなってきたよ…。

いつも誤字脱字の報告ありがとうございます。気を付けてはいるのですが、どうしてもしてしまうんですよね。
また発見次第教えてくださると助かります。

感想で「これ転生の必要ある?」というコメントを、それなりに頂きます。なので、ここに転生にした理由を少しばかり書かせていただきますね。
といっても、単純に私の実力不足で、現地オリ主で一度書いてみたら自分でもびっくりするくらいつまらなかったからです。私自身も、書いていてこれ転生要素いらねぇな…とは気づいております。ですので、「転生要素いらねー」と思った方は、こいつには文章力はないんだ(笑)と思ってスルーしてくれるとありがたいです。

まぁ何はともあれ、御愛読ありがとうございました。
一応次回は楽と千棘視点でお送りしようかと考えておりますので、お楽しみに!


ー追記ー
本日、私の書いてる他作品「109番目の女神」の2話目を更新しました。
幼女戦記とDグレのクロス作品となってます。よろしければ、覗いてやってください。
以上、宣伝でした!

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