ニセコイ 〜転生者の軌跡〜   作:猫の休日

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遅くなりました。
何というか……さっそく何かエタッてきました。



第2話 原作開始

俺がクロードに拾われてから9年6ヶ月が経った。

いきなり時間が経ちすぎだと思われるかもしれないが、察しろ。とても紹介できるような内容ではなかったのだ。

特に訓練。何あれ地獄。一体何回走馬灯を見たことか。

 

そうそう、俺が目を覚ましたとき部屋にいた女の子二人、あれはやっぱり千棘と鶫だった。二人とも可愛かった。クロードは何をどう見て、鶫を男だと判断したのだろう。不思議だ。

千棘とは、訓練が始まってからは一度も会っていない。訓練が大変だったし、訓練が終わってからは"殺し"の仕事を鶫とポーラの分も含めてしていたため、そもそも屋敷に帰ってない。仕事も、基本的にはクロードからメールで指示が来るので、すぐ次の任務に向かっていた。

鶫は今でもヒットマンとして一緒に任務をこなすことがある。ポーラとも出会った。逆に、当たり前だが他の原作キャラとは会っていない。千棘の父でビーハイブのボスであるアーデルトとは出会ったが、母親とは会っていない。

まぁそんな感じで、基本俺は世界中を飛び回り、仕事をしていた。お陰でいろんな国の言葉を話せるし、色んな技を身に付けた。色んな屑を見てきたし、似たような境遇の子供たちも見た。

 

ザリッ、と足音をたて、俺は久しぶりに帰ってきた場所で立ち止まる。偶々任務で近くを通ったから、ついでに花をと考えたのだ。

彼女の墓は、クロードの計らいにより小さな丘の、しかし景色のきれいな自然の豊かな場所にたててある。

目の前には、崩れたテントの残骸があった。俺とエリーが生きてきた場所だ。かつての俺達の家。俺が建てた家。そして、エリーが死んだ場所。

 

俺はポケットから一輪の赤い花を取り出す。エリーが好きだった花だ。それをそっと置く。

最近は任務で忙しくて墓参りに行けていない。今度暇をもらっていくとしよう。

そう考えながら手を合わせていると、無機質な電子音がこだました。

 

「はい」

「優か、私だ」

「クロード様。新しい任務で?」

「ああ、だが、今回はいつもと違う内容だ。一週間後、日本にあるとある廃工場に来い。そこで詳しく話す。場所の詳細は、またメールで送る」

「了解しました」

 

それだけ言うと、通話を切る。

直後、メールが届いた。

そのメールを確認したあと、もう一度だけ手を合わせては、次の瞬間には、成長した少年の姿は、どこにもなかった。

 

 

 

 

 

 

深夜2時頃。

日本にあるとある廃工場の前に、俺はいた。今夜は風が強く、「オオオオオ」という音が、何処からともなく聞こえてくる。

 

……これ、本当に風か?

 

何て思っていると、ふと後方に気配を感じた。ふむ、上手く気配を隠せているが、まだ甘い。

俺はその知っている気配に声をかけた。

 

「久しぶりだな。鶫」

「む、気づかれたか。流石だな、優。久しぶりだ」

「ここにお前がいるということは、今回はお前と一緒の任務か」

「だろうな。クロード様は中か?」

「恐らく。……そろそろ時間だ、行くぞ」

 

二人で閉じている門を軽く飛び越え、工場内に侵入する。少し歩き、角を曲がると、そこには白いスーツを見事に着こなした、眼鏡をかけた白髪の男がいた。

いわずもがな、クロードである。

 

「…お呼びですか、クロード様…」

「…来たか。待ちわびたぞ、お前達」

 

そういいながら近寄ってきたクロードは、懐から二枚の写真を取り出すと、鶫と俺にそれぞれ手渡した。

その写真を見て、俺は思わず吹き出しそうになるのを、何とか堪える。

何故ならその写真に映ったいる人物はーー。

 

「こいつがお前達の次の任務の標的。名は、一条楽」

 

ーー一条楽。そう、ニセコイの主人公だった。

 

原作介入来たーーーー!!!

と、俺が内心で喜んでいるなかで、会話は続く。

 

「既に聞き及んでいると思うが、お嬢は今この男と交際関係にある。しかし私はお嬢はこの男に騙され利用されているとにらんでいる。狡猾な男だ……」

 

そんなわけあるかーい。

何でこの人優秀なのに時々ポンコツになるのだろうか。過保護にも程があるし、原作の千棘を見る限り、騙されるような女じゃないし、騙されたところで力で何とかしそう。

 

グシャ。

 

……グシャ?

 

音の発生源である隣を見ると、鶫が般若の形相を浮かべ、写真を握りしめていた。

 

「お嬢を……許せませんねその男……」

 

ふむ。原作通りの反応ですな。

 

「……おまけにチビで下品で雑魚で小物で貧弱で(以下略)………こんな男をお嬢が選ぶはずがない! お嬢にベタベタしやがって。思い出すだけで腹立たしい!」

 

嫌いすぎだろう……。あと本音。もうちょっと隠そうぜ。

 

「そ…そんなにですか、許せませんねその男……」

「私ではお嬢を直接お守りすることができない。だが私が育てた優秀な部下であるお前達ならば、あんのクソガキ(以下略)……の魔の手からお嬢を救い出すことができるだろう」

 

クロードの言葉を聞いて、鶫の目にはっきりとした決意が現れる。

 

「了解しました。お嬢は私が必ず救います……!!」

 

そういうやいなや、鶫は背を向け歩いていった。

 

「優、お前はどうだ?」

「……お任せを、クロード様」

 

(ええ、お任せください。きっちり原作の最終話、この目で拝んできますから!)

 

目的は違うのだが、優にも確かな決意の色が伺えた。

それを見てクロードはそっと息を吐くと「頼んだぞ」とだけ言い残してその場をあとにした。

 

俺はそれを見送ると、スキップしたくなるのを必死でこらえつつ、鶫に追い付く。

 

「何だ? やけに嬉しそうだな……」

 

気づかれた。

 

「ああ。……久しぶりにお嬢に会えるとなると、な」

 

適当に誤魔化す。

 

「ああ、そうか。優は7年ぶりになるのか……。そうだな。私もお嬢に会えるのが楽しみだ。きっと、また一段とお綺麗になられてるのだろうなぁ」

 

そうトリップする鶫を横見に苦笑する。

俺は久しぶりの高校生活、また原作への期待と、俺が介入することによる原作の改変が起こる可能性に不安を抱きながら、夜空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

カツカツと、鶫と同じ他校の制服に身を包み、凡やり高校の廊下を鶫と並んで歩いている……のだが。さっきから、むっちゃ見られてる。そしてむっちゃヒソヒソされてる。

今まで気づかなかったが、あれだ。俺、目立つの嫌いだわ。

ほら、今までずっと暗殺とかしてたから、人の視線が俺に集まるようなことって、ぶっちゃけあんまりなかった。町中でも基本的に気配殺して、人の意識の隙間を縫うように移動していたから、視界に映っても、記憶には残らない、そんな動きをしていたからこんなに目立つことがなかった。

視線が痛い。敵意やら殺意やら、そう言った視線ならそれこそ腐るほど浴びてきたが、好意的な視線は、はじめてだ。

 

「落ち着かないな……」

「そうか? 私は何も気にはならんが……」

「いや、お前はそうかもしれないけど、俺はこんな好意的な視線、はじめて向けられたからさ。何というか、背中がムズ痒い」

 

優の何気ない一言に、しかし鶫はその整った顔に影を落とし、どこか申し訳なさそうな、そんな表情をした。

 

「……どうした? 体調でも悪いのか?」

「いや、何でもない。それより早く職員室へ向かうぞ」

 

鶫のそんな様子に、優は首をかしげながらも鶫のあとについていった。

今世では学校ははじめてだ。視線で落ち着かないが、それでも久しぶりの校舎というものに、懐かしさを感じる。前世の校舎はここほど綺麗ではなかったが、それでもどこか似たような構造に、胸が熱くなるのを感じた。

 

職員室を出て、これから教室に向かう。担任の先生である眼鏡をかけた女教師のあとに続く。誰であろう、キョーコ先生である。

結婚して辞めていくのを知っているので、今から何というか、祝福したい気持ちになった。

 

「二人とも、準備はいい?」

「「はい」」

「それじゃ、私が呼んだら教室に入ってきてね」

 

ガラッ。

 

「よーしお前ら、突然だが今日は転校生を紹介するぞー。入って鶫さん、弥柳君」

 

教室に入る。視線が突き刺さる。

自己紹介は鶫から。俺は今のうちに、クラスメンバーを見る。千棘、楽、集にるり、そして小咲を見つけた。うん、可愛い!

あ、あれはゴリ沢! マジでゴリラがいる。リアルで見るとますますゴリラだ。

 

「初めまして、鶫誠士郎と申します。どうぞよろしく」

「初めまして、弥柳優です。よろしく」

 

二人が自己紹介をした、次の瞬間ーー

 

「「「「キャーーーーー!!!」」」」

 

と、女性から黄色い声があがった。

 

 




区切るタイミングぇ……。
何か思ったよりSS書くの難しいですね。原作をどこまで拾うか悩みます。

ああ、もっとサクサク進めたい……。
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