実はいとこが結婚しまして、奥さんを連れて家に遊びにきていた関係で遅くなりました。
「ん、んー……はぁ」
ノビをして、眠りから覚めた俺は上半身を起こす。部屋に鈴のような声が響いた。
……鈴のような声?
眠気眼をこすり、鏡を確認しに洗面台へと向かう。
そこには、黒髪ロングでスレンダーな女の子。
涙子が立っていた。
「……はぁぁぁああああ!?」
部屋中に響き渡る叫び声を発した後、俺は涙子に電話をかけた。
***
「こんにちは、譲さん」
「……おう」
目の前にいる、俺の姿をした涙子はそう言った。どうやら入れ替わっていることに気づいていないらしい。
しかし、この入れ替わり現象はなんなのだろうか。超能力……じゃ、ないよな?
「今日呼び出したのは……な、まぁ落ち着いて聞いてほしい」
「……はい」
少し顔を赤らめる俺……こと涙子。客観的に見ると、俺ってこんな顔してんのかよ。
「え、体が違う?」
「そうなんだよ」
「えっと……よくわかりませんけど、じゃあ今私はどんな見た目ですか?」
「俺」
「……え?」
「いや、だから……俺」
涙子の体が固まる。まぁ、それもそうだろう。混乱するのも無理はない。俺もさっきまでそうだったからな。
「じゃあ、今の譲さんは?」
「涙子の体」
「……つまり」
「俺たちは」
「「入れ替わってる!」」
こうなってくると、御坂や初春さんたちも入れ替わってるのか心配になる……もし白井が御坂の体に入ってて、それに気づいたら……まずい、一刻も早くなんとかしないと。
「じゃあ、御坂たちのとこ……涙子、何歌ってんの?」
「え、入れ替わってるんだったらこの歌じゃないですか」
「入れ替わりでその歌をうたったら、彗星が落ちてきちゃうよ」
そう言うと、涙子はいつものように「ですね!」と元気よく言って笑った。しかし、その姿は俺の姿。見ていて気持ちのいいものではない。
「御坂たち呼び出すか」
「といっても、私は入れ替わってるのか分からないんですけどね。なんで譲さんは分かるんですか?」
「んー……分かんない。いつも変身してるからかな?」
「なんですかその超理論……」
「だよな。そんなわけないよな」
まぁ、考えてもわからないしな。深く考えなくていいか。
***
「で、用ってなによ」
そんなことを言ったのは、小さな姿の女の子だった。口調からして、おそらく御坂。
しかし連絡をして数分、やはり暇だったのか。連絡して数分で到着って、どんだけ暇を持て余してたんだ。
「……やっぱりな」
「やっぱりって……なにがですの?」
そう言ったのは、見知らぬ女の子の姿の……多分白井。やはり全員入れ替わっていたようだった。
御坂は誰かわからないが、小さい女の子の姿に、初春さんは固法さんの姿に、白井もよくわからない女の子になっていた。
「いや、実はな」
そう言って俺は再び事情を説明する。説明を終えると、3人は顔を見合わせた。
「「「入れ替わってる!?」」」
そう言って、3人は涙子が歌った曲と同じ曲を歌い始めた。
だから、その曲は彗星が落ちてくるからやめろっての。
「とはいっても……ホントに入れ替わってんの?」
「まぁ、そうなるよな」
全員入れ替わってることに気づいてないみたいだし……てか、ここまでくると学園都市全体の話とかになってくるのかな。
しかし、どうするか。入れ替わってるといっても特に害はないし、元に戻す方法もないしな。
上条がいれば話は別なんだけどな……電話は繋がらないし、部屋にもいないし。本当に携帯電話ぶっ壊れてんのかな。
……あいつならマジで壊すな。机に足をぶつけた拍子に置いてあったのを踏んづけて、とか。それで不幸だとか言うんだろうな。
「まぁ入れ替わってるんだけど……害はなさそうなんだよな」
「私たちは入れ替わってること自体わからないですし」
俺の言葉に初春さんはそう言った。初春さんたちは入れ替わってること自体わからないらしいので、そっち側から見ればなにも変わらない風景なのだろう。
「……ねぇ、ここにいるのもなんだし、せっかく集まったんだからどっか遊びに行かない?」
「あー、それもそうだな」
害もない、そもそも気づいてない、なにをしていいのかわからない以上、俺たちができるのは普通に日常生活を送ることぐらいだろう。
御坂の言葉に頷いて、俺たちは適当にぶらつく。行くあてもないが、どうせセブンスミストあたりで落ち着くだろう。
「譲さん譲さん、この服可愛くないですか!?」
「……おう」
そう言ってワンピースを体に当てる涙子。俺から見れば、俺がワンピースを見て目をキラキラとさせている様子になる。
やべ、吐き気してきた。
「ふわぁ……!」
店の前に置かれているゲコ太の置物を見て目を輝かせる御坂。今の姿なら年相応といった感じだ。
しかし、ゲコ太って街のいたるとこにいるな。学園都市の一大産業だったりするのかな。
「お姉さまったら、またそのようなものに……」
そう言って呆れる白井。今の姿はどう見ても御坂よりも年上。お姉さまという言葉には違和感しか感じられない。
「……赤城さんには、この様子がどう見えてるんですか?」
「ひとことで言うなら、ひとことでは言い表せないほど気持ち悪い」
固法さん……じゃなくて、初春さんの言葉に俺は答える。
明日になってもこんな様子なら、もう明日は外に出ないようにしよう。そうしよう。
翌日、この入れ替わり現象はまるで夢だったかのようになくなった。よかったという安堵感の他に、残念な虚無感が残ったのはなぜだろうか。
……涙子の体が名残惜しかったとか、そんなわけでは断じてないと思いたい。
インデックスの方がやっぱり知識が曖昧というか、覚えてません笑
エンゼルフォールってどんなんだったかなぁって思いながら書いていたら、いつもより数段クオリティ下がった気がしました。