家族、力、技術
嫌いなもの
自分を馬鹿にする人、努力を嫌う人
眼鏡をかけた少女はじっと先ほどの決闘を見ていた。そして感づいた。ルイズの危険性を。
「・・・あの人は危険」
~同じ頃~
学園長室は重苦しい雰囲気で包まれていた。
「・・・学園長」
「・・・なんじゃね、ミスタ・コルセット」
「・・・コルベールです。いかがいたしましょうか?」
「・・・今回の件はどちらにも非があると聞いておる。よって今回は不問にするしかあるまい。それに」
「・・・それに?」
「あのナイフが瞬間移動した原理がわからない上では何とも言えぬ」
「ですが、あの時ミス・ヴァリエールはミスタ・グラモンを『殺す』とあの場で、皆がいる場で宣言したのですよ?!!」
「それでもじゃ!!」
「・・・ッ」
「・・・ミス・ヴァリエールをここに呼び出してきなさい」
「・・・わかりました」
コルベールは出て行った。
「フフフフフフフフフフフフククククククハハハハハハハハハハハハ・・・アーッハッハッハッハッハッハ!!」
廊下を歩きながらルイズは大笑いしていた。
やった、やってやったぞ、あいつに死の恐怖を味合わせてやった。あのナイフが突き刺さったと理解したときの目は傑作だった。あの絶望に満ちた目は傑作だった。勝利の余韻が彼女にはあった。
実を言えばあの後、もう一回時を止めるなりなんなりして完全にとどめを刺してもよかった。しかし、そんなことしたら能力がばれる可能性があるし、なによりあの攻撃で本人は仕留めるつもりだったので追撃する気分にならなかったのだ。
「しかし・・・、お母様の教えてくれた技術がここで役に立つなんて、人生って不思議よねぇ」
そうつぶやきながらルイズは部屋に入ろうとする。
するとそこにコルベールがやってきた。雰囲気からしてどうやら相当怒っているようである。
「あら、コルベール先生。どうかしましたか?」
「・・・今夜、君には学園長室まで来てもらいます」
「はい、わかりました」
ニコニコしながら返事するルイズにコルベールは一種の怒りと不気味さを覚えた。
この子は先ほどの自分の行動に関して何も思うところがないのか?!という怒りの気持ちとその事実に対する不気味に思う気持ちがあった。
~その日の夜~
「……随分と大変な事をしてくれたものじゃ」
そう言いながらオールドオスマンはホッホッホッと笑った。横にはコルベール。扉の前にはミス・ロングビルがいる。
それに対してルイズは返事もせずただニコニコとして立っていた。それ絵が逆に不気味感を増している。
「・・・さて、ここに呼ばれた理由がわかるかね?」
「はい、禁止されている貴族同士の決闘をやった上で殺そうとしたこと、ですよね?」
すらすらと言葉を並べ立てるルイズにオスマンはコクリとうなずいた。
「ルールはなぜあるのか、わかるかねヴァリエール」
「ルールとは、人を縛って規則に準じさせるためにある、ですよね?」
「そうじゃ。その通りじゃ。例え、ケンカが原因で発展した決闘であったとしても、それを放っておけばまた今回のようなことが起こるかもしれぬ。故に、ミス・ヴァリエール。君に今回の件で罰を与える」
「・・・」
それに対してルイズはただニコニコとしていた。
「君に1週間の謹慎処分を与える。1週間部屋にこもり、反省しなさい」
「はい、わかりました」
するとルイズは踵を返して部屋を出ようとする。
「これ、まだ老人の長話は終わっとらんぞ」
「はい、なんでしょう?」
「・・・君はわしが話そうとしている話がまだ分からぬか?ミス・ヴァリエール」
「えぇ、分かってます、分かってますとも。『なぜあそこまでやったのか』でしょう?」
「…そうじゃ」
「あの時、彼は私を殺す気満々でいました。そしてワルキューレに武器を持たせた…。ならば私も殺す気で行かなければ確実に死んでいたでしょう。やられる前にやったんです」
「じゃが、あれはやりすぎじゃ。もし侮辱されたとしてもたかがその程度であそこまでやる必要はあるまい」
するとルイズはピクッと動いた。
「・・・ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」
そしてルイズは笑い始めた。あまりにも不気味だったのでコルベールとミスロングビルは少し身構えてしまう。
「"その程度"・・・。オールドオスマンは今、侮辱をそうおっしゃいました…。ですが、あなたにわかるのですか? 人に侮辱され続ける人の気持ちが? 自分よりも身分が低い人間にも侮辱された私の気持ちがわかりますか? あなたみたいな伝説のような存在の人間が地べたで這いずり回って苦しんでいる私の気持ちがわかるんですか?
・・・人の気持ちも本気で知らずに、理解しているようにしゃべらないでください!!!!」
この時全員が息をのんだ。これがこの少女の本音なのか、と。
実際本音だった。彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは気づかいされるのがあまり好きではなかった。特に自分が魔法が使えないとわかっていて気づかいされることが何よりも大嫌いだった。そういう奴は家族以外例外残らず排除してきた。ただここで排除しにかからなかったのは『オールドオスマンだから』という理由だけだった。それがなかったら今頃ザ・ワールドを行使して排除しにかかっていた。
「・・・フーッ」
するとルイズは思い切り息を吸って吐き出した。
自分でも驚くぐらいボルテージが上がったのでクールダウンすることにしたのだ。
「・・・退出しても構いませんか?」
「うむ、かまわんよ」
次の瞬間、ルイズはその場から消えた。
「「「?!!!」」」
三人は驚愕した。
(あの場からわざわざザ・ワールドを使って離れるなんて…私も冷静さを欠いたってことね‥‥)
そうルイズは思いながら廊下を歩いていた。すると担架でギーシュが運ばれていった。その時にモンモランシ―ににらまれた気がするが彼女にとってはそよ風にも満たないものだった。
「・・・ねぇ、ルイズ」
するとそんな彼女にキュルケが彼女に話しかけてきた。
「なにかしら?」
これを無視するほど彼女は意地の悪い人間ではない。すっと彼女の方に顔を向ける。
「あなたのあれは、なんだったの・・・?」
「・・・?」
「あの時、殺すって言ってたのは・・・なんで…」
「殺されそうだったからよ。それ以上に理由はないわ」
「・・・じゃあ、今までのあなたは演技だったの?」
キュルケは震える声でそう質問した。
「いえ、悔しいという感情は本物よ。二面性ってあなた知ってるかしら? でもあれは過去の私よ。今の私には関係のない話だわ。だけど」
「・・・?」
「あれは今ここで考えると少しやりすぎってくらい演技してたけど、ね?」
彼女は今までにない恐怖感をルイズに覚えた。あそこまで違和感なく今まで演じ切っていたのか?!!と。
「それに」
「?」
「あなたのおかげでもあるのよ? あなたのおかげで爆発を武器にするって発想ができた。よく考えたらおかしいなって理解したの。そこは感謝しているわ。だけど、それ以上にあなたには恨みの部分が強いわ」
「!!!」
「よくも今まで私を馬鹿にしてくれたわね?」
「それは・・・そういうつもりじゃなくて・・・」
「そんな言い訳どうでもいいわ。今この状況では意味のない戯言だもの。私は自分をバカにした人達はすべて平等に扱うことにしてるの。男・女、大人・子供、貴族・平民、上級・下級すべて関係ないわぁ」
そう言いながらルイズはゆっくりとキュルケから離れる。
「え・・・?」
「私から攻撃したら私が悪者扱いされるでしょう? そちらから攻撃してくれないと正当防衛にはならないわぁ?」
「・・・ッ」
「怖いんでしょう? 私が今怖いんでしょう? いいのよ、それは全然不思議なことじゃないわ。人は『不安』を殺して『安心』を得るの。さぁ、私に攻撃を仕掛けて見せなさい? きっとあなたは英雄扱いされるはずだわ」
にこにこしてルイズは両手を広げた。
「そ・・・そんなこと・・・」
「あら、できないのかしら? 精神的に私を今まであれだけ攻撃してきたくせに今更よくそんなきれいごと言ってられるわね?」
「うぅ・・・」
キュルケは涙目になる。ルイズはさらに口の端を吊り上げる。
するとそこに疾風が吹いた。
「そこまで」
眼鏡をかけた少女が杖を構えていた。するとルイズはにこにこしながら彼女に近づいた。
少女は一歩後ずさりする。
「一歩引かなくてもいいじゃない…。そんなバケモノみたいな目でこっちを見なくても…フフフフフフフフフフフフ」
「・・・ッ」
「・・・ところで、私はあなたを知らないわぁ? あなたのお名前、よければ教えてくれるかしら?」
「タバサ」
この時、ルイズはこれは嘘だと見抜いた。普通はためらいの表情を見せるものである。どんなに表情が死んでいる人間でも多少のためらいはするしそんな雰囲気が出るのだ。しかし、今目の前にいる少女はその様子がなかった。
「あらあらあらあら、お人形さんみたいな名前ね」
ルイズがそうおだてるとタバサはまるで親の仇を見るような目でこっちをにらみつけてくる。
「ウフフフフフフフフ・・・」
ルイズはその反応が可愛らしく思えてしまい、思わず笑ってしまう。
「じゃあねぇ」
そう言いながらルイズはその場を去った。
続く
THE_WORLDのスペック(ルーン発動時)は
破壊力:A
スピード:A
持続力:A
射程:10m
精密動作性:B
成長性:B
特性
自分以外の時を5秒間止める。
となっております。完全に時を止める時間以外3部版の性能ですね。