インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】 作:金宮 来人
では今回行ってみましょう。
『シン・シン・シンフォG‥『ブツッ』』
「えー、今日はクラス合同の実習となるわ。四組と一組が合同で行うのでスーツに着替えて第二アリーナに集合よ。ダインスレイフ君は・・アリーナの更衣室を使用してね。」
「・・俺は必要ない。まぁ、とりあえず移動する。」
俺は別に着替える必要はない。と言うか前の試合の時に見せていると思うのだが、俺は基本制服で展開時に専用のスーツが同時に装備される。
「早いわね?って、スーツじゃないじゃない。・・・あれ?貴方って前にスーツって来てなかったわよね。」
ジャージ姿の四組担任、長谷川先生が俺が付いてからすぐに来た。まぁ、俺はゆっくり歩いて移動していたし、先生の方はジャージを上に来ているだけみたいなものなのだろう。
「俺のは展開時に同時に装備される。即時対応を兼ねているし、少し普通ではないからな。」
「ふーん。一応聞くけど、スーツだけ展開する事は出来るの?」
「まぁ、一応出来るが・・。見たいのか?」
「今最高の企業力を持つ企業の専用機の専用スーツ。参考になるかどうかは関係なく興味はあるわね。」
「はっきり言ってくれてありがたい。下手な事を言って誤魔化したら拒否するつもりだったが、そう言う風に言われるのならかまわない。」
そう言って俺はスーツだけ展開する。そこには・・
「は・・。」
「どうした?」
普通のIS用スーツはスクール水着の様なもので、なるべく肌と触れる面を増やすようにした設計だが、俺のスーツは逆に一切顔以外の場所は肌が出ていない。足や腰、肩にはプロテクターの様なものが付いていて、胸部や腹部には肌にぴっちりと張り付くように膜の様なものがある。色は青を基調としていて皮膜部分は紺色で顔も顎などにくっつくような部分、さらに頭部にも突起部分が付いている。
「零式装者強化装備。ISがエネルギー切れになった場合に極地でも一定時間活動が可能な装備となっている。」
[マブラヴの零式衛士強化装備の形状]
「な、なるほど。エネルギー切れの後まで考えてある。・・見る場所が違うわね。」
「それにこの装備は、皮膜部分でも一トンの衝撃に耐えられる。斬、刺し、銃弾に対して強く耐熱性もある。但し、皮膜状であるためあまりエネルギー光学兵器には強くないという欠点がある。・・どうだ?参考になるか?」
「いいえ、まったく。見ている着眼点も環境も違いすぎる。・・なるほどね。こんなんじゃ他の企業は置いて行かれるわ・・。」
昨日スコールに聞いた事だが、現在、技術力の点において世界の他の企業をぶち抜いてイグナイト社が一位らしい。圧倒的すぎて二位との差がとんでもないとか。
「さて、ほかの子達もきた・・[きゃああぁぁ!?]・・そりゃそうか。」
きた生徒が急に叫び出した。その視線の先にあるのは・・言うまでも無く俺だな。
「この格好はセクハラにされるか?」
「いえ、むしろ別の意味で叫んでいるわね。」
指を刺した先には真っ赤になって鼻血を出している女子が三人。更に指で目元を隠しつつその指の隙間からちらちらと見ている更識と坂上。真っ赤になりながら写真を撮っているマドカ‥っておい!
「何をやっているんだマドカ。」
「決まっている!!お前のそんな姿を見た事はなかったからな!!写真に収めている!!」
なんでそんなに力強く言うんだ。
「長谷川先生。俺の姿、元に戻した方がよくないか?」
「いえ、むしろ私がやる気が出るから続行。」
「・・なんて教師だ。」
「誤魔化されるのは嫌いなんでしょ?」
「違いないが・・どうした?凰。」
合同だからここに居るのはわかるが、何故そんなに近くに来ている。
「この・・膜の部分・・何この感じ・・変な感じ。強く突くと固いのにゆっくり触るとふにふにする。」
指で腹や胸のあたりをつついている。
「鈴!ずるいぞ!!私も触るぞイチカ!!」
そう言いつつ突いてくるマドカ。女子二人に指でつつかれる俺。なんだこの光景・・。
「あー、そろそろ時間ね。整列して。ダインスレイブ君は一番前で私の横に来て。列に居たら誰か触りに来ちゃいけないし。」
「そう言いながらも指でつつくのをやめろ。」
教師の癖に思いっきり興味津々でつついて来やがった。言ってることとやってる事が一致して無い。
「ふむ、何の素材なのかしら・・。こんな特殊な使用法・・。凄いわね‥。」
あ、コレ普通に研究肌的な面から触ってやがる。この教師意外と多方面に強そうだわ。
「・・時間です。」
「それでは実習を始めます。・・まず、ダインスレイフ君。模擬戦をしてください。」
そう言って、指を空中に向かって指す。そこにはラファールをまとった女性が居た。
「相手をするのは・・一組の副坦の山田先生よ。」
「一組の副担任、山田麻耶です。今一組は普通の一般授業中なので私が実習を担当させてもらいます。」
「山田先生は元国家代表候補で、ヴァルキリー候補だったの。でも、大会で上がり症なとこが合って実力を発揮できなかった。だから、候補どまりだったけど実力は凄いわ。」
「そ、そんな・・。結局候補どまりな私は・・。」
「ま、ダインスレイフ君には勝てるかどうかは分かんないけど。」
「そうなんですよね。前の模擬戦の時の動き、かなりリミッターかけていたんじゃないのですか?」
「・・まぁ、それは確かに。それにあの時は5徹でかなり体調は最悪だったが。」
「は、ごてつ?・・五日間も徹夜と言うことですか?」
「色々と忙しいんだ。まぁ、昨日完成したので久しぶりに寝た分、今日はかなり体調はいいが。」
「そ、それならいいのですが・・夜はちゃんと寝てくださいね?体に悪いですから。」
「善処はする。」
そう言って誤魔化す。ま、そんなことよりも展開するか。
「アルケミスト・・。行くぞ。」
そう言い俺はアルケミストを展開。そして他のメンバーはアリーナの席へと移動していく。
『山田先生は先ほどの話とデータを見る限り射撃特化型。だな?』
「そ、そうですが。データとは?」
『決まっている。過去の大会成績データだ。射撃部門の試合で無くてただの射撃ならば最高得点を出しているからな。・・と言う事で、俺もこうする。』
前のように手のひらに紅い鉱石を出して歌う。
『Killiter Ichaival tron~♪』
そう言うと蒼かった機体が紅く染まり、腕部に紅く大きなでっぱりが出る。
『・・モード、イチイバル。』
「な、装備が変わるとはまた凄いシステムですね・・。しかし、歌うのは何か意味が?」
『ソレを答える義理はない・・と言いたいが普通に起動コードの様なものだ。正しく歌わないと起動しない。そんな感じだ。』
「そ、そうですか。」
そう答えると納得いかないのか首をひねっている。聖詠の事を言っても通じんからこんな認識でいい。
『用意はいい?』
「はい。」『問題無い。』
『では、始め!!』
そう言うとブザーが鳴り俺は地面に降りる。対して山田先生は空中でライフルを構え俺の動こうとする方向に打ち込み動きを阻害する。その腕前とこの場を利用できる事に気が付いた俺は息を吸った。
~BGM【TRUST HEART】~
『~♪』
そう歌いながら腕の突起が銃の形になりそれが大型のガトリングに変形する。それを思いっきりぶっ放しながら横に走る。
「な!?い、一体どういう構造を・・きゃあぁ!?」
山田先生は弾膜が急に展開された事により慌てて回避。ライフルを撃ちつつ体をひねったり回転してなんとか弾の間を抜けようとする。
『~♪』
山田先生が撃ってきた弾を避けつつ俺はガトリングを撃ちまくる。
≪BILLION MAIDEN≫
更に腰の部分から横に開き小型ミサイルが数十発発射される。
≪CUT IN CUT OUT≫
「は、はい!?更に来るのですか!?」
ガトリングで撃つ弾はなるべくスピードを上げて避け、ミサイルをライフルで撃ち抜き爆発させる。
『~♪』
≪MEGA DETH PARTY≫
「更に攻撃が増える!?一体どんな・・上から?!」
ガトリングだけでなく右手をボーガンに切り替える。しかしそこから撃つ矢は普通で無く大きなクリスタルみたいな形だ。それを空中に撃つとそれが宙で分解され何百と言う細かい針になる。下からはガトリング。上からは大量の針。逃げようにも追尾してくるミサイル。そこに気が移った時、最後のとどめを撃つ。
『~!!~♪』
≪MEGA DETH FUGA≫
大型ミサイルを背中に展開ソレを撃つ。それと更に腰からも小型のミサイルが出て撃つ。
「こ、これは・・無理です!!」
グレネードランチャーで大型ミサイルを撃ってみたがまったく意味をなさず、思いっきりぶち当る。
「ぐあぁ!?」
そこでSEがゼロになりブザーが鳴る。
『そこまで・・と言うか、ダインスレイフ君やり過ぎよ!!』
『これでも最後のミサイルを爆発させなかっただけましだ。』
「・・きゅう~・・。」
見たら上から山田先生が倒れて堕ちて来ていた。それを空中でキャッチ。そのままピットに持って行き、報告して許可を取り保健室に運んだ。
翌日から、山田先生から紅い顔で見られながらも少しおびえるような視線を受けるようになったのはしょうがない事かもしれない。
私(マドカ)達はそんな光景を唖然として見ていた。
「・・ホント、イチカって強すぎでしょう。私勝てる自信ないわ。クラス代表選勝ち確定じゃない。」
「え?イチカはクラス代表じゃないよ?」
「そうなの?じゃあ誰?」
「私。」
凰と簪が隣に立っていて話していた。どうやらイチカの動きを見て追っていたら見やすい位置に揃っていたらしい。更に、坂上も一緒に居る。
「・・日本代表候補生更識簪。・・でも、専用機がまだできてないって聞いたんだけど?」
「出来たよ。クラスのみんなが手伝ってくれて。そして・・イチカ師匠が色々と教えてくれたから。」
「し、師匠?」
「そう。全部教えるんじゃなくて基本を教えてその解き方と応用の方法を考えさせる。そして私をさらなる高みへと導いてくれた。だから師匠。時には厳しく叱ったり、時には優しく諭したり。うん、彼は素晴らしい人間だと私は思う。」
「そう。彼は素晴らしい。・・あんな愚かな行為をした私を叱って、でも貶めたり傷つけたりせず、危険が迫れば自らを楯にして戦う。現代に存在する誰よりも不器用で誰よりも誠実な紳士。・・・あの一組の男なんかに比べる事もおこがましいと思うわ。」
「ここまで行くとか…、何があった?」
「ソレは~・・。」
~少女説明中~
「そりゃひどい。なんであんな男の為にイチカが怪我を‥」
「ソレは私を護ってくれたから・・。」
「それにあんな男の所為で簪さんの機体の開発が遅れたのも気に入らないわね。」
「ホント。しかも、廊下で二人掛かりでイチカ君を襲ったり、他の生徒がきたら危なかったのにそれを悪くも思わない。そして、織斑先生もホントの事を云った生徒を脅迫して黙らせようとしたし・・。」「がっかりだよね。憧れて入った生徒も多かったからかなり荒れているらしいよ。一組の子がクラス変わりたいって言ってたくらいだし。」
「まったくよね。」
私は黙ってクラス内の評価を聞いていたが・・イチカの株が急上昇し過ぎな気がする。いや、しょうがないのは分かっている。他の奴に顔は見せてないが、ホントはイケメンなんじゃないか。とか顔だけじゃなく性格イケメンだし。とか、今日の体見ただけでイケる。とか・・ん?最後のは待て!!
「イチカ君のあの体ヤバかったわね。」「確かに・・。」
「今度からこの実習の時間が楽しみでしょうがないわ・・。」
「くぅ、なんで私は違うクラスなのかしら・・。」
「あぁ、・・確かマドカさんが写真撮って無かった?」
その一言でそこにいた全員の目がこっちに向いた。怖っ!?
「マドカさん。その写真欲しいんですが・・。ただでとは言いません。一枚に諭吉さんが一人でもかまいません。撮った写真のコピー、いただけませんかね?」
言ってきたのは坂上。しかも、背後から肩に手を置きしっかりと押さえつけ逃がさないと言った風にだ。
「・・イチカに聞く。出回るのが嫌だと言われたらどんな手を使われても、断る。」
「・・わかりました。イチカ君が嫌がるなら言いません。しかし、許可が通れば必ず、どんな手を使っても譲っていただきます。」
「そうだな。私としても、兄がここまで人気が出るとは思っていなかったし。だが、本当の顔を見ている私が言うが・・イチカを見続けると本気で血のつながりとか関係なく惚れるぞ。」
「そ、そんな・・じゃあ、マドカさんは・・。」
「妹で無ければ襲っている。本気でな。イチカが嫌がるだろうと思い引いてはいるが・・。」
「「「きゃああぁああぁぁぁ!!?」」」
その後、イチカに聞いたら『別にかまわんが・・そんなの誰が要るんだ?』とか言われた。もちろん一番初めに買ったのは坂上だった。諭吉十人がいきなり飛んできた。この日から、ファンクラブ『IIII』[アイ・フォー]が発足された。【イチカ・イケメン・一緒に・居たい】の略らしい。学校内だけかと思ったら、インターネット上にすでに発足していたらしい。私は会員ナンバー0005だった。準備している番号が初めから四ケタとか・・。校外にも会員はいるらしく、三番まではとある企業の上層部らしいとか。
「束とクー、スコールあたりか?」
「ちなみにアタシは0006。簪は0007。オータムさんは0008で、坂上が0004らしいわ。」
「坂上すごい・・。」
正直あの初めの事からこんな事になると誰が予想していたか‥。
薄暗い部屋、俺は寮の一室から抜け出しとある場所に来ていた。そこは、大きな歯車が回り、パイプオルガンの様なものが置いてある。配管がいたるところに通り、物々しい雰囲気があるがそこには空中に浮かんでいるモニターと少し後ろにベッドがあるだけだ。
「アガートラーム、イチイバル、・・まだ後四個か。・・・ダインスレイフを開放して歌う事は出来ないし、フォニックゲインが集まるまではまだかかるな・・。」
「マスター、次はいつ使うか決めているのか?」
「あぁ、もうすぐ、アイツ等(・・・・)が転入してくるらしいからな。そこで、イガリマ、ガングニールを使う。他はシュルシャガナを当てたいとこだな。それに織斑にはアイギスとオートスコアラーの力。更に、何とか準備できたデュランダルをぶち当てる。と、残りはアメノハバキリか・・。」
「一番いいのは織斑千冬、または篠ノ之箒ですか?」
「そうだな。まぁ、そこはタイミングを見てと言ったところだな。個人的には織斑と当たる時が待ち遠しいな。」
「えぇ、本当に・・あの屑をぶちのめせるのをこのガリィは本当に楽しみにしてますぅ♪」
「その時は派手に頼むぞマスター。私に地味は似合わないからな。」
「あのマスターを傷つけた剣。へし折る事が出来るのは本当に楽しみですわ。」
「あの屑をバラバラにしたいぞ~。でも、マスターが困る事になるからせめてあの機体をバラバラにする所で勘弁してやるぞ。」
「その時は頼むな。」
「「「「すべては。マスターの為に・・・。」」」」
「あぁ、そろそろ寝るか。…久しぶりにガリィ、ミカ。一緒に寝るぞ。今度はファラとレイアだからな。」
「ホントですかマスター!?」「やったぞ!!」
「ふ、まぁ、今回は譲ってやる。」「また、ゆっくり出来るときにお願いしますわね。」
レイアとファラは紅いビンの様なものを床に投げる。すると足元に紅い魔法陣が現れ、二人は消える。
「では、寝るか。」
ベットに横になると残る二人も一緒に左右に分かれてベットに横になる。俺の腕を腕まくらの様な状態で二人はくっついてきて喜んでいるようだ。そして、俺はすぐに目を瞑り寝る。オートスコアラーは普通寝ないはずなのだが、彼女たちは俺にくっつくと夢を見て寝れるらしく、いつも彼女たちは嬉しそうにそれを話してくれる。こんな所でも俺のは役に立っているらしい。そう思うと少しうれしかった。
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