インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】   作:金宮 来人

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えー・・原作乖離しているこの作品の最後の見せ場が近付いてきました。
そして、ちょっと納得いっていなかったこの作品の終わりを、昨日急遽思いついた方向に仕上げて書き直しました。
コレでこの作品について思いっきり書きあげる事が出来たと思います。
その原因になったのがアプリのシンフォギアのゲームのやさぐれビッキーと未来さんの話。
その話を見て書き直す事が出来まして、作者大満足しております。
終わりまで実は残り少なくなってきておりますが、お付き合いくださいませ。
では本編へどうぞ。


インフィニット・ソング 24

旅館に戻り、夕食を済ませ俺はまた外へ出る。

「・・来たか・・。」

そう呟くと後ろから束が現れる。

「うん、イっくんが思ってるように連絡が来たからね・・。」

「・・渡すのか?」

「ううん、渡さない。アイツに拒絶を言い渡しに来た。前に私は関係ないって言ってた事も知ってる。だから、そう言ってやる。」

「そうか・・もう駄目なのか?」

「そうだね。・・でも、その言葉そっちに返すよ。もう無理なの?もっと行けない?」

「もう無理だな。・・お前も、そしてクー・・クロエも知ってるだろ。」

「知ってる・・それでも・・でも!!」

「ありがとう。そう言ってくれるだけで十分だ。」

「私は十分じゃない!!まだ、もっと一緒に居たい!!皆と!イっくんと!!」

「・・・それでも、壊れた歯車はいつかは割れてそのかけらが周りも止める。そうなる前に取り去らなくてはならない。・・そうして、世界は周り、思いは伝わり続ける。そう言うものだ‥。」

俺はもう話す事はないと、旅館に向け歩き出す。背中に束のすすり泣く声を聞きながら。

もう、俺は止まれない。止まった時は、壊れた時だ。

 

 

夜が開け、朝食を済ませた後は一般生徒と専用機持ちに分かれ実習または作業がある。

代表候補生や専用機持ちは機体の新しいパッケージやパーツの試運転。一般生徒は屋外での実習だ。そして、専用機持ち組から、声が上がる。

「なんでこの女こっちなの?」

鈴が嫌そうに顔を向ける先にいるのは一年一組、篠ノ之箒。何故か・・俺は知っているが、こっちにいるから今までの態度を見てきた生徒は全員冷たい視線を送る。

コイツは、前の事を教師の所為にして姉の束の事をちらつかせ政府を脅してかなり減刑させたのだ。だから、数日の謹慎と反省文で済んでいる。

「ふん、言っていろ。・・今日、私は代わるんだ。冬二の為に・・。」

そう言いつつ俺を睨む。知るか・・。アイツはもう此処には居ないんだから。

「どうやってよ‥ん?」

そう鈴が言っていると、向こうから歩いてくる女性が居る。

「あ、あの・・一般の方は・・え?あ、あれ!?」

一組の山田先生が声をかけたが相手が誰か分かり、混乱し始めたようだ。

「ふふん、来たな。・・姉さん!頼みを聞いてくれたんだな。」

「・・・。」

箒の目の前まで来た束はにこやかに笑う。その顔は本気で怒っている時の表情だ。俺は一応わかるが、心の中はマグマが煮えたぎっているようだ。

そして、さっきの言葉とつなげて分かった一般生徒から声が上がる。

「え!?もしかして、篠ノ之博士に専用機を頼んだの!?」

「妹ってだけで!?ずるくない!?」

ソレを聞いたマドカと鈴は怒り心頭と言った感じで、顔を真っ赤にする。

「なんだそれ!?ばっかじゃないのか!?」

「私達、専用機を持っている代表候補生がどんなに苦労しているか、それも分からずに・・。馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ!!」

「なんとでも言え!!私はどんな手を使ってで‥ぶはぁ!?」

マドカと鈴に言い返して居た篠ノ之は、言葉の途中で束にぶったたかれ砂浜に倒れる。

「・・な、なにを!?」

「何‥だって?・・このクソ馬鹿が・・。」

「く、クソ馬鹿だと!?」

腕を振り抜いたまま、俯き低い声で唸るように篠ノ之を罵倒する。

「そうさ、自分で何もしない癖に周りにばっか当たり散らして、思い通りに行かなければ力と暴力で押し通す。そのくせ、恋愛にもヘタレであの冬二の馬鹿をおっかけては思い通りに行かないと暴力で解決しようとする。そして、前、自分が発言した言葉も忘れて、私に当然のことと思いながら連絡してきて、専用機を創れと命令までしてくる。そんな事をのたまう馬鹿をクソ馬鹿と言って何が悪い。・・はっ、前に行って言葉って言うのも忘れているようだね?じゃあ、教えてあげるよ。篠ノ之束博士の妹って言われた時、『あの人は関係ない。』そう言っていたのに、その関係ない私に頼るの?ばっかじゃないの?もうあんたとは縁を切った。戸籍上も他人なの。両親にも連絡を入れて、私は他人となってるの。アンタはもう私の妹じゃない、赤の他人。専用機なんか作るものか・・。今日は、ソレを言いに来たの。じゃあね、元妹。もう関わるな。あ、先生さんごめんね~、じゃ、私帰りますんでお騒がせしました。皆もごめんね~。」

そう言って、束は帰って行く。一人、砂浜に倒れ放心状態の篠ノ之箒を軽蔑の眼で皆が睨む。俺は、関係無いので普通に岩場に座り、海を眺める。すると、後ろから何か来る音がしたので即座に退避。さっきまで居た場所に木刀が振り下ろさせていた。もっとも、全力過ぎて折れていたが。

「おまえが・・お前が来たからだ・・・。お前の所為で、お前が生きているから・・。」

そんな事を俯いたままのたまう篠ノ之。すぐに教師が来て取り押さえる。

「冬二が言っていた!お前が元凶だ!お前の所為で世界がおかしくなってると!!お前がぁぁ!!このでき損ないの癖に!!その、専用機をよこせぇ!!私が、冬二を迎えに行ってやるんだぁぁぁあああ!!」

暴れる篠ノ之を更に教師が増え取り押さえ、連行する。俺は別に気にもしていないが、少しため息をつく。

「・・どうせ、終わる。」

小さくつぶやいた。

 

その後、俺は砂浜のパラソルの下で端末を開き作業をしていた。そして、思っていた通り事件は起こる。

 

「た、大変です!!先生方、集まってください!!」

そう山田先生が教師陣に招集をかけ、そろって話し始める。そして、長谷川先生が振り向き、

「緊急事態の為、作業は中止。急ぎ、各自の部屋に戻り荷物をまとめて待機。専用機持ちはそれが終わり次第、第三宴会場に集合・・かかれ!」

「「「「『はい。』」」」」

とうとう来たか・・終わりの始まりが。

俺は部屋に戻り、荷物をまとめ、更にスコールとオータムにも連絡を入れておく。

「スコール、例の件。実行に移す。オータムは先日完成したアレを取りに来てくれ。」

『一応言っていたからすでに手筈は整っているわ。後は、作戦実行に移すだけよ。』

『アレか。もう出来て居たんだな。・・分かった。すぐに行く。』

俺は白いアームバングルを手に取り、ソレを眺める。所々に金色とオレンジ、黄色の装飾の付いたソレを額に当て、

「アイツを守る強さと、その想いに・・頼んだ。」

そう呟き立ちあがる。するとふすまが開き、オータムが来ていた。

「来たぞ。・・本当に渡すんだな?」

「あぁ。これが鍵になる。アイツは変わって居たからな。もう大丈夫だ。」

「・・分かった。お前の頼みだ。信じよう。」

ソレを渡して、俺は第三宴会場に行く。

「・・・気を付けろよ・・。」

「・・・ありがとう。」

背中にかかるオータムの声に振り返らず答えた。

 

「・・集まったようね。ミューゼル先生、お願いします。」

「えぇ。・・今から二時間前、太平洋の此処から二千キロ沖でアメリカの最新鋭機、シルバリオ・ゴスペルが実験中、突如暴走した。しかも、周りの施設、および護衛艦も破壊してその後日本に向かって生きているわ。そして、自衛隊はそれに追いつかないし、今ここには最新鋭機が揃っているからという事で連絡が入ったの。別に、落とせと言った事ではなく、あくまで上陸阻止が目的。時間さえ稼げれば、自衛隊が救援に来るわ。それまでの防衛が今回の任務よ。」

「・・先生、その機体どのような装備なのでしょうか?機体の情報開示を求めます。」

スコールの後、鈴が手をあげて発言。イの一番で突っ込む奴かと思っていたが、以外に頭が働くのか‥。

「情報は見れるけど、コレは機密事項よ。もし外部に漏れれば大変なことになる。監視も付くからそのつもりで。」

「はい。・・・何よ・・これ・・。」

そこに出ていたのは、

『最新型広域殲滅用兵装』『特殊殲滅用軍用IS』『新型殲滅用AI搭載型無人機』などと言った、明らかにアラスカ条約に違反する物ばかりだった。

「因みに、今回の事でこの機体の兵装は凍結、その後白紙になるわ。」

「・・アメリカは抗議の嵐でしょうね。」

「でも、一応言っておくけど私は現大統領との面識があって、彼は今回の件は知らなかったらしいわ。調べてみると、副大統領と防衛次官、軍の上層部の独断だったわ。だからと言って、知らないじゃ済まされない事だから、きつく言っといたの。」

「それはまた・・酷い物ですね。」

そう話している間に、俺は装備を整えた。

「・・さて、では作戦内容は、今回はイチカ君とマドカさん、それにボーデヴィッヒさんと暁さんで行います。」

「・・しょうがないわね。」

「イチカさん達なら問題なく行えるでしょうし・・。」

鈴とセシリアが納得するが、一人納得していない表情の女子、更識簪が手をあげた。

「何故私は呼ばれていないのですか?」

「お前は機体に慣れている期間が少ない。しかも、高速戦闘は未経験。更に、コレは暴走機を相手の実戦、それを踏まえて実力が足りないとした。同じ理由の点で鈴は除外、オルコットは高速戦闘は経験あるが、それが実践に伴っているかは疑問だ。更に実戦経験はない上、多対一の戦闘経験もない。以上を踏まえ除外。ラウラは軍人である故、実戦経験は防衛の点ではあり、更に多対一の動きも把握できる。高速戦闘はそこまで経験がないが、それを補う知識は十分戦力だ。・・まだ理由が必要か?」

「・・分かった。」

「ならば、お前らはもしもの事態に備え、一応準備しておけ。・・どうもきな臭い気がする。」

「・・きな臭い?」

「このタイミングの暴走、この場への襲撃、この対応。‥裏がありそうだ。」

俺はそう呟き、部屋を出る。・・これ以上は、何を言おうと無駄だからだ。

「マスター・・あの馬鹿、どうやら織斑千冬と同じ所に収容されるようですよ?」

「ガリィ、下手に出てくるな。此処からは下手にできないからな。」

「はぁい・・。マスター・・では、最後にキスしてもらえますか?」

「・・ん。」

俺はガリィの頬に軽くキスをした。

「ん~、ガリィちゃんすっごくやる気出ました~!!・・では頑張りましょうね。」

「あぁ。・・そんな殺気を向けるな。そう思うなら来い。」

後ろから三人の殺気が向けられているから振り向かずに呼ぶと、即座にファラが来て、前に立つ。俺はまた同じように頬にキスをして、次に同じように来たレイアにも同じようにする。そして、最後にミカが後ろから肩を掴み、逆立ちするようにして俺の上を通り、顔の前で止まる。そして、

「んむ~・・。」

俺の口にキスをした。

「あぁ、アンタ!?何してんのよ!?」

「ん?マスターとキスだゾ。」

そんな、『何あたりまえの事を聞いてんだ?』と言わんばかりのミカは俺の肩に座り、肩車をしている状態だ。

「・・・。」

「んな事聞いてんじゃ無いんだよ!アタシが一番乗りしようと思ってたのに!!マスター!!」

俺は呆れてそのまま歩きだす。もうどうにでもしてくれ・・。

 




他の方の作品見て、「あー・・こういう風に終わらせるのもありか・・。」とかそういう風に勉強をさせてもらっています。
なかなかに物語を描くのは出来ても終わらせるのって難しいですね。
では、また次回。

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