インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】   作:金宮 来人

28 / 72
気がつけば九月も半ばを過ぎ、台風も一瞬で過ぎて行くような事もありました。
感想を多く頂き嬉しい限りです。
では、今回あのキャラクターが少し活躍します。
誰でしょうね。
では、本編へ。


インフィニット・ソング 26

イチカの信号が途絶えた。更にそこには多数のISの反応がある。そう報告を受けて、私(マドカ)達は慌ててその場に向かうとイチカは居なくて、代わりに十数機のIS。それの先頭に立つのは・・

「織斑・・千冬・・。」

『篠ノ之箒・・。』

捕まったはずの二人がいた。後ろに見えるのは前拘束されたはずの元教師【ゲルハルト】がいた。そして、その横にいたのは女性優遇権利団体の団長【向日 さやか】が・・。

つまりはコイツの手引きで脱走してISを手に入れ、更にイチカを・・イチカを・・・!!

「貴様らあぁぁぁああ!!」

『でえぇぇえええす!!』

神獣鏡を起動し、全出力で撃つ。シャルロットもワイヤーを放つ。だが、ソレは織斑千冬の持っている剣で防がれた。

「何!?」

『ふん・・確かにいいものだな・・。あんな屑にはもったいない。』

その剣はデュランダル。イチカの剣だった。しかし、その剣の柄にはべっとりと赤い物が・・。

『アイツを後ろから襲い、気が抜けた瞬間に奪ったのだ。良い剣だからな、あんな奴にはもったいない。私が有効に使ってやるさ・・はははははっ!!』

織斑千冬がそう笑い、更に後ろの女どももにやにやと笑っていた。

「ころす・・殺す・・お前たちは・・絶対に殺す!!」

『マドカ!落ちつけ!!』

ラウラが何か言っているがうるさい。アイツ等は私の温かい居場所を奪ったのだ。だったら、代わりにアイツ等を冷たい所に送ってやってもかまわんだろうが!!

『ふん、千冬さんが手を下さなくても私で十分だ。この最新機、赤式があれば!!』

そう叫ぶ篠ノ之は白式の色が赤い機体でこっちに剣を向ける。その剣は零落白夜と同じように光る。検出した力は白式と比べると弱いがそれでも十分脅威である。すると、ISに警告が出る。

『後方からISの反応!?照合機体・・無し!?』

簪が叫ぶように通信してく事に耳を傾けた。ようやく来たか・・遅い‥が、この状況を変えるのにはアイツの力が必要になるだろう・・。不服だがな・・。

『遅いぞ・・早く片付けて、イチカを探さなければ‥。』

『悪いな・・まだ、慣れ切って無い・・が、それでも、イチカのおかげでお前らには後れを取らんはずだ・・。』

そう聞こえてくる声は少し前まで憎くてイラつく声だったが、今は多少腹立つくらいで済んでいる。

『な、何故貴方が!?』

『貴様!?何故ここに!?』

『『・・・。』』

『そんなこと言う前に早くしろデス。』

口々にそう言う。その姿が視認できる距離にまで近付き、両集団の真ん中に止まり立つ。

『・・さて、イチカの命令により、俺様推参ってな。・・お前ら・・覚悟はいいか?』

その姿は白いIS。腕部が大きくナックルのような部分があり、更に脚部にも大きなブースターが付いている。しかし、まだ本格的な力は出していなかった。

『な、なぜ・・おまえが・・そこに・・』

『何故・・何故そっちに立っているんだ!?』

『『答えろ・・冬二!!』』

そう、その機体の操縦者は織斑冬二。かつてイチカに負けて捕まった第一番目の男性操縦者だった。

 

 

「俺は・・イチカと話した・・アイツの理想と・・俺の馬鹿さ・・そして、現実を知った。俺は…ただ、自分の妄想で思う通りにならなかったら癇癪を起すガキだったんだ。俺は色々と経験しその上でイチカに頼んで鍛えてもらった。力も、心も・・。だから、その恩を返すため、イチカの助けになるためアイツと約束したんだ。俺の力は唯の暴力ではなく、守るための力だと。守りたい人の手を握るための拳だと。」

イチカが俺を鍛えてくれた。死ぬかと思う様な事もあったし、本気で血反吐を吐いた事もあった。だが、それでも俺を見てくれた。見捨てないでくれた。俺の一人の兄弟として接してくれた。普通ならあんな事した俺を助けるわけがない。そんなあいつの優しさで俺はここまでこれた。

「そして、守りたいから、繋ぎたいから俺はこの力を得た!」

紅い宝石を構えて胸に浮かぶ唄を口ずさむ。

「だから、行くぞ!!【Balwisyall Nescell gungnir tron~♪】」

白式改、そう名づけられていたこの機体。それにギアの力を足し、俺に預けてくれたこの機体は、

『これが!俺の!機体!【ガングニール・ホワイト】だ!!』

白いだけだった機体に金色のパーツが増える。脚部や腕部に大きなパーツが付き、最後に頭部にツノの付いたヘッドギアが装備されそれが煌めくと体中に力がみなぎる。

『なに!?ガングニールだと!?』

『ガングニールが二つデスか!?』

ラウラとシャルロットが驚いている。マドカは知っているからか、落ち着いているが。

『・・繋ぐ力‥か。・・うんいいわ。冬二、今はアンタを認めてあげる。』

『・・私は認めてない・・でも、今はそんなことは後回し。』

『わたくしも貴方の事は信じてませんわ。でも、今は目の前の敵をどうにかしましょう・・。』

鈴と簪、セシリアがそう言ってくれて、俺は拳を握りこむ。すると手のナックル部分が【ガッチャン】と音を立て装着され、更に腕のパワージャッキがスライドして動き、脚部の部分も動くそして、空中に立っていたその部分に足を踏みしめ、

「だから、俺はあんた達をぶっ飛ばす。・・イチカの為に!!」

『あの男に洗脳されたんだな!?くそ、あの屑が・・!!』

『冬二・・私だ!!箒だ!!分かったらあのでき損ないに従う馬鹿達の所から離れてこっちに来い!!なぁ、冬二!!』

そう言って手を伸ばす二人に俺は首を振って拒否を表す。

「・・千冬姉、箒・・俺は間違っていたんだ。だから、あんた達とは一緒に行けない。俺もケジメをつけるため・・俺自身が許せないから・・だから、犯罪をしたら償わなきゃならないんだ・・。だから、捕まってくれないか?」

『・・お前は冬二じゃない!!そんな私を否定するような事は冬ニは言わない!!』

『そ、そうだ!!この偽物め!!私達は騙されんぞ!!』

「千冬姉・・箒・・そうか・・。なら、サヨナラだ・・。俺は俺の道を行く。あんた達とは道が分かれた。だから・・」

俺は拳を握りこみ、

「あんた達をぶっ飛ばしてでも捕まえる!!」

ギアの力である足のジャッキを使う。思いっきり後ろに伸ばしたジャッキを解放すると反動で前に直進し、一瞬で箒の懐に入り込む。腕部のジャッキを引きながらそのまま拳を鳩尾に向けて殴りこむ。

『ぐはぁ!?』

そして、腕部のパワージャッキの力が解放され、衝撃が拳から箒の体に向けて放たれる。

『ごぶぅふ!?』

その衝撃が強かったせいか、箒は一瞬で白目をむき意識を飛ばした。

『箒!?』

千冬姉が驚いたようだが、俺はそのままかかと落としで近くの小島に叩きつける。

そして、俺が動いた事で後ろの女権団のISも動き出したが、こっちのみんなもそれを塞ぐように動き戦闘が始まる。ラウラは槍で三人を相手し、セシリアとマドカが連携して六人をビットで翻弄してSEをがりがり削っている。

鈴とシャルはお互いに背中合わせとなって四人を相手している。簪は一人で全体の援護に回り離れた奴をミサイルや荷電粒子砲で落として、近付いてきた相手には薙刀で翻弄している。そして、俺は・・

『な、なぁ・・冬二・・何故お前があの屑の味方をするんだ?私の知っているお前はどこに行ったんだ!?』

声を荒げる千冬姉。いつもなら怖いと思っていたんだろうが・・もう哀れとしか思わない。

「千冬姉・・俺は・・もう、分かったんだ。前、思っていたのは全て妄想で間違いだった。俺は、現実を見てなかったんだ。・・それに、アイツは屑でもでき損ないでもなかった。俺よりももっとすごい。束さんを超えるほどの天才だった。だからこそ隠していただけだった。」

自分の手を開き、見つめ・・そして握りこむ。

「そんなあいつが、俺に教えてくれた。強さの意味を。」

『強さとは力だ!!だから私は世界一になった!!』

「その強さ・・虚しくないか?俺は・・そうなった自分を考えて悲しくなった。虚しくなった。・・そこには心が無いから・・。」

『心だと!?そんなものが何になる!!』

「そう思っているから、俺はアンタと一緒に行けないって言ったんだ。・・そろそろ終わりにする。行くぞ、千冬姉・・。」

『くっ・・良いだろう・・。お前では私にかなわない事をもう一度よく教えてやる!!』

俺は拳を、千冬姉はデュランダルを構える。

≪BGM【限界突破 G-beat】≫

「~♪」

俺は歌いながら、力を込める。そして、拳を構えて殴る。

『な、なんだその歌は!?うるさい!!』

「~♪」

回し蹴りに、正拳突き、掌底。繋がる様に格闘で攻撃を繰り出す。

『うるさい!!歌うなと言っているだろうが!!』

そう叫び切りかかって来た剣を俺は拳で弾く。真っ正面からぶつかると斬れるから少し斜めにして側面を殴るようにして弾いた。火花が散る。

「~♪」

そして、俺は更に振って来る剣を拳と足で、時に殴り、時に蹴り、弾き捌いて行く。

『五月蠅いと言っているだろうがああ!!』

大ぶりで振って来た所で、足のジャッキを解放。瞬時に後ろの回り込む。

『何!?がっはぁ!?』

「~♪」

ジャッキを引いて背中に向けて拳を突き出し、当たった瞬間解放。俺の今の本気で殴る。

『ぐはぁっ!?なぜ、何故剣では無い・・お前には私の雪片があっただろうが!!』

「~♪」

俺はその言葉に答えず、更に殴る。振って来た剣を避け、弾き、出来た隙にまた殴る。

「!!~♪」

俺は全力で飛び、空中で体勢を変え、蹴りを放つ。更に、脚部のジャッキも思いっきり引き、千冬姉に当たった瞬間に全力を解放。

【ガッキョン】と激しい音がして、その力は全て千冬姉の腹部に襲いかかった。

『ぐあああぁぁあああ!?』

そう叫び声をあげて、吹っ飛ぶ千冬姉。周りを見ると、すでに戦闘はほぼ終わっていて、あちこちにSEが切れて落ちている人が見える。それは全て敵ISでこっちのメンバーは誰一人欠けて居なかった。

「ふぅ・・これで、イチカを探しに・・」

『がああぁぁあああ!?』

そうため息をついた瞬間、また千冬姉の声がした。しかし、さっきとは明らかに状態が違っておかしい。

『あの馬鹿・・・デュランダルに取り込まれやがった。』

「取り込まれったって・・?どういう事だ!?」

千冬姉がもがく様子を眺める。目は赤く光り、昼間というのに顔は暗く見えない。それなのにゆがみ笑う口元は見えていた。

『あの剣はイチカがあえてロックをかけていた剣なのデス。だけど、あの女が恨む意識と同調し、そのロックが解けてしまったのデス。』

『その証拠に、あの剣が金色に光る勢いが強くなっている。今はなんでもぶった切れるほどの威力を持つぞ・・。』

そうか・・暴走しているのか‥そこまで強いなら・・

「わかった。ならば、こっちも奥の手を使う!イグナイトモジュール!」

『・・私も使わせてもらうデス。』

『・・くそ、私はギアの能力的に使用できない・・。』

『私は適合率が低いから・・。口惜しいが、織斑、シャル、頼む。』

そう言っていると、海から赤い光と、銀色の光、ピンクの光が上がって来た。そして、その光は赤はセシリアに、銀色は簪に、ピンクは鈴に向かって飛んでいき、ISがその光を取り込んだ。そして、急に光り輝き、その光がやむとそこには

『な、なんですのコレは!?』

『アガートラーム・・?これ・・イチカの‥。』

『シュルシャガナ・・?これもイチカの力よね。』

ISの形が変わり、それぞれの機体にもギアが付いていた。しかし、まだ色はついて無く、黒ずんだような色をしている。

「皆、胸の歌を聴け・・。そして、それを口ずさめ。そうすれば、ギアは答えてくれる。」

そう言うと三人は戸惑いながらも頷き、目を閉じる。

『Killiter Ichaival tron~』

『Seilien coffin airget-lamh tron~』

『Various shul shagana tron~』

三人が聖詠を口ずさみ、それにギアは答えた。三人はそれぞれの光に輝くISを装備していた。

『ブルー・ティアーズ改め、戦争を止めるために流す涙、【レッド・ティアーズ】とでも名乗りましょう。』

『打鉄二式改め、全てを合わせるための手、【打鉄銀腕】(ウチガネギンワン)。』

『甲龍、改め、皆を照らす龍、照龍(ショウロン)!!』

三人のISはISGになっていた。イチカの力が・・アイツ等に力を貸してくれたのか・・。

「皆、・・今から俺たちはあの暴走している千冬姉に対抗しなければならない。アレは完全聖遺物。エネルギーが違いすぎる。だから、今のままでは出力が足りない‥。その機体にもとある力が付いている。それを使うには・・心を強く持たなければ、あの状態と同じになる。・・それでもやれるか?」

『それって、意識を強く持てばいいのよね?イチカの事を思えば大丈夫でしょ。』

『なめないで、織斑冬二・・。師匠の心の強さを、知っている私達が負けるはずがない・・。』

『わたくしは、あまり自信がありません。・・でも、今の冬二さんや皆さんが力を貸してくれるなら大丈夫と思います。』

そう言った皆を見て、俺は胸の所にある赤い鉱石を握る。

「なら、・・やるぞ!イグナイトモジュール・・」

「『『『『抜剣!!』』』』」

【ダインスレイフ】

『カチッ』と押すと機械音声がしてその部分が空中に飛び、棘が四方向に開きその一つが胸に刺さる。

『ぐっ!?ぐああぁぁぁ!?』

『うぐぐぐぐ!?』

「うおおおおぉぉおおお!!」

『ああぁぁぁあああ!?』

『デエエェェエエエスウウウウウ!!』

黒い靄に包まれ、押しつぶされそうなほどに、辛さ、痛み、苦しみ、後悔、怒り、色々な黒い感情に押しつぶされそうになる。だが、俺はもう、そんな物は経験している・・その気持ちに比べれば・・。

「こんな物・・屁でもねえぇぇえええ!!」

そう叫んだ俺は黒い影が形を変え、ISに張り付く様に形を変える。黄色い目の様なものが付き、体中が黒くなる。さっきと比べ物にならないほど出力が上がっている事を感じる。

「うおおおぉぉ!!はぁ!!」

正拳突き、回し蹴り、そこから縦に宙返りして、構える。さっきよりも格段に動きやすく、力強くなっているのを感じる。

「イチカよりずっと弱い俺が乗り越えたんだ・・お前らにも出来るだろうが!!」

そう言って俺はセシリアと簪の手を握る。

『くっ・・そうですわね・・初めは心が弱かったのは貴方と同じでしたものね・・。』

そう言ってセシリアも簪の手を握る。

『・・師匠の手を握った事がある・・その温かさを失う辛さを考えたらこんな物‥辛くもなんとも・・無い!!』

『わたくしも・・親友を失う苦しみと比べるまでも・・有りませんわ!!』

そう言って二人は顔をあげると、俺と同じように黒い影がISの形を変え、出力が大幅に上昇していた。

『くううぅぅうう・・イチ・・カ・・』

『イチカアァァアア・・』

鈴とシャルロットは二人で手を握り合い、額を当てていた。

『イチカが居なくなる悲しさ・・味わいたくないデス・・そんな事を考えた私が・・』

『シャルロットの気持ちが分かる・・。はじめ、イチカが居なくなった時、助けてもらったのに・・何も返す事が出来なくて・・それなのに、何もできなかった自分が悔しかった・・。でも・・』

『デスが・・』

『『そんな私達にも優しくしてくれるイチカが好きだから!!大好きだから!!』』

顔をあげ、お互いに目を見合う。

『『こんな感情に負けてたまるかあああぁぁあああああ!!』』

二人も黒い影を纏い、全員がイグナイトモジュールを装備していた。

「行くぞ・・さっさと倒してイチカを探すぞ!!」

『はい。』『うん』『わかった。』『デス』『お前に言われなくても・・。』

『出力は低いが、援護ぐらいはしてやる。』

 

 

 




ラウラやマドカが使うギアは本編でこの時点では失われており、イグナイトモジュールが無いのでこちらでも二人のギアには適合しないシステムとしました。イグナイトモジュールは設定集に追加しました。
正確には本編でマリアさんの位置のラウラのギアは主人公が持って行ってしまうのですが、現在は二つ存在するので彼の方だけに。
シンフォギアをご存じの方はだいたいの事をイメージできると思いますが、
原作シンフォギアとその装者の性格はあまり考慮されてないです。
ただ、どちらかというと外見や使用武器が関係してます。
胸の大小ではありません。
では次回。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。