インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】   作:金宮 来人

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今回最終回との二話連続投稿をします。
これにてこの物語は終わりとなりますので、
皆さま最後までよろしくお願いいたします。
では最終回前、本編へどうぞ。


インフィニット・ソング 27

俺(冬二)はガングニール・ホワイト・イグナイトでデュランダルに取り込まれた千冬姉に殴りかかる。更に、後ろからも皆が援護してくれて、確実に攻撃は当たっていた。

『はぁあぁああ!!』

「おりゃあぁああ!!」

『ふん!せい!』

『デエェェス!!』

セシリアがライフルとミサイルで動きを阻害し、俺がそこに殴りこみ、蹴り飛ばす。そして、その動きに合わせて鈴が衝撃砲と鋸で攻撃してきて、それをよけようとするとシャルロットの鎌で斬られる。シャルロットの攻撃が当たって吹っ飛んだ千冬姉を見るが、相変わらず暴走したまま笑っている。

「SEは削れるんだが・・一向にダメージを受けている気がしねぇな・・。」

『おそらく、SEも一時的にしか削れていない・・。デュランダルは完全聖遺物。そのせいで普通ではありえないエネルギーを内包している。暴走している今はそっちからエネルギーを回しているのだろう・・。』

俺の疑問にマドカが答える。それを聞いたラウラの顔がしかめる。

『って事は、じり貧ではないか・・。どうしたら・・。』

『あぁ・・めんどくさい・・。あのデュランダルを引き剥がせばいいんじゃない?』

「それが出来たら‥、ん?あ、・・いけるか?・・いや、行くしかないか・・。皆、力を貸してくれないか?一つ勝機が見えたかもしれない。」

そう俺はみんなに伝える。俺の機体の特性を利用すれば‥。そのためには・・。

『まぁ、私はよろしいですわよ。・・皆さんは?』

『・・私も問題は無い。さっさとこいつを倒してイチカを探しに行きたいし・・。』

『良いからさっさとするデス!!』

「わかった。なら、更識!俺の横に来てくれ。あと後ろに全員回って来てく・・」

『アイツ何を!?』

そう鈴が叫んだからそっちを見ると、千冬姉がデュランダルのエネルギーを解放して、ものすごく長いエネルギーの剣を作り上げていた。

『皆逃げ・・「いや、これを待っていた!!皆集まれ!!早く!!」何言ってんの!?』

「いいから!!早く来い!!今しかチャンスが無い!!」

『あ~もう!!皆こいつの後ろに!!』

そう、鈴が叫び俺の後ろに皆が揃い、更識簪が俺の横に来る。そして、さっきまでは参加していなかったマドカさえも俺の肩を支えるように持つ。

「・・イチカを助けるためだ。ギアの攻撃なら私も調整や偏向できる。癪だが・・手伝ってやる。・・イチカの為だ。」

「ありがとう。・・この機体の本質!力を束ねて、繋ぐため・・その力を・・解放する。『S2CA・・ヘキサ・ドライブ』!!」

両腕のパーツをくっつけて右手にそれを展開する。その腕を簪が支える。反対の肩にはマドカが俺を押さえてくれる。

「アガートラームの本質は調律・・。俺の束ねるエネルギーを一緒に頼む・・!!」

『わかった。・・来る!!』

デュランダルのエネルギーを千冬姉は振りかぶり、俺たちに向かって振り下ろしてきた。

「いっけえええぇぇええ!!」

『このおおおおぉぉおおお!!』

そのエネルギーを取り込み、体が裂けそうな痛みを堪え、制御する。そして、そこに急に左手に感触が加わり、体の痛みが軽くなった。その瞬間俺は全てのエネルギーを束ねる事が出来た。

「『うおおおおおおぉぉぉおおお!!』」

吹き荒れるエネルギーの渦を空へと打ち上げた。

 

≪BGM 始まりの歌(バベル)≫

 

吹き荒れるエネルギーは無くなり、さっきまで荒れていた海が沈まる。そして、空から光が降りて来てその中から7人(・・)の天使の姿が舞い降りる。

『・・俺にも・・出来た・・。』

『こ・・コレは・・』

『・・きれい・・。』

『わたくしも・・。』

『神獣鏡も・・エクスドライブモードになれたのか・・・。』

『イチカが言っていた天使ってコレの事だったのデスか‥。力を束ね、空から天使が舞い降りしとき、争いは一つの終わりを告げる・・。』

それぞれのギアの色をした光り輝く羽が背中で天を打つ。エクスドライブモード、最終形態とも言える機体だ。

「・・そして、一つの大切な物を失うだろう・・。」

そう答えた俺(・)の声に皆が弾かれるようにこっちを向いた。

『・・イチカ!?』

天刃々斬のエクスドライブを装備した俺がいた。

「そうだ、俺だよ。ふっ・・冬二、よくやった。お前なら出来ると思っていた。俺では無理だった。その繋ぐ(・・)ガングニールは俺には無理だった。でも、あの時俺の話を聞いた時の答え。お前ならできると思っていたよ。」

『そうか。・・無事だったんだな。』

「いや、もう死にかけているようなもんだ。だから、さっさと決めるぞ。」

『そうだな、兄さん・・。』

手を握り、それを話した後拳をぶつけ会う。

『お、おい!アレを見ろ!!』

俺は空を見上げる。そこには・・

『‥―――。』

『☆●◇。』

意味が分からない言葉を叫ぶVTシステムを起動したISが十数機。来ていた敵ISが全てそれを起動していた。

『各機、一機はやれるな?!マドカ!お前はデュランダルのエネルギーを減らせ!対聖遺物特効のお前のエクスドライブなら削りやすい!逆にくらうなよ?』

『誰に言っているんだ!私はお前の相棒だぞ!』

『なら安心だ!俺は3機は行ってやるよ!シンフォギアに慣れてないセシリアと簪は一機ずつ!ラウラはその援護!シャルは鈴と協力して2機!冬二は・・3機は行けるだろう!?』

『へっ・・誰に言ってるんだよ!!アンタのとんでも修行に耐えた俺ならもっと行けるぜ!せらぁああ!!』

俺が指示を出すとそれぞれが動きだす。エクスドライブで脚部について大きな剣を片足ずつ振り上げそれに合わせて剣を一本大きく展開し、そのまま自分が回転しだす。

≪無恐三刃!≫

それで一人を海に落とし、更に剣を二回×印に振り蒼い剣撃のエネルギー光波を出して

≪蒼刃罰光斬≫

二人目を切り裂くとSEが切れて海に落ちる。

そして、三人目には剣を二つにして軸にするように周り、足の大剣を揃えて振りまわして体全体で回りながら炎を纏う。

≪羅刹 零ノ型≫

三人目を落として俺は止まる。その際に背中から血が滴り落ちた。

「ぐ・・はぁはぁはぁ・・。」

あまり持たないなんてもんじゃない・・だが無理してでも・・この騒ぎだけは収めるんだ。何に代えても・・俺の命さえも賭けてな・・。

冬二は言われた通りに三人落とし、シャルと鈴も二人、簪にセシリアもラウラの援護が合って一人ずつ落として集まった。マドカがエネルギーを削りながらも奮戦してくれている。

「マドカ!!こっちは落としたぞ!」

『イチカ!コレは私一人じゃキリがない。』

そう言って顔を反らしたらまたデュランダルからエネルギーの塊の刃が伸びる。

「また、あの剣が来る。一旦散開して各自の攻撃をしてみろ!しかし、近寄らずにすぐに回避に移れるようにしろ!あのエネルギーはエクスドライブでも防ぎ切れるかどうか分からん!」

【了解!!】

全員が答え俺たちは散開して攻撃する。セシリアはライフルで剣を握っている腕を撃つ。が、それはエネルギーを増幅させて楯のように扱い防がれる。鈴は小型の鋸を飛ばし更に大型の鋸を投げそれに衝撃砲を当てて加速させる。シャルがそれに合わせてワイヤーを飛ばしつつも鎌の刃を増やしてそれを振って飛ばし、織斑千冬の動きを阻害しようとするが、ワイヤーを斬り払い、鎌の刃と鋸をエネルギーで一太刀の下に消し飛ばした。

冬ニは元から遠距離武器が無く、簪はミサイルと粒子砲、更に左腕にナイフを装備してそれからエネルギー状のナイフを一斉に撃つ。俺もそれに合わせてエネルギーの剣を飛ばし更に足に大型の剣が付いていたのを使い、高速移動しながらそれで斬りかかる。

しかしそれも一振りで消し飛ばされ、俺自身にもエネルギーが近付いて来た。そこにマドカが足の鏡面と手の扇を開いた物をすべて使ったエネルギー波を撃つ。

≪暁光≫

ソレでエネルギー刃が逸らされたので高速で機体を振り避ける。もし、距離が近かったら真っ二つだっただろう。

『く、あの守りは金城・・。』

『各自で当たっても意味がない。』

『でしたら、どうするというのですか?』

「ギアにエクスドライブのエネルギーを使って鎧通すまで。」

『力をまとめて・・思いっきりぶつける。瞬間最大火力を当てる。単純明快ね。』

『ついでにその攻撃をまとめて、同時収束でぶつけるデス。』

皆で答えが決まったようだ。全員がアーマーパージをしてアームドギアにエネルギーを収束させそれを撃ちだす。

「決まったなら、行くぞ!!・・はぁ!!」

『エイ!!』

『せやぁ!!』

『はい!!』

『デス!!』

『てやぁ!!』

冬二のガングニールにはアームドギアが無いから、冬ニは全員のエネルギーを束ねるように羽を広げ、包み、収束させる。

『ぐあぁぁぁああああ!!』

それは織斑千冬に向かって飛んでいく。さっきと同じように消し飛ばそうとエネルギーの剣を振るが、こっちのエネルギーに当たり、拮抗するようにエネルギーが押し合いをする。

「・・くっ!?」

そして、お互いのエネルギーが膨張して爆発を起こした。

「・・まだなのか・・。」

先ほどのエネルギーは無くなり、剣は短くなったがまだ金色に光り、織斑千冬は暴走したままだった。しかし、体は先ほどと違いボロボロになり、SEも回復していないようだ。

『ぐぅうう・・。』

にやりと笑い、後少しだけ足りなかったと言っているようだ‥だが、忘れてもらっては困る。

「・・頼んだぞ・・冬二・・。」

そこには、残りのエネルギーを受け取った冬ニが、右手の拳を大きくさせ、そこにいた。

『・・殴ると痛い拳でも、手を取り合って分かりあえると、その手を支えられると分かった。イチカが、兄さんが教えてくれた。だから、繋ぐため、俺はこの拳を振うと誓った!!』

『ぐぅ・・ぐぅううう・・じ・・冬・・トウジ・・冬二イイィィ!!!』

織斑千冬は暴走しながらも冬二の名前を叫びながら突っ込んでくる。その剣を振り、冬二に斬りかかる。しかし、冬ニは避けず、一度拳のパーツをばらして、受け取ったエネルギーを纏わせ、もう一度構成する。全てのギアの力を受けたガングニールの拳は輝き光りを放つ。

『行けええぇぇええ!!』

『ぐうああぁぁああ!!』

冬二と千冬は拳と剣で拮抗し、お互いに一歩も引かないような状態になる。だが、千冬は更にエネルギーを引き出したのか残りを使いつくすような勢いで更に出力が上がる。見た目にも少し剣のエネルギーが大きくなって居た。そのせいで冬ニは少しずつ押され始める。

「冬二・・力を!!天刃々斬!!」

『そうですわ!イチイバル!!』

『シュルシャガナ!!』

『イガリマ!!』

『アガートラーム!!』

『神獣鏡!!』

「『『『『『はああぁぁああ!!』』』』』」

俺たちは最後の力を振り絞り、ギアの力を解放する!!

『これが、俺の!!ガングニィィィル!!』

≪【Glorious Breacak!!】≫

『ぐぅ!?ぐ・・ぐあぁぁぁああああああ!!』

デュランダルのエネルギーを超え、その拳は千冬に届いた!拳はエネルギーを纏い、千冬を海まで吹き飛ばした。

『ぐ・・はぁはぁ・・。』

冬ニは勝った。・・己の上だと思っていた、手の届かないと思っていた姉に。それも、皆が手を貸してくれたから。手を握り、繋ぎ、取り合っていたからの事に気が付けた。

『終わったのか・・。』

そう言って力を抜いた・・その時、海から勢いよく機体が上がってきた。

『●▼■☆~』

ソレはVTシステムに取り込まれた『ブリュンヒルデ』その物だった・・。

『くそっ。もうエネルギーも体力もヤバいってのに・・。』

そう言っている冬二、そして他のメンバーの顔を見る。シンフォギアの力を使ったせいで、ほぼスーツ状態だ。ラウラが唯一戦える状態と言ったものか・・。

「・・全機撤退命令だ。・・冬二、ラウラ・・他の全員を運べ・・。」

『なに!?』

『あの状態のあの女を放って置くと居のか!?』

「いや・・もう終わりだよ。だからだ・・。」

俺は小島に降りてギアもISも解除してクビに『リンカーモデルK』を打つ。

「くふっ・・。」

口の端から血が出て背中からも絶え間なく血があふれる。気にせずそこで紅い宝石を出す。

「~Croitzal ronzell gungnir zizzl~」

自身に最終決戦用機能を乗せたIS『ガングニール・ラストウィング』を纏わせる。しかし、リンカーをもってしても適合率は低く、ところどころが黒い。

「・・三つ目の・・ガングニールだと!?」

「・・分かったら行け。リンカーは長く持たない。」

「そんな・・。」

俺は空に飛び上がり、腕のパーツを合わせ撃ちだす。するとそれは槍になって、それを握り、俺は突きだす。

≪BGM【君ト云ウ 音奏デ 尽キルマデ】≫

『~♪』

その槍をかわし、振り下ろしてきた剣を柄で受けつつ、その力を利用して飛びかかる。加速をつけた俺は槍の先を回し、ドリルのようにして突く。剣で受けようとしていたVTは剣が折れ、思いっきり貫かれる。人は居ない部分を狙ったのだが、また再生する。

『~♪』

斬りかかって来たVTを蹴り、少し離れ小島に降りる。そして、左に手を伸ばしその手を赤い、爪の長い手が握る。右手も伸ばすとそこには青い手が、足には緑と黄色の手が握る。そこで、やっと冬二とラウラが皆を連れて離脱していく所が見えた。

赤い手は光りになり俺の体に入って行き俺は眼を閉じる、そして、もう一度開くとその目は輝いて、体からは赤いオーラを纏っていた。次に青い光を取り込むと、蒼いオーラも纏い足元から海は凍りだす。緑の光を取り込むことで足には風が纏われ、自由に空中を飛べるようになり、黄色の光でコインを打ち出して遠距離攻撃が出来る。

『バーニングハート・メカニクス発動、カウント残り240秒』

そして、俺は地面を蹴ると一瞬で後ろに回り込んでいた。

『~♪』

≪LAST∞METEOR≫

槍の先を高速で回して風を起こし、槍を振るとその風の竜巻がVTを吹き飛ばした。

それでもまだ向かってくるのは中の人間の精神が強いからか?

槍の無い左手を向け指をはじくとコインが発射され、剣を振りかぶっていたVTの剣に当たり、剣をはじく。

「前の世界でアンタには世話になった・・アンタは知らない話だけどな。」

振り向きざまに、槍を突き出し、更に反対の手でコインを連射する。

「道を外した俺を最後には優しく終わらせてくれた・・。そんなアンタに救われたんだ。」

剣を弾き、VTにダメージが入るが・・。

「世界が違おうと・・どうにも憎み切れなかった・・。存外俺は甘い男の様だ。」

残念だが、制限時間もエネルギーも少なく、体もこれ以上は持ちそうにない・・。

エネルギーを消して槍をつき立て、かろうじて動いているVTに向き直り、俺は・・終わらせる事にした。

「アンタを憎み切れないなら・・救うしかないよな。間違った道を・・正しい道を歩いてくれないか?コレが俺の‥織斑一夏として生きた男の・・最後の願いだ。」

そう言って頭を下げると、VTシステムに取り込まれているはずなのに、その顔の眼の部分から涙が漏れていた。

『いち・・か・・。』

何処からか声が聞こえた気がした。だが、俺は眼を瞑っている。集中するために。全てを終わらせるために・・。

「さってと、束・・聞こえる?・・・・最後にすまん。・・ありがとう、そして・・」

 

繋がった通信からは最大音量の束の声が聞こえた。

『イっくん!!それはだめぇぇええ!!』

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl

Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl~』

 

「さようなら・・。」

 

俺は絶唱を口にする。俺からフォニックゲインが解放され、それによってVTは全て消え去った。しかし、操縦者の織斑千冬は全く無傷で異常は無い。コレはISの機能だけを壊す物で、ギアを纏っている者には異常は無いし、人体にも問題は無いものだ。

 

 

「・・・ぐふっ・・ごぼぉ・・」

俺は目、口、鼻、そして、刺された背中。至る所から血を噴き出し、倒れる。

 

「・・無様だな・・。」

近くには気を取り戻した篠ノ之箒がいた。しかし、俺にはもう言葉を発するほどの気力もない。

「・・・」

静かに、目を閉じようとする。

「・・どうして私達を殺さなかった?何故私を助けた?」

「・・織斑冬ニが・・悲しむ も知れな から・・。」

「悲しむ?冬ニが?・・ふ、アイツは私達から離れていたじゃないか‥何を馬鹿な事を・・。」

「アイツ 人と手 繋ぐた に・・ごぶふぅ・・。」

もう目も開けない状態なのに言葉が出てくる。これが最後というのになんでこんな事話しているんだか‥。

「お前とも・・繋ぐだろう・・。手を取り合いたいと言っていた・・か・ら・・な・・」

「アイツがか?・・そうか。」

「・・・」

「なら、もう一度やり直してみようか・・どうだ?私はやり直せるだろうか?・・なぁ?」

「・・・」

 

 

一人になった私は、記憶の中で一番古い歌を口ずさむ。

≪BGM【Apple】≫

「姉さん、ごめん・・。」

『許さない・・絶対に・・。お前たちは私の大好きな人を奪った・・絶対に許さない・・。』

「そうだな・・きっと、私達は許されない・・罪を背負って生きて行くしか・・。」

 

『・・絶対に・・許さないから・・・。』

 

 


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