インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】   作:金宮 来人

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インフィニット・ソング 01

初めまして。俺は一夏。正直、死にたがりだった俺はいろんな戦場を渡り歩いた。そして死んだ直後に自称『神様』とか言う奴に拾われた。

「お前の人生、強くてニューゲームとか言う奴にすると楽しそうだから、もう一回生き直せ。拒否は許さん。」

とかそんな感じの事言って強制的に生き返らされて、もう一度子供のころからやり直させられた。

そして、今は・・

「おい!どう言う事だ!?織斑千冬が試合に出ているぞ?」

「知るか!?コイツを攫えば棄権するんじゃなかったのか?」

そう言っている誘拐犯の元でぼーっと話を聞いている。

「あぁ、やっぱりか。」

そう言う俺の声を聞いて振り返る男。

「どういうことだ?」

「決まっているさ。織斑千冬はもう一人の弟、【織斑 冬二】の方しか大事じゃ無かったってだけさ。」

そう言いつつ首をテレビの方に動かす。男がまたテレビを見るとすでに決着はついていたようだ。勝利インタビューなんかを受けている。

『この勝利を誰に伝えたいですか?』

『当然、弟にです。お姉ちゃん勝ったぞ!見ているか、【冬二】?』

『あれ?弟さんはふt『私には冬二しかいませんよ?』・・そうですか。』

この会話を見てへどが出る。

「・・・おい、お前はどうする?」

「まぁ、別に問題は無い。どうせ近いうちに姿を消すつもりだったしな。」

俺は世間では≪織斑の面汚し≫とか言われている。テストの点数は、毎回奴より下だし、運動の成績も奴より下だ。さらに剣道もやっていた頃は一度も勝っていない。

「そうか・・・。なんか、その・・。」

「なに、誘拐犯が同情してんだ。」

なんか、男が泣きそうな顔になっている。てめぇ、犯罪者だろうに。

「・・・金にしろよ。一応これでも織斑の血は入っている。そこそこの金にはなる。」

「いや、それは・・。」

「同情してくれた礼だ。おっさん、少しはましな余生を送れ。」

「・・すまん。ガキ・・。」

そう言って携帯を取り出し、電話をかける。

「あぁ、・・そうだ。少し面倒かもしれんが・・。」

電話口で相手は女らしい。

「・・そうか。分かった、そうしておく。」

電話を切り男がこっちに向く。その顔は少しうれしそうだった。

「俺が知っている限り、一番非人道的な事をしない組織に売る事になった。おそらくそこでなら少しはまともに暮らせるだろう。」

「おっさん、アンタ馬鹿じゃないのか?こんな事で同情していたら仕事にならんだろうに。」

そんな会話をしているとおっさんが拘束を解こうとする。が、ロープがうまくほどけないらしい。

「あぁ、別にいいぞ。・・ふん。」

俺は両手に力を入れると簡単にロープを千切った。

「…お前、なんて力なんだ。初めっから逃げれたのか。」

「あぁ、別に逃げる気も無いし捕まっていた方が安心して見れるからな。」

下手に拘束を解くと周りから取り押さえようと飛びかかって来る事もあるかもしれないから、捕まったふりをしていた。その方が後痕面倒が無いからな。

「ふふ、全く変なガキだ。」

「変なおっさんには言われたくない。」

そう、変なのは自覚している。そりゃ、俺はやり直しているのだから。

普通じゃない。そうだ。だからこそ、今度は、自分の思い通り動く。そのための初めの一歩がこれだ。ここから俺の自由が始まる。そう思っていると外から女が入って来た。

「おい、そいつが織斑一夏か?」

「そうだ。姉に捨てられ、周りから蔑まれていたらしい。」

「・・へぇ、その割に眼は死んでないが?」

そりゃ、此処まで俺が考えたシナリオに沿う形だしな。

「そうだな。コイツは俺が見た中で一番強い。力も生き方も意思も。」

「そうか、なら一度、名前を捨てる覚悟はあるか?」

「捨てれるならさっさと捨てる。俺は、自由の為に生きている。お前らも俺を縛るつもりか?」

そう聞き、目の前の女を睨む。じっと睨みあう事数十秒。

「よし、気に入った。お前は今日から家【ウチ】のもんだ。言わば家族だ。」

「アンタも、・・変な奴だな。」

「変なガキに言われたくはないな。お前名前はどうする?」

「一夏は捨てない。あえて【・・・】な。俺は、名字だけ変えるよ。その方が面白そうだ。」

「そうか、なら‥私らの弟だ。皆で考える事にする。…おい、おっさん。コイツ買いだ。金はいつものように振りこんで置くぞ?」

そう言って、電話をしつつ手でこっちに来いと合図をする。俺はおっさんの方を見て、

「おう。…じゃあなガキ。達者でくらせよ?」

「おっさんもこれ以上悪い事はせず、普通に暮らしやがれ。」

そう言いつつ手を叩きあい俺は女について行った。

「あぁ、このガキかなり面白そうだ。しかも何気に強い。…そうだ、あの噂はどうも腑に落ちん位に…待てよ?」

そう電話を一時中断しこっちに向き直る、

「おい、イチカ。お前まさか・・[今まで隠してきていた]んじゃないのか?」

「・・。」

あ、マズイ。気が付かれたっぽい。

「・・・コイツはどうやらとんでもない拾いもんみたいだぞ?」

すっごくにやにやしながら電話口の相手に話す。うわ、やっぱりか。

「あぁ、速攻で帰る。そうだ、アイツ(・・・)も紹介するからな。」

そう言いつつ電話を切る。そして、俺は今まで聞きたかった事を言う。

「ところで・・」

「あ?何だ?」

「アンタの事、なんて呼べばいいんだ?」

今まで俺の事は行ったが相手の名前を知らないでここまで来ていた。

「あ、そっか。言って無かったな。私の事は、・・・【オータム】さまと呼べ。」

ドヤ顔しながら言ったこの女。オータムか・・。

「秋姉ちゃん。」

「ぐはぁ!?」

わざと変な風に変換して言ったらいきなり胸を押さえた。

「・・・こ、コイツ意外にやるな!?」

一体何が言いたいのかさっぱりわからんが、まぁ、怒っているようでは無いのでほっておこう。そうして俺とオータムは一緒に歩き、乗り物を乗り継いで、郊外に行きそこからさらに車に乗り一軒の家に入る。

「おーい、戻ったぞ!!」

そう中に声をかけ扉を開くとそこには、

「あらお帰り。思ったより早かったじゃない。」

「帰って来たのか。」

「お、おかえりおーちゃん。」

「お帰りなさい、オータム様。」

四人の女性。ってか、

「何故、篠ノ之束さんがここに居るんでしょうか。」

そう、ISを創った大天才、篠ノ之束博士が何故か居るのだ。

「ん?あぁ、君は・・イチカって言ったよね?出来が悪い方の弟って言われてたけど、私まで騙すなんて凄いなぁ。ねぇ、大天才にならびうる天才くん?能ある鷹は爪を隠すとか言うけどさ、調べてみると一目瞭然だったよ。ってか気が付かないとか馬鹿じゃないのかってね。なんで毎回のテスト、全教科で【オール60点】なんて出せるんだ。って気が付かないもんかね。私は君に興味が無かったから見てな方けどさ、いざ気が付くと君の恐ろしいぐらいの計算が見えたよ。テストはまだ出来る。でもさ、50m走で毎回タイムが全く一緒っておかしいよね。コンマ二桁までとか、絶対あり得ないし。あぁ、そうだ。興味持ったからさ、君の事いっくんて呼ぶね?そうそう、ここにいるシルバーな髪の子は私の娘。私が生んだわけじゃなくて、拾った子だけどさ。正直、私に釣り合う男なんかいないと思ったけど君なら将来有望かもね。…どうしたんだい黙って?」

「テメェがうるせぇから何も言えなかっただけだろうが。」

そう言いながら束博士を小突くオータム。その横でこっちを睨むように、だけど観察するようにも取れる視線で見ている少女。さらにさっき紹介された娘と言われていた少女がこっちに近づいてくる。

「私は束様に「お母さんて言っていいんだよ?」・・束様に拾ってもらった者です。名前はクロエ・クロニクルと言います。どうぞよろしくお願いします、一夏さん。」

「・・・私はマドカ。一応、挨拶はしておく。が、まだ認めたわけではない。」

酷く対照的なあいさつをされた。

「ふふ、私はここのまとめ役のスコール。一応、此処の保護者みたいな存在ね。」

「で、最後に私らの立ち位置だが、一応テログループみたいに言われている。正直面倒なんだが、本当はISを正規の使用目的に戻そうとしている組織なんだ。名前は」

「名前は『亡国機業』。ちなみに私は幹部クラスで結構地位が高いわ。」

そう、オータムが話している所にスコールが話を被せて来た。

「そう。じゃあ、俺はイチカ。名字は捨てたから好きに名づけて。オータムがさっきそう言ってた。」

そう言うと、何故かオータムが少しさびしそうな顔をした。何だ?

「・・まぁ、いいか。」

「オータム?どうした?」

マドカがオータムに聞いているが顔を少し赤くして反らしつつ「なんでもない。」と言っている。

「???」

訳が分からないと言った風な表情のマドカ。さらに顔を背けるオータム。その光景をにやにやするスコール。そして、ソレを微笑ましそうにする残り二人。なんだこれ。何がテログループだ。思いっきり家族のほのぼのシーンじゃないか。

「さて、じゃあ今日はイチカの名字を考えましょうか。」

スコールがそう手を鳴らして話しだした事で一応収拾付いた。そして、俺はこのメンバーの事がなんとなく気に入ってきていた。

 


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