インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】 作:金宮 来人
なかなかに難産でした。
また次の作品も色々と投稿していきたいと思います。
では、ラストです。どうぞ。
俺たちは拳をぶつけ合い、吠えあう。
「うらぁ!」
「ガァアアア!!」
お互いに衝撃で拳が弾かれるが、それでも次々と体勢を立て直して殴り続ける。
「おらおら!!お前の呪いを吐きだしてみろよ!」
「ガゥ!ウガァァアアアアア!!」
「言葉を解さん獣にやられるほど俺は耄碌してないぞ!?オラァ!!」
本腰を入れて拳を突き出す。今まではただの殴り合いだったが、これからは本気の出し合いだ。少し離れた立花は赤い目に涙を浮かべていた。
「チ・・ガゥ・・ガウ!チガウ!」
「何が違う!?なぜ違う!?本音を叫べ!吐き出してみろ!!」
俺は地面を叩きそう叫ぶ。
「ワタシハ・・コロシテイナイ・・ダレカヲカワリニシテイキノコリタカッタンジャナイ!!」
「そうだ!その想いを呪う理由を吐け!それこそがお前に業『カルマ』を背負わせた!」
言葉が通じてお互いに叫ぶ。そうじゃないと届かない。耳じゃなく心に届かせる必要があるから。
「ワタシノセイジャナイ!シンジテクレナイ!ワタシガノゾンダンジャナイ!タダシアワセニナリタカッタダケナノニ!?ナンデワタシガセメラレルノ!?ワタシハシネバヨカッタノ!?ワケガワカンナイ!!ドウセミンナタスケテクレナイ!!ナライキテイテモイミガナイ!!ノイズヲミチヅレニシテシヌシカナイジャナイ!!」
「それがお前の苦しさか・・。今から俺と小日向が助けてやる。解放してやる。だから・・俺たちに任せろ。今は自分の苦しさをぶちまけろ!!俺たちが受け止めてやるよ!!」
アイギスを解除する。
今なら使える。適性は無かった。それでも今なら。
心がシンクロしている。
魂から救いたいと。
彼女を開放したいと。
この怨嗟の苦しみから。
シンフォギアを取り出す。
「だから俺はお前の力となり、その両手を握って引いてやる。友として!」
俺は多くのギアの中から、織斑冬二が使っていたガングニール・ホワイトから取り出した『ガングニール』を取り出す。
「『Balwisyall Nescell gungnir tron~』♪」
俺はアームドギアの無いガングニールを装備してその場で体を動かす。
「ふっ!せいっ!はぁああああ!!セイハァ!」
演武をして動きを確かめてそのまま構える。
「さぁ、小日向!俺たちのライブだ!あいつを助けるぞ!力を合わせろ!」
「え?あ、はい!!」
俺の後ろに小日向を配置して俺と立花はお互いに拳をぶつけ合う。
「オラぁ!叫べ!今までの苦しみを!謳え!人生を!歌え!そのすべてを!!」
「ガァァァァァアアアアアアアアアア!!」
「響ぃぃぃいいいいいい!!」
「行くぞ!」
「すぅ・・『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl
Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl~』」
「「『S2CA【デュアル】トライバーストォォオオオオオオ!!』」」
≪推奨BGM 永愛プロミス≫
お互いに吠えた『歌(うた)』を『唄(うた)』を『嘔(うた)』をすべて力に変えて空へと打ち出す。そして俺と小日向は姿を変えた。俺の絶唱はすべてをフォニックゲインと方向を変えて『力』へ変わる。
「ガングニール/エクスドライブ!」
俺は両拳を撃ち合わせて、『ガシャン』と音を立てる。
「これが・・エクスドライブ・・」
小日向も獣神鏡/エクスドライブへと姿を変えていた。
「うん。これならいける。響を助けて見せる!!」
「行くぞ、これ以上、業を背負わせるのにはあの少女には器が小さすぎる。その肩にのしかかせれる重さじゃないんだから。」
「はい!」
「ガァアアアアア!!」
周りに光が満ちてそれに反応した立花が完全に興奮状態になったようだ。なにかとせめぎ合いあがくようにしている。それに対して俺と小日向が構える。
「解放してやる。そして、世界を見てみろ。つらいことばかりじゃない。苦しいことばかりじゃないんだから。」
「私が響を救うんだから!!この光で、あなたの未来を輝かせて見せる!!」
「わたしを・・たすけて・・」
聞こえた小さな本音。それを聞き洩らさない。
「助けてやる!約束したからな!守ってやるよ!お前の世界も体も魂もそして・・」
「響が生きていくこれからの『未来』も!!」
「行くぞ!はぁ!」
俺は接近戦で拳を打ち合わせ、響もそれに対抗する。お互いに拳同士でラッシュを打ち合う。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
「グゥ!グガアアゥゥアアアアア!ガアアアアアアアア!!」
【ドガガガガガ】と音が鳴り合う中、援護するように後ろから閃光の攻撃が放たれる。
「当たって!」
「グガァ!?」
くらった暴走立花は後ろにのけぞる。
「眩しいか!!?それはお前の未来への輝きだ!!セイヤァ!」
そう言いながら俺は蹴りを放つ。足のジャッキを即座に引いてインパクトの瞬間に思いっ切りの一撃を放ち地面にたたきつける。
「ガァァァアアア!?ぐぅ、ガァァアアア!」
地面にたたきつけられた後に、空中で一回転して体勢を立て直して、獣のような格好で飛んでくる。そして、俺にその爪で攻撃をくらわせる。
「ぐぅ!?」
「ガァァアアアアア!!」
それから真上に飛び、腕のギアを槍にして突き立てて落ちてくる。
【狂装咆哮】
『助けてほしい時に助けてくれなかった!誰も!皆が私を否定した!』
そんな苦しみを込めた一撃。それをくらい、吹き飛ぶも同じように空中で一回転して体勢を整える。
「なかなかやるじゃないか!そうだ!吐き出せ!受け止めてやるよ!それは、大人である俺の仕事だ!子供は黙って甘えてろ!しかし、『それだとしても』!!『だとしても』だ!それを怖がって誰も信じれなくなったのはお前の弱さだ!支えてやる。しかし縋るな!背中を押してやる、だが背中を差し出すな!手を引いてやる、だがしゃがみこむな!それはすべてが相手に依存している。手を伸ばせ!そうすれば明るい未来が待っているのだから!!!俺を信じろ!俺が信じれないなら、お前を助けたいと思う小日向を信じろ!それさえ無理なら、助かりたいと思った自分を信じろ!!」
「がぁ・・、グァアアアアアア!?」
暴走立花はそう叫びながら頭を抱えて苦しむ。
「これが私の、シンフォギアだ!!皆の、私の、響を思うこの想い!届いて!!」
そう叫んでいくつもの鉄扇を周りに展開して足のパネル部分も展開する。
「さぁ、手を伸ばせ!!」
「ウゥ、うわぁぁあああああ!!」
「響ぃぃぃいいいいいい!!」
【暁光】
まばゆい閃光が辺りを照らし、その光に俺と暴走立花は包まれた。
「ああああああああ―――ッ!?」
「痛く・・ない?・・何なの?この光は?」
(あぁ、・・温かい。・・まるで・・)
「響ー!!」
(未来が私に手を伸ばして・・)
「未、来・・未来・・未来―!!」
(今なら分かる。これが人の温かみ。そして・・)
「ごめんね、未来。」
「へいき、へっちゃら。だったでしょ?」
「うん。・・ありが、と・・。」
(私にとっての陽だまりなんだ。)
それから三人は問題解決と同時に帰って行った。
俺はどうするべきかと悩んだが、ギャラルホルンに巻き込まれただけで合って、アラートが止まり次第どうやら時間がきたらじきに戻れるようだ。心配して損した。しかも俺はおそらく元の時間軸に戻るらしい。並行世界にゆがみができてそこに無理やり穴を作って引きこんだ状態だそうだ。
まぁ、簡単に言えば元の世界のそこにいた時間に戻るだけだそうだ。
まぁ、面白いデータがとれたし、ここの世界の獣神鏡も無事に調律して小日向に渡せたし・・、問題は終わった。
彼女たちが帰った後の場所で、黄昏ている少女以外は。
「未来、また来てくれるかな・・?」
「まぁ、そうは言っても向こうにも事情があるし、向こうの世界にも立花響が居る。お前以上に手がかかるそうだからな・・難しいだろうな。」
「そう・・だね。私は向こうの私を苦しめていただけなんだもんね・・。」
俺は頭をなでる。
「わぷっ!?ふぇ!?」
「そう言うもんじゃない。」
「・・やっぱり無理・・だよね。向こうでの暮らしがあるし。」
「俺もなぁ。正直、お前さんぐらいなら向こうに連れて行って、家族にするんでも問題は無いんだが・・、今回の問題になったあっちの世界の立花響に同栄光があるか分からないからなぁ・・。」
「・・また結局、一人・・か。」
「いや、今度は信じれる大人たちも、近い年の風鳴もいるじゃないか。」
「う、うん・・。でも・・」
「やっと・・見つけた・・。」
「え?」
振り返ると【小日向未来】がそこに居た。
「あれ?帰ったんじゃ・・」
「ごめん。」
そう言って立花を抱きしめた。
「ごめんね。何も響に言わずに引っ越しちゃって・・」
「へ?」
「あれからずっと手紙を送ったり、連絡取ろうとしたんだけど・・どうやっても響が見つからなくて・・」
「あ、あれ?」
(なるほど、『違うな』。『この子』は・・)
≪推奨BGM 陽だまりのメモリア≫
「ごめんね。響が一番つらい時に一緒に居てあげられなくて・・」
「どうして・・」
「特殊災害課の人たちが助けてくれて、今まで探してたんだけど、やっと、今日ここまで来れたの。」
「そう、あの人たちが・・」
「でも、やっと・・、やっと会えたんだよ、響?」
「うん・・、うん!私も合いたかったよ、未来!」
「そうだね分かった。やっと思い出したんだよ。」
「何を?」
「私の居るべき場所はここだって。私の陽だまりはここにあるんだって。」
「・・うん!」
数歩引いたところの橋の欄干に背を預けてその光景を見る。
「これは俺の居る場所じゃねぇな。まぁ、最後の仕事が残っているが。」
俺はギアの複製ができる。
精々レプリカで、本物には到底及ばないが。
「お二人さんに記念のプレゼントだ。おそろいのネックレス。二人なら間違った使い方はしないと思うからな。もしも、どちらかが、危なくなったら使え。お兄さんとの約束だぞ?」
「これはシンフォギア?」
立花が少し嫌な風に聞いてくる。まぁ、あんな目にあったんだから仕方ないわな。
「いいや、レプリカ。ノイズに負けない程度だ。もしも、誰かを助けたいと思った時は使え。俺と、お前のつなぐ絆だ。見えなくても、聞こえなくても、繋がっている。」
「・・うん、分かった。ありがとう。」
真剣な顔つきでうなずく立花。その頭をなでる。
「言ったろ?お前の未来も守るって。お前さんはそれで・・大事なものを守れ。隣のお嬢さんも。」
「分かった、約束する。」
「分かりました。」
握手をしたところで俺の足元が光の粒子になっていく。
「おや、時間のようだ。」
「もう・・行っちゃうの?」
「こうして出会えたんだ。またいつか、どこかで出会えるかもしれん。一期一会でもいいんじゃないか?出会いは大切にしろ。」
「分かった。私は私の大切なものを守るよ。」
「それでいい。」
ぽんぽんと頭を叩いて背中を向けて手を上げる。
「じゃぁな。達者でな。」
「ありがとう。」
「ありがとうございました。」
そうして俺はその世界から元の世界に戻った。
そこは路地。平然とみんなが歩いている。
端末を見ると俺が路地にいた時間のままだった。
「面白い経験だったな。これもまた、人生ってか。」
俺は家に向けて歩き出した。俺の居る場所が無性に恋しくなったからな。
△
そしてあの人は消えた。
「消えちゃったね。」
ぽつりと未来が言う。
「うん、あの人の居る場所へ帰っちゃったんだよ。」
「あの人、誰だったの?」
そうか未来は知らないもんね。言うならば・・、
「うーん、・・私の理想・・かな?」
「え!?響ってあんな感じの人がタイプ!?」
「ち、違うよ未来!?そうじゃなくて・・」
「あんな風に強くて皆を守れる、優しい太陽みたいになりたい。そう思ったから。」
私を見た未来はニマニマと笑う。
「やっぱりそう言う人がタイプなんじゃないの!?」
「嫌いじゃないけど、子供扱いされるからね。私だって年相応に扱われたいし。」
「でもうれしそうだったよ響?」
「う、うそ!?」
「うそだよん!引っかかったね?」
「未―来―!!」
「わー、ごめんごめんー。」
確かに温かな日々がここにあった。
あの人が守ってくれた私の未来。
それは確かに・・、
まんざらでもない・・かな?
と言う事で、シンフォギアのレプリカを渡したことで、この世界のビッキーは守ることを引き継いでくれました。
出力的には普通のシンフォギアの三分の二程度で、S2CAもありませんので基本的に防衛用です。ズバババンに基本は頼りますが、時間を稼ぐのには有効な手です。
ノイズから大事な人を守ってほしいというイチカの意思を引き継ぎ、この世界のビッキーは守る戦いをこれからもしていくことになります。
その想いを受けた未来さんも一緒に支えてくれるでしょう。
これにてこの世界の物語は終わります。
また、どこかの世界でイチカ君のお話を紡ぎましょう。
では、ここで一度のお別れです。
またいずれ、どこかの世界で。
ありがとうございました。