インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】   作:金宮 来人

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各地で雨の被害が大変なようです。
私の家もなかなかな騒ぎになりました。
それでは、投稿いたします。
どうぞ。



第二時間目

「ふぅ・・。」

「あ、質問いいか?」

そう胡桃が手をあげて質問して来た。

「何だ?」

「制服着てるようだが・・学校に通っていたんだろ?年は何歳なんだ?」

ロングコートの下はIS学園の男子制服だった。

「・・歳・・か・・。」

聞かれて真剣に考えた。遠の昔に卒業した身だが、何故こんな恰好なのか。とかそこら辺は神の奴のさじ加減なのだろうか。とか、見た目に合わせたのか?とか。

「あー・・私達は三年生だからな。年下なら、そういう態度を・・」

「この体で言うと18ぐらいだろうな。元のホムンクルス体なら同じ大きさに作り変えたから年数から言うと二歳だったが・・おそらく普通の人間に造り戻してるだろうから、18か。作り変えて魂を込めた回数から言えば年齢は、・・・198・・ぐらいになるのか?」

「・・すまん、聴こえなかったみたいだ。何歳だって?」

「体なら18歳。魂は198歳、転生回数は二桁。・・と言った所だな。俺からすればホムンクルス体に入れ替える事が多々あった為に、死ぬのはそう怖くないが・・この世界じゃ体をつくる所がないからな。一旦死ぬと終わりだ。一応気をつけるが・・多少の無茶をしようとする癖が有るので、気がついたら注意してくれ。俺もなるべくは・・」

「「「ええええ?!」」」

「まてまてまて。とんでもない年齢と事実をぶちまけられても、はいそうですか。とは行かないんだよ。・・本当に規格外だな。」

「人間じゃないとも言っても良いぞ。」

「いや、それは絶対に認めない。ここまで私達に親身になってもらえる存在を人でなしとは言えない。言いたくない。」

「そう・・か。まったく・・。」

俺は胡桃の頭をなでる。

「な、なにを・・」

「昔いた妹にそっくりだよ。その跳ねっ返り具合とかな。」

「跳ねっ返りとは何だ!!」

手をあげて威嚇するようにした胡桃を置いて、若狭に近づく。

「それで、俺は何を担当しようか?」

「今のところは見周りと胡桃の無茶を押さえる役を頼みます。」

「・・なんで先生に頼ってくれないのですか?」

「あー、さっき泣かせた分、ちょっと・・」

眼を泳がせながら言うと佐倉先生は顔を赤くした。

「し、仕方ないじゃないですか・・。」

「後は、さっきの事からもここを仕切っているのは若狭だと思って。警戒していたならそこに言って、どう言う風に判断するかが見たかったのもある。」

「・・試されてたのは私の方ですか。」

「まぁな。そう言う事だ。俺自体もこういう点からも色々と注意点を探って行かなければ安心して送り出せないからな。」

「そう言うことなら納得です。本当に信用おける方かはまた少しして判断しましょう。」

「それでいい。」

「なら、見回り行って来る。そろそろ暗くなってきたしな。」

席を立った胡桃の横に立つ。

「俺もいくから、少し待て。」

暗くなってきた廊下に向けて俺は手に光りの術式を出してランタンぐらいの明かりをともす。二人で見周りに歩きだす。

「おぉ・・電気いらずだな。」

「だが、これを出していると光りの術式は使えないから少し戦力は落ちる。」

「おいおい、それで大丈夫か?」

「近付かれる前に水の術式で足元を凍らせて、伸ばした水の剣で首を落とせば十分だろ。」

「戦力過多じゃないか。お前一人で十分戦えるよ。」

「まぁ、女の子に守ってもらうほどじゃないさ。逆に、此処にいる間ならお前等の事は俺が守ってやるよ。」

「な・・何を・・。」

真っ赤になった顔の胡桃を見て昔の鈴達を思い出す。そして懐かしさを覚える。あぁ、老けた気がしていけない。

「まるで孫を見る爺さんみたいな顔になってるぞ。」

「自覚はあるな。だからこそ、お前等は女子としての危機感は持たなくて大丈夫という事だがな。」

「まるで女としての魅力がないと言われているようで、少し納得がいかないな。」

「孫と思われてる。と思って置け。・・む。」

廊下の端あたりまで来た。目の前には机とワイヤーなどで出来たバリケードが有る。バリケードの向こうにまで光がいくと、そこには一体の感染者がいた。

「一体か・・なら・・」

「待たんか。」

走り出そうとする胡桃の首根っこを捕まえた。

「ぐえ・・な、何をしやがる・・。」

「若狭から言われたからな。お前の暴走を止めろと。まったく・・。一体ならそこまで危惧しなくても良いし、もう少し危機感を持て。それに此処には俺が居るんだから、そう飛び込む事はいらないと分かるだろう?猪武者じゃあるまいし、突っ込むしか能がないのかお前さんは?頭を使って向こうに頭を向けた時に背中からやるという方法などもあるだろうに。まったくもって頭を使う気が無いのがマル分かりだ。」

「そ、そこまでにしてくれ・・。すっごく説教されている気分になる。」

「説教をされているというのを自覚していないとはますます度し難い。後で若狭からと佐倉先生からも事情を話して怒られてもらう事にしよう。」

「ひー、勘弁してくれ。」

そう言っているうちに俺は錬金術式を取り出して先ず全体を凍らせる。そのまま風の錬金術に代えてカマイタチを発生させてその場で氷ごと砕いてバラバラにする。

「・・もう私、いらないだろ。」

「お前さんは俺の見張り役だよ。若狭から見れば一番腕っ節が有るんだから、何かあってもすぐに対応できると踏んでいる。」

そう言って背中を向ける。

「・・信用されないのはなれているんでな。」

そう言って俺は歩きだした。後ろから何も言わずに歩いて付いてくる音がした。

 

 

そして、生徒会室に戻り若狭と佐倉先生に話をすると胡桃は正座で説教をされ始めた。

俺は少し離れた位置にパイプ椅子を置いて錬金術の本の完成の為に専用の机を出して、錬金術のインクを専用で作った羽ペンにつけつつ書き込む。

「何しているの?」

丈槍が来てソレを覗き込む。

「うえ・・訳わかんないよ・・。見てるだけで頭が痛くなりそうだよ。」

「理解できる方が恐ろしいがな。見るだけなら下がっていろ。背中にもたれかかられると面倒なんだ。話し相手くらいはしてやるから大人しくしていろ。」

そう言いながらさらさらと書き始める。おそらく錬金術が分かる相手じゃないとこの意味は分からないだろうという言葉を書いていく。

「いっくんは昔・・ここに来る前はどんな事してたの?」

「・・年上と分かっても態度を変えないその根性には、ある意味尊敬の念を覚えるよ。・・昔か。・・学生時代は宇宙を目指す為に作られたロボットに乗っていたな。結局は争いに使われたりして兵器と化してしまった、悲しい過去を持つものだが。俺はソレを元の目的に戻す為の活動をして世界を回っていた。宇宙開発の為の力という物ならそう使うべきだとな。一応、弟が居てそいつと一緒に世界中の戦争に使われるそのロボットを止めていた。」

「一応?血が繋がって無いとかそういうやつ?」

術式の形状を書き込みながらソレを聞いた俺は、一度きりのいい所までペンを進めて手を止めてペンをインクつぼに戻す。

「いや、昔に捨てられてな。初めに胡桃には名乗ったが、外国で誘拐されて、保護者から見捨てられて更に人身売買で売られた先に行ったからな。日本名だと面倒だったので、日系の血が多いハーフという事で、名前を【イチカ・ダインスレイフ】と名乗っていた。もう意味の無い名前だ。」

「ダインスレイフって何?意味が有る言葉なの?」

「捨てられるほどの運命を背負っていたという事から【ドゥベルグ・ダイン】という悪い刀鍛冶が作った魔剣の名前だ。そう言う本は読んだ事がないだろうがな。小難しい事が書いてあるからお前さんには理解できそうにないだろう。」

「あー・・とりあえず、悪い剣の名前なんだね。」

「・・お前さんにはその理解で十分だ。【今宵の虎鉄は血に飢えておる。】なんて言葉聞いた事無いか?」

「あー、なんか昔の時代劇とかでやってたとか。よく男子が傘を持って振りまわしながら言ってたよ。」

「それと一緒で【誰かを斬らなければ鞘に収まらない呪い】を持つ魔剣だったんだよ。つまりは俺自身の人生も呪われていたと言いたくてそんな名前をつけたってわけだ。結局は俺の周りにはいい奴が増えて来て呪われた人生なんてもんじゃなかったがな。・・幸せだったよ。割とな・・。」

またペンを持って書き始める。そこで気がついたが説教の大声が聞こえなくなっているので顔をあげて見てみると、

「うおっ?!」

胡桃は涙目でこっちを見ているし、佐倉先生はハンカチを咥えて涙流しているし、若狭に至っては顔を押さえて肩がふるえていることから泣いていることが明らかだった。

「ご、ごめんね・・そんな話させちゃって・・。」

「いや、別に。此処もある種、退屈しそうにないしな。アイツ等が逝った後も別に一人じゃなかった。俺にはここには連れて来られなかった【自動人形(オートスコアラー)】達が四人いたからな。騒がしい奴等がいた分寂しいなんて思う暇なんざなかったよ。」

ペンをまた置いてその四人の映像を術式の陣の中に映す。

「わー・・凄いカラフル。皆いっくんの友達?」

「友達・・いや、一応俺の使いだが・・仲間とでも言っておこうか。」

「仲間・・じゃあ、今は私達がその四人の替わりになれるね。」

「お前さん等には無理だよ。コイツ等ほどアグレッシブになられたら困るしな。」

肩をすくめてインクが渇いた書を閉じて練成陣に収める。

「そんじゃ、・・俺はお前さん等とは別な部屋で寝ようと思うから、何処が良いのか教えてくれ。準備しておくか、掃除の必要はあるだろう?」

「生徒会室は朝の食事を作るからうるさくなると思うし・・隣は私達の部屋で・・」

「更に横は私の部屋なんですよね。」

若狭と佐倉先生が答えた。

「別に気にするな。日の出位には起きて見回りをしている。昔の生活も脳だったから気にする事は無いからここで寝かしてもらう事にしよう。ソファは使って良いのか?」

「体痛めません?」

「別に。昔は壁にもたれかかって寝る事もあったからな。戦場とは甘い事は言っていられない。多少位痛くても死を経験した俺からすれば問題などは無い。」

「はぁ・・。」

そして、食事をとって遅くなったころに寝る事に。

 

「・・・面倒な事に巻き込まれたのは俺じゃなくてあいつらだな。」

寝る気にならずに色々と考えていた。

「どうやったって普通は生まれないはずの細菌、とてつもない感染拡大、それに対して自衛隊、警察、または他国の軍事介入も無し。おかしすぎるからな。おそらくだが・・ここは実験場なのだろうな。もしかして箱庭・・なのか?地図が無いから分からんが・・。」

一体どうなっているのやらこの世界は・・。

「はぁ・・・。」

ため息が出るのはしょうがない事だった。

 




因みに、私の家の近くの溝も氾濫しました。
車庫が少し浸かった程度の被害で、問題無かったので助かりました。
隣町では床上まで浸水したそうです。
恐ろしいのは細菌などだけではないですね。
災害など人の手でどうにかできる事ではありませんからね。
がっこうぐらし編、頑張って書いてます。
では、また次回。
またね。

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