インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】 作:金宮 来人
暑い・・暑すぎる・・。
あんなに雨が一期に降らなくてもちょくちょく、ゆっくり振ってくれればよかったのに・・そう、ぼやいてしまいます。
それでは、五時間目の授業を開始します。
『ダガァン!』
「ぐぅあぁ!!」
『チャリーン』
夜の町中に響く音。そして、銃を構えた鎧姿の男。
「まったく・・学校来ているなら大人しく家に帰ってろってんだ。」
道沿いに歩いて軽く地図を書いて、面倒な位置に『奴等』を見つけたら撃ってラピスに取り込むという行動を繰り返していた。コレが初めての実験だが、なかなかに良いようにできているようで、中の生体エネルギーを取り出せば繰り返し使える弾丸となっている。形はとりこむと、アルカノイズの発生時のクリスタルに似ているが、ソレを一度練成機に入れたら弾丸状に戻り出てくる。ソレを繰り返す事で持ち歩きようの簡易錬成機にエネルギーをためている。持っている弾丸が少なくなると練成機に入れてエネルギーを抽出し、また使えるように戻すという繰り返しだ。
「コンビニ・・か。昔ながらに悪い奴がたむろするには持って来いという訳だ・・。」
学校に一番近いコンビニだしな。そう思いながら店内を物色する。結構な物が無くなっているようだ。しかし、缶の飲み物は持っていけるだろうから裏側に回り、箱ごとジュースを持って帰る。更にペットボトルもあったのでそれもついでに持って行く。
縦に重ねて引っ張れる台車が有ったので、ついでにソレを使って三箱ぐらい持って行く。
更に、冷凍庫内は駄目だが、少しながらに缶詰めが残っていたのでそれも一緒に持ち出す。
面倒だが、あまりこの世界の物は亜空間の物入れには入れたくないので手で持って帰る事にしている。
『ガラガラガラ』
夜中だからなのか、やたらと音が響き奴等が近付いてくるが、ソレを撃ってまた練成機にためて歩く。
朝になるまでにどの程度たまるのか試しておきたいからだ。それによってはまたやり直しになるかもしれないのだから。
「ラピス・フィロソフィカスの練成は本当に疲れる。命の輝きってのは、こんなもんで作れるのか不安でたまらないな。」
そうぼやきつつも、集めては練成機に収集。ソレを繰り返し、学校近くに来たので荷物を担ぐ。
「さて、これ位で良いか。今日ぐらいは寝ている姿でも見せよう。」
昇降口から風の術式でそのままバリケード内に入り、生徒会室・・もとい、学園生活部の部室に入る。
荷物を横においてソファに横になり、久しぶりにコートと帽子をつけて寝た。
眼を瞑り、しばらくすると懐かしい学園時代の記憶がよみがえった。色々と大変だったが家族と呼べる皆が居たあの頃はとても楽しかった。そして、その前の世界はつらかった。自身が見据えた正義は偽善で、結局は皆を不幸にしてしまったから。そんなことは繰り返さないと決めて次の世界は過ぎて、今の俺はどうなのか。そう思うと人の気配がしたので俺は起きる。まぁ、・・天国やらで幸せにしてると良いな。
「あ、起こしたか?悪い。」
「いや、元々敏感なんだ。よく寝れたし問題ない。」
「・・・いや、お前学校抜け出しただろう。」
「・・何故そう言い切れる?」
「横見てみろ。」
そう胡桃に言われて見たら、そこには積み上げた段ボールと缶詰の入ったリュックが。
「あ・・・。」
「お前って、時々ものすごい天然やらかすよな。」
「まぁ、・・その・・手土産だ。実験に出て居た際に手に入れて来た。」
「ソレを手に入れに行ったんじゃないんだな?」
「それならもっと効率よくやる。俺の武器の実験だ。皆に声かけたら、また実験室にこもるつもりだ。コレがうまくいけば一気に戦力アップできるからな。」
「ほぉ~。なら頑張ってもらうか。仕方ないな、そうでもしないと生き残れないだろうしな。私だって囲まれたらお終いかもしれないし。」
「そうならんように俺が居る。そうだな、お前さんの力をあげることは可能だな。」
「どうやってだ?武器とかくれるのか?」
「いや、俺が持っているのはお前さんには扱えるようなもんじゃないな。代わりに身体能力をアップさせる事は出来る。」
「へぇ・・どうやって?」
「とりあえずは、・・映画見て飯食って寝る。」
「そんなんで強くなれるか!!」
「しまった、コレは漢(おとこ)の特訓方法だったな。・・いや、確かガングニールの元の持ち主である立花響もコレで強くなったんだったか?なら女でも・・んー。仕方ない、普通に武器の間合いの訓練だ。今回は早く出てくるつもりだから、それが終われば特訓してやろう。」
「なるほど、武器の使い方の訓練と言う事なら分かる。頼むな。」
「おう。」
そこまで話していると残りの三人がやって来る。
「おー!?ジュース、ジュースが有る!!」
「こら、由紀ちゃん。朝の挨拶。」
「あ、おはよー、いっくん。」
「おう、おはようさん。若狭も佐倉先生もおはよう。」
「えぇ。おはようございます。」
「はい、おはようございます。」
朝食を軽く食べて済ませる。
「いっくん、それだけでいいの?もっとくるみちゃんみたいにがつがつ食べて良いんだよ?」
「なんで対象があたしなんだよ!?」
「いや、俺はあまり食わない方だから良いんだよ。それに、メンバーの食料を減らす方が問題だしな。俺なら最悪一人でいなくなっても問題はないから気にすんな。」
「おいおい、まだそんなこと言ってんのか?」
「そうですよ。貴方ももうメンバーの様な物なんですから。」
「織斑さん、あまり周りに面倒かけちゃいけませんよ?」
「ぐむ・・はい。」
どうもこのメンバーには弱い。昔を思い出させるからか・・あるいは・・。まぁいい。
「とりあえず、俺は実験に戻りますんで。昼は用意しなくて結構。夕方ぐらいに出てくるだろうから。」
「また籠るらしいぜ。まったく。」
「まぁ、戦力の増強と言う事でな。んじゃな。」
そう言って素早く部屋から出て実験室へこもる。
持って帰った練成機から大型の練成陣へとエネルギーを流す。そのまま練成を始めてしばらく、
「・・ふむ。」
時間が経過するにつれて一気に形が出来たそのハート形をよく観察する。
「やはり、元が俺の知っているラピスとは違うようだな。」
ラピス・フィロソフィカスと言うよりも、ラピス・ラズリと言った方がいいのではないかという色合いだ。
俺が元にしてあるからこうなったのかもしれない。アイギスの事が有るから俺に合わせると紺色っぽくなるのかもしれないな。
あと一歩で完成すると言えるだろう。
今日はエネルギーが付きそうなのでここら辺で終了しておく。
部屋から出ると、予定通りに夕日が見える。かと思ったら外は雨だった。
「あめ・・か。」
生徒会室に行くと皆いなかった。
「む?なぜ・・あぁ、置き手紙か。」
ソレを読んで焦った。
「購買部に行く・・だと!?外は雨だ!奴等は校内に侵入してくるぞ!?」
俺は焦って廊下に出た。そのまま走り購買部のある2階へと飛び降りる。
途中で奴等がいたが関係ない。走って行くと被服準備室の前に人だかりの様な物が・・
「クソ!間に合わなかったか!?」
ファウストローブを鎧に変化させ、銃のキャスターを剣状にして奴等の首を飛ばしながら近付く。
「どけ!どけ!!どけ・・な!?」
そこでドアを叩いている下には佐倉先生が・・。
肩に噛まれた跡が有り苦しんでいる状態だ。
「・・しょうがないよな。」
俺は一気に周りの敵を一掃するために鎧各種の銃を撃った。ドアに向けては撃たないように、ドアを背にしてだが・・。
肘、踵、膝、頭の飾り、そこら中に仕込んである銃で撃って周りを一掃。
そして、俺の周りには奴等が居なくなった所で、亜空間収納から神さまに貰った抗ウィルス薬を取り出す。佐倉先生の肩にある噛み跡へ向けて、刺してトリガーを引いた。
「ぐぅ・・あぁ・・うあああぁぁぁぁ!?」
「大人しくしろ!効けば治るはずだ!耐えろ!生きろ!生きる事を諦めるな!!」
もがく佐倉先生を抱きしめるようにして押さえる。しばらく空を掻くようにしていたその腕は次第に動かなくなり、力が抜けたように落ちた。
「・・すぅ・・すぅ・・」
息はある。脈は少し早いが、問題はちゃんと効いたかだ。
「此処にいるのか!?中は無事か!?」
『一夏か!?』
『織斑さん!!』
内からカギが開き扉をそっと開ける。
「めぐねえが・・めぐねえがぁ・・」
そう言って胡桃が泣きそうになり、中を見ると丈槍が気絶して若狭に膝枕をされていた。
「佐倉先生なら大丈夫・・だと思う。」
「どう言う事!?」
若狭が眼を見開いて聞いてくる。
「俺が一個だけ持っていたワクチンと言うか・・抗生剤と言うか・・俺が感染した時用に貰っていた分を打った。おそらくは、問題ないはずだが・・神様も言ってたんだがこの病原体はどうも変異が早いのかもしれない。完全に効くとは限らない。」
「それでも!!それでも・・今は助かったのか?」
「おそらくは・・。起きた時に検査をしなければ分からない。」
「それなら・・良かった・・。」
「とりあえず、皆・・おつかれさま。先生は俺が運ぶから、丈槍を頼む。」
「私が運びます。くるみちゃんは周りを警戒して。」
「分かった。」
そうして四人を上まで連れて行き、何とか生徒会室で休める事に。先生は俺が寝ていたソファーに寝かせてタオルでソファに繋がれた。
もしもの時の為にだ。
そして朝まで俺は監視をしていた。
夜十時を過ぎても三十度を超えているとか勘弁してくれって感じです。
クーラーかけても、ベットが熱い。
布団から熱がしみ出すように熱くて寝苦しい毎日です。
皆さん、こまめに水分は取りましょうね。寝る前起きてからも。
それではまた、御機嫌よう。