インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】 作:金宮 来人
急に涼しいと思ったら暑くなったりと、体調がおかしくなりそうですね。
まぁ、私はものの見事に風邪をひきましたが・・。
夏風邪はなんとやらがひくと言いますし、私は毎年夏に体調を崩すのでなれました。
それでは、授業開始です。
シュルシャガナで走りつつ、更に背中に廻したサブアームの先に大型の丸鋸を出してソレを構えて前進する。
走り回るだけで奴等を切り裂いて進む事が出来る。そして、走りながらどこかに食料が無いかと探していると、通りの横に大きな建物にシャッターが閉まった建物を見つける。
「・・?ふむ、・・このような造り・・明らかに何かあると言わんばかりだな・・。」
そう思って丸鋸をプロペラがわりにして空から建物を確認する。シャッターの建物上部に昔の映画に出てくる潜水艦の様なバルブの付いた丸い入口らしき物、それ以外は全くの窓もない、・・換気用の施設が有る位で外部と完全に遮断されている。
「明らかに・・何かありますと言わんばかりの施設か・・。」
俺はその建物の屋上に降りてギアを解除する。
手に展開用のナックルを装備しておく。そして、バルブをまわして内部に入る。
「・・中は・・静かな物だな。」
そう言いながら回る。すると、ドアが有る。それと反対には倉庫らしき扉。
どちらに行くべきか・・そう思っていると、
【こちら、ワンワンワン放送局!終わった世界の皆、元気かい?まぁ、聞いている人がいたら元気じゃねぇって怒られるかもしれないけどね。】
「!?」
ドアの方から声がしてきた。ドアに近づくと人の気配と椅子のきしむ音がする。
【それじゃ、今日もワンワンワン放送局、行ってみよう。今日の曲はこちら・・】
「ま、マジで・・生存者だと?」
こんな施設に居るんだ。おそらくランダルとか言う会社の関係者かもしれない・・。どうするべきか・・。
【・・どうだったかな?良い曲だと思うんだけど・・こっほっ、こほっこほっ・・。】
「・・発症しかけか・・。」
【それじゃワンワンワン放送局、またね~。】
俺は静かにドアを開く。
「・・ふぅ・・けっほ、こほっこほっ・・。これは。もう長くないかなぁ・・。」
そう言って椅子にもたれる。
「その様だな・・。」
俺は中に入って声をかける。
「誰!?」
「安心しろ・・不法侵入者だ。」
「何処に安心する要素が有るって!?」
「間違っても奴らじゃない。こんなにはっきりした意識を持った奴がいたらヤバすぎるだろ?」
「それはそうだけど・・生きた人間がいたなんて・・。」
「俺のほかにも六人いるぜ?それに正確には俺は生存者じゃないしな。」
「・・それじゃどう言う事?」
「駆除者・・という面もある。生存者を助けて、大丈夫そうなら保護場所に連れて行く。・・その見込みがなければ残念だが・・。」
「・・そうね、私は後者だわ。最近咳が止まらない。無性に食欲がわく。睡眠欲が下がってきた・・。」
「だろうな・・あの咳の感じからも発症まで後持って数日か?」
そう言うとテーブルの上にあったカップを煽って中を飲む。
「はっきり言ってくれるじゃないの。」
「正直な性格でな。あまり、希望を持たせるのも酷だろう?」
「そう・・ね。正直、もうこのまま寂しく死んでいくと思っていたの。誰にも会えずに・・。」
そう言って机の上から紙を取り出す。
「一応こんな物も用意しておいたの。誰か来た時様にね。」
そこには車の鍵が貼り付けられて、
【生きてここに付いた人にこれを託す。出来る事ならあなたと共にお茶を飲みたかった。出来るならあなたと共にお話をしたかった。出来るならあなたと一緒にここを出たかった。】
そう書いてあった。
「ここから出て行くことは難しいな・・。ランダル関係なら薬は無いのか?」
「・・。」
首を振る。
「私は傷が付いてもいないのに発症してる。ならおそらくだけど、ランダルコーポレーションの研究していた試験薬では意味が無いだろうね。」
「・・空気感染の可能性が有るんだ。病原体がウィルスでなく細菌ならば、抗生物質でどうにか症状は抑えられるかもしれないが・・」
「ソレを作る施設などここにはないし、そんな知識もない。」
「・・俺も医学系はあまり詳しくない。すまない。」
「いや、・・こうして生きているうちに希望を託す事が出来るんだ。・・一緒にお茶をしてくれるかい?」
「そうだな・・それは構わない。俺は珈琲にうるさいぞ?」
「ふふ、インスタントしかないよ。」
そう言って入れてくれた珈琲と缶詰のクッキーを食べながらお互いに話した。素性は明かさない。お互いに未練が残るから。そうして短いお茶会が終わる。
「・・さて、これで私の役目は終わりかな。最後に楽しかった。ありがとう。」
まぶしい位の笑顔でこちらに笑いかける。
「この施設の物は持って行ってくれてかまわないし、この車も使ってほしい。」
そう言って鍵とさっきの手紙を渡してきた。
「せめて、私が生きて居た証だけ残させてくれないかな?」
「・・了解した。」
丁寧に手紙を畳んで収める。
「さぁ、最期になるけど・・けほっ。こほっこほっ・・」
「・・・・。」
俺は今どんな顔をしているのだろうか。
鏡もガラスも見たくない。人を殺す事など、そこまで苦しい事じゃないはずだ。初めの世界でコアを集める為にどれほどの犠牲を出したか・・。分かっているはずだ。
人の命を奪う事など軽い。ギアを持つ今は更にたやすい。
「ごめんね・・ふぅ・・。そろそろ疲れてたんだ。皆居ない世界。人は一人で生きていけないってホントだね。心が死んで行く。・・君に救われた。ありがとう。」
「そう・・か。・・なら、良かった。」
そう言って俺はキャスターの銃を剣にする。
「それじゃ、君に酷なお願いだけど・・私を奴等にならないように、終わらせてほしい。」
「・・どうにかあがこうとか考えないのか?」
「こうして引きこもっていて発症したんだ。どうにもできないだろうね。おそらく、君達が特別に発症が遅いのか、抗体でもあるのか・・。どちらにしろ、私はここまでの様だし・・。実は、私の父がランダルコーポレーションの関係者なんだ。帰って来ない所を見ると、どこかで死んだんだろうね。初めは外に居たけど危険と分かって、引きこもった。安全だと思ったのに咳が出て最近は熱もある。おそらく、もう駄目だろう。娘の私もこんな事になるとは思っていなかった。父がこんな家を建てた以上、何か危ないことはしてると思ったけど、思っていた以上にヤバかった。そして、一人安全にして生きていたと思ったけどこれ。生きて行くのが辛くなっちゃった。薬が有れば確かに助かるのかもしれないし、生きながらえることが出来るのかもしれない。だけど・・もう、私は決めたんだ。これ以上の地獄はもうたくさんだ。無事なら一緒に行きたかったけど・・ごめんね。最期まで聞いてくれてありがとう。」
そう言って隣の部屋に移動した。物置みたいな部屋で壁とドアしかない。
「・・それじゃお願い。短い間だったけどありがとう。楽しかったよ。」
そう言われて俺は眼を閉じる。しばらくして眼を開き、手をあげる。そして、キャスターの剣を・・消す。
「・・え?」
「…賭け・・。・・そうだ、賭けに出てみないか?」
俺はそう問いかけた。
「賭け?何の?私はもうすぐ・・」
「今、【私立巡ヶ丘学院高校】に俺達は居るんだが、そこも避難所として書いてあり、地下に避難所施設が有る。そして避難所にあるマニュアルに、校内に薬が有ると書いてあった。俺の仲間がその物資を確認しているはずだが、もしも・・その薬が効けば一時的にだが助かる可能性はある。」
「・・そんな数の少ない物をただの一般人でしかない私に使うの?馬鹿げてるわ。それはもっと大事な時に使うべきよ。」
そう言われて俺は苦笑いする。
「・・俺も甘いと思うんだがなぁ・・どうも、可能性が有るなら試したくなった。あの手紙を見たせいかもしれないな・・。お前の想いに共感してしまったのかもしれない。お前の必死な気持ちが見て取れたからな。・・俺の知り合いに【手の届く相手を助けたい。手を伸ばすのは殴る為だけじゃない、掴んで引き寄せる為にもあるんだ。】って言った奴がいてなぁ・・。救えるならば手を伸ばす・・そう思っちまったんだよ。元の俺には無かった。感傷だが・・アイツが居たからこそ、今の俺になったのかもしれん。」
そう言って俺は上を見る。
前の世界の元兄弟を思い出す。ちゃんと相互理解を出来たアイツに感化されたのかもしれないのはある。さらに、行った異世界での経験もなぁ・・。
言葉では拒絶しながらも助けを求めていたあの少女を思い出してしまった。
「・・そんなこと言われたら・・我慢できないよ?」
「苦しかったろう?怖かったろう?・・可能性はゼロじゃない。俺がどうにか助けるよう努力する。・・だから・・」
「【生きるのを、諦めるな。】」
そう言うとその女性は泣き出して、縋る様に俺の胸元にしがみつく。
「死ぬのは怖い!一人はさびしかった!誰にも死ぬのはもっと怖かった!誰にも私の事を知られずに消えて行くのは怖かったよぉ・・。」
「・・あぁ、吐き出せ。それは、毒になる。生きる精神で対抗して俺達は生き残るんだ。」
そう言って頭をなでた。
そして、荷物を整理して使える物は持って行く事にして、多くの荷物をキャンピングカーに乗せた。そのままキャンピングカーを使い学園に戻る事になった。
もし、この先ランダルコーポレーションや聖イシドロス大学に移動する際にも拠点になる。
街を出るなら尚更だ。
睡眠を快適にするのはストレスによる消耗を減らす一番大事なことだしな。
そして、車を運転しながら邪魔な奴等がいたら、車から降りてキャスター銃でエネルギーに変えて回収して行った。そうして学院にまで戻ってきた。
また生存者を引きつれて。しかし、それは感染している人物。
それがこの後、大きなカギとなるとはこの時は思っていなかった。
今回のキャラクターは本編で助けられなかったラジオの放送していた子です。わんわんわん放送局のラジオ放送していたあの子。
名前は書いて無いのでオリジナルの名前にします。
一応名前はオリジナルですが、オリキャラと言う訳じゃないのでよろしくおねがいします。
それでは、また次回。