インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】   作:金宮 来人

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今回、専用機登場ですがまだ能力の一部しか発揮しません。
お楽しみはこれからだ!!
という事で次回以降も順番に能力解放して行きますのでお楽しみに。
さて、今回は誰の能力でしょうか?


インフィニット・ソング 04

模擬戦当日、俺は機体の前に手を突き立っていた。

「アルケミスト・・俺たちの始まりだ。表に立って動き出す。ここから、きっと困難が大量に待ち構えている。それでも・・一緒に行くぞ。」

そう言いつつ装甲をなでると、腕が上がり俺の頭に優しく当てられる。

「・・ふふ。」

俺は専用のスーツを着ている。普通は肌の露出を増やすのが一般的だが、俺は全身を覆うフルスキン。そして、髪を掻き上げる。俺の右目は今紅くなり、左目は蒼いだろう。

(ミカ、ガリィ、アイツの動き見ておけ。)

(わかったぞ!・・でもそんな言うほどに見えないぞ。)

(そうですよぅ。あんな屑に機体を見せる必要もないし・・今からこっそり消しましょうか?)

こんな状態でも変わらない二人に安堵する。今オートスコアラー達はこの機体のシステムに一緒に入り込んでいる。やろうとすればいつでも実体化もできる。が、今は見せる気など無い。

「では、・・・そろそろか?」

一組の試合が終わったらしくブザーが鳴る。そして、イギリスのブルーティアーズをまとった女子がピットに入って来る。

「な!?貴方は何者です!?」

「・・四組転入生、イチカ・ダインスレイフ。」

スーツの手首をいじりながら空中投影した六角形の画面を見つつそう答える。そして、ピット内の画面に長谷川先生の顔が映る。

「ダインスレイフ君、準備はいい?」

「問題無い。」

そう言い、俺はピットの出口に立つ。そして、飛び降りる。普通なら無事じゃ済まない高さを飛び降りてアリーナに立つ。そして、ピットのカタパルトから無人のアルケミストが出てくる。俺の後ろに降り立ち手を前に出す。

「『アリスイン・イグナイト』社所属、ダインスレイフ。これが俺の機体だ!!」

そう叫び後ろにある手に飛び乗りそこからさらに飛ぶ。空中で一回転して脚部の空いている所に足が入りそのまま装着。腕も広げると一緒にそこに体が合うように後ろから添えられ装着。前面の装甲が閉じ背後に回っていたヘッドパーツが付いて頭に装着。

『我が機体の名は、アルケミストなり!!』

そうして中央に佇む俺に会場は静かになった。

『・・君、どうしてそんな演出を・・』

先生がそう聞いてくる。まぁ、当然だろう。

『愚問。この機体は全身装甲。顔まで見えないから後からパイロットが違うとか言われないためだ。』

『わかったわ。そろそろ、坂上さんが来るわ。』

『承知。ブザーが鳴るまで待機している。』

話し終えた俺は眼を瞑り少しため息をつく。自分からやって置いて何だが、中二病発症しているようだ。でも、こうしたほうがアルケミストが気分上がるらしいのでやめるにやめられない。

『そのような木偶の坊な機体で、何が出来るのかしら。』

そう言いつつラファールリヴァイブに身を包んだ坂上が出て来た。そして、俺に銃口を向けている。俺は何も装備していないが、それはわざとだ。

『この機体は‥普通では無い。』

そうだけ言い俺は無防備に立つ。それに腹が立ったのか顔が赤くなった。

『それでは試合を開始します。』

そう言った後ブザーが鳴る。そしてすぐに坂上が撃ってきた。それを俺は右手を前に出して防ぐ。装甲で受けるわけでは無く、その前にある物によって止めている。

『な、なんなの!?』

≪!?≫

会場も驚いているようだ。それはそうだろう。空中に六角形のレモンイエローの様な模様が浮かんでそれによって銃弾が止められているのだから。

『まさか、ドイツのAIC!?』

『そのような物では無い。そして、・・・そんな物にこんな事は出来ん!!』

黄色い六角形からさらに周りに円が浮かびそれが四重に前にならんで浮かぶ。そこに左手に同じ色をした図形を浮かべそれを円の真ん中、六角形の真ん中に配置すると円が後ろにスライドし、一つの平面になる。それと共に光があふれラファールを包み込む。

『きゃあぁぁぁ!?』

坂上は吹き飛ばされ地面に落ちる。俺はそこに歩いて近づく。

『まだ、この機体の力の十分の一も見せてはいない。そして、この機体は普通ではないと言った神髄はここからだ。』

そう言って俺は前に右腕を出し、手のひらを上に向けて紅い鉱石を出す。

『Seilien coffin airget-lamh tron♪』

そう歌うと俺のアルケミストは光り、シルバーに色が変化。そして、左腕が肥大化し右手にナイフを持つ。

『言っておくが、俺は弱い。それが強さの元でもある。』

『ぐっ、弱さが強さとか・・意味が分かりませんわ!!』

立ちあがった坂上はそう言って壊れた銃を捨て、剣を出してつっこんでくる。

『それが分からないから、俺に負ける。』

それを見つつ俺はまた歌う。

~BGM【銀腕・アガートラーム】~

『~♪』

歌いながら剣をナイフで受ける。そして、そのまま歌いながら振って来る剣を受ける。

『っく!?そんな歌って・・余裕のつもりですか?!馬鹿にして‥!!』

『~♪‥馬鹿になどしていない。答える気も無いがな。・・・~♪』

そう。俺は歌い続けながら戦っている。これもとある理由があるんだがそれを言うつもりはない。

殴り、蹴り、ナイフで切る。

歌を歌い続けると出力が上がり俺の機体のゲージがもう少しで貯まる。右手でアッパーをして顎の下から殴り、そのまま勢いで空中に打ち上げる。

『ぐあっ!?』

そして、すぐに飛びあがり空中で追い抜かして、左腕にナイフを装備すると刃が大きくなり肘にあるブースターが火を出し加速して降りる。そして左腕を引き絞るようにして行き過ぎる前に振り下ろす。

『~♪』

歌い終わると同時にゲージがMAXに。そして、同時に坂上のラファールの胴に攻撃があたり、絶対防御が発動しSEがゼロになる。ブザーと共に試合終了がなる。

『・・う、ぅ・・。』

坂上は気を失ったらしく。そのままの状態で倒れたままだ。

(マスター、そのままコイツ締めちゃいませんか?)

(良いならアタシが分解したいぞ?)

(はぁ、まて。コイツは今回の事で役に立った。これで今は手打ちだ。‥まだ、面倒な事を起こすならその時に考える。)

(分かりました。)(わかったぞ。)

ガリィとミカが騒いだが黙らせギアを解除する。坂上をピットに戻すため抱えようかと考えている所にいきなり後ろから攻撃が飛んできた。いや、飛んできて攻撃して来たというところか。

『その子に何をするつもりだ!!』

そう叫び攻撃してきたのは、

『男性操縦者一号指定、織斑冬二・・。』

元(・)俺の兄弟の男だった。切りかかって来た剣をまた初めの六角形で防ぐ。

「おい!!てめぇ、何もんだ!!ここには俺しか男はいないはずだ!!‥俺がオリ主なはずだ!!」

『・・意味がわからん発言を・・。俺はダインスレイフ。四組に転入した第二男性操縦者だ。』

「なに!?どう言う事だ!!俺しかいないはずじゃ・・。」

『俺は先日急遽転入した。まぁ、クラスも離れているしどうでもいい。そこをどけ。』

六角形の外に二重の円を出しまた吹き飛ばす。出力を押さえたからただ衝撃があるくらいだ。

「くっ!?」

そして、俺は坂上の前に立ち抱えあげる。訓練機だから待機状態には出来ないのでそのまま抱えなければならない。そして、俺が出たのとは反対のピットに向かう。

『・・長谷川先生、彼女の救護用員の手配。あと、織斑の戦闘停止をお願いします。』

後ろから。「この!くそ!」とか言いながら切りかかってきているが、さっきの六角形の障壁に阻まれて俺には当たらない。音がうるさいだけだ。

「なんだよこれ!?この卑怯者!」

『うるさい。いきなり切りかかって来た奴に言われる覚えはない。それに、コレは俺の機体の装備だ。貴様にとやかく言われるような・・!!』

そこまで言っている途中でその障壁が急に壊されて俺の腕に切りかかって来た。危なく坂上を落としそうになるが、体制を直し持ち直した。そこにまた連続で切りかかって来た。見ると剣が開き中からエネルギーブレードの様なものが出ている。

「これなら喰らうんだろ!死ねぇ!!」

そう言い俺に無茶苦茶に切りかかって来る。初めは避けていたが腕に坂上が居るので、だんだんと避けづらくなってきた。そして、

「おらぁ!!」

あろうことか、SEが切れている坂上に攻撃してきた。俺は焦って、体をひねる。

『ぐぁっ!!』

右腕にブレードがあたり、装甲が切れてそのまま二の腕が斬れる。そこから血が出て、痛みが走るが、坂上を落とす事は無かった。そしてその衝撃で、坂上が目を覚ました。

「・・わたしは・・な、なんで貴方がわたしを・・か、抱えて・・。」

「もういっちょ!!」

俺がくらった事に気が付いたのかまた坂上に攻撃を仕掛けて来た。しょうがなく俺はまた同じようにして避けつつ後ろに下がる。また、右腕に傷が入り、さっきよりも血が出る。

「きゃぁ!?、な、なにを・・!?」

俺の腕が血まみれな事に気が付き、俺の顔の方を見上げる。お前にかまっている暇はない。と心の中で舌打ちをして、ピットになだれ込むように入る。

「貴方、私をかばって・・」

『知るか。さっさとどけ。あの馬鹿が来る!!』

腕から投げるように下ろすと、すぐに織斑が剣を構えてつっこんで来た。

「おおぉぉらああぁぁ!!」

俺はカタパルトに足を乗せて即座に発信シークエンスに接続、射出しながら体当たりして織斑ごとアリーナに飛び出る。

『この、馬鹿があぁぁ!!』

「ぐぁ!?」

そのまま、アリーナの地面に突っ込むようにブースターとスラスターを吹かし、地面との間でサンドイッチにする。衝撃は逃がしきれず、織斑は剣を手から放した。しかも、その時にSEはゼロになったのか、待機状態に戻った。

「・・ぐ、こ、この・・くずが・・。」

そう言い織斑は気絶した。俺はアルケミストを待機状態に戻し、血が出ている右腕に専用スーツの腰の救急パックから出した包帯を巻く。傷口はそう深くないようでよかったが、多少血が流れ過ぎて気分が悪い。

(マスター!!その屑。ここで締めましょう!!)

(そうだぞ!アタシがバラバラにする!!)

キレているガリィとミカが実体化しようとシステム内で暴れているのをどうにか押さえて、その場に座り込む。担架が二つ来て、俺と織斑を運んで行く。

その途中、廊下でこちらを睨む教師と女子生徒と眼があった。

【織斑千冬】と【篠ノ之箒】であった。

 




はい、今回はアガートラーム。一番最初は悩みましたが、
このギアが何気に好きなので選びました。
セレナァァァァ!!と叫んでいると
「こんな所で叫ぶ姉さんは嫌いだ」
とか言われるかもしれないので注意してください。

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