インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】   作:金宮 来人

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どうも、私です。
最近天気が異常ですね。
雪が降ったり、温かくなったり・・。
インフルエンザも流行ってますから、気をつけましょうね。
では、授業開始です。


第二十八時間目

それからの行動はあっさり決まった。

簡単な話だが、この大学に残る側とランダルに行くメンバーだ。

と言ってもはっきりしているようなものだがな。

「巡ヶ丘メンバーに青襲さんが加わっただけですね。」

「サークルメンバーと図書室暮らしのリセに新しくシノウがメンバーとなっただけだしね。」

「正直代わり映えしない。」

「シノウさんもしっかり一緒にやっていけると思いますしね。」

「本を大事にするなら敵にならないね。」

「リセはそればっかだな。」

それを言うとみんなが笑う。

「それじゃ、とりあえずの支度をしよう。青襲は必要になりそうな器具を持ってきてくれ。ほかのメンバーは水や食料の確認と資材系、消耗品の数を確認しておいてくれ。」

そう言って俺は席を立つ。

「一夏君は何かあるのかい?手伝えるなら手伝ってあげるけど?」

トーコがそう声をかけてくるが俺は首を振る。

「無理だな。俺にしか務まらんし、数日かける可能性もあるんでな。その期間、外で過ごすなら誰かを見張らなければいけない状態よりも、俺だけの方がむしろ楽だ。」

「えー、そうかな?こう何もしてないように見えても私たちって大学生だし、君たちよりも習ったことは多いから役に立つかもしれないよー?」

「ギアを纏っての行動と錬金術だが?」

「無理だね。はい、撤収。」

「早っ!?」

ついついな感じで胡桃が突っ込みを入れた。

「いや、それは人外の域だし?」

「あっさり人間を否定されたよ?」

そう言いながらこっちを向く圭、そしてメンバー全員。いや、青襲なんかは笑っているのを隠すために逆の方向を向いてやがる。だが、明らかに肩が震えている。

「こいつらめ・・。まぁ、いい。正直、自分でも前世から普通の人間とは思ってはいない。」

そういいつつ俺は背を向けて自分のするべきことをしに行く。

 

走り出して加速した後飛んで大学の敷地の外に出て、大学の横にある校庭を走る。

突っ切ってあったその建物の敷地内に入る。

そこは神社。『調神社』と書いてある。

「・・これで、『ツキジンジャ』と読むのか。シラベと読んでしまいそうだ。」

そう言いながらもそこへ入っていく。本殿ではなく、その横に続く道。

そこにあるのはご神体としての突き刺さった岩。岩の周りに縄が締めてある。

それほどのことをしてあるこの岩を見に来たわけではない。

この場所もある知識の中では神降りるためのエネルギーを得るための場所だ。俺はその岩に向けて拳を向ける。

『キャスター・拳』を展開しそのまま振り上げたこぶしを一直線に打ち付ける。

【ドガシャン!!】

と音がしてめり込む腕。その先にひびが広がっていき岩が崩れた。

そして地面に残る岩の先を踏む砕く。

細かく壊して俺はそのまま次の場所へと急ぐ。

そして、向かう先は別の神社。

そこでも同じことをする。理由は先ほど言った俺の知識の中の力のため。

使えるかもしれない手は取っておくべきだと思い、いくつもの神社を駆け回りその要石を壊して回る。

俺の目的は俺の使う錬金術の元々の使い手が行った事。【鼓星の神門】を開くことだ。

読みは「ツヅミボシノカムド」。

地上にある神社をつなぐとオリオン座の形となる。

その要石同士はレイラインと同じくつながりを持っていて独立の力を封じている。

その封印を解き、その地上と天のオリオン座が向かい合うときにその間に神の降りる力が集うといわれている。

そして、俺はその中心になる調神社に戻ってくる。地面が若干発光している。

おそらくは龍脈の流れがつながったことによる、レイラインの形成でエネルギーのわずかな漏れだろう。

その流れがつながる一番中央は元要石があったところ。その要石のあったところに俺は新しく作った術式の錬成石を突き立てる。

これは俺の手元でこの石を壊すことができる術式を閉じ込めた石で、全部の位置からの中心核となるこの神社の要石の代わりに力を封じておくものだ。

その時が来たらこの力を使うために、今はこれをして封じておく。

おそらくはこの力はとてつもなく大きなものだろう。

神の門、神門【かむど】とはシュメール語で【カ・ディンギル】。

つまりはギアを知っているものならわかるだろう。

巨大な力を持つ物の一つだとはっきりと言える。

なので、これは俺の奥の手の一つとして取っておく。

 

神社周りを終えて戻るころには日を跨ぐ頃になっていた。

山道などが多く、さすがに道が狭く、車形態のものを使って回ることができなかったのは痛かった。疲れは別に気にならんが、それ以上に問題なのは時間がかかりすぎた事だ。

聖イシドロスに戻ってきたのはすでに夜になっていた。

ほぼ丸三日ぐらいかかってしまった。

まぁ、お守り袋の方に何も連絡がない事から緊急事態は無いようだし、そう思って気軽に校内に入った。さらに歩きながら、水と風と火を組み合わせた錬成陣で汚れを落とす。

「はぁ・・、帰ってき・・た・・。」

入ったのはいつものみんなの集まっていた部屋だ。

だが、そこでその場にいた全員がこちらを見て固まっていた。

俺もその光景を見て固まる。

トーコとシノウ・若狭の三人が皆から【胸をもまれている】状況だったからだ。

「・・・。」

俺は無言でドアから下がって廊下に出てドアを閉める。

そのまま無言で頭をかいて冷静になるようにした。

とりあえず、もう一つすることを先にしようと廊下を歩いて階段を上り始めると、

「「「きゃぁあああああああ!?」」」

甲高い声が聞こえた。あぁ、言っておくが服は着ていたぞ?

少し服が乱れてはいたが別に肌が大きく見えていたわけではない。

ラッキースケベと後から言われるが、そもそも俺はその方向に対しては別に興味をなくしているんだがな。そもそも、神に好きに使われるこの体を、列記とした生命と言えるのかもわからないんだが・・。

 

「とりあえず、違うんです。」

「何が違うのかは知らんが、別に言い訳をしなくても大丈夫だが?」

「いえ、その・・皆がですね・・」

「だから別に言わなくて大丈夫だ。トーコはどうしてか知らんが・・いや、おそらくはシノウや若狭の体を見てからかったか触ったかして、その報復をしていてさらに興味を引いた奴らが混ざってふざけあったという事だろうな。」

「・・すごい。見てきたように正解です・・。」

「意外なのは青襲が少し興味深そうだったことだな。・・いや、体を見ていた先は狗三と圭、佐倉先生だったか・・?だとしたら、発症した後の体の興味だろうな。おそらくは触ってみても大丈夫なのかも一応観察していたのかもしれないな。そこについては全くの問題は無いが、狗三については体液などでの感染については分からないな。それを考えていたんだろうから別に女性に気があるわけじゃないだろう。気にする必要もない。」

俺は屋上で作業をする。そこに若狭が来て言い訳を後ろからしている形だ。

「それで・・、何をしているんです?」

「これか?・・説明が面倒だし、難解だから気にすんな。」

そう言いながら手を動かす。機械をくみ上げながら、内部に錬金術で使う文字を書いて術式を組み立てている。ただ、これは本当にどうにもならない時に使う、最後手段で使う物の一つだ。なので、同じものをいくつかの場所に設置する予定ではある。

どう使う物かは面倒なので言わないし、言っても意味が理解できないだろうから言わない。

簡単に言うと俺が使う【巨大設備】の代わりになるためのパーツをあちこちに置く形だ。

本来はその【巨大設備】をレイラインの集中している点に置くのが望ましいのだが、それはこちらにはない敷材も足りない。今から作るんじゃ時間もかかりすぎる。

故に代わりになる装置を数多く置いて代わりにさせるんだ。

【巨大設備】・・いや、【巨大施設】かな。

我が居城、【チフォージュ・シャトー】の代わりだ。

しかも呪いの旋律もないのでかなり苦しいが、そこをどうにかしたいが為に神社を回った。

【鼓星の神門】はその為だ。

何とかなればいいが・・。

 

どうにも嫌な予感がする。

 

 




では、また次回。

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