インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】 作:金宮 来人
最近夢見が悪く、昨晩は昔埋めたタイムカプセルが見つからなくて、あちこちを掘りまくる夢を見ました。さらに、途中からゾンビが出てきて手に持ったシャベルで攻撃したりもしてました。
そして、朝に目が覚めたら体中の筋肉が痛い。
相当に筋肉に力を入れて寝ていたようです。
普段使わない内ももの筋肉も痛い。
明日には筋肉痛にならないか心配です。
では授業開始です。
再びランダルコーポレーションの施設に着いて、そのまま施設内の侵入経路を探すために近くにいた感染者を掃討した。
正確には内部から出てきたやつらだから元研究者や職員だろう。
白衣やスーツ姿の感染者を見て、こいつらの誰かがどういった手でかは知らないが・・感染の被害・・このバイオハザード『生物災害』と言えるものをもたらした。
つまりはここから始まったものだろうと予想を立てている。施設内を見て回るが見える範囲はあらかた見た。逃げまどったり、いろいろと試みたんだろうが、結局は全員が死んだのか、見る限りでは生存者はいない。だが、上の階に上がる階段がシャッターでふさがれていた。防火扉などではなく、明らかにソレ用に用意したものと思われる。
巡ヶ丘の校舎の地下につながるシャッターと同じものだ。俺は外に出て施設の周りを見て回る。最悪俺が二階や三階に風の術式でもって運ばなければいけないのだから。
そう思うが、さっきの静けさ、俺が暴れても音によって誰かが声を上げなかったところを見るとシャッターの向こうには誰もいないと思える。
ならばどこからか脱出した可能性が高い。
裏手の窓を見ていると・・、
「・・ふん、ビンゴだ。」
やはり何かあった時用の脱出に使う梯子があり、そこの横の窓が開いている。
俺はそこの窓から中に侵入。近くに感染者がいないとは思うが危険がないかを確認する。階段のところはシャッターとさらに防火扉があり、完全に封鎖されていた。
内部に人の気配も歩く音もない。完全に無人のようだ。
入ったところは廊下ではなく部屋だったようで電気が通っているのかボタン式の電気が緑に光っていた。それを押して電源を入れると、少し薄暗かった部屋に電気が付いた。
そこには脱いだ白衣、社員証、そして・・揃えられた革靴・・。
後ろを見ると壁にはおびただしい計算式と、仮定する場合の結果の予想、そして・・計算式の先に書いてあった言葉。
『Q・E・D=NO FUTURE!!』
そう書いてあった。
俺は腕を組んでそこにあったデスクの椅子に座る。
「何が未来は無い・・だ。それならこんなことをしでかすんじゃないって事だ。」
俺はその文字を見てバカバカしいと思いつつ計算式を見る。
基本的に間違ってはいないが・・その数値も、式も、結果も・・仮定した物での導き出したものだ。つまりは仮定が間違っていた場合はこの計算式自体が間違っているともいえる。
つまりは・・青襲と一緒に考えるのが一番正解を導けそうだという事だ。
この壁の計算式も参考にはするが、鵜呑みにして計算する必要もない。
そうこうしていると梯子の下の方から音がした。
窓から見下ろせば、そこにはキャンピングカーが止まっていた。
「・・問題なくつけたようで何よりだ。」
そう言って俺は上からロープを投げおろす。そしてそのロープの先にはデスクの上にあった『カラビナ』をしっかりと結び付けて、火の錬金術とナイロンで焼き付け固定したものが付いている。車から出てきた奴は俺がいることにほっとしたような顔をしていた。
そして梯子のところにあるロープまで来るとそれを持ち上げた。
「・・一夏さん、このロープは何?」
「梯子を上る際に一応の固定だ。一人ずつ上がってこい。上からロープを引っ張ることで補助するから楽に登れるはずだ。」
そう言うと美紀がそのロープをもって腰に巻いてカラビナをもう一度ロープにかける。すると俺がゆっくり引っ張ればカラビナは腰で固定されて上がる際に腰を上から支えてくれるようになる。さらに前から引っ張ってもらえるので後ろに落ちる怖さも軽減される。
多少締まって痛いかもしれんが、それは女子特有の身の軽さでそこまで負担じゃないだろうし我慢だ。
それを順で行い最後に青襲が上がってきて壁の式を見る。
「全員、問題なかったか?」
デスクの椅子に座って肘をついて全員の顔色を見る。問題がないようだが・・一応は聞いておく。
「途中の道がかなりふさがれているところが多かったのが辛かったですね。」
「結局大通りを回って大回りで来なければいけなかったの。」
「あと、途中で遠くにオレンジ色の車を見た。走っていたし遠くだからよくわからんが、あの大学でのマントをつけていた武闘派の女が乗っていった車に見えた。だけど、運転席のガラスは割れてたし、人の気配もなかった。」
若狭、狗三、胡桃の順に声が返ってくる。美紀と圭は近くに何かないか確認に言っている。部屋などの下見だそうだ。就寝時に仕える部屋は見つけたことを言ったのでそこを見に行っているかもしれない。カプセルホテルみたいなところだが十分に睡眠はとれるだろう。
「・・そうか。もしかしたらアイツも発症したのかもしれんな。」
そう言って俺はいつもうるさいはずの人物を見る。
「丈槍、どうした?いつもやかましいお前が静かだとは珍しいな。」
「えぇ?いっくんそんな風に思っていたの!?ひどい!」
オーバーリアクション気味だが、それでもこちらに答えれるなら問題は無いようだ。
「いやぁ・・壁にらくがきっていけないよね。って思って。」
「・・はぁ。その考え方は実にお前らしくて、聞いた俺が馬鹿らしいな。」
そう言って俺は頭をかいて、苦笑いをした。
「やっぱりひどいよ!?」
「いや、しょうがないだろ。・・、それで青襲?その式はどうだ?お前が考える、『答え』に至る物か?」
壁の式を見ている青襲のところに行くと煙草を取り出してそれを眺めていた。近くのデスクから椅子を引っ張って座る。口にくわえて火をつけて一息。白い煙をゆっくりと吐き出して、俺の方を見てまた壁の方へ向きなおす。
「そうだな・・。正直言うと大体考えていることは同じようだ。この式も大体は合っているし、計算や予測もそう間違ってはいないな・・・一つを除いてだがな。」
「・・俺と同じ意見か。こいつらになくて俺たちにある物・・それは・・」
そう言いながら俺はちらりと見る。その方向にいるのは、
「・・佐倉恵・・。その体の中で作られたであろう『抗体』・・。」
同じ方を見て青襲がつぶやいた。
他のメンバーは俺達の目線に気が付かないで全員で探検しようとか寝る事とかを言っている。
この建物内の事は一応調べた。奴らや危険なところがないか調べた結果、問題は無かったが気になることがいくつかあった。俺はそれをこれから調べる気だ。
「ここにはBSL『バイオセーフティーレベル』がレベル3の施設があるようだ。前を通ったらセンサー付きの扉とバイオハザードマークがあった。」
「・・ちょっと待て。レベル3だと?」
「・・正直言うが、レベル4は絶対に欲しい研究だと思う。しかし、それを3止まりにした。そこにこの感染災害の広がる原因か、何かしらの理由があると思う。」
「・・調べてみよう。しかしセンサーと言うことは認証システムか・・。どうするべきだ?」
「ここに研究者の残したネームプレートと認証ICが付いたパスが用意されている。」
「それを、どこで手に入れた?」
「ここに入った時に靴や白衣と共にそろえて合った。おそらくこの担当者は自分たちが犯したこの事態に耐えられなかったか、発症を恐れて自ら命を絶ったか・・。どちらにしろ、これが置いてあったのはそいつのおかげだ。・・もしもこいつが原因じゃなければ礼を言うんだがな。おそらくは、こいつも高確率で関係者だ。このレベルだと責任者以外は部屋に入れないはずだ。相当のポストにいただろう人物と言うことがわかる。」
BSLはレベル3になると担当者しか部屋に入れない。外部との確実な遮断をする。内部が汚染されても外部に持ち出さないことが重要なはずだ。それなのにこの災害は起きた。それなら、ここのセーフティレベルは問題があったという事だ。
「・・部屋は廊下を進んで奥のあたりにある。入るのはもう少し待て。位置や認証気を確認ぐらいはしてもいいぞ。」
「わかった。ドアに窓はあったか?」
「・・ん?どうだったか・・あぁ、そうだ。前を通った時にはちらりと見ただけだが、多分あったと思う。」
「なら少し内部を確認できるか見てくる。」
「俺はこの内部の見取り図や、施設のレベルなどを確認しておく。」
そう言って俺たちはお互いにやることを決めた。青襲は立ち上がって部屋を出て行った。
他のメンバーはすでに仮眠室へと行ったか、探検とやらをしているのか・・この場から出て行っていた。
「・・まったく、面倒なこったな。それじゃ俺はこの施設のシステムでも確認するか。」
棚の資料を見てソレを手に取り、内容を記憶していった。
終わるころには夜が明けていた。
では、また次回。